五輪組織委の汚職が起こったのは、やってはならないことをやったからだ。ではなぜ、やってはならないことをやったのか?
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前項で述べたように、五輪組織委の汚職が起こったのは、やってはならないことをやったからだ。つまり、「利益相反」となることをやったからだ。ではなぜ、やってはならないことをやったのか?
その理由は、前に記したことからわかる。
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つまり、安倍首相(当時)が、そうすることを決めたからだ。該当の話を再度引用しよう。高橋容疑者の話。
「最初は五輪招致に関わるつもりはなかった。安倍さんから直接電話を貰って、『中心になってやって欲しい』とお願いされたが、『過去に五輪の招致に関わってきた人は、みんな逮捕されている。私は捕まりたくない』と言って断った。だけど、安倍さんは『大丈夫です。絶対に高橋さんは捕まらないようにします。高橋さんを必ず守ります』と約束してくれた。その確約があったから招致に関わるようになったんだ」
( → 「絶対に捕まらないようにします」元電通“五輪招致のキーマン”への安倍晋三からの直電 | 文春オンライン )
これを引用したあとで、上記項目では次のように解説した。
ここで「守ります」というのは、「正義の力で、悪の手から守ります」という意味ではない。その逆だ。「あなたが悪の行為(賄賂をもらうこと)をしても、正義の手があなたを逮捕するのを阻止します」という意味だ。つまり、「いざとなったら、検察にストップをかけます」という意味だ。
これほどにも強力な不逮捕の保証をすることで、違法行為(賄賂をもらうこと)を強引に後押しした。それが、安倍元首相だ。
( → COCOA と HER-SYS の闇: Open ブログ )
ではなぜ、安倍首相はそういうことを決めたのか? 「利益相反」という、やってはならない基本的タブーみたいなものを、あえてやることにしたのは、なぜか?
それは、簡単だ。「利益相反をやってはいけない」というのは、国民本位の政治をするときの原則だ。一方、安倍首相は、国民本位の政治ではなく、「自分本位」「自民党本位」の政治をする。だから、国民本位の政治をするときの原則など、守る気はさらさらない。独裁者というのはそういうものだ。
で、かわりに、どうしようとしたか? もちろん、「電通の利益になること」を目的とした。そのわけは、「電通が巨額の賄賂を安倍首相に贈ったから」だ。
そもそも、高橋容疑者が自分一人の力で組織委に潜り込めるわけがない。たかだか5億円程度の利益を得るために、安倍首相を動かすことができるわけもない。安倍首相を動かしたのは、電通だ。電通が政府から 300億円の手数料を徴収し、さらに相手側の受注企業からも同額ぐらいのリベートを得る。合計 600億円ぐらいを得る。そのために、安倍首相を動かして、電通の意のままになる高橋容疑者を組織委に送り込んだ。
そして、高橋容疑者は、電通のために奉仕する一方で、自分としてはペーパーカンパニーを通すことで、今回の賄賂事件の金を頂戴した。(役得だ。)
それだけではあるまい。電通は高橋容疑者に、相当の高額の金を払ったはずだ。ただ、それは違法ではないから、表には出ないだけだ。
ともあれ、今回の件では、裏でいろいろと汚い金が動いてきた。それは本来は、表に出ないはずの金だった。仮に表に出そうになったら、安倍元首相が裏に手を回して隠蔽するはずだった。
「安倍さんは『大丈夫です。絶対に高橋さんは捕まらないようにします。高橋さんを必ず守ります』と約束してくれた」
と高橋本人が言っているとおりだ。(前出)
ところが、安倍元首相が死亡したせいで、その重しがハズレた。タガがはずれた。かくて、隠されていた事実が一挙に噴出することになった。隠れていた事実があらわになった。
五輪汚職事件が今ごろになって急に表に出るようになったのは、安倍銃撃事件があったからなのだ。その余波の一つが、これなのだ、と言えるだろう。
《 加筆 》
「安倍さんは『大丈夫です。絶対に高橋さんは捕まらないようにします。高橋さんを必ず守ります』と約束してくれた」
と安倍首相が保証したのは、言い換えれば、「これはもともと逮捕されるような犯罪行為である」と安倍首相が認識していたからだ。
「金をかすめ取る犯罪行為になるので、本来ならば逮捕されるはずなのだが、そこは、裏に手を回して、逮捕されないようにしますよ。(だから金をかすめ取る犯罪行為をしても大丈夫ですよ。)」
というふうに。
そして、その本音は、
「そのとき、私も一枚噛んで、電通から裏金をもらいますが、おたがい、一蓮托生ですね。だから、私もあなたも、どちらも逮捕されないように、裏に手を回しておきますね。私は首相なんだから、絶対大丈夫ですよ」
ということだ。
