2022年12月22日

◆ イラン敵視政策の影響

 トランプ大統領によって始まったイラン敵視政策が、解消されずにいることで、世界全体を蝕んでいる。

 ──

 最近になってひどく前近代的な事件が目に付いた。イランでデモをした人が次々に死刑になっている。
 イランで女性が髪を隠す布「ヒジャブ(ヘジャブ)」をめぐる抗議デモが始まって3カ月となるなか、デモ参加者2人の死刑が相次いで執行された。
 このうち1人は公開処刑され、国内外に衝撃を与えた。
 死刑判決を受けた抗議活動の参加者は多数いて、さらに執行が続くとの見方もある。
( → ヒジャブデモ参加者は「神への冒?」罪 相次ぐ死刑、イランの狙いは:朝日新聞

 国民的女優まで逮捕された。日本で言えば、往時の吉永小百合が逮捕されたようなものか。





 あまりにもひどい。どうしてこうなった?

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 それで思い浮かべたのが、米国のイラン敵視政策だ。ここに端を発して、イランをどんどん孤立化させて、イランをどんどん追い詰めている。

 実は以前は、イランと米国が和解すると期待されていた。和解協議がなされ、合意間近になったこともあった。本サイトでも言及したことがある。その話の引用も含めて、下記にまとめてある。
  → イラン核交渉と NPT決裂: Open ブログ
 ここでまとめてあるように、バイデン大統領の就任後、両国は合意に向かって協議が進んでいたのだが、最終的には決裂に終わった。(2022年08月30日)

 そのあと、どうなったか? NPT決裂のあとで、現状では最悪の状態にある。
  → イラン核合意「すでに死に体」 米政府高官が大統領発言を釈明 | NHK

 また、イランは合意不成立のあと、核開発をどんどん進めており、遠からず核兵器の保有国になる。
  → イラン IAEAへの対抗措置発表 核開発さらに進める | NHK

 影響は核開発だけではない。他にも及んでいる。
 最近では、イランがロシアにドローンを供与していると報道された。このドローン兵器がウクライナの都市を攻撃しており、ウクライナに深刻な被害を与えている。そこで、米国は対抗手段として、パトリオットを供与することを決めた。しかし、安価なドローンを撃墜するために、高価なパトリオットを供与するというのは、あまりにも馬鹿げている。金をドブに捨てるのも同然だ。( → 次項 )
 そして、こういう馬鹿げた方策を、米国とウクライナが強いられるのは、元はといえば、米国がイラン敵視政策を取っているからだ。そのせいで、イランをロシアの側に追いやって、イランのドローン輸出をもたらしているわけだ。

 ※ 仮に米国とイランが和解していれば、イランに「ロシアへの輸出を禁じる。さもないと、イランが米国に輸出するのを禁じる」というふうにできたはずだ。ところが、もともとイランに全面禁輸を強いてしまった。だから今さら「言うことを聞かないと全面禁輸にするぞ」と脅迫しても、「もともとそうでしょ。意味ないね」と鼻であしらわれるだけだ。

 ──

 それだけではない。イランに禁輸を強いることで、イランが金を得る機会を失うだけでなく、西側社会全体が「原油不足による原油価格高騰」という被害を受けるハメになった。最近では落ち着いてきているが、一時は原油価格が倍額にまで高騰した。そのせいで、日本では通貨が極端な円安になり、輸入品価格が大幅に値上がりした。特にひどいのは、ガソリン・電気・ガスだ。これらの価格が大幅に上がったし、今後、さらに続いて値上がりする予定だ。そこで政府が補助金を出す予定だが、そこで補助金を出した分は、将来の増税で回収されることになるので、結局は、国民の負担となる。今は苦しい時期なので、増税はなされていないが、そのうち景気が回復したら、増税になるのは不可避だろう。将来的には、消費税が 15%になるのも不可避だろう。
 「 2023年に、ガソリンや電気やガスが値上がりしたときに、補助金を恵んであげたんだから、状況が改善した今(2025年)には、消費税増税を受け入れてくださいね」と言われそうだ。「ついでに防衛費倍増の分もよろしく」と言い足されそうだ。
  ※ 防衛費倍増の話は、別項 の末尾のグラフで。

 それだけではない。今後、冬が続くにつれて、原油の備蓄がどんどん減っていくので、2月か3月ごろには、欧州で原油不足や LNG 不足が起こって、世界的にまた値上げが起こりかねないし、それにともなう経済的混乱も起こりかねない。危機は去ったわけではないのだ。一時的に小康状態にあるだけで、ふたたび危機が訪れる可能性は十分にあるのだ。

 ──

 ともあれ、現状は、これほどにもひどくなっている。そして、そのすべては、イラン敵視政策によるのだ。元はと言えばトランプに起因するのだが、それをバイデンが引き継いで、解決しなかった。かくて世界は、ひどい混迷に陥った。特に日本は、巨額の被害を受けることとなった。(円安による輸入価格高騰で、莫大な貿易赤字が生じた。)

 なお、この愚かさは、 Twitter の混迷に似ている。「トップが愚かだと、全体が崩壊しそうなほど混乱する」というのが、 Twitter の現状だ。アメリカもまた、Twitter と同様の状況にあるようだ。



 [ 付記 ]
 アメリカの唯我独尊を示す情報。
  → 「アメリカは対キューバ禁輸措置を解除すべき?」→ 賛成国の世界地図がわかりやすかった

 アメリカがこういう馬鹿だから、世界は混乱に陥る。



 【 関連項目 】
 次項:
  → 敵基地攻撃能力とミサイル防衛: Open ブログ
posted by 管理人 at 23:15 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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