2022年11月24日

◆ W杯 ドイツ戦(2022)

 日本が逆転勝利。2−1。この試合を評価する。

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 試合経過


 前半はドイツが圧倒的な攻勢で、日本は受け身ばかり。見ていてつらくなるほどの圧倒的な差だった。
 後半は日本がフォーメーションを変えたことで、前半とは打って変わって、ほぼ対等となった。後半 30分ごろから、選手交代で、変化が生じた。ドイツは攻撃の中心のギュンドアンを引っ込めて、攻撃が弱まった。逆に、日本は攻撃の選手を多くして、日本の攻勢がドイツを上回るほどだった。そして交替した選手によって、2点を続けて取って、大逆転。

 番狂わせ


 順位 11位のドイツを、順位 24位の日本が破ったことで、「番狂わせ」「ジャイアントキリング」と評判を呼んだ。
 ネットでも、その意外性を比喩で表現して遊ぶ動きもあった。
  → 「W杯で日本がドイツに勝つのってどのくらいすごいのか例えて教えて」→色々な方面の例えが集まった - Togetter

 人々はこのように「番狂わせ」の大きさを語っているが、私は別に、それほどの番狂わせだとは思わない。
 実際、戦いの前から、日本がドイツに 2-1 で勝つだろう、と予想していた人がいる。ズバリ的中させたわけだ。
 イングランド代表に選ばれたこともある英BBCの解説者クリス・サットン氏は……大会が始まる前にBBCの公式サイトで各チームの初戦の結果を予想した。日本対ドイツ戦は「日本を過小評価してはいけない。ドイツは過去12カ月間、不安定だった。日本にチャンスはある」とコメント。この日の試合結果と同じスコアの2対1での日本の勝利を予言していた。E組で決勝トーナメントに進むのは日本とスペインだと予想している。
( → 日本勝利を予想していたBBC解説者 「なんて試合だ!」と興奮口調 - サッカーワールドカップ(W杯):朝日新聞デジタル

 数字上でもそうだと判明している。
 米国の大手データ会社グレースノート社は24日、同社の分析によるFIFAワールドカップ(W杯)の勝利確率をもとにした「番狂わせ度トップ10」を発表した。優勝候補ドイツ代表戦の勝利で世界を驚かせた日本代表だったが、コロンビアを2―1で破った前回ロシア大会初戦の方が、「番狂わせ度」は高いという意外な結果が出た。
 サプライズではあるものの、両国の過去の成績よりも、現在のチーム力で評価すれば、日本の勝利は不思議ではない、とも言えそうだ。
 今回サウジアラビアがアルゼンチンに2−1で逆転勝ちした一戦が、勝利確率 8.7%からの快挙で、W杯史上最大の番狂わせに躍り出た。2位は1950年ブラジル大会で米国がイングランドを1−0で退けた一戦(同9.5%)。前回大会の「韓国2−0ドイツ」は 14.4%で7位に入っている。
( → ワールドカップ:「番狂わせ度」日本代表のドイツ戦はそれほど高くなかった…史上トップ10発表 : 読売新聞オンライン

 一方、私が思い出すのは、4年前のベルギー戦だ。試合終盤まで 2−0でリードしており、日本がそのまま勝利してもおかしくなかった。その後、凡ミスで3点を取られて負けてしまったが、ベルギーはその後、3位の成績を得た。途中では、ブラジル相手に2ー1で勝っている。
  → 日程・結果│2018FIFAワールドカップ ロシア|日本サッカー協会
 ベルギーに1点差で負けたという点では、ブラジルも日本も同じだ。だから 2018年の日本は、ブラジルと同じぐらい強かった、と評価してもよさそうだ。その意味で、2018年の日本は歴代最強だった、と言えそうだ。
 ただしそれは、西野監督が率いたからだ。W杯直前に監督交代があったが、それまではハリル監督が続いていて、日本代表の成績は惨憺たるありさまだった。世界順位はかなり低かった。それが、W杯に入って、西野監督時代に入ったら、一転して、メチャクチャに強くなった。かくて、3位のベルギーに匹敵するほどの強さを発揮した。……このときの日本こそが、本当に番狂わせをしていたと思う。それに比べれば、今回は 11位を相手にしての勝利なので、たいしたことはない。
 また、今回はドイツでは中心選手が故障して出場できなかった。監督は次戦のスペイン戦のために、ベテランのギュンドアンを早めに引っ込めた。ノイアーも年齢の限界があった。いろいろと不利・不調の面が多かった。絶好調とは言えない時期のドイツなので、むかしの栄光の時代のドイツとは違う。ノイアー・ギュンドアン・ゲッツェなどは、単に老いただけで、4年前の強さはなくなっている。(マルコ・ロイスはすでに代表ではないので対象外。)
 というわけで、今年のドイツはあまり強くはないし、そのうえ調子も良くないので、ジャイアントキリングというほどのジャイアントではないのだ。つまり、たいして番狂わせではない。

 戦術


 戦術はどうか? 
 ボール保持率やシュート数では、前半においてドイツが圧倒的だった。後半でも途中まではドイツが頑張っていた。試合全体を通せば、ドイツが大幅に上回っていたと言える。
 しかし、いくらシュートしても、それは権田に阻まれた。そこで、「権田こそ勝利の立役者であり、MVP にふさわしい」という評価が出た。
 だが、私の評価は少し違う。ドイツのシュートが権田に阻まれたのは、いずれも正面からまともにシュートするものだったからだ。だから、あらかじめ権田が身構えていた。そこにドイツ選手は正面からシュートしたが、正面からシュートする限り、GK に阻止されるのも必然だと言える。
 ここでは、権田が優秀だったというより、ドイツ選手が単調すぎたのだ。

 では、どうすればよかったか? 正面からシュートしないで、別人にボールを渡して(アシストして)、迂回的にシュートすれば良かったのだ。そうすれば、迂回したボールに対処できなくなって、GK はなすすべを失う。
 それと似た状況が、日本の1点目だ。南野がシュートしたボールをノイアーがはじいたが、そこに詰めた堂安がうまくシュートして、ゴールを生んだ。このとき、ノイアーは右側の南野に対応するだけだったので、左側の堂安には対応できなかった。(意図せずして)ボールは右から左に移っていたので、ノイアーは対応できなかったのだ。
 こういうふうに、ボールが迂回すると、もはや GK は対応できなくなる。そういう方式を取れば、ドイツも得点できただろう。なのにドイツのシュートはいずれも正面から襲うだけだった。だから権田に阻止されてしまった。

 ※ この点、ボールを迂回させるのが得意なスペインは、うまくパスをして、見事にゴールを生むはずだ。そうなると、圧倒的なボール保持率やシュート率が、見事に奏功するはずだ。したがって、日本はスペイン戦では、苦戦必須だろう。ひょっとして、大敗する可能性もある。

 最優秀選手


 権田が最優秀選手となった。たしかに獅子奮迅の働きをしたので、それに異存はない。
 ただし、次点として、浅野の活躍を上げたい。特に、1点目で、浅野の動きは良かった。南野がシュートしたが、そのシュートの先には浅野が走り込んでいた。シュートが同時に浅野へのパスにもなっていた。それを知っていたので、ノイアーは南野のシュートをはじくのが精一杯だった。そして、ノイアーがはじいたボールを、堂安がシュートした。
 堂安がシュートできたのは、それをお膳立てした南野と浅野がいたからだ。特に、浅野の動きは秀逸だった。
 のみならず、2点目の浅野の動きは、個人技のゴールとしては傑出したゴールだ。6年ぐらい前のドルトムント時代の香川を思わせる、卓抜なゴールだ。

 ここまで書いたところで、ドルトムント時代の香川を思い出して、当時の感動を思い出した。あのころの香川は本当に素晴らしい栄光の時代だった。世界最高レベルの技術を見せていた。あのような栄光の時代は、もう来ないのかもしれない。久保が何とかしてくれるだろうと、数年前には希望をもっていたのだが、成長が止まってしまった感じで、香川のようにはなれそうにない。
 香川はマンチェスターU に入って、肉体改造して、ムキムキマンになったが、それと同時に、俊敏さを失ってしまって、栄光から脱落してしまった。返す返すも残念なことだ。

 そしてもはや、香川も本田もいない。中田英寿もとっくにいない。かろうじて長友が残っているぐらいだ。 往時の栄光はもはやない。 ああ、昔の光、今いずこ。








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posted by 管理人 at 23:42| Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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