2022年11月19日

◆ 北朝鮮のミサイルに対抗するには

 北朝鮮がまたミサイルを発射した。これに対抗するには、どうすればいいか?

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 北朝鮮がまたミサイルを発射した。ここのところ立て続けだ。昨日(18日)には ICBM まで発射するに至った。
  → 北朝鮮ICBM級ミサイル発射 北海道の西 EEZ内落下か | NHK
  → 北朝鮮 “新型ICBM「火星17型」の発射実験に成功”と発表 | NHK
  → 北朝鮮ICBM級ミサイルは新型の「火星17型」 技術的進展か 韓国 | NHK
  → 北朝鮮がICBM級の可能性がある弾道ミサイルを発射したのは、今月3日以来、10回目

 では、これに対抗するには、どうすればいいのか? 

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 朝日新聞の記事では、迎撃ミサイルの陸上イージスをイージス艦に搭載する、という案が紹介されている。
  → イージス・システム搭載艦の小型化検討 「当初案は令和の戦艦大和」:朝日新聞

 陸上イージスは廃案になったが、すでに米社と契約済みで、契約廃棄ができないので、陸上イージスを小型化して、艦船に搭載する……という案だ。
 だが、こんな無理筋で強引に初志貫徹をしても、無駄な努力になるだけだし、うまく行くわけがない、と考える専門家が多いようだ。
 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「当初案は令和の戦艦大和、無用の長物になりかねなかった。小型化しても、運用面の課題は多い」と指摘する。
 世良氏によると、SPY7は陸上配備が前提で、海上利用の実績が海外でもなく、日本はそのノウハウを一から積み上げる必要がある。海自が運用中のイージス艦8隻には今後の更新で別のレーダー「SPY6」を導入予定で、二つのレーダーを連携して使うためのシステム開発や訓練の難易度も高いという。
 世良氏は「離島への配備など改めて陸上配備に戻してはどうか。それが難しいなら、契約解除して損切りすることも検討するべきではないか」と話す。
 軍事評論家の岡部いさく氏も「24時間常時使える(レーダーの)最大のメリットが、船にすることでなくなった」と指摘。船の場合は補給や修繕などで使えない期間があるからだ。「海上自衛隊は人手不足も深刻だが、乗組員の確保はできるのか。また搭載艦を護衛艦や潜水艦で守る必要が出てくれば、費用対効果はさらに悪くなる」

 似たような理屈で、私も陸上イージスには反対していた。「コスパが悪すぎる」という理由もあるが、そもそもイージス(迎撃ミサイル)というのは根本的に無駄なのだ。
  ・ 敵のミサイルよりも、迎撃ミサイルの方がずっと高価である。
  ・ 敵が飽和攻撃を仕掛けたら、どうしようもない。
  ・ 北朝鮮のミサイルは、不規則軌道を取り、迎撃できない。

 私の予想では、たぶんこうなる。
  ・ 北朝鮮が初期に大量のダミーミサイルを発射する。(超安価)
  ・ 日本の迎撃ミサイルが迎撃する。まもなく弾切れになる。
  ・ 迎撃ミサイルが弾切れになったあとで、北朝鮮からミサイルが飛んでくる。
  ・ 日本は何もなすことができない。
  ・ 北朝鮮はさらに不規則軌道のミサイルも飛ばしてくる。


 結局、イージスがあってもなくても、どっちみち結果は変わらないことになる。日本がイージスシステムを配備したことは、兆円規模の無駄金を投じただけだった、となる。だったら、その金を別の用途に使えば良かったのに、せっかくの兆円規模の金を、イージスという無駄装備に費やしたので、日本の軍事力は大幅に減退してしまった……という評価になる。

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 では、代案としては、どうすればいいか? この問題については、先に述べた。
 第1に、北朝鮮のミサイルは怖くない。北朝鮮のミサイルは、先制攻撃のためにあるのではなく、反撃能力のためにあるだけだからだ。「戦争に負けるならば、せめてハチの一刺しをしてから死ぬ」というためにあるだけであって、先制攻撃をすることはないからだ。
  → 北朝鮮のミサイルは怖くない: Open ブログ

 第2に、ミサイルの攻撃力などは、たかが知れているからだ。北朝鮮のミサイルは、せいぜい 1000発程度であり、そのミサイルのほとんどは、自衛隊基地や発電所などに向かう。一般人のいる場所には落ちてこない。また、1000発ぐらいでは、被害の程度も限定的だ。大騒ぎするほどの被害規模にはならない。

 第3に、日本としては、迎撃ミサイルを持つより、敵基地攻撃能力をもてばいい。特に、敵基地攻撃能力としては、トマホークよりも誘導爆弾をもてばいい。その方がコスパがいいからだ。
  → トマホークより誘導爆弾: Open ブログ

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 さて。以上のことは、すでに述べたとおりだ。ここで新たに、別の方針を追加しよう。こうだ。

 第4に、やや大型のステルス爆撃機を開発するといい。日本には、ステルス爆撃機として、F-35 があるが、これは、戦闘爆撃機なので、爆撃の規模は小さい。1回の爆弾搭載量は限定的なので、大規模な(致命的な)破壊力をもたない。これでは不足する。むしろ、F-35 の5倍ぐらいの爆弾量をもつような、やや大型の爆撃機を開発するべきだ。
 では、どうやって? 大型爆撃機を新開発するには、途方もない金がかかる。しかるに、そんな金はない。あちらが立てば、こちらが立たず。困った。どうする?

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「 F-35 を魔改造する。F-35 を基本にして、爆弾の搭載量を大幅に増やす能力を追加する」

 具体的には、こうだ。

 (1) 重量の増加

 爆弾の搭載量(重量)を大幅に増やすかわりに、航続距離を極端に短くする。北朝鮮との距離は 750km しかない。


kyori-nkorea.gif


 ならば、往路は 750km を爆弾を搭載して飛行し、帰路は750km を空荷で飛行すればいい。合計 1500km だ。これは F-35 の最大航続距離(推定 4000〜5000km)[ → 出典]よりもかなり短い。距離が短いのだから、大量の爆弾を搭載できる。現状では F-35 の最大積載量は、一定値が定まっているが、その数倍の爆弾を搭載することも可能だろう。(航続距離が短ければ、という前提で。)

 (2) 体積の増加

 航続距離が短ければ、多くの爆弾を搭載することが可能だ。ただし、重量の点では制限を免れるとしても、体積の点では制限が残る。いくら重たい爆弾をたくさん搭載したくても、F-35 の爆弾格納庫には体積での制限(体積容量)があるからだ。困った。どうする?
 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「増槽(追加燃料タンク)のような、追加の爆弾格納庫を用意する」

 ここで、蔵槽とは、下記のようなものだ。(本体および主翼の下にぶら下がっている。)


 これとそっくりな爆弾格納庫を用意して、そのなかに爆弾を搭載すればいい。現地に着いたら、爆弾格納庫の腹が割れて爆弾が落ちるか、あるいは、爆弾格納庫が切り離されて、爆弾格納庫そのものが誘導爆弾と化して、自律的に落下していけばいい。
 ここで大切なのは、「この爆弾格納庫がステルス化している」ということだ。さもないと、爆弾格納庫がレーダーに探知されてしまうからだ。そうなると、せっかくのステルス機が台無しだ。本体は隠れても、爆弾格納庫が丸見えとなり、「頭隠して尻隠さず」となってしまう。それはまずい。だから、爆弾格納庫そのものをステルス化することが必要だ。
 こういうステルス式の爆弾格納庫を備えておけば、爆弾の搭載量を本来の4倍ぐらいまで増やすことも可能だろう。(航続距離を短くする、という前提で。)
 「4倍は大げさだ。そんなに増やせないだろ」
 と疑問視する人もいそうだが、そもそも最初から本来の1倍分の爆弾搭載量はある。しかもそれは戦闘機としての空対空ミサイルなどを搭載している場合だ。戦闘機としての空対空ミサイルなどを搭載しなければ、その分、爆弾の搭載量を増やせる。また、ただでさえ、重たい増槽を取り付けることもできる。だから無改造のままでも、本来の1倍分の爆弾搭載量に対して、2倍分ぐらいの爆弾搭載は可能なのだ。(重量の点だけでは。体積は別とすれば。)……だから、航続距離を短距離に制限すれば、重量の点で4倍分の爆弾を搭載することは可能であるはずだ。
 問題は、体積の方なのだが、体積については、すごく巨大な大型タンクのような増槽を設置すればいいだろう。下記のように。


zoso-kaizo.jpg
(魔改造の案)


 こうして、F-35 を魔改造することで、爆弾の搭載量を4倍ぐらいにまで増やせる。
 そうしたら、あとは北朝鮮に爆弾を大量に投下する準備をすればいい。ざっと見て、北朝鮮のミサイルの爆弾量の 100倍程度の爆弾を用意すればいいだろう。北朝鮮がミサイルを 1000発用意するなら、その 100倍である 10万発分(ミサイル換算)の爆弾量を用意すればいいだろう。こんなにたくさんの爆弾量は、ミサイルでは用意できないが、爆弾でなら用意ができる。
 
 ただ、爆弾だけ用意しても、爆撃機がないと、爆弾を落とせない。そこで、大量の爆撃機を用意するかわりに、F-35 を魔改造しておけばいいのだ。(本体の魔改造と、増槽の魔改造。)



 [ 付記 ]
 搭載する爆弾の体積の増加のためには、増槽があればいい。一方、重量の増加のためには、どうすればいいか?
 もちろん、特に何も改造しなくても、重量の増加と航続距離の短さは、トレードオフの関係にある。何もしないままでも、ある程度は実現する。(航続距離を犠牲にして、重量の増加が可能だ。)
 ただし、別途、重量の増加を可能にする方策もある。こうだ。
 「最高速度を犠牲にして、機体の揚力を増すように、主翼の設計を変える」
 
 具体的には、F-35A のかわりに F-35C を採用すると、揚力を増やすことが可能だろう。さらに言えば、揚力を増やすような特注バージョンを注文することも可能になりそうだ。(魔改造を、ロッキード・マーティン自身にやらせるわけだ。)

 このような魔改造をすれば、爆弾の搭載量を本来の6倍ぐらいにまで上げることも可能になるかもしれない。
 とにかく、北朝鮮を相手にするときには、戦闘爆撃機に必要なものは、爆弾の量とステルス性だけなのである。一方、次のものは不要だ。
  ・ 航続距離
  ・ 空中戦能力
  ・ 高速さ

 逆に言えば、これらを犠牲にするように魔改造することで、爆弾の量をどんどん増やせるわけだ。……これが私の提案だ。



 【 追記1 】
 ICBM は、大陸間弾道弾なので、米国に向かうだけであり、日本には向かわない……と見込まれる。だが、現実的には、別の意味もある。こうだ。
 「迎撃ミサイルは、ICBM を撃墜することができない」

 迎撃ミサイルはもともと、ICBM を撃墜するための能力がない。どうしてかというと、ICBM はマッハ 25ぐらいの速度になって、高速すぎるからだ。迎撃ミサイルの対応能力は、敵ミサイルがマッハ7ぐらいまでの速度であることが前提となっている。それより大幅に速い ICBM には能力が不足するのだ。
 比喩的に言えば、カメはウサギには追いつけない、ということだ。
 だから、北朝鮮が ICBM を開発した時点で、もはや迎撃ミサイルの意味は大幅に減じた、と言える。(というか、最初から迎撃ミサイルなんて、ゴミなんですけどね。ゴミがさらにゴミになった、ということ。)

 【 追記2 】
 「爆弾ばかりを大量に用意して、防御はどうするんだ。敵のミサイルが来るのを、甘受して、多大な被害を放置するのか?」
 という疑問が生じるだろう。だが、その点は大丈夫。次のことがあるからだ。
 「日本が大量の攻撃兵器(爆弾など)を配備すれば、そこが敵にとっては第1攻撃目標となる」
 つまり、こちらが迎撃ミサイルで敵ミサイルを攻撃しなくても、敵ミサイルが自分の方から日本の基地を攻撃してくる。日本が都市防衛のために、特に迎撃ミサイルを配備しなくても、同等の効果があるのだ。しかも、ずっと安上がりに。(1兆円も費用をかける必要はない。)
 たとえば、弾薬庫を 1000箇所に分散配置すれば、その弾薬庫を狙うために北朝鮮は 1000発のミサイルを発射する。それだけで 1000発のミサイルを使い果たしてしまうから、北朝鮮のミサイルが都市攻撃をすることはない。
 こうして「攻撃は最大の防御」みたいな理屈で、攻撃用の兵器が日本の都市を守るのだ。めでたし、めでたし。

 ※ この件は、前に別項でも述べた。「原発を守る」という目的で。
   → 原発のコストアップの無駄: Open ブログ
 
 【 追記3 】
 「 F-35 の魔改造が有効ならば、米軍だってやっているはずだろ。なのに、米軍はそんな魔改造をしていないぞ」
 という批判があるかもしれない。だが、その批判は成立しない。
 なぜなら、米軍はそのような魔改造を必要としないからだ。どうしてかと言えば、米軍は新規に爆撃機を必要としていないからだ。
  ・ もともとステルス爆撃機(B1B)をもっている。
  ・ 超大量の F-35 を保有している。(日本の 20倍)


 だから、これらの代替策をとるならば、日本も F-35 の魔改造なんていうケチくさいことをしないで済むのである。そのかわり、費用は魔改造の百倍ぐらいになりそうだが。
 
posted by 管理人 at 23:56 | Comment(1) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記1 】  【 追記2 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2022年11月20日 10:40
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