2022年12月01日

◆ 体内時計 25時間説

 人には体内時計が備わっており、それは 24時間でなく 25時間の周期をもつ……という説がある。だが、妥当でない。

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 人には体内時計が備わっており、それは 24時間でなく 25時間の周期をもつ……という説がある。この説によると、本来の生理的な周期は 25時間なのに、地球の周期が 24時間だから、無理やり1時間早めていることになる。
 だが、この説は進化論的におかしい。生理的な周期が 25時間の個体と、生理的な周期が 24時間の個体があれば、前者よりも後者の方が環境に適している。なのに、環境に適していない方(25時間の方)が生き延びて、環境に適している方(24時間の方)が滅びてしまったというのでは、「適者生存」というダーウィン説に反する。仮に冒頭の説が正しいとすれば、ダーウィン説は間違っていることになる。

 そこで、「いや、人間だけは例外的だ」という説も考えられるが、睡眠と活動というような基本的な点で人間だけが特別な遺伝子をもつはずがない。たいていの動物は同様の遺伝子をもつはずだ。実際、調べてみると、ほとんどの生物は 25時間の周期をもつとわかる。それも、動物だけでなく、植物や菌類までもそうだ。
 概日リズムとは、約25時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。一般的に体内時計とも言う。
( → 概日リズム - Wikipedia

 では、25時間と 24時間のギャップを埋めるものは何か? それは「強い光」などの環境であるとされる。Wikipedia にはこうある。
 厳密な意味では、概日リズムは内在的に形成されるものであるが、光や温度、食事など外界からの刺激によって修正される。

 次の記述もある。
 ヒトの体内時計の周期は約25時間であることがわかりました。ところが地球の1日の周期は24時間であり、体内時計とは約1時間のずれがあります。私たちは日常生活において、さまざまな刺激を受けることにより、体内時計が外界の周期に同調して約1時間のずれが修正され、その結果24時間周期の環境変化に従って生活することができています。
この刺激のことを同調因子といい、もっとも強力な同調因子は光であることがわかっています。その他にも、食事や運動、仕事や学校などの社会的な因子も同調因子として働いていると考えられています。ヒトでは朝の光は体内時計を早め、夕の光は体内時計を遅らせることがわかっています。したがって朝に太陽の光を浴び、食事を摂り、学校や仕事に行くことなどによって、体内時計の周期が早められていると考えられます。
( → 睡眠・覚醒リズム障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 前項では「朝に強い光を浴びると覚醒する」と述べたが、そのことの根拠がここで示されていることになる。
 
 この記事の前半には、こうある。
 時刻を知る手がかりのまったくない、例えば洞窟のような隔離された環境に置かれても、ヒトでは約1日のほぼ規則正しいリズムで睡眠と覚醒がみられます。このことからヒトの睡眠・覚醒リズムは脳の中にある体内時計によって制御を受けていることがわかってきました。睡眠・覚醒リズム以外にも、体温などの「自律神経系」「内分泌ホルモン系」「免疫・代謝系」などが、体内時計によって約1日のリズムに調節されており、このような約1日の周期をもつリズムのことを概日リズムと呼んでいます。
 隔離された環境下で時刻と関係なく自由に生活してもらうと、寝付く時刻と目が覚める時刻が1日ごとに約1時間ずつ遅れていくことが観察されます。このことから、ヒトの体内時計の周期は約25時間であることがわかりました。

 これによると、人の生活周期が約25時間であるのは、次の状況だとわかる。
  ・ 時刻を知る手がかりのまったくない、例えば洞窟のような隔離された環境
  ・ 隔離された環境下で時刻と関係なく自由に生活してもらう


 このような環境における周期こそが、人間の本来の周期だ、と考えることから、25時間説は生まれた。

 ──

 だが、よく考えると、この説はおかしい。なぜなら、この説では、次のことが前提とされているからだ。
 「人間の本来の環境とは、強い光を浴びることのない環境である」(たとえば洞穴など、弱い電灯照明だけがある環境)
 だが、そんな前提は成立しない。地底人や海底人や穴居人ならばともかく、地上に住む普通の生物は、いずれも、日中に光を浴びる。ここでは、「光を浴びることで本来の環境が別物になる」のではなく、「光を浴びる環境が本来の環境」なのである。この点に注意!

 25時間説の根拠は、次のことだった。
 「人間は本来、強い光を浴びることのない生活(地底人の生活)をしている。それは 25時間周期となっている。それが本来の周期だ。だが、人間は本来の環境を脱して、強い光を浴びる環境に出た。そのせいで、本来の周期を失い、24時間の周期を得るようになった」


 ここから得られる結論は、こうだ。
 「人間は本来の周期は 25時間の周期なのに、地底のような本来の環境から脱したせいで、無理に 24時間の周期に合わせるようになった。そういう無理をしているので、人間の生活は歪んでしまって、生活リズムのズレに苦しむことになった。人間は、地上の環境に適していない動物である。地底のような恒常的に暗い環境こそが、人間の本来の住む場所なのである」


 しかし、これはいかにも馬鹿げている。確かにそれは現在の主流派の主張だが、そんな主張はあまりにも馬鹿げている。中でも最悪なのは、次の主張だ。
 「人間の体内時計が 25時間周期なのは、もともとその時代の周期に適していたからだ。つまり、人間が誕生したころは、地球の周期は 25時間だったのである。その後、地球の周期が早まって、1日 24時間になった。しかし人間は昔のまま、25時間周期を保っているのだ」
 いかにももっともらしい説明だが、この説は物理学によってあっさり否定される。地球の周期は、どんどん遅くなるばかりであって、早まることはない。ときどき「うるう秒」というのが話題になるが、それというのも、1日の周期が少しずつ遅くなっているからだ。非常に長い時間がたてば、1日 24時間が1日 25時間に伸びることはあるだろうが、その逆(1日 25時間が1日 24時間に縮まること)は、ありえない。

 ──

 では、正しくは? こうだ。
 「人間はもともと地底生活をしていたのではなく、もともと地上生活をしていた。そこでは日中に強い光があった。そのことで生活周期が短くなる効果があった。そして、強い光を浴びることで生活周期が 24時間になるというのが、人間の本来の生活周期だった」


 対比的に説明すると、次の二通りの説がある。
  ・ 地底生活をして、1日 25時間というのが、本来の原理だ。
  ・ 地上生活をして、1日 24時間というのが、本来の原理だ。


 前者の説(25時間説)によれば、1日 25時間という本来の生活周期が、現実には無理やり 24時間の生活周期に短縮化されていることになる。そこには不適合がある。そのせいで、人間は生活周期で苦しむことになる。現在の人類は、環境に適していない劣悪な生物である。
 後者の説(24時間説)によれば、1日 24時間という本来の生活周期が、光を浴びることでうまく実現されている。そこには環境への適合がある。そのおかげで、人間は生活周期で苦しまずに済む。現在の人類は、環境に適している優等な生物である。

 ※ 以上では、「人間は」と述べたが、人間に限らず、あらゆる生物種についても同様だ。

 ──

 どちらが正しいかと言えば、もちろん、後者が正しい。
 後者の説に従えば、こうなる。
  ・ 地上において、強い光を浴びて、24時間周期で生活するのが、本来のあり方姿だ。
  ・ 洞穴において、強い光を浴びずに、25時間周期で生活す
るのは、異常なあり方だ。

 簡単に言えば、こうだ。
 「日中に光を浴びる健全な生活をするのが、人間の本来のあり方だ。一方、日中に光を浴びないで過ごす不健全な生活をするのは、人間の本来のあり方ではない。そういう生活は、オタク(引きこもり)の生活だ。オタクの生活を本来のあり方だと思うのは、オタク学者の歪んだ発想だ。
 そういうオタク学者の歪んだ認識に従って、人間はすべからくオタクのように引きこもり生活をするのが正しい、と思い込んだことから、1日 25時間説は誕生した。しかしそれはオタク(引きこもり)ゆえの誤りだったのだ」


 夜中に勉強してばかりいるせいで、日中に体を動かすことを忘れてしまったのかもしれないね。そして、その歪んだ生活を正当視するために、歪んだ学説(25時間説)が誕生した。


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posted by 管理人 at 23:25| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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