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次の報道がある。
ウクライナ政府は18日、国内でエネルギー関連施設のほぼ半分がロシアの攻撃によって損傷し、使用不能になっていると明らかにした。ロシア軍はインフラを標的に攻撃を強化し、ウクライナ全土で電力不足が深刻化。首都キーウ(キエフ)当局者も、本格的な冬を前に首都全体が「全くの機能不全」に陥る可能性があると危機感を訴え
( → 冬前に首都「機能不全」も ロシア軍攻撃で電力不足深刻―ウクライナ )
→ ウクライナのエネルギーシステムの半分が使用不可能、ロシアの爆撃で - BBC
ウクライナの民生施設をいくら攻撃したところで、ウクライナの戦闘能力にはほとんど影響しないので、軍事的にはほとんど意味がない。民生施設にミサイルを飛ばせば、貴重なミサイルをなくしてしまうので、その分、ウクライナの軍事施設を攻撃する能力を失ってしまう。
なのに、そんな馬鹿げたことをあえてやるのは、どうしてか? たぶん、戦争に勝つことよりも、イヤガラセが目的だからだろう。戦争では勝利するどころか敗勢であるので、勝利を目的とするのは諦めて、相手を停戦交渉に着けたがっているのかもしれない。
だが、それだと、ウクライナは非戦闘員の生活が苦しくなってしまう。死ぬよりはマシだが、生活が苦しくなるのはまずい。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
そもそもミサイル攻撃というのは、相手の領土は占領しないで、都市を破壊するだけだ。こういうのは、本来は国際法違反なので、禁じ手である。ロシアはやってはいけないし、ウクライナもやってはいけない。
ところがその禁じ手を、ロシアがやっている。ならば、これ幸いと、それを逆手に取ればいいのだ。つまり、ロシアが都市攻撃をやったので、それを名分に、ウクライナの側もミサイルで都市攻撃をすればいいのだ。
これまでは、「ウクライナがロシアの領土を攻撃するのは認めない」というのが、米国の方針だった。(ゲーム理論で言えば、ブルジョワ戦略に相当する。この件は、別項で解説した。 → ウクライナ戦争とゲーム理論: Open ブログ )
これまではそうだったが、もはや事情は変わった。ロシアはミサイルで明白に都市攻撃を続けている。ならば、ウクライナにも同等のことを認めればいい。つまり、こうだ。
・ ロシア領土に侵入して、戦車や迫撃砲で攻撃することは認めない。
・ ロシア領土に侵入しないで、ミサイルで遠距離攻撃することは認める。
前者の場合は、ブルジョワ戦略を明らかに逸脱する。
後者の場合は、ブルジョワ戦略をギリギリで逸脱しない。(自分の体は領土内に留まっているからだ。)
後者の方針は、ギリギリの範囲なので、グレーゾーンだ。本来ならば、これを許容することは遠慮するべきだ。しかし今やロシアは、国際法違反の民間攻撃をしている。敵が真っ黒なことをやっているのであれば、グレーなことに手を出すのは許容される。
というわけで、「ロシア領土内へのミサイル攻撃を、新たに許容することにして、そのためのミサイルをウクライナに供与する」という新方針をとればいい。これが私の提案だ。
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では、具体的には、どこを攻撃するべきか?
(1) 敵基地攻撃
第1目標となるのは、敵基地だ。特に、空軍基地だ。ここをミサイルで攻撃するとよさそうだ。ロシアの空軍基地は、下記で示されている。
→ ロシア連邦/旧ソ連 航空基地 - Google Mapで見る軍事的スポット
ここで調べると、ウクライナ国境から 1000km 前後の位置に、ロシアの空軍基地がいくつか確認できる。ただ、いずれにしても、滑走路のそばの退避路に飛行機がいくつか並んでいるだけだ。ミサイル1発で飛行機2機を破壊できるかもしれないが、どうも、効率が悪そうだ。
また、ミサイルを発射したあとで、敵の飛行機が移動してしまったら、空鉄砲になってしまうようなものだ。あまり確実性が良くない。
(2) 都市攻撃
どちらかというと、都市攻撃の方が効果的に思える。そこで、モスクワの状況を見る。
モスクワの各所を見ると、立派な歴史的建築がたくさんある。これらを破壊するのは、文化の破壊になるので、好ましくない。また、効果の点でも、ミサイル一発で建物1軒を破壊するのでは、あまり効率が良くない。
どちらかというと、上記の地図からして、橋を破壊する方がよさそうだ。モスクワには大きな川がうねっており、川が都市を分断している。そこで橋をすべて破壊すれば、物流が滞り、都市の能力が大きく損なわれるだろう。
前にクリミア橋を破壊されたとき、ロシアは烈火のごとく怒って報復に乗り出した。それほどにも橋というのは大切なものだ。クリミア橋の場合には、完全破壊には至らなかったが、モスクワの橋については、ミサイルで完全破壊をして、モスクワの都市能力を大幅に損ねてしまえばいいのだ。
ついでに、発電所などの施設も破壊するとよさそうだ。……そう思っていたら、似た事情が現実に発生した。びっくり仰天。
モスクワ中心部で大規模倉庫火災|NTV
週末、サンクトペテルブルクの郊外では大きな爆発が、モスクワでは爆発が原因とも言われる大きな火災が起こった。原因について公式発表はなく、原因は不明だが、SNSに投稿された動画を見ればただごとではない?
( → 【動画】不気味に燃えるモスクワとサンクトペテルブルグ|ニューズウィーク )
(3) ガス・パイプライン
天然ガスのパイプラインを破壊するといいだろう。(ミサイルで)
ロシアの発電は、もともと天然ガス発電が主体だ。天然ガスを止めれば、発電もできなくなる。さらには、ガス暖房もできなくなる。
そこで、シベリアからモスクワに届くパイプラインを破壊すればいい。そうすれば、モスクワは電力をなくして、火もなくして、凍えてしまう。凍死者が出るかもしれない。冬には耐えかねるだろう。石炭や石油は残るので、最悪の事態にはならないとしても、大幅に状況は悪化する。
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以上のようにして、ロシアはウクライナからミサイル攻撃を受けることになる。
それというのも、ロシアが先にウクライナの都市をミサイル攻撃したからだ。そんなことをしなければ、ロシアの都市も助かったのだが、ロシアが禁じ手に手を出したから、ウクライナも同様のことをする権利を得たわけだ。
だから西側(特に米国)は、ウクライナにミサイルを供与するといいだろう。射程距離が 1000km ぐらいのミサイルを供与すればいい。それで十分にモスクワを攻撃できるからだ。

物事には、「やらなければよかったのに」ということがある。ヤブヘビというやつだ。ロシアも、クリミア橋を攻撃されて、頭に火が上って、ウクライナの都市をミサイルで攻撃するという「禁じ手」に手を出した。
ならば、そのお返しとして、同じ「禁じ手」を浴びることも、覚悟するべきなのだ。
そして、このことをもって、ロシア国民が窮乏して、ロシアがいよいよ戦争に耐えきれなくなったなら、終戦が早まるので、かえって結果は良かった、というふうになるかもしれない。
ただし、そのためには、バイデン大統領の決断が必要だ。それだけの判断力があるだろうか? もしかしたら、怯えて、びくついて、二の足を踏んでいるのではなかろうか? (日本の現首相のように小心者かもしれない。)
※ 最初は警告だけに留めておく、という手もある。「ウクライナへの都市攻撃をやめよ。さもなくば長距離ミサイルを供与するぞ」と。そして、ロシアがその警告を無視したら、まさしく長距離ミサイルを供与するわけだ。これならば、予告済みなので、実施しやすい。
アメリカがロシアにやるなっていうのも筋違いだってロシアに言われそうですね。
結局、そういうジャイナニズムを発揮しても国際世論の反発を避けられれば、大国はやるのかなぁと思います。
ロシアも大丈夫と踏んでやってるんでしょうね。