2023年04月13日

◆ 陸自ヘリコプター墜落 .1

 陸自のヘリコプターが墜落した事故で、いろいろと不明な点がある。

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 陸自のヘリコプターが墜落した事故で、いろいろと不明な点がある。

 まず、機体の破片などが見つかっていないのが不思議だ。
  → 海底は複雑な地形で捜索が難航 機体見つからず 陸自ヘリ事故 :朝日新聞
 大破したのなら、破片が見つかっているはずだ。なのに、違う。このことからして、ミサイルなどで撃墜されたことはありえず、一挙に急降下したようだ。

 次に、SOS や通信で痕跡がないのが不思議だ。せめて「異常発生、メーデー、メーデー」と叫ぶぐらいのことはできていそうなのに、それもなかった。
 機体には、操縦士が手動で助けを求める「SOS」を出す仕組みとして「トランスポンダー」という装置が搭載されている。
 だが、今回はトランスポンダーを通じたSOSは受信されなかった。防衛省幹部は「地形を目視して確認する任務中だったため、トラブル発生時は緊急時の入力ができないほど低い高度だった可能性がある」とみる。防衛省は、入手した映像から事故2〜3分前の飛行高度が約150メートルだったと分析している。
 トランスポンダーとは別系統で自動発信される救難信号も発信されなかったとみられる。
 ヘリには、機体に強い衝撃が加わると、周辺を飛行している航空機や近くの管制官などにSOSとなる救難信号を送る航空機用救命無線機(ELT)が搭載されている。事故機は海面に強くたたきつけられたとみられるが、管制官や部隊は救難信号を受信していなかった。
 飛行状況や機内の会話音声などを記録したフライトデータレコーダー(FDR)からの信号も確認されていない。
( → 不明ヘリ、3つの信号沈黙 事故発生時機能せず、捜索難航:朝日新聞

 実は、事故直前の映像もある。





 3分前には、正常に飛行していた。なのに、あるとき突発的に、異常が発生して、通信する余裕もなかった。
 これはいったいどういうことか? 謎だ。

 ──

 そこで私が思いついたのは、こうだ。
 「ダウンバーストがあった。下向きの気流が発生している地域があり、そこに飛び込んだので、一挙に地面にたたきつけられた。もともと低空飛行をしていたので、機体を立て直す余裕もなかった」

 こう考えたあとで、「同じことを考えている人がいるかも」と思って、ググってみたら、先人がいた。石原良純だ。彼は気象予報士の資格を持っているほど、気象に詳しい。その彼がテレビで「ダウンバーストのせいだろう」と推定して、話題になっているそうだ。
  → https://x.gd/ocwoj

 ちっ。出し抜かれた。悔しい。 

 ──

 そこで、悔しまぎれに、提案しておこう。
 「ヘリコプターが墜落しそうになったら、扉を開けて、飛び降りろ。下が海なら、何とか生き延びる可能性がある。一方、機体もろとも墜落すれば、まず生き延びられない。全滅だ。だから、その前に、飛び降りろ。また、扉を開けて飛び降りるという訓練を、日頃からしておけ」

 とはいえ、今回は、その余裕があったかも疑わしい。あまりにも急激な墜落だからだ。たぶん5秒以内で、地面に激突した。声を出す余裕もなかったし、扉を開ける余裕もなかっただろう。あれよあれよという間に、墜落した。
 もしかしたら、機体が反転するような、きりもみみたいな状況になっていたかもしれない。天地がひっくり返るような状況だと、脱出するのも困難だ。



 [ 付記 ]
 ダウンバーストが起こりやすい場所は、どこか? これを調べるためにググると、次の記述が見つかった。
 地形は東西南北のうち 3方位を山に囲まれ、他の 1 方位が平らになっている場合が多かった。
( → ダウンバースト発生場所の相関関係について調べる

 現場がこの条件に当てはまるかどうかは、地図を見ればわかる。


rikuji-heri.gif
出典:読売新聞


 まさしく、ドンピシャリ。現場は、そういう場所だった。ダウンバーストが起こりやすい場所だったのだ。そういう場所で、低空飛行をしていたのだから、ほとんど自殺行為も同然だと言える。
 陸自には、ヘリコプターを運用するだけの知識もなかった、ということになるね。

 なお、上記の地形だとダウンバーストが起こりやすくなる理由は、同じ文書に記述されている。
 山越え、山下りを行う点について
→風が山を越えるとき、登るときにダウンバーストを発生させる積乱雲が発生しやすいためだと考えられる。




    ※ 以下は 読まなくていい。


 [ 余談 ]
 余談だが、この調査文書を書いた人の氏名は、次の通り。
   横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 畑恵美子(3 年次)

 この名前でググると、「将棋がすごく強い」とわかる。
 信州総文祭2018(全国大会)で 三将2−4 畑 恵美子さん、副将2−6 加藤 未歩さん、大将2−4 原田 知実さんが団体戦で三位になりました。
( → バックナンバー 【2018.7〜9】 - 横浜サイエンスフロンティア高等学校

  第55回全国高校将棋選手権大会の県予選
 女子団体は横浜市立横浜サイエンスフロンティア(原田知実、白井遥、畑恵美子さん)が優勝
( → 個人は島田さん、森さんが優勝 全国高校将棋選手権県予選 | 話題 | カナロコ by 神奈川新聞


posted by 管理人 at 22:13 | Comment(7) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>[ 付記 ]
> まさしく、ドンピシャリ。現場は、そういう場所だった。ダウンバーストが起こりやすい場所だったのだ。そういう場所で、低空飛行をしていたのだから、ほとんど自殺行為も同然だと言える。

⇒ 宮古島の地形は、島全体がおおむね平坦で低い台地をなし、最高標高地点は、地図にある分屯基地のさらに東方の地点で、わずか113m だそうです。

 それに対して、ヘリの飛行高度は、「入手した映像から事故2〜3分前の飛行高度が約150メートルだったと分析している。」とのことなので、島の最高地点よりも上です。

 ダウンバーストが起こったとしても、「山越え・山下り」で発生した積乱雲から、というのは違うのではないでしょうか。
Posted by かわっこだっこ at 2023年04月13日 22:49
 なるほど。異論の余地は十分にある、ということですね。
 ただ、かわりに「これが原因だ」という別の理由が見つかったわけでもないので、とりあえずは一説として頭に入れておいてもいいでしょう。

 実は私も、地形を詳しく調べようとしたんだけど、途中で面倒臭くなって、調査を中途半端に切り上げてしまったのでした。
 かわっこだっこさんはいつも、私が手抜きしている箇所をうまく見つけ出して、穴になっている箇所を見抜きますね。お見事。

Posted by 管理人 at 2023年04月13日 23:16
 積乱雲の発生で、地形はあくまでもきっかけに過ぎず、主たる要因は温度差です。
 積乱雲の高さは、数千メートル〜1万メートルにないますが、別に、数千メートル〜1万メートルの高さの山が必要であるわけではありません。太平洋側の平地のそばでも、積乱雲はしばしば見出されます。
Posted by 管理人 at 2023年04月13日 23:28
 私がコメントしたのは、「宮古島(周辺)では、山越え・山下りでの気温低下で積乱雲が発生・発達はしないだろう」ということです。私も、テレ朝モーニングショーの石原良純さんの見解部分を録画で観ていて、当時の現場の雲行きが明らかに怪しい感じなのもわかったので、ダウンバーストのような、気象現象が原因になった可能性は十分にあると思います。
Posted by かわっこだっこ at 2023年04月13日 23:29
 報道では、人的損失が多大だったようだ。

> 搭乗していた10人うち、幹部は8人だった 
> 5人は、いずれも司令部の中核を担う幹部で、坂本師団長(陸将)以外の4人は階級が1等陸佐から3等陸佐だ
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230406/k10014031051000.html

 大佐・少佐クラス4人と、陸将が1人。これを一挙に失った。
 幹部をまとめて1機に搭乗させるなんて、呆れてものが言えない。自衛隊のリスク管理はどうなっているんだ。
Posted by 管理人 at 2023年04月14日 12:44
本当だとしたら、もっと早く見つけられたかもしれません。
https://urlzs.com/Xnnn1
お粗末過ぎますね。
Posted by Siru at 2023年04月15日 07:38
>幹部をまとめて1機に搭乗させる

幹部をたくさん乗せて低空飛行をしていた理由は何でしょうね?

まさか観光?!

まさか・・・ね。

まぁでも陸自ならやりかねないかもしれませんね。。。
Posted by 反財務省 at 2023年04月15日 08:23
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