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大阪ビル放火殺人から1年たった。
26人が犠牲になった大阪市北区のクリニック放火殺人事件から1年となる17日、現場では知人や元患者らが大切な人たちを悼んだ。
事件を受け、国土交通省や総務省消防庁は、今回の現場のように避難経路の階段が一つしかない建物で安全に避難できるよう、退避スペースの確保を勧める指針を示した。
( → 奪われた命、思う 大阪ビル放火殺人1年:朝日新聞 )
最後に一文にあるように、対策としては、「退避スペースの確保を勧める指針」があるだけだ。これでは何もしていないに等しい。あれだけの惨事があったにもかかわらず、そこから何も教訓を得ていないのだ。もちろん、再発防止策も採られていない。嘆かわしいことだ。
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当時、本サイトでは、それなりの対策を示した。
→ 大阪の放火殺人事件・再考: Open ブログ
ここでは、次のような対策を示した。
(i)自殺対策で心理ケア・生活ケアをする
(ii)縄ばしごを用意する
(iii)非常階段やスプリンクラーを義務づける
「心理ケア・生活ケアをする」というのは、この犯人が「生活保護費の申請を拒否されたので、生きる希望をなくして、自暴自棄になった」ということがある。役所が生活保護費を出せば済んだのに、そうしなかったから、「絶望のあげくの放火」という事態を招いた。まるで「事件の真犯人は役所だ」というような真相だ。
ただ、そういう根源対策とは別に、建物の側でも、「縄ばしご・非常階段・スプリンクラー」という対策ができるわけだ。
本日の新聞記事では、「退避スペースの確保を勧める指針」なんていう、ほぼ無効な案しか示されていないのだが、以前の本サイト(上記項目)では、それよりはずっとまともな案を示していた。
なお、上記の3点ではまだ足りないので、次の案も追加で示していた。
「精神科や診療科の小規模病院については、放火対策のなされた建物に入居することを義務づける」
「一つの病院に二つの出口」
こういう対策をすれば、いっそう状況は改善するだろう。
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ただ、あとでよく考えると、ちょっと難点もある。
「精神科や心療内科の小規模病院については」
というのが、上記の案だが、これでは対象となる範囲が狭すぎる。狙いがあまりにもピンポイント過ぎる。もっと多くの店舗を対象としないと、危険の回避は十分にはならない。
そこで、新たに広範囲の店舗を対象として、次のように提案したい。
「精神科や心療内科の小規模病院に限らず、あらゆる科目の小規模病院を対象に含める。また、客の多い店(料理店を含む)も、対象に含める。これらを対象として、縄ばしご・スプリンクラー・非常階段・二つの出口を義務づける」
義務づけるといっても、特別に工事などは必要ない。単に条件を満たす部屋に転居するだけだ。貧乏くさいペンシルビルは不可になることが多いので、部屋の家賃は上昇するだろうが、やむを得ない。
なお、一般の商店(物品販売業)や、事務所などは、上の対象には含まれない。たいていの商店は、人がいっぱい密集するほどではないからだ。だから、上記のような義務づけをしなくてもいいだろう。
一方、ライブハウスやゲーセンなどは、人が密集するので、上の対象に含まれる。
ともあれ、以上のようにすれば、建物対策ができるだろう。
【 関連項目 】
建物ではなく、心理面・生活面での対処については、前項で示した。特に前項の最後では、大阪の放火事件との関連を示した。(生活保護を受給拒否されて、絶望して、放火。)
→ 生活保護課の本末転倒: Open ブログ
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000947.html
利害関係者が多いので、義務付けに至るには越えるべきハードルがいくつもあるのでしょう。
建築基準法には既存遡及規定がないので、総務省消防庁のほうから消防法で攻めていくのが近道かも。