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生活保護費を引き下げるべきだ、との論争があった。
生活保護費を上げるべきか、下げるべきか。5年ぶりの基準改定をめぐり、来年度の予算編成で論争が起きている。国の2019年調査では、低所得世帯の消費水準に比べて一部で生活保護基準が上回る結果に。このため引き下げの方向で検討が進んでいるが、物価高騰の中での動きを懸念する見方もある。
( → 生活保護費、物価高で論争 5年ぶり改定、基準額引き下げ検討:朝日新聞 )
制度上では、統計データにしたがって、生活保護費を引き下げるべきだ、となる。ところが調査時点の 2019年に比べて、現在は大幅な物価上昇だから、「下げるよりは上げろ」という声が強い。
そこで結果的には、「減額しろ」という声を封じて、「減額しない」という結論に決まった。
5年ごとに見直す生活保護費について、厚生労働省は15日、高齢者世帯を中心に検討していた引き下げを来年度から当面、見送る方針を固めた。2年程度、据え置く方向で検討している。足元の物価高騰などの影響を配慮した。
( → 生活保護、減額見送りへ 物価高に配慮、2年程度か 厚労省:朝日新聞 )
この結論自体は妥当だが、途中の議論に着目したい。朝日の記事には、「生活保護を受ける人は貧困に苦しんでいる」という声が掲載された。
「もし本当に生活保護費を引き下げるというなら、その金額でどんな生活ができるのか、1カ月でいいから、身をもって体験してから決めてほしい、厚生労働省の人も政治家も」
生活保護を利用して一人暮らしをする大阪市の小寺アイ子さん(78)は、そうかみしめるように話した。
年金と生活保護費を合わせた生活費は月11万円あまり。そこから4万5千円の家賃を払い、残りで食費や光熱費などをまかなう。
電気・ガス代はぎりぎりまで切り詰める。室内でも厚手の上着を着込み、この冬は暖房のエアコンはまったく使っていない。夜7時までは電灯もつけない。お風呂も3日に1回だ。
コロナ禍のなかでの低所得者向け給付金は、故障していた洗濯機など古い家電を買い替えたら、大半がなくなった。電子レンジやテレビも10年以上前の旧型でいつ壊れるかわからず、残った給付金もそう簡単に使えない。
( → 生活保護費「1カ月でいいから体験して決めて」 78歳女性の思い:朝日新聞 )
いかにも極貧の生活である。こんなに極貧なのは哀れすぎるとも言える。生活保護費を上げることには妥当性があるとも言える。
だが、その一方で、生活保護費をもらっていない低所得世帯は、もっと少ない金額で過ごしている家庭も多い。しかもそれらの世帯では、もっと少ない金で暮らしていながら、これほどにも極貧ではないことが多い。どうしてだろう?
そもそも、国としては、生活保護費の費用をもっと切り詰めたい。一方で、生活保護費をもらう人は、もらう額をもっと増やしたい。この双方はたがいに矛盾するが、矛盾することを何とか実現したい。では、どうやって? そんな魔法のような方法があるのか?
そこで、困ったときの Openブログ。解決策を出そう。こうだ。
「生活保護世帯は、かなり多くの金をもらっても、生活が苦しい。それは、やたらと家賃の高い都心部に住むからだ。今回の人は、大阪市という一等地に住んでいる。だから家賃に 4万5千円も払って、生活が苦しい。そこで、(転居して)家賃を3万円引き下げて、生活費を 1.5万円引き上げればいい。そうすれば、払う方も受ける方も、どちらも 1.5万円ずつ得をする。めでたし、めでたし」
家賃を3万円引き下げるというのは、家賃を 4.5万円から 1.5万円に下げるということだ。転居先としては、1.5万円の家賃の賃貸住宅が、下記にある。
→ 岡山市の賃貸住宅( 1K のアパート)
駅からは遠い物件がほとんどだが、通勤・通学するわけではないのだから、駅から遠いことは問題ない。たまに市役所や繁華街に行くことはあるだろうが、そういうときにはバスに乗ればいい。その交通費がいくらかかかるとしても、家賃が大幅に安いことの方が有益だろう。
とにかく、「生活が苦しい」と騒いでいる生活保護受給者は、多くが都心部に住んでいる。大半のサラリーマンは、東京都や大阪の都心部に住んでいるわけではないのに、生活保護受給者は「どうせ国のお金でタダで住まわせてもらえる」という理由で、都心部に住むというぜいたくをしている。そういうぜいたく のために国の金が出されるのだから、それこそ無駄というものだ。
この件は、前にも別項で述べた。
→ 生活保護と集団居住: Open ブログ
対策としては、住居費を別払いにして国や自治体が全額負担する、という制度を改めるべきだ、と述べた。
→ 生活保護は全国一律に: Open ブログ
詳しい話は、上記の二項目にある。
本項は、その二項目の、後日談ふうの話だ。(都心部でなく地方に住めば解決する、という話。)
【 関連サイト 】
直接関連する話題ではないのだが、次のページが興味深い。
→ 「魔境の東京の公立中」に何が。学力順位30位から4位に爆上げ、荒れた中学が消失ーその理由の考察。 - Togetter
東京都の中学校の学力が改善した。それは、東京都内にいる住民が高所得化したせいだ、という説明。昔は都内にも貧困家庭が多かったが、今では都内に住めるのは高所得者ばかりになってしまったので、それにともなって、荒れる中学はなくなり、生徒は高学歴化していく……というわけ。
東京都内に住めるのは、高所得者か、生活保護世帯か、どちらかに限られているようだ。
今の生活保護制度が、いかに歪んでいるか、よくわかるだろう。