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結論
少子化の対策は何をすればいいか? それについては、これまでに記したことを振り返れば、自然にわかるだろう。
・ 児童手当や保育所拡充は、効果が少ない。
・ 根本原因は、若者の結婚率の低下だ。
・ 企業は労働者を勤勉なロボットのように扱う。だから少子化になる。
・ 企業は労働者を非正規労働で奴隷のように扱う。だから少子化になる。
以上のことから得られる結論は、こうだ。
「企業は労働者を、ロボットや奴隷のように扱うな。自社の利益のために役立つ道具として扱うな」
つまり、企業の本来の目的である「利益の最大化」という方針を否定するわけだ。なぜなら、そこから「労働者の冷遇」という事態が派生して、そのせいで少子化になるからだ。
では、「ロボットや奴隷のように扱うな」とは、どういうことか? それは、こうだ。
「企業は労働者を、人間として扱え。出産や育児をする存在として扱え」
ここまで理解すれば、物事の本質がわかるだろう。
現状では、企業は労働者を、ロボットや奴隷のように扱う。非人間的に扱う。だから、人々はロボットや奴隷のように非人間化していった。つまり、「働くだけの機械」のようになっていった。そのせいで自動的に少子化が進んでいった。
そこで、その方針を逆転させて、企業が労働者を人間として扱うようにすればいいのだ。そうすれば、少子化は自動的に解決する。
企業の改革
では、「企業が労働者を人間として扱う」とは、具体的にはどういうことか?
すぐに思いつくのは、こうだ。
・ 育休の拡充
・ 短時間勤務(長期間勤務の抑制)
・ 社内保育所
・ 結婚手当
・ 育児手当
・ 社内の婚活パーティ
なるほど、これらも役立つだろう。だが、そんな小手先のことぐらいで、ひどい少子化が一挙に解決するとは思えない。もっと劇的に効果のある方策が必要だ。それは、どんなものか?
目標
企業に何かを促すとしたら、促進策となる「手段」をひとつひとつ明示するのではなく、最終的な「目標」を明示するべきだ。
では、目標とは何か? これまでに述べた話を理解すれば、目標は二つある。
・ 最終結果としての出生率上昇
・ その前提としての結婚率上昇
この二つを目標として明示するべきだ。「目標を設定する」と言ってもいい。
※ 国民一般に対して目標を設定するのではなく、社内の労働者(社員)に対して目標を設定する。社外のことはどうでもいい。社内だけが大切だ。社内の労働者だけが、企業が責任をもつ対象だ。
規制/誘導
この二つの目標がある。(上記)
では、この二つの目標を達成するには、どうすればいいか? 通常、目的の達成のための方法は、次の二通りがある。
・ 法的な規制 (違反への罰則付き)
・ 経済的な誘導策 (促進のための利益提供)
一般に、法的な規制は「悪いことをやらせない」ためにある。「これこれのことをしてはいけない」というふうに規制して、違反者には罰が科される。……しかし、これは少子化対策には馴染まない。(子供を産まないことは、殺人や泥棒のような犯罪ではない。)
一方、経済的な誘導策は、少子化対策にうまく馴染む。典型的なのは「児童手当て」だ。これはすぐに思いつく方法だが、残念ながら、「あまり効果がない」とすでに判明している。(前出)
結局、「法的な規制よりは、経済的な誘導策の方がいい」とまではわかるのだが、そのために、「どういう経済的な誘導策を取ればいいか?」というところまでは、はっきりとはわかっていないわけだ。
それでも、次のことは言えるだろう。
「企業の方針(体質)を改革するべきだ。そのためには、経済的な誘導策をとるべきだ。ただし、それは、個人に支給する金(児童手当など)とは違うものだ。むしろ、企業向けのものであり、企業に支給する金だ」
ここでは「企業に支給する金」という新たな発想が出た。これは今までにない発想だ。
※ 具体的には、「目標を達成した企業に対して、法人税の減免」のような形で、金を支給すればいいだろう。たとえば、「社員の出生率が国民平均以上であると、その会社の法人税を3%減免する」というふうな。……これは、企業に対する「成果報酬」でもある。
二つの難点
「企業改革のために、企業に金を支給する」……これは新たな発想だ。
とはいえ、このようなプランには、二つの難点がある。下記だ。
(1) 国民の不満
国民が金をもらうというのは賛同されやすいが、企業が金をもらうというのは賛同されにくい。国民としては、自分たちが金をもらうのなら大賛成だろうが、自分たちでなく企業が金をもらうのならば反発するだけだろう。
「おれたちの税金を食い潰して、企業ばかりが利益を得るのか? ただでさえ労働者の取り分が減って、企業の取り分が増えているのに、それに輪をかけて、企業に金を与えるのか? ますます企業優遇・労働者冷遇を促進するのか? そんなのは、とんでもない!」
かくて、国民の同意はとうてい得られそうにない。
(2) 財源
企業に金を出すとしたら、そのための財源が必要だ。そんな財源はどこにもないだろう。もちろん、消費税増税をすれば可能だが、そんなことができるわけがない。国民の大反発が生じる。「企業に金を与えるために、消費税を増税するなんて、とんでもない!」と言われるだろう。
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こうして、(1)(2) のような難点が生じる。だから、「企業改革のために、企業に金を支給する」というのは、とうてい実現できそうにない。
なるほど、「企業のひどい体質を改革するために、経済的な誘導策で体質改善を促す」という手法自体はいい。だとしても、具体的にやろうとすると、とても実現が不可能っぽいのだ。
「少子化の解消」のために、「出生率の上昇」「結婚率の上昇」を、社員にもたらすように企業体質を改革しようとしても、とても実現できそうにないのだ。
困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。以下だ。
アメとムチ
新たにうまい方法を出そう。その方法には、原理がある。「アメとムチ」という原理だ。

上に示した「経済的な誘導策」は、「アメ」だけの方法だった。つまり、単に利益を与えるだけの方法だった。
一方、新たな「経済的な誘導策」は、「アメとムチの双方がある」という方法だ。つまり、単に利益を与えるだけでなく、逆に、罰金を徴収することもある。たとえば、こうだ。
・ 出生率や結婚率の高い企業には、アメを与える。(補助金)
・ 出生率や結婚率の低い企業には、ムチでたたく。(罰金)
すると、どうなるか? こうだ。
・ アメとムチの規模を同程度にすれば、達成の企業に支給する額(アメの総額)と、非達成の企業から徴収する額(ムチの総額)は、ほぼトントンになる。払う金と得る金が、ほぼトントンになる。とすれば、財源の心配はいらない。
・ アメとムチによって金のやりとりが生じるが、それはあくまで企業同士のこことだ。企業と企業の間で、得をする企業もあり、損をする企業もある。だが、そのいずれも企業の損得があるだけだ。労働者には影響が及ばない。ゆえに、労働者が「自分の金をちょろまかされた(奪われた)」とやっかむ必要もなくなる。
こうして、前述の「国民の不満」と「財源」という二つの問題が解消した。「アメとムチ」という原理に従って、補助金(支給する金)と罰金(徴収する金)が釣り合うようにすることで、物事は一挙に解決するのである。
これまでの自民党や野党は、「金がほしい、金がほしい」という乞食根性に従って、「国の金をもらう」ということばかりを考えていた。「金をもらう」こと以外には何も考えていなかった。
だが、「金をもらう」だけでなく、「金を払う」ということもいっしょに考えるべきなのだ。「達成したら金をもらう」ということだけでなく、「非達成ならば金を払う」ということもなすべきなのだ。
誰であれ、金をもらうことばかり考えていては駄目だ。乞食じゃないんだから。……そこまで理解すれば、「経済的な誘導策」というのが、どういうものであるべきか、正しく理解できるだろう。
- ※ 「おれたちを乞食扱いするのか?」と怒る人もいるだろう。だが、それで怒るのは乞食根性をもつ田舎者だけだ。日頃から国の金をもらおうとするさもしい乞食根性をもつから、怒るだけだ。逆に、日頃から「社会のために役立とう」「社会奉仕しよう」と思う人ならば、「自分のことじゃないな」と思うだろうし、何も怒ることはあるまい。そもそも、労働者は損も得もしないのだから、怒ることは何もないのだ。

私が怒るのは 私が
こじきだから です
※ 核心については、すでに示しました。
次項では、補足的に、細かな補充事項を説明します。
今まで社内恋愛禁止なんていう可笑しな規定があったところはそれがなくなり、社内恋愛が推奨されるようになるかもしれません。
「おまえら、書類上だけでもいいから結婚しろ!」
なんていうマリハラが生じたり、社内不倫が奨励されてワンマン経営者による一夫多妻状態(シンママ量産)が作られたり……ついつい穿った見方をしてしまいます。
子供手当を出すというのは、独身中高年に課税するというのと同義なので、彼らが現状よりも不利になるのは仕方ないですね。ただし、既婚の中高年を雇用しても、独身者よりも有利になるわけではありません。彼らはもう子育てを終えているので、別に優遇されません。
得をするのは、育児中の若手だけです。
これは「利己主義」でなく「利子主義」と呼ばれます。サイト内検索して、過去記事から見ればいい。
→ https://x.gd/XaUa0
最初の項目はこれ。
→ http://openblog.seesaa.net/article/435847002.html
企業に出産に応じて罰金と報奨金を出すというアイデアはなるほどと思います。
ただ個人的にはちょっとロジックが弱いかなと。
企業が社員を労働マシンとして搾取する利益と、国が出産に応じて罰則や報奨金を支払うのとを比較して、後者を優先するロジックが見当たりません。
企業に報奨金を支払っても労働者に還元されなければ婚姻数は増えません。
派遣やアルバイトに代用する場合の対処法にもなりません。
要は労働者に結婚する経済的時間的余裕がないというのが本質ですよね。
労働者をもっと保護する必要があるわけです。
それを解決するにはもっと直接的なやり方があります。
以下のように。
1.残業時の時給を2倍にする(休日出勤時は3倍)
2.年功序列の廃止(給与後払いの詐欺的な制度、転職の妨害となる制度)
3.退職金の廃止(給与後払いの詐欺的な制度、転職を妨害する制度)
4.残業時間、離職率、給与、の虚偽表示への厳罰化(上場企業にしか効果はないが)
5.転勤の事実上の強制を違法化する
6.サラリーマンの場合でも経費を認めるようにする
7.転職時の年齢・性別・学歴の差別の違法化
8.多重下請け制度の違法化(中抜きによる低収入を防止)
9.談合・カルテル・天下りの厳罰化(官公庁と大企業の癒着による社会階層の固定化の防止)
10.自己都合退職時の失業保険の即時支払への変更(これによってブラック企業から辞めやすくなる)
11.過労死が起きた場合は企業が億単位の賠償金を支払う
以上のことを実施すれば、労働環境が良くなり収入も上がります。
しかし実現しません。
経団連が反対するし、天下りで癒着している官庁も反対するからです。
経団連が反対するのは利益の最大化という企業の目的から自然です。
問題は官庁にあります。
官庁が国民ではなく企業の味方になっている点がこの問題の根源です。
官庁が国民の側につけばこの問題の解決の土壌ができます。
では官庁を国民の味方にするにはどうすればよいのか。
これについては本ブログの管理人の発想力にゆだねることにします。
私にもアイデアはありますが・・。
論理が逆です。報奨金を払うと婚姻率が上がるのではなく、婚姻率の上がった企業が報奨金をもらえるんです。
比喩的に言えば、金を払うと仕事をしてもらえるのではなく、仕事をしてもらったから金を払うんです。順序を間違えないようにしましょう。
「金を払っても仕事をしてもらえるとは限らないよ」という人には、「そりゃ、当り前だろ」と言うしかないですね。先に金を払う方がアホすぎる。
> もっと直接的なやり方があります。以下のように。
そういう個別のことをいちいち指定する必要はなく、結果だけを見て目標設定すればいい、というのが本項の趣旨です。
> 経団連が反対する
だから、アメとムチの制度を出す。すると、その制度の下では、個別の手段をやればやるほど得するので、反対するどころか喜んで自発的にやるようになる。やればやるほど得するんだから。
どうしても反対したい企業があれば、勝手に反対すればいい。巨額の罰金の支払いを強いられるだけだ。勝手にすれば。
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細かな反論や疑問があるなら、それらについては次項で説明するので、そちらを読んでください。本項は核心を述べただけです。細目は次項で。