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阪神大震災から 28年ということで、新聞などでは回顧記事が掲載されている。そこで思ったのは、「Twitter は災害に強い」と言われることだ。
実際、東日本大震災のときには、電話はケータイが機能停止状態になったさなかに、ツイッターだけが唯一の通信手段として生き残った。ツイッターによる救助連絡がつながったせいで救助が実現した……という事例もあった。
では、そういうふうに「Twitter は災害に強い」というのは、いかにして起こったか? その裏話がかつて報道された。大震災当日の話だ。
その日は、日本時間で週末の金曜日、米国時間では木曜日の夜だった。Twitterのエンジニアは日本で起こった地震のニュースを知り、「もし、土日に大量のアクセスがあり、Twitterにアクセスできなくなったら大変な二次的被害を被る人が出てくるかもしれない」と思ったそうだ。
そのとき、段ボールに詰まった未開封のサーバーがコンピュータールームにあることを思い出した。次の週に、これらをセットアップする予定だったのだ。彼は自分自身の判断で、これら全てをラックに入れ、日本向けのサーバー数を3倍に増やした。彼は後にこう語ったという。
「いつもボスから言われていたことがありました。――『会社やボスの命令で体を動かすのではなく、会社や社会のためにどうすればいいかということを判断して体を動かしなさい。あなたがこの会社に勤めている限り、自分自身の判断で行動しなさい』」。
彼のボスは、ボスである自分の判断を待つことなく、組織を作る1人1人に自ら判断するよう呼び掛けていた。他の通信手段がバタバタと落ちていったとき、Twitterだけが生き残っていたことには、こうしたボスの資質が大きく影響していた。
( → あの日、Twitterのくじらが出なかったもう1つの理由:変化するリーダーの資質 - @IT )
こうして末端の担当者が独自の判断をしたおかげで、日本のツイッターは正常に機能した。仮に彼がそうしていなかったなら、ツイッターは過剰な負担に耐えきれず、くじらマークが出ずっぱりになっただろう。そして救助されずに死亡した人も出たかもしれない。

だが、彼はまさしく自分の独自の判断で行動した。その理由は、上に記してある。再掲しよう。
「『会社やボスの命令で体を動かすのではなく、会社や社会のためにどうすればいいかということを判断して体を動かしなさい。あなたがこの会社に勤めている限り、自分自身の判断で行動しなさい』」
当時のツイッター社には、この教え(方針)があった。
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しかしこの方針は、イーロン・マスクの方針とは違う。彼の方針はこうだ。
「会社やボスの命令で体を動かしなさい。社会のためにどうすればいいかということは判断しなくていい。あなたがこの会社に勤めている限り、マスクの判断に従って行動しなさい」
換言すれば、こうだ。
「自分だけで判断して行動してはいけません。何事も会社やボスの許可を得なさい。会社やボスの命令で体を動かしなさい。(会社の外の)社会のためにどうすればいいかということは考えなくていい。会社の利益だけを考えなさい。あなたがこの会社に勤めている限り、自分でなくマスクの判断に従って行動しなさい」
東日本大震災のとき、ツイッターの社長がマスクだったら、社員はいちいちマスクにお伺いを立てる必要が生じただろう。その場合、日本では多大な死者が出ていただろう。
【 関連サイト 】
→ トイレ紙が尽き、フロアに悪臭が立ちこめる…ツイッターの米国本社が荒れ放題になっている
ツイッター社の現状は想像以上にひどいようだ。暴君による荒廃。