※ 本文の最後に 【 訂正 】 を追加しました。
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前項 のレポートには、次の記述がある。
驚くべき調査結果の 1 つは、連合軍の航空機の 90% が中国のミサイル攻撃によって地上で破壊され、現在の連合軍の戦闘機の射程は厳しい制限であったということでした。
原文と DeepL 翻訳は下記。
(原文)
One of the surprising findings was that 90% of allied aircraft was destroyed on the ground by Chinese missile attacks and that the current range of allied warplanes was a severe limitation.
( DeepL )
その中で驚いたのは、中国のミサイル攻撃で連合軍の航空機の9割が地上で破壊され、現在の連合軍戦闘機の航続距離が厳しく制限されているということだった。
current という語がうまく訳されていないが、これは「運用中の・使用中の」と訳すといい。また、current という形容詞がかかる語は、連合軍でもなく、戦闘機でもなく、range (範囲)である。具体的には「行動範囲」のことだと言える。
以上は後半の解説だが、大事なのは次のことだ。
「(日米)連合軍の航空機の 90% が中国のミサイル攻撃によって地上で破壊され」
つまり、自衛隊と米軍の戦闘機は、90% が中国のミサイル攻撃によって地上で破壊されてしまうのだ。F-35 の空中性能がどれほど優れていようと、空中に飛び立つ前に、地上において破壊されてしまうのだ。何という衝撃!
※ マンガの「空母いぶき」では、自衛隊の F-35 と中国軍の J-20 が交戦する場面が描かれるが、実際には、そうなる前に、 F-35 の 90% は地上において破壊されてしまうのだ。( 空母に係留中の分を含む。)
※ 上記はシミュレーションなので、現実にそうなるという保証はないが、そうなる可能性は非常に高いと言えるだろう。
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90%の破壊! これではいくら F-35 を大量配備していても、何の意味もないことになる。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。……と言いたいところだが、実は、今になって出すまでもない。この問題は、とっくに本サイトで解決策が与えられている。こうだ。
「本体のかわりに、オトリ(デコイ)としての模型飛行機を大量に並置しておく」
実は、このアイデア自体は、本項で書くのが初めてだ。だが、戦闘機でなく地上発射ミサイルについてなら、同様のアイデアを記したことがある。引用しよう。
ミサイルのうちの9割ぐらいは、ハリボテでもいい。つまり、ダミーだ。中身は空っぽでいい。それなら、コストは大幅に低くなる。
ざっと言えば、北朝鮮のミサイルが 1000発なら、日本にも敵基地攻撃用のミサイルを 1000発用意しておいて、そのうち 800発ぐらいは、ダミー(ハリボテ)でもいい。
( → イージスの洋上案: Open ブログ )
これは、日本の地上発射ミサイルのダミーを大量に並置する、という案だ。
これと同様に、日本の戦闘機のダミーを大量に並置する、とすればいい。これによって「90% が破壊される」という問題を回避される。
※ 戦闘機数の 10倍(9倍)のダミーを用意しておけば、敵のミサイルの命中率は 10分の1(1割)に下がる。現状で 90%を破壊できるとしたら、その 90% のうちの1割(9%)だけが本物であり、残りの9割(81%)はダミーであるわけだ。結果的に、敵ミサイルに破壊される量は、激減する。
※ ダミー ≒ デコイ = オトリ ≒ 模型
現状では、政府は「 F-35 、イージスシステム、巡航ミサイル などを配備する」という方針をとっている。だが、そんなことをしても、中国から大量のミサイルが発射されたら、そのすべては無効になるのだ。特に、航空機は 90% が破壊されてしまうのだ。
大事なのが何か、政府はきちんと理解するべきだ。「大事なのは、敵の先制攻撃を受けて、生き残る能力だ」と。さもないと、戦闘機が飛び立つ前に、戦闘機は残骸の山となる。ありもしない戦闘機で反撃しようとしても、そんなことは不可能なのだ。
《 加筆 》
書き終えたあとで気づいたが、前項の文中にも、次の語句がある。
同盟国と台湾は、戦闘機の生存性のために、より多くのおとりを必要とするでしょう。
私と同じ結論を言っているね。
[ 付記 ]
単にダミーを大量に並置するだけでなく、次の策も併用するといい。
(1) ダミーミサイルのかわりに、格納庫を大量に建設して、どの格納庫に戦闘機があるか、わからないようにする。(ミサイルの攻撃対象が分散される。ダミーと同様の効果が生じる。なお、格納庫の建設費は5億円。戦闘機の購入費は 200億円。運用費込みで。)
(2) 格納庫を大量に建設した場合には、格納庫の裏側にバックヤードとしての廊下を設置するといい。そこを整備機械が移動するようにすれば、格納庫に整備機械を個別配置しないで済む。(病院の診察室の裏で、バックヤードの廊下がつながっているのと同様だ。 → 裏動線 )
(3) 本格的な頑丈な格納庫を設置してもいい。次の構造で。「コンクリートのビルで、10階建て以上とする。1〜4階は吹き抜けにして、そこを格納庫とする。5〜10階は、事務室または倉庫とする。敵ミサイルが格納庫を破壊しようとしたときには、5〜10階が防御層となって、破壊される役を引き受ける。その下にある格納庫や戦闘機を保護するための犠牲となる」……これはこれで頑丈な対策が取れるのだが、コストがべらぼうに高くなるのが難点だ。
(4) 現状では、大型格納庫にまとめて多数機を収容しているようだ。だが、これはまずい。一発のミサイルでまとめて大量に破壊されてしまう危険がある。むしろ、格納庫は小型にして分散するべきで、それぞれの小型格納庫はたがいに距離を離して、頑丈な防爆壁で保護されるべきだ。使い勝手は悪くなるが、ミサイル攻撃を受けたときの生存率向上が何よりも優先される。いくら便利な格納庫があっても、いざとなったら一挙に爆破されてしまうのでは意味がない。(分散配置ならばそれを免れる。)
(5) 格納庫を設置するかわりに、「戦闘機に迷彩色を塗装する」というアイデアもある。これはこれで有効だと言えそうだ。ただし、それが可能ならば、という前提が付く。現実には、ステルス機は特殊な磁性塗装をするので、迷彩色はかなり難しい。せいぜい真っ黒に塗装するぐらいかな。ただし、カモフラージュ用に、「停止中(駐機中)には迷彩色のカバーをかぶせる」というのはありだ。迷彩のデザインは下記を参照。
→ 各国の戦闘機、敵を欺く迷彩塗装
→ 航空機・軍用機の迷彩塗装 : カラパイア
※ なお、迷彩のカバーをかぶせたあとには、地面(駐機場)にも、迷彩と同じ模様を描くべきだ。そうすれば、何が何だかわからなくなって、飛行機本体がどこにあるのか見えなくなる。こんな感じで。
→ 溶け込みすぎてサバゲー無敵?!見えなさすぎる迷彩服
→ どこにいるの? 迷彩服を探せ!
【 関連サイト 】
政府は、「反撃能力として巡航ミサイルを大量購入する」という方針を決めた。
→ 「トマホーク」一括購入契約へ 23年度に政府(共同通信)
→ トマホーク来年度に一括契約 早期態勢整備目指す - 産経
だが、トマホークというのは、1983 に開発された兵器で、すでに 40年もたっている旧式兵器だ。特に、ステルス性がないのが致命的な難点だ。どうせなら、ステルスミサイルにするべきなのに、それができていない。そのせいで撃墜される率がとても高くなっている。
中国でなく北朝鮮向けならば、(戦闘機がほとんどない)北朝鮮の空軍に巡航ミサイルが撃墜される可能性は低い。しかし、それだったら、そもそも巡航ミサイルは必要なく、安価な弾道ミサイルでいいはずだ。
ただし、安価な弾道ミサイルを配備すると、「安価な弾道ミサイルで済むのだから、超高価なイージスシステムは不要だろ。イージスシステムの配備をやめろ。安価な弾道ミサイルで済むのだから」と言われてしまう。この件は、前に述べたとおり。
敵基地攻撃能力があると、敵にとっては、日本のミサイルが最大限の攻撃目標となる。ゆえに、敵ミサイルがそこにどんどん引き寄せられてくるのだ。ちょうど、夜の蛾を引き寄せる誘蛾灯のように。
( → 敵基地攻撃能力とミサイル防衛: Open ブログ )
この件は、下記記事でも詳しく解説した。
こういう目的のために配備するのであるから、高価なトマホークを配備する必要はないのだ。安価な弾道ミサイルを配備するだけで十分なのだ。どうせ同じ金額をかけるにしても、安価な弾道ミサイルにすれば、数量は何倍にも増やすことができる。そのことの方が重要だ。
( → トマホーク配備は無駄: Open ブログ )
40年も前の旧式のトマホークを配備することばかりに熱中して、安価な弾道ミサイルを配備しない。その一方で、ダミーの戦闘機を配備することもない。……かくて日本の戦闘機は 90% が破壊される、という状況が放置されている。
防衛費を倍増させることの結果は、このざまだ。ただの無駄・浪費だ。
【 追記 】
このレポートからも判明することがある。こうだ。
「イージスシステムは、何の役にも立たない。イージスミサイルの数を圧倒的に上回る飽和攻撃を受けたら、すぐにミサイルが弾切れになるので、何の役にも立たなくなる」
その結果が、「戦闘機の 90% が破壊される」ということだ。そして、そうなったあとでは、敵軍は、原発でも都市でも何でも、いくらでも狙い放題だ。
結局、兆円単位の金をかけて配備してきた(これからも配備しようとする)イージスシステムは、結果的にはただの無駄遣いになる、と判明するわけだ。
どうせなら、ただのダミーでも配備する方が、圧倒的に低コストで、圧倒的に有効なのだが。(ダミーを攻撃するために敵ミサイルが大量に押しよせてくるから、ダミーはイージスシステムと同等の効果をもたらすことができる。しかも、格安で。)(イージスミサイルが敵ミサイルを狙うかわりに、敵ミサイルがダミーを狙う形で、双方が相打ちになる。)
※ ただし、その真実がバレると、イージスシステムを配備できなくなるから、金で浪費したがる自民党政権としては、不都合なんだろうね。防衛費倍増で、金を浪費することこそ、自民党の目的なんだから。(袖の下狙い)
【 訂正 】
本項の翌々日に、趣旨が妥当でないという指摘がコメント欄に寄せられた。本項は英文の「要旨」を元にして書いたのだが、その大本となる「本文」記事に当たると、「要旨」の記述は妥当でないそうだ。
Ninety percent of aircraft losses occurred on the ground.
とあります。
「飛行機の喪失の90%は地上で起きる。」
ということであって
「連合軍の飛行機の90%が地上で喪失される。」ではないと思います。
なるほど。これはごもっとも。
「私が誤訳したのかな」と一瞬思ったが、そうではなく、英文の要旨そのものが狂っている。要旨を記した人( PETER ONG )がおかしいようだ。私のせいじゃないです。だけど、それを鵜呑みにしたのは、私のせいです。すみません。(だけど、そんなことは通常、疑わないよね。他に指摘する人はいなかったのだろうか? 恥ずかしすぎるミスだろ。)
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で、私の結論はどうなるか?
「 90% が破壊されて壊滅するから、大変だあ」
という点は、トーンを下げる必要がある。
「 30% が破壊されて、そのうち 90%は地上で破壊されそうだが、残りの分( 70% )は生き残りそうだから、まだ大丈夫」
となりそうだ。ただしその生存率がどうなるは、ダミーをいかに配置するかに依存する。その意味で、
「対処策はダミーを大量に配備することだ」
という本項の結論部は、揺るがないことになる。
「イージスシステムは、何の役にも立たない」という話。
デコイは誰でも考えつくことですが、地上のデコイが本物と同じだけのレーダー反射をするためにはやはり相当お金がかかると思います。旧型の戦闘機を廃棄しないで並べておけばよいのでは?でも台湾と福建省は近くて内部通報者がいくらでもいるような感じです。
そんなことを議論していたら、中国はすぐにも侵攻してきますよ。次に尖閣、さらに沖縄、次いで九州も。あなたのように考えるなら、日本全国を無償で引き渡す用意をしましょう。
ウクライナ戦争でも、ロシアへの無血降伏論を唱える人がいましたね。橋下徹とか。
だが、降伏したら、そのあとは、ウイグル民族のように、収容所へ送られて、一斉虐殺される。中国人は、優しい米国人じゃない。「降伏した方がマシ」とは言えない。民族浄化されそうだ。ユダヤ人みたいに。
> レーダー反射をするためにはやはり相当お金がかかると思います。
レーダーの解像度(分解能)は低いので、レーダーは使われず、可視光または赤外線が使われます。そのためにはプラスチックで十分です。
ただし耐久性の難点があるので、アルミ箔で被覆するといいし、そうなると、金属による電波反射も得られます。トタンを使ってもいい。
費用は総額で1機あたり1千万円もかからないでしょう。引き受けてくれる中小企業はいくらでもあるでしょう。自動車修理の板金工場など。
※ 構造体としての頑丈度は必要なく、ハリボテを作る能力さえあればいい。
これが公表されていない理由でしょうね。たぶん米国はやっていると思います。いま台湾が中国に統合されて一番困るのが半導体製造だと思いますが、すでに米国は台湾の製造会社に米国工場を作らせています。すこしずつ台湾引き渡しの準備をしているとみるべきでしょう。米国はベトナムの失敗の再現はしないでしょう。米国の尻馬に乗って日本が参戦した挙句、米国が手を引くとそれこそ日本の大ピンチです。たぶん韓国は参戦しないと思います。この辺りのシミュレーションが必要です。
それは絶対にありえないです。日本を中国に引き渡したら、「中国 + 日本」が世界を支配して、米国はそれに負けてしまいます。そんなことを許すわけがない。
米国が日本を守るのは、同情じゃない。自分を守るためには日本が絶対に必要だからです。それを理解して以内の愚か者がトランプだ。
> この辺りのシミュレーションが必要です。
シミュレーションしたら、「中国による世界支配」という結果しか出ません。
↓は要旨原文の2つめの"here"(大元の報告書)です。
https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/230109_Cancian_FirstBattle_NextWar.pdf?WdEUwJYWIySMPIr3ivhFolxC_gZQuSOQ
↑の4ページ下から4行目をみると
Ninety percent of aircraft losses occurred on the ground.
とあります。
「飛行機の喪失の90%は地上で起きる。」
ということであって
「連合軍の飛行機の90%が地上で喪失される。」ではないと思います。
CSISは「飛行機の地上での耐久性の向上」と「ハイ(ステルス性の高い高価な航空機)ロー(ステルス性の低い安価な飛行機)ミックスで飛行機の数を増やすこと」を勧告しています。
前者の勧告については管理人さんのアイデアも有効な一手になるでしょう。
本文の最後に 【 訂正 】 を追加しました。