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( ※ 本項の実際の掲載日は 2023-02-26 です。)
別項 では、プチプチと発泡スチロールの体験記を記した。本項では、(前項で述べた)プラダンの体験記を記そう。さらに、カーテンや内窓と比較する。
プラダン
プラダンを購入して、窓をふさいだ。
結論から言うと、あまり大きな効果はなかった。これだったら、発泡スチロールの方がずっといい。あるいは、プチプチ(と突っ張り棒)でもいい。プラダンは、あまり断熱効果がない。ただし、見映えだけはいい。
詳しい体験記は、以下。
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まず、プラダン(4mm )を購入した。前項で示したもの。698円。
→ 寒さ対策 .8(折衷案)
これだけでは断熱性が不足すると思ったので、プチプチを1層だけ重ねた。プチプチを両面テープで貼りつけた。
作業は簡単だった。窓のサイズをなるべく精密に計測して、それよりも1mm だけ大きなサイズで精密にプラダンを加工する。そこに、プチプチを両面テープで貼りつけた。
プラダンはカッターナイフで容易に切り取れるので、大きな定規を使えば、加工は簡単だった。プラダンに 20分、プチプチに 20分、というぐらいの時間。
プチプチは、端の部分が変形しやすい。だから 1mm ぐらいの変形は可能だ。窓枠にはめ込むと、わずかに変形して、ピッタリと嵌め込まれる。実にあっけなく工事は完了した。
「こりゃ、簡単でいいわ。見映えもいいし。いい感じ」
と大満足であった。

その後、断熱性を調べたら。……
「こりゃ、駄目だ」
と評価は一転した。断熱効果がろくにない。朝になってプラダンに触ると、プラダンがすっかり冷たくなっている。もともとのガラス窓に比べれば、いくらかマシだが、それでもかなり冷たくなっている。ということは、プラダンに触れる室内の空気も冷たくなるわけだ。これじゃ、断熱効果はろくにない。
実感としては、朝になったときの室温上昇効果は1度ぐらい。「断熱効果は 30%」というところかな。効果が皆無というわけではないが、期待を大きく下回った。発泡スチロールの断熱効果がほぼ 100% であるのに比べると、雲泥の差だ。まったく不満足だと言える。
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そこで、修正案。
2mm のプラダン(173円)を、新たに2枚購入した。これとプチプチを交互に貼り合わせた。もともとのプラダンと合わせて、プラダンが3層、プチプチが2層だ。下図のように。
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こんな感じで、プラダン3層、プチプチ2層で、計5層になるウエハース状のものを作った。
計5層だと、個々の作業自体は簡単だが、回数が多いので、時間はかなり食ってしまった。計1時間半ぐらいになるかな。あれこれ調整で手間がかかった発泡スチロールやプチプチの場合と比べて、同じぐらいの時間になってしまった。「手間と時間がかからない」というプラダンの利点は消えてしまった。
さて。それで、肝心の断熱効果はどうか? 前よりはマシではあるが、満足からは程遠い。断熱効果は、プチプチ4層に大幅に負ける。プチプチの2層プラスアルファぐらいの効果しかない感じだ。実際にプチプチが2層使われていることを考えると、プラダンの効果はそのプラスアルファぐらいにしかならない。つまり、プラダンを3層も使っても、プチプチの1層になるかならないかぐらいの効果しかないのだ。
これではまったくの期待はずれだ。コストは発泡スチロール以上で、手間は発泡スチロールやプチプチ並み。なのに効果は大幅に劣る。朝になったときの室温上昇効果は2度ぐらい。断熱効果は 50〜60%ぐらいという感じ。
強いて言えば、通気性は遮断したので、そのくらいの効果はある。しかし、このままでは、まったく効果が足りない。朝になって、手で触って、プラダンがやや冷たい状態であるのを家訓するたびに、腹が立つ。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。下記の方法をとることにした。
厚手のカーテン
プラダンは、効果がないわけではなく、半分ぐらいの効果はある。ならば、残りの半分を足せばいいだろう。
そう思ったので、その半分を補うために、厚手のカーテン生地を購入した。例のヨーカドーの特売カーテンだ。
冬用のカーテンを見切り処分しているようだ。
厚手の生地で、幅 × 高さ = 100cm × 135cm の2枚組。遮光&遮熱。
「6割引」という大バーゲンを見つけたので、買う予定はなかったのに、買ってしまった。
どうしてカーテンを買おうと思ったかというと、窓の断熱のためには厚手のカーテンがかなり有効だ、と感じたからだ。プラダンを付けた窓は、プラダンと断熱雨戸だけでは、ちょっと不十分な断熱効果となった。ここには厚手のカーテン生地で断熱したい、と思ったのだ。
( → カーテンの安売り: Open ブログ )
このときは、厚手のカーテンを購入したのだが、その効果はかなりあると感じた。そこで、新たにもうひとつ購入して、プラダンを設置した窓にも厚手のカーテン生地をつけることにした。(それまではレースのカーテンだったので、それを外して、付け替えた。)
この際、厚手のカーテンを垂れ下がるようにしないで、カーテンの裾を閉じるようにした。つまり、裾を J または し の字 のように丸く折って、窓枠の上にかぶせた。こうして、窓の部分のプラダンに触れた冷気が、下方に逃げていくのを防いだ。(通気性をなくしたわけだ。)
これで、冷気がカーテンの袋の中に閉じ込められることになった。カーテンによる空気断熱である。空気袋のようなものだ。このことで、かなり大きな断熱効果を得ることができるようになった。
かくて、「プラダン + プチプチ + 厚手のカーテン」という合わせ技で、一応、満足の行く結果となった。室温の低下は、かなり防げるようになった。少なくとも、窓による熱の逃げは かなり防げるようになった。(発泡スチロールに比べれば劣るが。また、壁全体や天井や床からの分までは防げないが。)
なお、「厚手のカーテンで効果があるなら、プラダンとプチプチは必要ないのでは?」という疑問もあるかもしれない。だが、プラダンには「通気性を遮断する、内窓効果がある」という点を見逃してはならない。
もともとはアルミサッシがあったが、アルミサッシはかなり通気性が高い。きっちりと窓を閉めていても、サッシに小さな隙間がある(もともと小さな穴がある)ので、空気が漏れてしまうのだ。……これは、数人の人間がいても酸素不足にならないように、との配慮から、通気性が確保されているのだ。だが、その分、断熱効果は薄らいでしまう。
複数の人がいるときには、それもやむを得ない。だが、人が1人しかいないような部屋では、それほどの通気性は必要ない。だから、その場合には、プラダンで通気性を遮断した方が、断熱効果が得られるのだ。(酸素不足の心配もしなくていいだろう。個別には、それぞれの部屋の構造によるが。)
というわけで、1人だけの部屋なら、通気性を遮断するために、プラダンによる密閉は有効だ。「厚手のカーテンだけ」よりは、プラダンを使う方がいい。
ただし、発泡スチロールを使う方が、断熱性の点でははるかに優れている。(加工はやや面倒だが。)
別の部屋では、プラダンなしで厚手のカーテンだけでも、一応、十分な断熱性を確保できた。ただし、次の事情がある。
・ 断熱雨戸を使っている。
・ 断熱雨戸の四辺を、発泡スチロールで密閉した。(通気性を遮断した。)
・ 断熱雨戸と窓ガラスの間に、プチプチの端切れを詰め込んだ。(断熱材の代用。)
・ 床はフローリングでなく、じゅうたんである。保温効果。
・ もともと窓の面積は小さめだった。
以上の事情があるので、厚手のカーテンだけでも足りたが、一般的には援用できない状況だろう。同じことが他の部屋に当てはまる保証はない。
それでも、「厚手のカーテンには、そこそこ大きな効果がある」とは言える。それだけで十分かどうかは、部屋の状況しだいだ。
内窓
今回の簡易工事では、内窓を設置することはなかった。だが、内窓の効果は、おおよそ推測がつくようになった。
・ 内窓では、ガラスを使う。
・ ガラスの断熱効果は、大きくない。(プラダン並み?)
・ 内窓による通気遮断の効果はいくらかある。
結局、断熱の効果よりも、通気性遮断の効果の方が大きい、と推測できる。断熱の効果そのものは、ガラスというものがかなり熱を伝えてしまうので、あまり大きな効果は見込めないのだ。
なるほど、従来のガラスと内窓との間に、空気の層があるので、そこそこの断熱効果は得られる。だが、その断熱効果は、あくまで限定的だと推測できる。
それでいて、価格は 5〜10万円もかかる。その半額が国費で補助されるとしても、あまり大きな断熱効果は見込めないとわかる。コスパが良くないですね。
ただ一つ、ガラスなので採光性は最高だし、透明ガラスならば眺望も得られる。その点だけは、他のもの(発泡スチロール・プチプチ・プラダン)よりも上だ。南側の窓ならば、内窓を設置する意義があると言えるだろう。
一方、東・西・北側の窓ならば、採光性や眺望を犠牲にしても、断熱効果の高い材質で窓全体をふさいでしまう方がずっと大きな効果を得ることができる。ただし、その場合、冬が過ぎたら、断熱材をはずす必要がある。
なお、夏になったら断熱材をふたたび設置するかどうかは、選択の余地がある。人それぞれだろう。
※ 私の場合は、断熱雨戸だけでも、夏にはかなり十分な効果が得られると感じる。エアコンの効きが悪いと感じることもないし、冬の寒さほどには健康を悪化させる危険も感じない。冬の寒さは寿命に影響するが、夏の暑さはそれほどでもないようだ。(熱中症になるような場合は別だが、私の家はそんなにひどくない。二階建ての一階にいるだけでも、かなり過ごしやすい。)
※ そもそも、エアコンで冷房しても、内外の温度差は5度ぐらいなので、断熱材の必要性は少ない。冬には内外の温度差が大きいので、断熱材の必要性が高い。断熱材が大事なのは、冬なのだ。
[ 付記 ]
アルミサッシは断熱性が悪いので、樹脂サッシにするといい……としばしば言われる。
だが、それが可能なのは、新築のときだけだ。すでにアルミサッシがある家では、樹脂サッシに交換すると、45万円ぐらいの費用がかかる。げっ。
そんなことに金を使うくらいなら、本サイトで述べた断熱方法を使う方がいいだろう。
※ ここまで、シリーズは全9回分、あります。最初から読んでもいいでしょう。