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前項で述べたように、24日以後では、全国的に降雪の可能性がある。そのことは、1日たった本日でも、事情は変わらない。同趣旨の予報が本日にも出ている。

→ 【雪ニュース】降雪・積雪・大雪予想 - ウェザーニュース
このことは、ネットだけでなく、テレビでもしきりに報道されている。大雪の危険があるので前もって対処しましょう、と何度も報道された。
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さて。こういうふうに大雪や厳寒になると、暖房のための電気使用量が増えるので、電力が需給逼迫しやすい。年に数日しかない「電力需給逼迫の日」になりがちなのだ。そのことは現時点で、すでに予測されるわけだ。
ただし、このことは、私は予測しているのだが、政府や電力会社は予測できない。頭が悪いから予測できないのではない。「予測するのは前日にする」という規定によって、判断停止状態になっているからだ。昨年夏の例だと、こうなる。
6月27日の「電力需給逼迫注意報」は、前日の午後4時ごろに出された。
「電力需給逼迫注意報」は、前日の午後4時には出す、と公約していたので、公約通りだと言える。しかし、このニュースが世間にひろく伝わったのは、夕方以後のことだ。テレビを見ていた人なら、夕方のニュースで知った人が多いだろう。
いずれにせよ、これでは通知時刻が遅すぎる。「直前だ」と感じた人が多いはずだ。(私が知ったのは、夕方ではなく、夜遅くになってからだ。
( → 電力不足の事前予想(2022.6): Open ブログ )
6月29日の猛暑による電力逼迫については、当日の朝になって、いきなり「電力不足が危機的です」と公表した。
28日の夜の時点では、電力逼迫警報は出されていなかった。予備率はかなり余裕があったからだ。
ところが 29日の朝になって、いきなり「電力不足が危機的です」と公表した。「でんき予報」のページで公開されている。
( → 緊急・電力逼迫情報: Open ブログ )
「でんき予報」のページで公開されているということは、証拠のスクショ画像つきで示している。
ともあれ、このように、直前になって「電力需給逼迫注意報」という事態が続いている。この問題については、下記で詳しく論じた。
「二日前にわかる」ということについては、前に詳しく論じたことがある。
二日前の 14:00 の時点で、「気象予報による休業」という所定マニュアルにしたがって「一律休業」を決定すれば良かったのだ。
→ 地震後の電力逼迫: Open ブログ
一方、政府は間抜けなので、二日前の夕方ではなく、1日前の夕方に告知せよ、と言っている。
二日前の昼間には、すでに電力不足になるような天気予報が出ている。なのに、それから1日以上を無駄に費やして、警報の発表を大幅に遅らせる、という方針を取るわけだ。
これは、「痛みを最小化する」という方針とは逆に、「痛みを最大化する」というような方針だ。
前日の夕方でもまだ遅すぎる。前々日の夕方にするべきだ。
( → 電力の不足への対策: Open ブログ )
政府は電力の需給逼迫について、「1日前の夕方に告知せよ」という方針を取っている。24日の降雪のあと、25日以降には電力逼迫の可能性がある、とわかっていても、24日の夕方になるまでは、需給逼迫注意報を出せない。黙って指をくわえているだけだ。そして、25日の直前の 24日の夕方になって、ドタバタ騒ぎで、注意報を出す予定だ。……これでは、馬鹿丸出しというしかない。聞く側も、直前に注意報を出されても、困るだろうに。
では、どうすればいいか? それについては、すでに示した通りだ。同じ項目に、(引用の形で)こう記してある。
「電力が逼迫する日は、厳寒・猛暑となる日である。そういう日は、もともと人が出勤するには適さない日だ。だから、そういう日は、(企業の)休業日にすればいい。かわりに、他の休日を出勤日にすればいい」
( → 電力の不足への対策: Open ブログ )
具体的に言えば、厳寒になる 25日には電力逼迫が予想されるので、各地の企業は休業とすればいい。関東を除く全国各地で降雪の可能性があるが、関東もまた厳寒にはなるのだろうから、日本中で全部、当日は休業とすればいい。その分、週末の土曜日か日曜日を、休日出勤にすればいいのだ。それなら誰も困らない。また、従業員にしても、雪の中を出勤するより、雪の溶けたあとの土曜日か日曜日に出勤する方が楽だろう。
結局、降雪が予想される前には、あらかじめ「当日は休業」と決めておけばいい。そのためには、25日の2日前である 23日(月曜日)のうちには、そのことを決定すればいい。なのに政府は、無為無策で、当日を迎えようとしている。そのあげく、下手をしたら、電力逼迫で、ブラックアウトも起こりかねない。
民放のテレビでは、「降雪で電力逼迫で大停電が起こるかもしれません。大停電が起こっても大丈夫なように、あらかじめ食料や水や燃料を確保しておきましょう」と勧告している。
しかし、そんな馬鹿げた対策をするよりは、「当日は休業日にする」という方針を取って、企業活動を止めることにより、大停電を回避するべきなのだ。……その知恵がないところに、現代日本の愚かさがある。(馬鹿丸出しとはこのことだ。むざむざ大氷山に向かって衝突したがるタイタニックみたいなものだ。)
【 関連項目 】
需給逼迫注意報について、昨年夏の猛暑のときの事例。
→ 6月下旬の猛暑(2022): Open ブログ
→ 6月の猛暑は予想されたか?(2022): Open ブログ
→ 電力不足の事前予想(2022.6): Open ブログ
【 追記 】
電力需給逼迫警報の発令時刻は、午後4時だが、それが決まる前に、そう決めようとする経緯が報道されたことがある。昨年の4月27日の記事だ。
経済産業省は26日、電力不足が見込まれる際に出す「電力需給逼迫警報」について、発令のタイミングを前日の午後6時から午後4時に2時間前倒しする案を示した。3月に関東や東北地方に初めて出したが、節電の要請が前日の夜では、企業は十分に協力できないとの指摘が出ていた。
東京電力管内に出された警報は、3連休最終日の午後9時過ぎだった。企業や家庭に危機感が十分伝わらず、停電の瀬戸際に追い込まれた。電力不足が見込まれる場合は、2日前に政府や電力会社が注意喚起することも検討する。
( → 電力逼迫警報、午後4時に 先月は後手、経産省前倒し案:朝日新聞 )
この後、6月頃に、これが正式に決まった。
※ しかし、前日でなく前々日の午後4時であるべきだ……というのが、私の立場だ。政府や電力会社は、「見通しのはずれ」が怖くて、なるべく遅くしようとしているのだろうが、遅すぎる予報は予報の価値がない。前日の4時に言われても、企業は翌日の休業を決めることができないからだ。
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参考だが、次の趣旨のことを述べたことがある。
「電力需給逼迫のあとで、電力不足が生じることがある。その場合、全面的な電力停止であるブラックアウトが起こる。その場合の被害は甚大である。あらかじめ前々日に休業を促しておけば避けられたのに、電力会社と政府の無為無策のせいで、莫大な損害が起こるわけだ。この場合には、電力会社が巨額の賠償金を払うべきだ」
具体的には、下記項目だ。そちらを参照。
→ 停電(ブラックアウト)の対策: Open ブログ
→ 停電したらペナルティ: Open ブログ
電力需給逼迫警報の発令時刻が、午後4時になったことの経緯。
このことはご存知ですか?
情報ありがとうございます。これですね。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electricity_measures/pdf/0120_jyukyuu.pdf
ここまでわかっているなら、せめて電力各社の、でんき予報のページに、この情報を掲載してくれればいいのにね。