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ライアーゲームというのは原作が漫画で、テレビドラマになった。(戸田恵梨香主演。)
これが先日、テレビで再放送されたので、視聴した。そこで思ったのは、「ゲーム理論の観点から考えるといい」ということだ。
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ドラマでは、ゲームの参加者が1億円をプレゼントされる。それを元手にして、ゲームに参加する。勝てば大金を得るが、負ければ1億円が消えてしまう。そこで「ダメでもともとさ」というつもりで参加したあと、知力を尽くして、新型のゲームで競争・対戦する。
ここで、うまくアイデアを凝らして「大勝利」と思ったら、逆転また逆転の波瀾万丈で……というふうになって、息も継がせぬ緊張感が続く。それはそれでおもしろいのだが、途中でヒロインが気づく。
「これは対戦者同士の戦いではない。対戦者と事務局の戦いだ。このままでは対戦者はみんな莫大な借金を負って、事務局ばかりが大儲けしてしまう。寺銭を取る形で」
というふうに。そこで、
「対戦者同士が勝利をめざすのではなく、各人は敗者になってもいいから、事務局を負かすようにしよう。そうすれば、各人は大儲けしないが、全員が救われる」
と。
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以上のことは、原理的には、ゲーム理論で説明される。特に「タカ・ハト・ゲーム」だ。
タカ・ハト・ゲームでは、各人が自分の利益を最大化させようとする。そうすると、タカとタカが傷つけあう形で、双方が損する。エゴイズムの極致で、全員が損する。そしてまた、全体の総和も減ってしまう。
かといって、一方がハトだと、タカは得をするが、ハトが大損してしまう。全体の総和は減ってしまう。
では、どうすればいいか? 双方がエゴイズムを捨てればいい。自己の利益を最大化させようとしなければいい。小さな利益だけで満足する(我慢する)ようにすればいい。その場合には、全体の総和が増える。
このようなことが、タカ・ハト・ゲームの原理からわかる。その実際的な適用例は、「戦争と平和」という状態だ。戦争をする両国が、自国の利益の最大化を狙うと、双方がひどく傷つくことになる。かといって、一方だけが譲歩しても、解決はしない。双方が譲歩した場合にのみ、解決が可能となる。
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ライアーゲームとウクライナ戦争には、共通点があるのだ。「ロシアはライアー(嘘つき)だ」というのが、根源かもしれないが。