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GPT で医療情報を得ることができるか? もしできれば、大量の文献を調べずとも済むので、とても有益なはずだ。
この趣旨で、実際に調べてみたところ、非常に有効であると判明した。これは結論だ。以下では、その実際例を具体的に示す。
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話の発端は、下記の症例だ。
→ 「側頭葉てんかん」と診断された私、実は年間発生率100万人に1人の超レア病「インスリノーマ」だった
「側頭葉てんかん」と診断されたが実際は「インスリノーマ」だった……という症例だ。この人は、神経科で診断されても誤診されるだけだったが、倒れたあとで血液検査を受けたら、低血糖が判明したので、低血糖の原因を調べるうちに、「インスリノーマ」だと判明したそうだ。
ここで疑問なのは「なぜ最初から血液検査を受けなかったか?」ということだ。いくら神経科を受診したからといって、高価な MRI の検査ばかりをして、安価な血液検査をしないというのは、診断の仕方を間違えている。MRI の装置があるのなら、よほどの大病院だろうが、そんな大病院ですら、「まずは血液検査」という基本をおろそかにして、まともに治療できないままにするのは問題だ。
そう思ったので、専門家の大先生に質問したところ、次の回答を得た。
「私が若いころに大学病院にいたときには、精神疾患の病名はすべての身体疾患を除外してからつけるべきと叩き込まれました」
ご本人はそういう立派な教育を受けたわけだが、そうではない医者も多いようだ。だから、ろくに診断しないで、血液検査もしないで、患者の数ばかりをこなすことに専念する医者が多いのだろう。憎まれっ子世にはばかる。血液検査を省く医者がはびこる。
専門家の大先生の体験では、「うつ病」と疑われた患者が実は「クッシング症候群」だった、という事例があったそうだ。クッシング症候群は、頬の赤みがあるので、うつ病と思われても実はクッシング症候群ではないかと推測して検査したところ、まさしくクッシング症候群だと判明したそうだ。
ただし、クッシング症候群と頬の赤みとの関連は、教科書には記してないそうだ。ご本人は経験で知っていただけらしいが。
そのご教示を受けて、私は BingAI に質問してみた。以下は、その報告。
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クッシング症候群は、副腎皮質ステロイドホルモンであるコルチゾールの増加が理由である。そこで、コルチゾールに関して、BingAI に質問してみた。
● 質問
コルチゾールと、頬の赤みは、どういう関係か?
● BingAI の回答
コルチゾールは副腎皮質ホルモンの一種で、ストレスや炎症などに対応するために分泌されます。
コルチゾールの分泌が過剰になると、クッシング病という病気になる可能性があります。
クッシング病の症状として、顔が丸くなり、頬や鼻の付け根が赤くなることがあります。
また、コルチゾールは血管を拡張させる作用もあるため、血流が増えて肌が赤くなることもあります。
頬の赤みは他にも、かぶれ(接触皮膚炎)や温度変化による肌の乾燥などの原因で起こることがあります。
教科書には記していない「頬の赤み」についての説明が得られる。BingAI はとても有能であるとわかる。
また、Wikipedia の記事みたいに長たらしい情報(ノイズの多い情報)ではなく、必要なことだけが簡潔に記されている。使いやすさも抜群だ。
医療診断についての医療情報の調査という点で、BingAI (などの 言語AI)は、とても優秀だ、と評価できる。
※ 出典も記してあるので、念のために出典を調べてもいい。ただし、間違い情報があれば、医者ならばすぐに判定できるだろう。
[ 付記 ]
このような性能は、次のことに由来する。
「 BingAI は、世界中の文書情報を調べて、細かな情報をうまく見つけるのが、とても上手である。人間ではなかなか探しにくいような、検索ラングの下の方にある文書からも、うまく情報を探り出してくれる」
その点では、初期の Google に似ている。初期の Google は、それまでの紙文書だけのときの情報検索に比べて、圧倒的に豊かな情報検索能力を呈示してくれた。
ところがその後、Google は大幅に改悪された。サイトの重みづけをしたので、大手サイトの文書ばかりが優遇されて、個人サイトの情報は下の方に埋もれてしまった。そのせいで、基礎的な情報ばかりが見つかるようになり、細かな詳しい情報は見つかりにくくなった。また、多大な検索漏れも発生するようになった。
こういう問題があって、最近の Google はとても不便になっていた。しかし、それを一掃するほどの大幅な発展を見せたのが、BingAI だ。初期の Google に戻った、というよりは、初期の Google と同じような感じになって、しかも大幅にレベルアップしている。自動車で言うと、いったん没落した GTR が、大幅にレベルアップして復活した、というような感じだ。
ちょっと感動を与えてくれるね。たいしたものだ。
※ ときどき間違った情報を出すのは、まあ、ご愛敬としておこう。今はまだミスが多いようだが、そのうち少しずつ改善されていくだろう、と期待しておこう。

【 関連項目 】
→ GPT と Edge( Bing ) : Open ブログ
→ BingAI は間違いだらけ: Open ブログ
※ 【 追記 】 あり。
しかし、私は今まで、そういう医者には一人も出会ったことがありません。それとも、前の患者が診察室を出ていってから次の患者が呼ばれるまでに、不自然に時間が空くことがありますが、ひょっとしてその間にそれをしているのかしらん。
また、本論には関係ありませんが、もし私が医者でクリニックを経営していたら、待合室に端末を何台か置いて、希望する患者には、院内に限っては自由に、過去の自分の診療録(カルテ)を閲覧できるようにします。患者が自分の診察や会計の待ち時間に見てもいいし、それ以外の空き時間にクリニックに来てもらっても見せる。
これをやるとしたら、やるほうにかなりの勇気と覚悟が必要(患者から診療内容についてクレームが出るリスク以外に、同業者や医師会から叩かれそう)ですが、現行法で禁止はされていないと思いますので、患者側には相当のメリットがあると思います。
それでは必要な情報が見つからない、というのが従来の現状です。たとえば、ググると下記。
https://x.gd/osYXi
ここでは、いくらページを探しても、必要な情報は見つかりません。
しかし BingAI で質問すれば、一発で見つかります。そこがポイントです。
医者だってバカじゃないんだから、ググるぐらいのことはできます。ただしググっても、初歩的な知識しか見つかりません。教科書に掲載されていないような情報は、ネットの端っこの方にちょっと掲載されているだけです。そこにたどり着くには、Google では無理だが、BingAI なら可能だ。
それが本項の趣旨です。医者を批判しているのではなく、BingAI の優秀さを紹介している。
>それでは必要な情報が見つからない、というのが従来の現状です。(中略)
>しかし BingAI で質問すれば、一発で見つかります。(中略)
>Google では無理だが、BingAI なら可能だ。
とありますが、私は、本稿の趣旨であるBingAIの優秀さ≠否定しているのではありません。例えば、本論で述べられた「クッシング症候群と頬の赤みとの関連」についても、医者が、目の前の患者の「頬の赤み」に気がつかなければどうにもなりませんが、「それに気がつかない医者が本当に多い。または気が付いても突っ込んで対応しない」というのが私の実体験からいいたいことです。
もう少し露骨にいうと、私の見解は、
> 医者だってバカじゃないんだから、ググるぐらいのことはできます。
とありますが、「かなりの医者がググるくらいのこともできない、しない」というのが実態で、そのままでは、「いくら BingAI のような有用なツールが出てきても、臨床は変わらないですよ。誤診は減りませんよ」ということです。
つまり、大先生みたいな名医なら、相談を受けて、回答しています。
現状では Google は役立たないので検索に使わないだけです。BingAI が役立つという知識が医学界で共有されれば、医者も BingAI を使うようになるだろう、と見込めます。
ゴミツールを使わないからといって、有益なツールも使わない、ということにはならない。
なお、診断ソフトが発達すれば、「頬の赤みはありますか?」という質問が出るようになるでしょう。気づかなければ、気づかせてあげる。そういうふうに発達していくでしょう。