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日本の半導体が売れないわけは、販売方法に問題があるからだ、と言われる。
→ あらゆる半導体が売れる世の中で日本産があまり売れない→売り方にかなり問題ありそう「大企業以外門前払い」 - Togetter
あらゆる半導体が売れまくっている、中華の微妙な互換マイコンでもよく売れる中、日本のマイコンはあまり伸びない。
なぜかというと、買うのが難しくて元からの大企業しか買えないからだ。日本国内で研究やDIYやスタートアップやってても、中国のマイコンのほうが買いやすいし、実際に売れてる。
「 大企業以外相手にしてくれない」という声も多い。
超小型ディスプレイを個人で調達しようとしたら日本製なのに中国経由でしか買えないとかいうのは本当に困るのです。
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超小型ディスプレイを個人で調達しようとしたら日本製なのに中国経由でしか買えないとかいうのは本当に困るのです
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価格もまったく分かんなかったりするんで、その時点で検討候補から落としたくなるんだよね
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モーターでも キャノンはメーカーも代理店も個人は相手にしてくれませんでした。
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法人設立しても、「中小は二次代理店、三次代理店に行ってくださいね。」って、一次代理店に言われました。
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仕方なく面倒くさいフォームから資料請求すると、いきなり営業から電話が掛かってきて「いつから量産ですか」「1ロット何台ですか」「来年度何ロット回しますか」って捲し立てられる。そんなん知らんわっ。
仮に分かってても教えられない情報だし
これはどういうことか?
半導体製品は、大口需要家が多いので、日本企業は大口需要家ばかりを相手にしたがる。しかし、大口需要家以外にも、多くの購入者がいる。小口需要家だ。それらについて、いちいち相手にしていると、会社の販売の手間がかかりすぎる。だから面倒臭くなって、小口需要家を一切、シャットアウトする。だが、そのせいで、シェアをどんどん失っていく。未来の大口需要家になるようなベンチャー企業も、最初から切り捨てているので、相手にしてもらえない。こうして日本の半導体企業は、世界のなかでどんどんシェアを失っていく。
この問題は、ただの一語で理解できる。「機会損失」だ。
機会損失とは、本来ならもっと利益を出すことができた状況で、取るべき行動をとらなかったことによって生じた架空の損失を指します。
( → 機会損失|IoT活用で在庫切れで儲け損ないを回避|取り組み事例 )
営業活動における機会損失
機会損失は、営業組織にとっても関係ない話ではありません。
営業体制が整っていなかったり、営業プロセスに課題があったりする場合に、失注などの機会損失を招いてしまいます。
具体例としては、
・すぐに契約を締結すべきだった案件なのに、社内の事情で契約書の提出が遅くなり、顧客の気が変わって締結できなかった。
・WEBサイトからの問い合わせが100件あったが、社内のリソース不足で50件しか対応できなかった
・初回商談のあとに電話やメールでのアプローチを怠ってしまい、リードの興味がなくなってしまった
というケースなどが考えられます。
( → 機会損失とは?|営業活動における機会損失の具体例と対策 )
他にも、ググればいろいろと知識を得られる。
→ https://x.gd/rilyP
ともあれ、「機会損失」という経営概念は大切だ。これを理解すれば、冒頭の問題もよく理解できるだろう。
逆に言えば、日本の半導体企業が世界でシェアを失うばかりであるのは、「機会損失」という概念を理解できないからだ。手間を掛けてシェアを上げるのをおっくうがって、まともに販売努力をしないから、本来ならば得られるはずの販売機会を失ってしまう。
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では、どうして日本の半導体企業は、これほどにも馬鹿なのか? その理由は、二つある。
(1) コストカット
日本企業はやたらと「コストカット」を優先する。そのせいで、営業活動にも、「営業コストのカット」を求める。かくて、「販売量に対して、営業コストのかかる小口販売はやめる」という方針を取りがちだ。
この際、短期的な損得(経費増加)ばかりを考えて、長期的な「販売量増加」という点を見失いがちだ。目先の利益重視(コスト低減の重視)のせいで、長期的な利益(販売量増加)を見失ってしまうわけだ。……馬鹿丸出しだが。
(2) 営業優先
日本企業はやたらと営業部による営業活動を重視する。つまり、対面販売だ。そのせいで、ネット上で取引したり情報提示したりすることをしない。
これは日本独特の営業方式だと言える。ガラパゴス販売方式とも言える。そして、そのせいで、世界のなかでシェアをどんどん失っていく。いくら技術者が良い製品を開発しても、販売方式が日本独自の方式であるせいで、世界のなかでシェアをどんどん失っていく。
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結局、経営者も組織も、日本の半導体企業は駄目すぎる。経営者は「機会損失」という概念を知らないし、営業部隊は世界における営業方式を知らない。そのせいで、どんどん衰退するばかりだ。
汎用の RAM を大量販売している時代なら、それでも良かったのかもしれないが、今ではカスタム LSI などの特注製品(カスタム製品)が販売の主力だ。そういう時代の変化があるのに、販売方式はいつまでたっても昔のままで、世界の流れに取り残されている。
こういう状況だと、新たに国策の半導体会社ができても、世界のなかでシェアを獲得することは至難だろう。

半導体で負けた原因を掘り下げないといくら新しい会社を作ってもまた失敗と思います。線幅2nmのものを作ると言っているのですが、それで勝てるのでしょうか。報道されている限りでは技術的に絶対勝てるという事は無いようなので、苦しい戦いになるでしょうね。