2023年04月07日

◆ 炭酸ガスの吸収は農地で

 炭酸ガスの排出量を減らせ、と言われる。だが、排出だけでなく吸収も大切だ。そのためには( EV などの工業面だけでなく)農地における吸収に着目しよう。 【 重要 】

 ──

 炭酸ガスの排出量を減らせ、と言われる。特に、自動車をガソリンから EV に転換したり、発電を火力から再生エネルギーに変更したり。……こういう工夫で、化石燃料の燃焼を減らすことで、炭酸ガスの排出量を減らそうとする。
 だが、(新規の)排出量を減らすだけでなく、(既存の分の)吸収も大切だ。排出を減らすだけでは、炭酸ガスの空気中濃度は低下しないからだ。この値を低下させるには、炭酸ガスを吸収するしかない。
 では、炭酸ガスを吸収するには、どうすればいいか? 

 すぐに思いつくのは、「火力発電や水素生産で生じた炭酸ガスを吸収する(地中に埋める)」という手法だ。これは前項でも紹介した。(川崎重工の方法。)
 とはいえ、この方法は、(炭酸ガスの)発生と吸収を同時にやっている。吸収だけをやっているのではない。プラスとマイナスが同時にあるので、差し引きして、トントンである。全体としてみれば、空気中の炭酸ガスを減らす効果はない。

 では、それと同じ手法を、一般の空気中の炭酸ガスに対して行えばいいか? いや、そうも行かない。「火力発電や水素生産で生じた炭酸ガスを吸収する(地中に埋める)」という手法は、もともと高濃度の炭酸ガスがある場合にのみ、成立する。高濃度の炭酸ガスがあれば、それを圧縮するのも容易だ。
 一方、空気中の炭酸ガスは、きわめて低濃度だ。(約0.04% )そのせいで、これを吸収することはコスト的に困難である。(エントロピーの法則を知れば当り前だが。)
 火力発電所や製鉄所などの大規模発生源でCO2濃度の高い(7?50%)排ガスからCO2を回収し、地中などに貯留する技術は既に実用段階にあります。
 大気中からのCO2回収は原理的には可能ですが、大気中CO2濃度はきわめて低い(約0.04%)ため、回収効率など多くの技術開発課題があり実用化にはほど遠い状況にあります。
( → 温暖化の対策 Q7 二酸化炭素を回収・貯留する技術とは? - ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター

 つまり、空気中の炭素を吸収したくても、吸収する方法がない。困った。どうする?

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 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
 
 まず、第1案として、「農作物への吸着」という案を出そう。農作物ならば、空気中の炭素を低コストで吸着することができる。これでうまく行きそうだ、と思える。
 だが、この方法には難がある。農作物に吸着しても、その農作物を人間が食べて、口や尻から排出してしまうので、結局は、炭酸ガスはふたたび空気中に戻ってしまうのだ。これでは空気中の炭酸ガスを減らす効果はない。

 そこで、第2案として、「人工的に石炭を作る」という案を出そう。かつて植物が地下に埋め込まれて石炭となったように、地球上の植物(特に森林の樹木)を地中に埋め込んでしまうのだ。こうすれば長期的には炭素が地中に埋め込まれることになる。特に、腐敗の起こりにくい低温な土地ではうまく行きそうだ。
 だが、この方法には難がある。やたらと高コストが見込まれる、ということだ。そもそも、人類は石炭を燃やしてエネルギーとして役立ててきた。なのに、新たに樹木を石炭にしようとしたら、石炭による利益とは逆のことをやっているので、純粋に「石炭代」に相当する費用がかかりそうだ。ものすごく多額の費用がかかることになる。馬鹿げている。( 20世紀に石炭を掘り出して、21世紀に石炭を埋め込むのでは、単に昔の人の尻拭いをするだけで、大損をするだけだ。)

 そこで、第3案として、「不耕起農法」という案を出そう。これこそが最終的な正解となる。「不耕起農法」については、前に紹介した。
  → 土壌に炭素を貯め込む: Open ブログ
 そこには、こうある。
 炭酸ガス削減のために、「土壌に炭素を貯め込む」という方法がある。

 二酸化炭素は森林の植物中に大量に貯蔵されると思っていた。実際、大気中の3兆トンに対して2兆トンも貯蔵される。だがそれにも増して、土壌中に保存される。特に表土だけでも約3兆トンが貯蔵される。(上記)
 なのに、耕す農法を取ることで、その二酸化炭素が空中に解放されてしまう。そこで、耕す農法をやめることで、二酸化炭素を土壌中に大量に貯蔵できる。その量は「人為的な活動による大気中への温室効果ガスの排出を帳消しにできる」ほどだ。

 文中にあるように、「植物の根や微生物が地中にため込んだ炭素」がある。これはもともと土壌に埋め込まれる炭素だ。(光合成によって炭酸ガスが炭素の形になって地中に埋め込まれている。)
 ただしこの炭素は、「耕す」ことによって空気中に解放される。そこで、「耕す」ことをやめることで、地中の炭素が解放されずに地中に残るのだ。抗して自動的に「炭素の吸着」が実現される。(詳しくは上記)

 また、稲や小麦などを収穫したあとの稲ワラや落ち葉などは、そのまま放置することで、柔らかな朽葉となる。朽葉が何年分も積み重なるうちに、下の方は土になりかわって、腐葉土となる。こうして炭素が地中に吸着されていく。(樹木を埋め込んで石炭にする、というようなことは必要ない。おおがかりな手間は必要ない。)

 ──

 結論。

 炭酸ガスの排出量の減少だけでなく、炭酸ガスの吸収も大切である。
 そのためには、高コストな工業的手法をとるよりも、低コストな農業的な手法を取ればいい。
 具体的には、「不耕起農法」を採用すればいい。
 これによって、地球規模の大々的な「炭酸ガス削減策」と同等程度の巨大な効果をもたらすことができる。しかも、圧倒的に低コストで済む。世界中で EV や再生エネのために大騒ぎする必要はないのだ。単に不耕起農法を導入するだけで、問題の大半は片付いてしまうのだ。

 人々は大切なことを見失っている。
 
posted by 管理人 at 22:57 | Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
農業振興は直量確保の意味からも重要ですね。緑豊かな森林は実は成熟期の植物なので炭酸ガス吸収効果はあまり大きくないかもしれません。その点農業は炭酸ガス消費が盛んな成長期の植物を高密度でかつ毎年植え替えるので理想的でしょう。サトウキビが最も成長が早いと聞いたことがあります。どんどん作ってどんどん刈り取りそのまま地中に埋めるのが良いのでしょうか。私は植物学者でないので上は思い付きです。
Posted by よく見ています at 2023年04月08日 10:49
> 刈り取りそのまま地中に埋めるが良いのでしょうか。

 特に何もしなくても、根と微生物で、地中に貯め込まれます。あとは表土の部分で、朽葉から腐葉土ができる。記述済み。詳細はリンク先で。
Posted by 管理人 at 2023年04月08日 11:02
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