2023年05月12日

◆ 太陽光 + 太陽熱 で効率向上

 太陽光発電と太陽熱温水器を合体して、ハイブリッド型にするといい。太陽光エネルギーを有効利用できる。

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 太陽光発電のエネルギーの変換効率は、せいぜい 20%程度である。これ以上の効率アップは、実験室段階ではできているが、高価な原料や部材を使うので、高コストになってしまう。実用化はできそうにない。
 太陽熱温水器は、すでに変換効率 40〜60% を達成している。だが、これで得られるのは熱エネルギーだけなので、電気エネルギーとして使うことはできない。たとえば、照明やテレビや冷房のためには使えない。
 かくて、太陽光発電も、太陽熱温水器も、どちらも一長一短だ。帯に短し襷に長し。困った。どうする?

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
 「太陽光発電と太陽熱温水器を合体して、ハイブリッド型にするといい。これなら1台2役だ。すると一石二鳥の形で、太陽光エネルギーを有効利用できる」


 具体的には、こうする。
 「真っ黒な太陽光パネルを設置するが、太陽光パネルの裏側には、水のパイプを張り巡らす。このことで、太陽光パネルの冷却水とする。この冷却水は、パネルを冷却すると同時に、自分自身は温まる。その温まった水を、温水として利用すればいい」


 太陽光パネルは真っ黒だが、そのことで熱吸収もなされる。その熱を温水器の熱源として利用すればいいわけだ。エネルギーの有効利用。かくて、変換効率がアップする。

 副次的効果もある。
  ・ 夏場は、太陽光パネルの過熱を防ぐ効果もある。(熱劣化の防止)
  ・ 二つ分の工事をまとめて、いっぺんにできるので、工事費が安めだ。


 ──

 以上で「うまいアイデアだ」と思えたのだが、……
 前にも同じようなことを書いた気がするので、サイト内検索したら、見つかった。たしかに、同じアイデアは既出だ。再掲しよう。
妙案がある。次のことだ。
 「太陽電池パネルの上と下を、水の冷却パネルで覆って、太陽熱温水器を兼用させる。」
 この場合、熱エネルギーは、家庭の湯沸かしのために使われる。また、太陽電池パネルは、高熱にならないので、高温による発電効率の低下を免れる。一石二鳥。
 これなら、問題はない。逆に言えば、これでないのなら、問題がある。
( → 太陽電池の熱吸収: Open ブログ

 こう書いたのは、2010年08月08日 だ。それから 13年もたったのだし、すでに実用化していてもおかしくない。
 そう思って調べてみたら……確かにすでに実現済みだった。
太陽光発電システムとソーラーシステム(太陽熱温水器)を合体させたシステムです。電気と熱を同時に創り出す光・熱複合モジュールを日本で初めて製品化しました。

年間平均で太陽エネルギーの約10%を電気に、さらに約30%をお湯に変換します。
( → 第5回新エネ大賞受賞事例キャッシュ


  ※ ここでは太陽光発電の変換効率が 10%であり、かなり低めだ。18%ぐらいは欲しいところだ。

 ──

 では、これで解決か? 
 そう思ったのだが、うまく行かないようだ。上記のページは、「新エネ大賞を受賞した」という紹介の記事だけだ。その後、現実に市販されたという情報はない。ネット上をググっても、何の情報も見つからない。実用化はできていないようだ。
 
 なぜだろう? もしかしたら、施工が難しいのかもね。パネルだけならば、機械を設置するだけだが、水を配管するとなると、高度な技術が必要で、下手をすると水漏れがあるのかもしれない。

 リンク先の文書では、「不凍液」という話もあるので、そのままでは冬に凍結して、パイプが壊れる危険があるのかもしれない。そうなると、まずいですね。

 ──

 あと、もう一つ、別の理由がある。
 そもそも「屋根に太陽光パネルを設置する」というのが、本サイトでは非推奨だ。設置コストが高コストになるからだ。地上に太陽光パネルを設置するメガソーラーの方が、ずっと低コストで済むので、お薦めだ。
 その意味では、「 太陽光 + 太陽熱 」というのは、次善の策であって、最善の策ではない。

 ※ 実は、屋根上の太陽光発電というのは、省エネでもエコでもない。なぜなら、大赤字を出すからだ。現実には黒字になるのは、赤字を埋める高額の補助金が出ているからだ。50万円の赤字を 80万円の補助金で埋める、というふうに。
 ※ 現状では、省エネでエコだと言えるのは、太陽熱温水器だけだ。(戸建て住宅では。)




 [ 付記 ] 
 1台2役である本項のタイプでなく、通常単品なら、太陽光発電よりも、太陽熱温水器の方が、効率が高い。上で示した数値でも明らかだが、別項でも詳しく論じたことがある。
 → 屋根に太陽光パネルを載せるな: Open ブログ



 【 関連サイト 】

 光・熱の複合タイプの話。
光・熱複合モジュール

光・熱複合モジュールは、太陽電池をおさめたモジュールに、太陽熱集熱板を組み込むことで、太陽光発電を行うことに加えて、熱エネルギーを吸収するものです。限られた屋根面積でより多くのエネルギーを生み出すことが可能になっています。
( → 太陽光・熱複合発電システム
  
 これはどうも、「第5回新エネ大賞受賞事例」(上記)の情報と同じ情報であるようだ。画像だけは鮮明だが。


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posted by 管理人 at 23:01 | Comment(0) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
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