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言語AIとしての GPT が話題になっているが、Deep Learning の技術は、言語AIに使われるだけではない。他にも使える。すでにあるものでは、囲碁や絵画作成に Deep Learning の技術が使われている。
そこでさらに、自動運転の分野も考えられる。自動運転に Deep Learning の技術を導入すると、これまでの自動運転技術とはまったく別レベルの高精度なものができるはずだ。
ちなみに、現在では Google 傘下の Waymo が圧倒的な走行距離でテストを実施済みだ。しかし、そこで得られたデータをすべて無効化するほどの高度データが、Deep Learning 技術によって簡単に得られるだろう。
なぜか? 従来の自動運転技術は、その制御システムをすべて人間が人力で書く必要があった。プログラムを人間が書いて、そのプログラムにしたがって自動車は走行しているわけだ。
Deep Learning 技術の自動運転では違う。人間はプログラムを書かない。自動車がどこをどう制御するかは、すべて人工知能にお任せする。実際の走行時に人工知能がどんな制御をしているかは、人間にも理解できない。とにかく結果的に、人工知能は最も安全で最も確実な方式で自動車を運転するのだ。(その過程は人間にはわからないままで。)
また、実車による長距離の走行は必要ない。実車を走らせるかわりに、仮想世界における仮想道路を走るだけでいい。そこには仮想人間などが歩いているし、仮想自動車がたくさん走っている。そういう仮想世界のなかで、ものすごく多くの仮想経験をさせる。そうすれば、実際に1万キロメートルを走らなくても、仮想世界のなかで1万キロメートルを走ることができるので、同様のデータを得ることが可能となる。しかも、そのためにかかる費用も時間も大幅に縮小できるので、現実には不可能なほどの大量の走行データを一挙に得ることが可能だ。
たとえば、Waymo はすでに数十万(キロメートル)の実車走行データを得ているようだが、Deep Learning 技術を使えば、仮想世界のなかで、百万、千万、1億、10億(キロメートル)というような、圧倒的な走行データを得ることが可能だ。そして、そのためには、多大な時間は必要としない。マシンの数と高速さがあれば、それは可能なのだ。
[ ※ 実走行よりも百倍高速なスパコンを使ってもいい。あるいは、(パソコンよりも上の)ワークステーションを百台ぐらい並列につないでもいい。こうすることで、実際に百万(キロメートル)を走行することの代替措置とすることができる。]
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ともあれ、Deep Learning の技術を適用することで、従来の自動運転技術は一挙に陳腐化するだろう。Google 傘下の Waymo が長年にわたって蓄積したデータは、すぐに無駄なデータと化してしまうだろう。
Deep Learning 技術の発達は、それほどにも大きな影響をもたらすのだ。特に絵画作成や言語処理だけに影響するわけではない。もっと広範な影響をもたらすのだ。
特に、トヨタや日産やホンダには影響が甚大だ。ここで、「 EV に乗り遅れた」ことの二の舞で、「 Deep Learning による自動運転技術に乗り遅れる」ようだと、自動車会社としては致命的となる。特に、EV の技術開発で出遅れたトヨタは、Deep Learning による自動運転技術でも出遅れたりしたら、もはや会社は消滅するしかないかもしれない。
これは決して杞憂ではない。すでに富士通や NEC は惨憺たるありさまだし、東芝やパナソニックも惨状を呈している。日立やソニーはかろうじて生きながらえているが、それというのも、本来の事業分野よりも、他の分野で生き延びているからだ。そして、本来の分野では、台湾や韓国の企業の後塵を拝しているのである。
自動車産業がその二の舞にならないと、誰が言えるだろう? 特にトヨタが心配だ。
[ オマケ ]
※ 実は、トヨタは自動運転の自社開発を事実上、諦めたも同然で、他社に出資することで、他社に任せている感じだ。金を出しているので、所有権だけは得られるが、根本的な開発力をなくしている感じだ。……こんなことだと、旧式の技術開発をする会社に金を搾り取られるだけであって、Deep Learning 方式への転換に乗り遅れました、というふうになりかねない。トヨタが没落する日は、案外、早いのかもね。
※ そう言えば、トヨタが出遅れた点は、他にもある。ギガプレスだ。前に述べ通り。
→ ボルボのギガプレス: Open ブログ
現在自動車に搭載されているコンピューターは外部からのノイズに弱くて、例えば機械式駐車場に置かれている無人の車のドアが誤作動で急に開いたりしています。自動運転の誤作動は本当に怖いです。