2023年01月23日

◆ オミクロン株の空気感染

 コロナは、オミクロン株で感染力が非常に高まった。その理由が判明したようだ。

 ──

 朝日新聞の報道の一部を抜粋しよう。
 オミクロン株に感染した人の唾液(だえき)の中には、従来株の感染者に比べて、遠くへ長時間飛びやすい状態の新型コロナウイルスが多量に含まれていることを、日本大学などの研究チームが突き止めた。
 唾液中のウイルス粒子は、口内からはがれ落ちた細胞(セル)の内部や周辺に付着した状態と、付着していない「セルフリー」の二つの状態に分けられることがわかった。
 チームはこのうち、セルフリー状態のウイルスに着目。唾液1cc中の量で比べると、オミクロン株では約321万個含まれ、デルタ株(117万個)の約3倍、従来株(18万個)の18倍もあった。
 チームによると、口内由来の細胞は大きさが0.01ミリ以上あり、細胞を含む大きな飛沫は距離1〜2メートルで落下する。一方、セルフリーのウイルスは0.005ミリ以下の小さな飛沫に入り、より遠く、長時間漂う。

cell-free2.jpg
日本大学・今井健一教授提供

( → オミクロン患者のつばに飛びやすいウイルス デルタや従来株より多量:朝日新聞

 説明がわかりにくいが、要するに、こういうことだ。
 従来型のコロナ株では、ウイルスが人間の口腔内の細胞片に付着した状態だったので、飛沫となって飛び出たあとも、容易に落下していた。しかしオミクロン株では、ウイルスが人間の口腔内の細胞片に付着していない状態なので、飛沫となって飛び出たあとも、容易に落下しにくい。前者では細胞片の大きな粒子になっていたが、後者では水滴状の小さな粒子になっている。だから、後者では、小さな粒子のまま、遠くまで飛散するし、長時間にわたって滞留する。
 簡単に言えば、従来型の株では「エアロゾル感染」があったのだが、オミクロン株では「空気感染」が起こっていることになる。そのせいで、オミクロン株では感染力が圧倒的に強い。そういう違いがあるわけだ。

 ──

 では、このことは、重症化の強さと関連しているのだろうか? 生理的なレベルでは、何も判明していない。だが、統計的には、何らかの関連があることが窺える。とはいえ、この関連は、次のように間接的だ。

  感染力が大 ── オミクロン株 ── 重症化しにくい
    ||
  セルフリー
  (微粒子)


 セルフリーであることと、重症化しにくいことは、何らかの関係があるかもしれないが、実は、まったく別のことが理由である可能性もある。

 とはいえ、進化論的には、次のことが言えそうだ。
 「感染者が重症化しないで、軽症のまま、あちこちに移動する方が、ウイルスにとっては、自己増殖が多くできるので、進化論的には有利である」
 つまり、軽症であればあるほど、感染者の行動範囲が広がって、感染力が増す。軽症であることが感染力の強さの一助になる。そのことで進化論的に有利になる。
 その意味で、セルフリーであることとが重症化のしにくさと、何らかの関連性を持っていたとしても、不思議ではなさそうだ。

 ※ 生理的な機序が判明したわけではないので、このあたりはあくまで推測の範囲を抜け出せないが。

posted by 管理人 at 23:39| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ