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政府は、陸上イージスを小型化して艦船に搭載する、という案を検討している。三日前に述べたとおり。
→ 北朝鮮のミサイルに対抗するには: Open ブログ
どうせ艦船に搭載するのなら、最初から艦船用のイージスを発注する(イージス艦を発注する)ことにすればいいのだが、どういうわけか、陸上用のイージスを発注して、それを特別に魔改造して、艦船に搭載する……という奇妙な方針を取る。
これじゃまるで、子供がプラモデルの魔改造をして喜んでいるようなものだ。馬鹿馬鹿しいこと、このうえない。狂気の沙汰だとも言える。こんなことをするくらいなら、最初からイージス艦を発注するべきだ。(注文を変更するだけでいい。それだけの知恵がないところが、馬鹿の馬鹿たるゆえんだが。注文の変更なんて、子供でもできるのだが、防衛省は馬鹿ばっかりだから、注文伝票を書き換えることができないのだ。)
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さて。それはともかく、日本が新たにイージス艦を採用したとしよう。(陸上イージスの魔改造であるか、もともと艦載用のイージスであるかは、問わないことにする。)
このようにイージス艦を新たに採用したとして、それは十分に役立つだろうか? この疑問は、次の疑問に言い換えることもできる。
「イージス艦がミサイル攻撃を受けたらどうなるか?」
そこで、この疑問にどう考えるか、考えてみよう。
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いきなり結論を言えば、こうだ。
「イージス艦がミサイル攻撃を受けたら、イージス艦はあっさり撃沈されてしまう」
そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、そうなのだ。その理由は、二つある。
(1) 飽和攻撃
イージス艦はもともと、「飽和攻撃」に弱い。同時に5個のミサイルに対応できるとしても、6個以上のミサイルが来たら対応できない。どうしても1発は撃墜しそこねるので、その1発を被弾してしまう。
(2) 鉄の箱
艦船というのはそもそも、鉄の箱だ。したがって、穴が一つ空いただけで、撃沈となる。たとえば、ロシアの巡洋艦モスクワは、ミサイルを一つ被弾しただけで、あっさり撃沈となった。
フィクションだが、「空母いぶき」という漫画のなかで、巡洋艦の一つがミサイル攻撃を受けて、被弾して、浸水したあげく、沈没となった。
こういうふうに、艦船というものは、鉄の箱であるがゆえに、穴が一つ空いただけで、あっさり沈没してしまうものなのだ。
(「穴をふさげばいいだろ」と思うかもしれないが、直径が何メートルにもなる穴をふさぐことは不可能だ。)
(「ハッチと隔壁で気密化して浸水を防げばいいだろ」と思うかもしれないが、それでは済まないから、現実に巡洋艦が沈んでしまうのだ。)
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さて。陸上イージスならば、それを目標とすると、目標はとても小さいので、ミサイルで破壊することは難しい。きわめて精密にミサイル誘導することが必要だが、現実には、いくらかのズレが生じる。そして、ズレが生じたら、目標は破壊されずに残ってしまいそうだ。
また、陸上イージスというのは、サイズが小さいがゆえに、隠すことも容易だ。たとえば、似たようなダミー施設をたくさん並べておけば、どれが本物の陸上イージスか見分けが付かないので、敵ミサイルは陸上イージスを破壊しにくい。
一方、イージス艦は違う。イージス艦のイージスは、艦船のどこかに隠すことができるかもしれない。しかし、どこかに隠しても、意味がない。なぜなら、イージス艦そのものを撃沈すれば、イージスの迎撃ミサイルはすべていっしょに撃沈となるからだ。

出典:Wikimedia
イージス艦というものは、かなり図体が大きい。(上図)
この大きな艦体のどこかでミサイルが被弾すれば、そのまま艦体に穴が空いて、イージス艦は沈没する。陸上にあれば無事であったかもしれないのに、なまじ鉄の箱に搭載したりするものだから、鉄の箱が被弾したときには、鉄の箱もろとも、海の藻屑となってしまうのだ。
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というわけで、イージス艦というのは、とても脆弱なものなのだ。こんなものを導入するのは、あまりにも馬鹿げている。
なのに、自衛隊はその馬鹿げたゴミ兵器を、高額で導入しようとする。なぜか? 「飽和攻撃」という軍事の基本知識を理解できないからだ。
※ だから、巡洋艦モスクワを撃沈されてしまったロシアのように、日本もやがてはイージス艦を飽和攻撃で失うことになる。
[ 付記1 ]
飽和攻撃といっても、敵はミサイルを大量に用意する必要はない。用意するべきは、高価なミサイルでなく、安価なダミーミサイルでいい。
たとえば、10個のミサイルのうち、3個が本物で、7個が偽物(ダミー)だとしよう。すると、確率的に1個か2個は撃ち落としてしまうので、結局はそれを被弾することになる。そのせいで艦体に穴があいたら、イージス艦は撃沈する。
だから、イージス艦が迎撃ミサイルを 200発搭載していたとしても、敵は3個のミサイル(他に7発のダミー)を使うだけで、イージス艦の 200発をすべて無効化できる。
イージス艦というのはそれほどにも脆弱なものだ。日本を守るためには役立つかもしれないが、自分を守る能力は弱いので、戦いの最初に撃沈されてしまうのだ。
その意味では、「現代の戦艦大和」と言ってもいい。建造の時点では「世界最先端」のつもりだったのだが、実際に配備されて実戦に使うと、「設計思想が完全に時代遅れ」となってしまうのだ。(「飽和攻撃」という概念を知らないあたりが、いかにもである。)
[ 付記2 ]
敵はイージス艦の位置を、どうやって探るのか? そう疑問に感じる人もいるだろう。だが、その方法は簡単だ。
イージス艦は 24時間、常にレーダーで探索している。だからその強力なレーダー電波を感知することで、イージス艦の位置は敵の目には丸見えとなるのだ。
イージス艦はその性質上、ステルスにはなり得ない。むしろ夜の灯台のように強く光を放つ存在である。
[ 付記3 ]
イージス艦を買うのをやめるとしたら、何を買えばいいか?
すぐに思い浮かぶのは、ステルス爆撃機だ。ただしB1B は高額すぎる。そこで、代案として、無人ステルス爆撃機が考えられる。
MQ-25 というものがある。ただしこれは、現在のところ開発中で、未配備だ。また、これはロッキードでなく、ボーイングだ。
ロッキードに注文するなら、F-35 の追加発注が最も現実的かも。なお、ここには、F-35 の魔改造も含まれる。
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