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朝日新聞の記事が報じている。
事故は2021年10月14日、同市北区の認可保育園で発生。滑り台やうんていが一体の複合型の遊具の下で、2歳の男児が柵と高床の約15センチの隙間に首を挟まれた状態で見つかり、約1カ月後に死亡した。報告書によると、柵は14年、遊具の下に園児が入りにくくするために追加で設置した。
( → 遊具で園児死亡、危険箇所の意識なし 岡山、審議会が報告書:朝日新聞 )
どうしてこうなった? 第一報では、こう説明された。
柵は2008年の開園後、園児らが通り抜ける際に頭部をぶつけることがあったため、園側が独自に設置。男児が挟まれた幅20センチ前後の隙間はその際にできたという。
( → 遊具の柵に首はさまれ、2歳男児が意識不明の重体 保育園の園庭で:朝日新聞 )
有識者の審議会は、報告書を出した。
有識者らでつくる市の審議会は14日に市側に提出した報告書で、園側が危険性を認識しないまま、事故防止を目的にこの柵を新設していたと指摘した。大森雅夫・同市長は「非常に痛ましい事故だった。安全が徹底されていなかった」と話した。
柵は14年5月ごろ、遊具の下に入った園児が頭をぶつけないよう、高床の下に入りにくくするために追加で設置した。
事故後の市の点検で、日本公園施設業協会の基準による4段階のハザードレベルに照らすと、柵は上から2番目の水準だったと分かった。
ただ、事故前に「園側は追加した柵について、危険箇所であるという認識がなかった」と結論づけた。このため、見守りの立ち位置から事故現場は死角となっていた可能性が高いという。柵に関する打ち合わせの記録なども残っていなかった。
事故当日の見守り態勢については、園児の遊び時間で保育士の注意が分散しがちになることを踏まえ、遊具の利用をめぐり「園内で協議が必要だった」とした。
( → 園側、危険性認識せず柵を新設 保育園遊具で男児死亡、審議会が指摘:朝日新聞 )
対策としては、次のような点が列挙されている。
報告書は再発防止策として、子どもの視点に立った指導・点検▽保育士が離れた時の対応の検討▽人員体制の充実などを挙げた。
( → 遊具で園児死亡、危険箇所の意識なし 岡山、審議会が報告書:朝日新聞 )
報告書は再発防止策として、子どもの予期せぬ行動に対応できる体制づくり▽保育士が一時的に離れるときの対応の検討▽人員体制の充実▽危機管理マニュアルの充実――などを挙げた。
( → 園側、危険性認識せず柵を新設 保育園遊具で男児死亡、審議会が指摘:朝日新聞 )
平松早苗園長は取材に「園児と家族には大変申し訳ない。柵をつけた際、隙間をつくらず全面をふさいでしまえばよかった」と話した。
( → 遊具の柵に首はさまれ、2歳男児が意識不明の重体 保育園の園庭で:朝日新聞 )
対策として、報告書はいくつかの点を個別に上げているが、個別に一つ一つ示すのでは場当たり的であり、網羅的ではない。
園長が「柵をつけた際、隙間をつくらず全面をふさいでしまえばよかった」というのは、今回については核心を突いているが、これも個別的であって、網羅的ではない。
いずれにせよ、事故が起こるたびに、個別に一つ一つの対策をするのでは、「一人が死ぬたびに一つの穴をふさぐ」というようなものであって、将来の死亡事故を未然に防ぐことはできない。事故が起こってから対策するのでは「後の祭り」であって、事前の対策にはならないのだ。
その意味で、上記の対策はすべて不十分である。
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では、網羅的に対処するには、どうすればいいか? そういううまい方法が見つかるのか? あまりよく見つかりそうにないが。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
(1) 専門機関によるチェック
遊具が危険かどうかは、事前にチェックする必要がある。しかし素人は事前に危険性をチェックする能力がない。常に事故が起こってから反省するだけだ。したがって専門家が事前に審査する必要がある。そのためには「事前審査」の専門機関を設置して、その許可を得なければ遊具を設置・改造できないように法制化する。
今回の例に則して言えば、園が勝手に改造することは不可であり、また、園長が事前にチェックする必要はない。なすべきことは、改造の前に設計書を専門機関に提出することであり、その後は、専門機関が専門家の視点で危険性をチェックすればいい。
(2) チェックポイント
専門機関は、何をチェックするか? 一般に、「子供は、狭い隙間があれば、入りたがる」と理解するべきだ。その上で、狭い隙間は作らないのが原則だ。
・ 危険にならない程度に大幅に広げる(1.5メートル以上の広がり)
・ 頭が入らない程度に狭める。( 8cm 以下の狭い幅)
そのどちらかにするべきだ。そうすれば、子供が挟まれる危険はないだろう。
特に、幅が 20〜30cm ぐらいの隙間があると、子供がそこに挟まれて死亡する事故は、かなり多く起こっている。
→ https://x.gd/LxZjJ
→ 事故の画像(絵)
だから、そのような隙間があるのは厳禁する方針で、丹念にチェックするべきだ。
(3) 事後チェック
設計段階で事前チェックするだけでなく、完成後の事後チェックもするべきだ。その際、チェックする主体は、事前チェックした担当者とは別の担当者が行うべきだ。このことで、チェックは二重化されるので、危険はいっそう丹念に排除される。
一般的には、事前チェックは若手がやるべきで、事後チェックはベテランがやるべきだ。
(4) 処遇
チェック機関においては、こういう仕事は正職員がやるべきだ。契約社員みたいな非常勤職員に任せるべきではない。今の役所は半分程度が非常勤だが、そういう(経験の浅い)非専門家に任せるべきではない。十分な経験と能力が必要であり、そのためには、高い給料を払うべきだ。
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以上の方法を、私の結論としておく。
【 参考画像 】

出典:西日本新聞

出典:読売新聞

Stable Diffusion による生成画像
建築物は、設計段階でチェックして(確認検査)、工事の途中でも検査して(中間検査)、完成時にも検査する(完成検査)のですが、なにせ人手が足りません。役所で足りないので民間事業者にも開放しました。が、完璧に検査出来ているかというと、なかなか……。そして、建ってしまったらその後の違法改造などがあっても、通報でも無い限り誰も何もチェックする機会はありません。そして、検査員の給料は決して高くはない……。
まして、遊具くらいの規模で、数多くあるとなると、一体誰がしっかりチェックすることができるのかという疑問は生じます。
チェック機関の専門的経験を積んだ正職員が高い報酬を得てやる『べき』なのは、ほんとうにその通りなんですけど。
だいたいもって、今はそういう類の職種は、全く人気が無いんですよね。忙しくて責任が重くて資格も取らなくちゃならないし何かあると吊るし上げられるし、なのに文系事務職よりも給料が安いって。日本の理系・技術職全般に共通の課題ですが。
つまり、他の業務との兼任で、仕事量は年平均で 0.5人分ぐらい。人件費で 300万円ぐらい。このくらいなら出せるんじゃない?
場合によって、公的な独立行政法人を設立して、そこに業務委託するのでもいい。そこに年間 400万円を払って委託する。
ちなみに、神戸市中央区の年間予算は、4,869億円。 400万円は、誤差レベル。
※ 1件 3万円で外注すると、もっと安上がりで済むかも。年間数十万円で済むかも。
> そういう類の職種は、全く人気が無いんですよね。
ベテランの定年退職者でもいいね。65歳で再雇用とか。それだと、給料は低めで済むかも。専任職員で、半日雇用という手もある。
場合によっては、育休中の職員に在宅勤務してもらう、という手もある。書類審査だけなら、在宅でもできる。