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統一地方選で維新が勝利したことを受けて、政府は大阪のカジノを認定した。
カジノを含むIR=統合型リゾート施設について、政府は14日、2029年の開業を目指すとした大阪府と大阪市の整備計画を認定しました。
計画では、大阪湾の人工島「夢洲」に初期投資として1兆円余りを投じてカジノや国際会議場などを整備し、2029年の秋から冬ごろの開業を目指すとしています。
( → 大阪のIR整備計画 初めて認定 今後どうなる?カジノに懸念は | NHK | 大阪府 )
だが、これが「捕らぬタヌキの皮算用」であることは、本サイトで何度も指摘してきた。「大幅黒字」という皮算用だが、その見通しはとんでもない甘い予想であり、現実には赤字が見込まれる。
→ 大阪:万博とカジノの浪費: Open ブログ
→ 大阪のカジノ構想は失敗: Open ブログ
→ 大阪の収支計画はペテン: Open ブログ
以上の話を裏付ける情報が報道された。
肝心の来訪者数の推計データについては、報告書で「根拠が不明瞭」と指摘された。
かねて年間2千万人という目標は「高すぎる」との見方があった。このうち3割が外国人観光客だ。しかし、中国政府はギャンブル規制を強化。海外でのギャンブルに中国人を組織的に誘客することが犯罪行為とされた。大阪の企業経営者は「中国から観光客が来ないとやっていけない。それが最大のリスクだ」と話す。元観光庁幹部は「国として走り出した以上、大阪だけでも認めないわけにはいかないのだろう」と語った。
( → (時時刻刻)IR、資金力で明暗 大阪・長崎:朝日新聞 )
識者(大学教授)の分析もある。
――大阪府・市の計画の認定について、どう見ていますか。
私から見ると、とても認定の基準を満たしているとは思えません。
例えば大阪の計画は1兆円あまりを投資し、年間の売り上げは5200億円。そのうち8割にあたる4200億円がカジノの収益だとしています。(大阪のIRのカジノ事業者の親会社である)MGMリゾーツ・インターナショナルの米ラスベガスでの収益実績と比べても、大阪の規模ではそこまでの収益には大きく届かないでしょう。かなり背伸びをした収益計画だと言えます。
中国の富裕層を客としてきたギャンブル市場が変化していることも重要です。
――中国の変化とはどういうことでしょうか。
先月、マカオに行きましたが、以前のようには観光客が戻っていません。
理由の一つは、中国の習近平政権によるギャンブル規制の強化です。中国政府は一昨年の刑法改正で、海外でのギャンブルに中国人を組織的に誘客することを犯罪行為としました。
かつてのようなハイローラー(大金をかける上客)中心のVIP市場はかなり縮小しています。
( → IRは成長戦略になるか 静岡大学・鳥畑与一教授に聞く:朝日新聞 )
マカオのカジノは、中国人客の来客で大繁盛していた。それを見て、「おれも、おれも」と日本でカジノ計画が湧き起こった。だが、それが実現するころには、中国がカジノ勧誘を禁止する見通しとなった。さらにカジノ規制は強まりそうだ。
そして、それは当然なのだ。なぜなら、カジノの主目的は、もともと博打ではなくて、マネーロンダリングであったからだ。
「マカオ・ラスベガス・シンガポールなど世界の主要カジノ施設と同等だ」と仮定した上での数字だ。
では、それは成立するのか? 仮に、成立しないとしたら、とんだ「捕らぬタヌキの皮算用」となるわけだが。
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結論から言えば、成立しない。マカオなどのカジノと日本のカジノは、まったく種類が異なる。どこが異なるかというと、マネーロンダリングの有無だ。
そもそも、マカオはどうしてあれほどにもカジノが栄えているのか? 人々がよほどギャンブル好きだからか? 大損してもなおかつ、莫大な金を投入するからか? 無尽蔵の金を投入して、ギャンブルをし続けているからか?
違う。彼らは単にマネーロンダリングのためにマカオを訪れているだけだ。だから、さっと来て、さっと帰ってしまう。ギャンブルそのものをやりに来たのではなく、マネーロンダリングをやりに来ただけだからだ。ここが肝心だ。
( → カジノの皮算用: Open ブログ )
こういう資金洗浄を、中国政府がいつまでも認めるわけがない。当然、中国人によるカジノ利用は制限され、中国人目当てのカジノの市場はどんどん縮小する。
大阪や横浜のカジノの計画は「捕らぬタヌキの皮算用」だったのである。それに気づいた横浜は、さっさと撤退した。しかし維新は、撤退できない。
なぜか? 頭が悪いからか? いや、むしろ、欲の皮が突っ張っているからだ。大阪ならではの現象と言える。さすが大阪人。
かくて、金目当てで(カジノ建設という)バクチを打って、大金を巻き上げられる結果になるわけだ。

欲の皮が突っ張っているから、大儲けしようとして、結果は大損となる。まあ、関空の二の舞だね。同じ失敗を繰り返す。
[ 付記 ]
関空は、最近では黒字に転じた。そこで、「関空は失敗ではなかった」と思う人もいるかもしれない。
しかし、この黒字は、政府や自治体による多額の赤字補填(補助金や利子補給)を受けてのことだ。
→ 平成17年度決算検査報告 | 会計検査院
→ 需要減り赤字も累積/関空2期事業 小林議員が見直し迫る
→ 関空の赤字/穴埋めに道路財源/大門議員 連絡橋買い取り追及
→ 関空二期工事の中止、大阪空港問題の解決のために/日本共産党大阪府委員会
→ 大阪府のばく大な赤字 だれがつくったの?
実質的には赤字倒産したのも同然だが、赤字を取り消してもらって、民事再生した、というのに近い。「赤字を免除してもらったから、黒字になった」というわけだ。
大阪のカジノも同様だ。すでに「土壌対策費」で、800億円もの資金援助をすることが決まっている。事業が始まらないうちから、補助金を出すことが決まっているわけだ。
※ 上のリンクを見ればわかるように、赤字の典拠の多くを示しているのは、共産党だ。(議会質問でデータを指摘しているので、公的な発言である。ただの一方的な放言ではない。)……政府や大阪府やマスコミには、そういうデータがなかなか見出せない。
※ Google に聞いてもなかなかわからなかったが、BingAI に質問したら、かなり良い返事を得られた。
Q 関空の赤字を政府が負担した額は?
A 関西国際空港は、開港当初から多額の赤字を計上しており、その負担は国土交通省が行っています。2019年度の負担額は、約1,000億円であることが報じられています。ただし、2020年度以降は、関西国際空港株式会社が負担することになっています。
ただしこのデータ、出典リンクを見ても、そこに典拠が見つからないんだよね。本当なのか嘘なのか、判別しがたい。
> ※ Google に聞いてもなかなかわからなかったが、BingAI に質問したら、かなり良い返事を得られた。(中略)
> ただしこのデータ、出典リンクを見ても、そこに典拠が見つからないんだよね。本当なのか嘘なのか、判別しがたい。
⇒ 下のPDF資料(のとくに3ページのところ)を読み解いていただければ、わかるかもしれません。例えば、令和元年度(2019年度)の赤字が約1000億円というのはそのとおりのようですが、それを全部、国(国交省)が負担しているというのは少し違うようにみえます(すいません。私は、経理に暗いのでハッキリわかりません)。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_filp/report/zaitoa010726/30.pdf