2023年03月12日

◆ 東海村原発の再稼働は?

 東海村原発の再稼働はどうか? 再稼働を認めてもいいか? 

 ──

 政府は東海村の東海第二原発の再稼働をする方針を示している。これについては反対論もある。どう評価するべきか?
 設備としては 1978年の建設で、すでに 45年を経過している。美浜原発よりはいくらかマシだが、かなり古い原発である。それでもまだ十分に稼働可能なので、あっさり廃炉にするのはもったいないという見解もある。
 ただ、次の評価もある。
 政府が再稼働を目指す茨城県東海村の日本原子力発電東海第二原発。避難計画の策定が義務づけられる半径30キロ圏内には、全国の原発で最多の94万人が暮らす。
( → (東日本大震災12年 3・11の現在地)関連死2027人、心身削られ 開示文書分析:朝日新聞

 30キロメートル圏内には茨城県の大半が含まれ、日本の原発周辺としては最多の約96万人が暮らす。
( → 東海第二発電所 - Wikipedia

 こんなに人がいるのは厳しい。
 地図で原発からの距離を調べると、ひたちなか市は 6km 。日立市は 17km 。30km どころではない。目と鼻の先にあると言ってもいいくらいだ。近くにこんなに人口が密集しているのだから、こんなところで原発を稼働させるのは正気の沙汰ではない。





 実は、こんな危険なところ(人口密集地のそば)でなく、人のいない無人地帯に建設することも可能だった。たとえば、ここの南側にある、霞ヶ浦の東側の海岸だ。鹿島市と大洗町の中間の位置だ。





 このあたりならば、東側は海だし、西側は湖(北浦)なので、陸地も少ないし、人口も少ない。このあたり一帯の田畑を買収することで、広大な無人地帯にすることも可能だっただろう。そうすれば「近くに人口密集地のない原発」というものができたはずだ。
 なのに、自民党政府はそうしなかった。むしろ、あえて広い平野部に原発を作った。あえて人口の多い地域に原発を作った。政府の原発立地はたいていがそうだ。人口の少ないところでなく人口の多いところに原発を作る。「原発は安全だから、人家の多いところに作っても大丈夫」という発想だ。だが、こんなのは、狂気の沙汰だ。

 ──

 原発は本来、人口の少ないところに作るべきなのだ。……この件は、本サイトで前に指摘済みだ。
 とにかく、日本には、ほぼ無人の海岸線が非常にたくさんある。だから、そういうところに、原発を作ればいい。……それが私の考えだ。

 ただし、現実には、そうなっていない。電力会社はあえて人里に近いところに原発を作っている。「原発は安全です」と嘘をついて、近隣住民を危険にさらしている。……こういう馬鹿げたことには、私は反対する。どうせ原発を作るなら、まともな方法でやればいいのだ。

 現状はどうか? 原発の立地は、次の政策でなされる。
  ・ 電力会社は、建設コスト削減のために、人里のそばに建設する。
  ・ 国は、近隣住民を説得するために、税金で公共事業をする。
  ・ 政治家は、公共事業の際に、政治献金(賄賂?)をもらう。


 私としては、その逆を提案する。
  ・ 電力会社は、建設コストがかかっても、人家のない地に建設する。


 現状では、人里のそばに原発が立地されている。これはもう滅茶苦茶だ。反対論が出るのは、当然だろう。
( → 原発の立地: Open ブログ

 これを記したのは 2009年だった。政府がこのような方針を取っていれば、原発事故が起こっても、あれほどの大被害は生じなかったはずだ。(現実には避難民の震災関連死で、大量の死者が出た。老人の健康悪化などで。)

 ──

 ともあれ、東海第二原発は、立地が良くない。人口密集地のそばに原発がある。こういう事情であれば、再稼働は認めないのが妥当だろう。そのことは、東京に大被害をもたらしかねない浜岡原発の再稼働を認めないのと、同様である。もし浜岡原発で原発被害が起こったら、そのときは日本全体が壊滅してしまうからだ。中部電力が多少の利益を稼ぐのを目的として、日本人全体の運命を賭けるほどの博打はやるべきではあるまい。
  ・ 賭に勝てば、多少の金をもらえる。
  ・ 賭に負ければ、すべてを失う。

 こんなに分の悪い賭けをやるのは、狂気の沙汰だ。
 浜岡原発を再稼働するというのは、そういうことだ。そして、それに準じるほどの分の悪い賭けをするのが、東海第二原発の再稼働だ。まともな頭があれば、そんなことはするべきではないとわかるだろう。

 私は別に、「あらゆる原発の再稼働をするな」とは言わない。しかし、人口密集地のそばでの再稼働は、あまりにも馬鹿げている。そのことを理解できないという点で、岸田首相は安倍首相と同様だと言えるだろう。



 【 関連項目 】
 安倍首相は震災以前には、「対策しているから大丈夫。事故は起こりません」の一点張りだった。「事故が起こったらどうなるか」という視点はなかった。危機管理の意識などは皆無だった。この点は、下記項目で説明済みだ。
 → 安倍首相が原発の事故対策を拒否: Open ブログ



 【 関連サイト 】
 Wikipedia から。
 2006年に国の耐震指針が改定され、2007年7月の新潟県中越沖地震(柏崎刈羽原発が被災した)直後に茨城県が2007年10月に出した「津波浸水想定」に基づき、東海第二発電所では対策を実施。冷却用海水ポンプを守るため、従来あった3.3mの防護壁に加えて、側面にも2.8mの壁を設けた。津波は5mと福島第一原発の半分以下だったこともあるが、ポンプや電源は一部浸水したものの、冷却を継続できた。津波対策を講じなかった福島第一原発とは明暗を分けた。なお、こうした6.1mの津波に耐えられる防水工事の完了は震災の2日前であったことが、2012年2月13日、国の視察に合わせて報道陣に公開されて明らかとなった。
( → 東海第二発電所 - Wikipedia

 震災の2日前に工事が完了したおかげで、東海第二は助かった。間一髪で助かったことになる。奇跡的な幸運だね。



 【 関連動画 】




posted by 管理人 at 23:58 | Comment(1) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
東海第2がそんなことだったとは知りませんでした。すごい幸運です。冷却用のポンプやディーゼル発電機を20mくらいの高所に設置しておくくらい、そんなに費用は掛からないように思うのですが、どうしてケチったのでしょうか。
 原発を人里から遠くに設置することにもそれほど追加費用は掛からないように思います。現に多くの原発がそのようなところに設置されています。東海だけは特別事情があったのでしょうか。確か東海は原発の前に研究所があったのではなかったでしょうか。
Posted by よく見ています」 at 2023年03月13日 14:24
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