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政府は冬季の電力使用量を減らすために、節電ポイントを導入した。
冬の「電力不足」の懸念に対応するため、政府による全国規模の節電要請期間が1日から始まった。来年3月まで。冬季としては2015年度以来7年ぶり。数値目標は設けず、重ね着をして空調の設定温度を下げたり、不要な照明を消したりといった無理のない範囲の節電を呼びかけている。
政府は節電ポイント事業も始めている。国が認定した節電プログラムをもつ電力会社と契約者が、12月31日までにこのプログラムに参加表明すれば、家庭向けには一律2千円相当のポイントを配る。実際に電力使用量を前年より3%以上減らした家庭には、月1千円分のポイントを上乗せして付与する。
( → 政府が節電要請、今日から 冬は7年ぶり ポイント付与の支援策も:朝日新聞 )
冬には寒くなると、電力需要が急増して、電力逼迫の危機がある。下手をすると、電力不足になって、ブラックアウト(全面停電)が起こる危険もある。そこで、あらかじめ節電ポイントで節電を促すことで、その危険を下げよう……というわけだ。
だが、これは非常に頭の悪い方法だ。なぜか?
たしかに、電力不足になって、ブラックアウト(全面停電)が起こる危険はある。だが、そうなるのは、特別に寒い厳寒日だけだ。それは一年に数日しかない。だから、その特別な数日だけに対策をすればいいのであって、他の日は対策する(節電する)必要はないのだ。つまり、常に一律で 3%減をするのは意味がないのだ。
そしてまた、厳寒日には、暖房のための電力使用を減らすべきではない。そんなことをすると、不健康になって、人の健康や生命を損なう危険がある。では、かわりに何をすればいいかというと、仕事を休めばいいのだ。
年に数日の厳寒日というのは、たいていは(関東などに)雪の降る日である。そんなに特別な日には、「雪なので休業」というお触れを出して、関東近辺で一斉休業をすればいいのだ。特に、官公庁・銀行・大手の商業施設・大工場などが、いっせいに臨時休業を決めれば、電力消費が激減するので、それで電力不足の危機は一挙に解決する。しかも、「雪なのに無理して出社する」ということもなくなり、国民の健康や福利にも役立つ。
[ 付記 ]
政府は、電気代を下げるための補助金を導入することを決めた。
大手電力会社10社が加盟する電気事業連合会は12月7日、国の支援を受けて2023年1月使用分から電気代の値引きを行うと発表した。電力会社のいう平均的な家庭(月間260kWh)で月に1820円ほど、国のモデルケース(月間400kWh)では月に2800円の値引きとなる。
( → 政府の電気代支援策、23年1月から 平均的な家庭で月1820円安く - ITmedia NEWS )
単純に値引きする、という方針は、「節電ポイント」なんかよりもはるかに合理的だ。この点は好ましい。
政府はもともと、来年4月以後に補助金を出す予定だったが、「2023年1月使用分から」というふうに、時期を早めることにしたようだ。この点は、好ましいと言える。
なぜか? 原油価格は、すでに低下しつつあるからだ。原油価格が高騰したのは、今年の春と夏だ。秋以後は元の水準に落ち着いている。さらに先行きは価格が低下傾向にある。このままだと、来春以後はさらに下がりそうだ。特に、ウクライナ戦争が終結すれば、価格はいっそう下がりそうだ。
そういうわけなので、「来春以後に補助金を出す」というのは、時機を失することになりそうだ。今のうちにさっさと値下げする(補助金を出す)方がいい。
なお、「手続きした人だけにポイントを出す」というのは、全然ダメだ。本項の冒頭で示した通り。
【 関連項目 】
「厳寒日には休業にするといい」という話。前出。
厳寒・猛暑となる日には休業する、という案だ。(全国規模で)
どうしてこれが成立するかというと、電力不足が発生しそうなのは、年に数日間だけであるからだ。特別に厳寒または猛暑の日だけなのだ。
( → 電力の不足への対策: Open ブログ )
より詳しい手順を説明している。
【 関連サイト 】
原油価格の推移のグラフ

WTI原油先物 (NYMEX)