2022年12月31日

◆ コロナ死者急増と政府の無策

 コロナの死者が急増しているが、これは政府の無策のせいだ。政府は「オミクロン対応ワクチンの接種を禁止する」という馬鹿げた方針をやめるべきだ。


 ──

 コロナの死者が急増している。
  → コロナ死者数が急増、直近3カ月前年の16倍 70歳以上が9割 | 毎日新聞

 この記事は「前年同月比で 16倍」ということだが、前年同月比というのはあまり意味がない。そこで、以前の第6波や第7波と比較すると、こうなる。


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 第6波や第7波に比べて、2倍にはならないが、数割増の死者が出ているとわかる。容易ならざる事態だとも言える。(感染者数は圧倒的に多いので、そのわりには死者数の比率は少なめだが、死者数の絶対数そのものは以前よりも増えている。)

 ──

 では、どうしてこれほどにもコロナは猛威を振るっているのか? コロナがそれほどにも感染力を強めたのか? それもあるようだが、「ワクチンの接種率が激減している」ということも理由であるようだ。
 新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの接種率が12月27日時点で全人口の3分の1程度と伸び悩んでいる。
 12月27日までにオミクロン株対応ワクチンの接種を受けた人は全国で4412万人で、接種率は35.0%にとどまっている。2回目までの接種率80.4%、3回目の67.7%を大きく下回っている。65歳以上の高齢者でも58.9%にとどまり、若い世代はさらに低い。
( → 「BA.1」と「BA.5」に対応するワクチンの発症予防効果

 これほどにもワクチン接種率が低いのでは、流行がひどいのも不思議ではない。人々に接種率を高めるように促す必要があるだろう。

 ──

 ここで、「BA.1」と「BA.5」に対応するワクチンの発症予防効果は、どう違うだろうか? 
 上の記事では、「71%」という数値が記されているが、これは不正確な欠陥情報だ。「BA.1」と「BA.5」の違いは示されていない。
 政府では、両者の違いをあえて無視するような情報を提供している。
Q  BA.1対応型ワクチンとBA.4-5対応型ワクチンは、どちらのほうが効果がありますか。どちらを接種したほうがよいのですか。

A  オミクロン株対応2価ワクチンは、BA.1対応型であっても、BA.4-5対応型であっても、従来の1価ワクチンを上回る効果と、今後の変異株にも有効である可能性が期待されています。対応するオミクロン株の種類にかかわらず、その時点で接種可能なオミクロン株対応2価ワクチンを接種するようお願いします。
( → 新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省

 どっちでも「ないよりマシ」という扱いで、両者の違いを特に記していないようだ。とても科学的な情報とは言えない。

 そこで、さらに情報を探すと、適切な情報が見つかる。
 ファイザー社のBA.1対応2価ワクチンの臨床試験(治験)は、従来型ワクチンを3回接種し終えた56歳以上の341人を対象に、従来型ワクチンあるいはBA.1対応の2価ワクチンを4回目接種として打ちました。接種1カ月後、従来型ワクチンを打った人に対し、2価ワクチンを打った人は、オミクロン株BA.1を攻撃する「中和抗体」が1.56倍多くできていました。
 モデルナ社の臨床試験は、同社製の従来ワクチンを3回接種し終えた18歳以上の594人を対象に、従来型ワクチンあるいはBA.1対応の2価ワクチンを4回目接種として打ちました。4回目接種の28日後の中和抗体は、4回目にオミクロン対応2価ワクチンを打った人の方が従来型ワクチンを打った人に比べて1.75倍多くできていました。

 BA.4-5系統に対応するワクチンのマウス実験では、従来型ワクチンを2回接種した104日後に、従来型ワクチン、BA.1系統にのみ対応した1価ワクチン、BA.4-5系統にのみ対応した1価ワクチン、BA.4-5系統と従来株の両方に対応した2価ワクチンの4種類を接種し、従来株や複数種類のオミクロン株に対応する中和抗体価を調べました。その結果、今回、特例承認されたBA.4-5系統と従来株の両方に対応した2価ワクチンは、オミクロン株BA.4-5系統に対する中和抗体価が従来型ワクチンより2.6倍高いことがわかりました。
 厚労省は、今後、BA.4-5系統対応の2価ワクチンの接種を進めると同時に、ヒトでの臨床データの提出も求めるとしています。
( → オミクロン対応ワクチン、BA.1とBA.5対応、どう違う? 効果は?

 「中和抗体」の量は、あくまで「目安」となるぐらいの意味しかないのだが、それでもおおよその目安にはなる。それによると、こうだ。
  ・ BA.1対応のファイザーでは  1.56倍
  ・ BA.1対応のモデルナ では  1.75倍
  ・ BA.4-5系統対応   では  データなし(ヒト)
  ・ BA.4-5系統対応   では  2.6倍(マウス)


 以上からすると、BA.1対応よりは BA.4-5系統対応の方が効き目がありそうだ、とわかる。特に、BA.1対応(ワクチン)の方は、BA.1(ウイルス)に対する倍率なので、BA.4-5系統(ウイルス)に対する倍率はいくらか低くなりそうだ。そこがやばい。

 なお、現実のウイルスはどうかというと、最近では BA.1 が急減して、BA.4-5 系統が急増しており、もはや流行の主流は BA.1 から BA.4-5 系統に世代交替している。


ba1-ba5.gif
出典:Folkhalsomyndigheten


 BA.4-5 系統が主流であるからには、BA.4-5 系統対応のワクチンを接種する方が好ましい、と言えそうだ。

 ──

 ところが政府はどうしているかというと、BA.4-5 系統対応のワクチンを接種することに積極的でない。先に示したように、「どっちでもいいから接種しましょう」と言っているだけで、特に「BA.4-5 系統対応のワクチンを接種しましょう」とは言っていない。
 まあ、最初のうちなら、そうするのもやむを得ないと言えるだろう。BA.4-5 系統対応のワクチンが当初は品不足気味だった、ということもある。
 しかし今では事情は違う。上記のように、「オミクロン株に対応したワクチンの接種率は全人口の3分の1程度」というふうに低い数値となっている。ワクチンはありあまっているのだ。ならば、不足する心配をする必要はなく、「どんどん接種しましょう」というふうに積極的にふるまうべきだろう。

 ところが、政府は「 BA.4-5 系統対応のワクチンを接種することを禁じている」という状況がある。嘘みたいだが、本当だ。それは、次のことによる。
 「 BA.4-5 系統対応のワクチンを接種できるのは、前回のワクチン接種から3カ月以上を経過した人に限られる。3カ月未満である人は、接種禁止
 こういう形で、政府は「 BA.4-5 系統対応のワクチンを接種することを禁じている」という状況がある。

 では、どうすればいいか? 「前回のワクチン接種から3カ月以上を経過した」という条件を外せばいい。そうすれば、2022年10月以前にワクチンを接種した人は、2023年1月以降には「 BA.4-5 系統対応のワクチンを接種することができる」というふうになる。

 現状はどうか? 「3カ月以上を経過」という条件を満たさないので、 BA.4-5 系統対応のワクチンを接種してもらえない。そのせいで、 BA.4-5 系統のコロナウイルスに感染して、次々と高齢者が死んでいく。高齢者が「ワクチンがほしい、ワクチンがほしい」といくら訴えても、政府は「駄目だ、駄目だ」と言って、ワクチンの接種を禁じる。
 そして、余った大量のワクチンを、政府はどうするか? 「使用期限切れです」と言って、大量に廃棄するのだ。

 実際、過去のワクチンは大量に廃棄されてきた。
  → 【独自】新型コロナワクチン関東で300万回“廃棄”判明 | TBS




 ワクチンを国民に接種することには積極的でないが、ワクチンを廃棄することには積極的だ。それが政府のやっていることだ。狂気の沙汰だ。(自民党政府では定常運転だが。)




 [ 付記 ]
 何で政府はそれほどまでに国民の命を軽視するのか? そのわけがわからない人が多いだろうから、教えよう。
 それは、首相の頭にあるのは、防衛費倍増のことだけだからだ。大事なのは防衛費倍増であって、国民の命がどうなるかは、どうでもいいのだ。



 首相 「国民の命を守るために、防衛費を倍増します。これこそ最も崇高な目的です」

 国民 「そのせいで、国民がコロナにかかって死んでもいいの?」

 首相 「戦争で死ぬのでなければ、何で死のうと、おれの知ったこっちゃないね。おれの頭にあるのは、防衛費のことだけだ。それ以外のことは、あとは野となれ山となれ」

 国民 「夏草や つわものどもが 夢のあと……ですね。野と山には、つわものたちの死骸が眠っている。それと同じように、日本には……」

 首相 「新春の夢をぶち壊すなよ。これだから Open ブログは嫌いなんだ」





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posted by 管理人 at 23:33 | Comment(2) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
全然マスクをしていない世界と比べて
マスクをしている日本が現在世界一位の感染者数
というのはなぜか説明できるのでしょうか?
海外は検査はまともにしていないのか?
Posted by ヤマノ at 2023年01月06日 17:49
> 海外は検査はまともにしていないのか?

 そうです。世界中で次々と検査をやめています。
 日本も PCR検査(確定)はやめた。高齢者などがあるだけで、中年以下ではしなくなった。抗原検査で陽性の届け出(非確定)をするだけだ。
 → https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/ms/article_20220926.html 

 つまり、日本の感染者数も、大半は「抗原検査による推定」でしかないようだ。
 海外では抗原検査すらしていないことが多いようだ。PCR検査はとっくにやめている。
 どっちみち、今の感染者巣には、たいして意味はない。特に、海外の数値は意味がない。
 朝日新聞では数値発表をやめた。「海外の数値は意味がない」との理由で。

Posted by 管理人 at 2023年01月06日 19:35
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