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敵基地攻撃能力(反撃能力)
北朝鮮のミサイルへの対抗手段としては、敵基地攻撃能力(反撃能力)が想定されている。これについて朝日新聞・社説が批判的に論じている。
自民党はすでにこの4月、保有を求める提言をまとめ、岸田首相に提出した。日本周辺では、北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、中国も大量のミサイルを持つ。変則軌道や極超音速といった、技術の急速な進展もあり、迎撃だけでは守り切れないという判断に基づく。「反撃能力」を持つことが、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力になる、と主張する。
反撃が文字通り、攻撃された後の反攻であるなら、専守防衛の枠内に収まるかもしれない。しかし、撃たれる前であっても、敵が「着手」したと認定できれば、攻撃は可能というのが自民党の立場だ。とはいえ、その見極めは極めて難しく、判断を誤れば、国際法違反に問われる先制攻撃になりかねない。
そもそも目標を正確に特定することが可能なのか、膨大なミサイルを持つ相手を抑止できるだけの備えが可能なのかなど、まずは保有の是非を根本から議論すべきだ。
自民党が攻撃対象を、相手国のミサイル基地に限定せず、指揮統制機能を含むとしている点も問題だ。軍の司令部や政治の中枢まで標的にすることは、防衛力の行使は「自衛のための必要最小限にとどめる」という専守防衛からの逸脱は明らかで、警戒した相手国のさらなる対抗措置をも招きかねない。
( → (社説)敵基地攻撃力 疑問と懸念 徹底論議を:朝日新聞 )
ここでは論点がいくつかある。
(1) 日本の先制攻撃
「撃たれる前であっても、敵が着手したと認定できれば、攻撃は可能」という自民党の方針は、日本の先制攻撃を意味する。これは明らかにヤバい。相手が核ミサイルを飛ばすときには、この理屈は成立するが、通常弾頭では、この理屈は成立しない。
通常弾頭では、ミサイルの被害などはたかが知れているのだから、いちいち先制攻撃をする必要はないのだ。自民党は怖がりすぎている。北朝鮮のミサイルを怖がるぐらいなら、高速道路の暴走族でも取り締まる方がマシだ。
→ 対向車にコンクリートブロック投げガラス壊した疑い 4人逮捕 | NHK
→ その事件報告
(2) 正確な攻撃
「目標を正確に特定することが可能なのか」という疑問は、妥当である。北朝鮮のミサイルは、もともと可動式で位置が特定しにくかった。さらには最近では水中発射ミサイルまで開発している。こうなると、「ミサイルを発射する前にミサイルを攻撃する」という方針は、まず無理だろう。
となれば、「北朝鮮がミサイルを発射した場合には、そのミサイルを被弾することを甘受する」という方針を立てる方がいい。
そして、それはそれで、別に問題ないのだ。なぜなら、そもそも北朝鮮がミサイルを発射することはないからだ。この件は、前項で述べたとおり。
→ 北朝鮮のミサイルは怖くない: Open ブログ
(3) 首脳部への攻撃
「攻撃対象を、相手国のミサイル基地に限定せず、指揮統制機能を含む」ということについて、朝日社説は批判している。「専守防衛からの逸脱だ」というのがその理由だ。
だが、「専守防衛」などは、もともとナンセンスな方針なのだから、こんな方針を守る必要はさらさらない。この件は、前に述べたとおり。「真剣白刃取りなどはナンセンスだ」という趣旨。
→ 反撃能力(敵基地攻撃能力) .2: Open ブログ
では、それはそれとして、「専守防衛」概念から離れて考えると、どうなるか? この件は、以下で詳しく論じよう。
北朝鮮への侵攻プラン
北朝鮮の軍事的な首脳部よりも、国家の首脳部の中心である金正恩を急襲するといい。つまり、特殊部隊を用意して、いきなり急襲して、あっというまに金正恩を確保する(生死を問わず)という方針だ。「ランボー作戦」と言ってもいい。
北朝鮮のミサイルをすべて破壊するための敵基地攻撃能力というのには、ものすごく金がかかる。日本の自衛隊予算の 100年分ぐらいの予算がかかりそうだ。それはちょっと無理だね。そんなに大金を投じることはできない。(それでいて、効果はおぼつかない。成功率は1%以下だろう。つまり、金をドブに捨てるのも同然だ。)
一方、上記の「ランボー作戦」は、金はほとんどかからない。なぜなら、それをやる人員も武器も、既存のものを転用すればいいので、特に新規にかかる予算は必要ないからだ。
・ 陸上自衛隊の最も精強な兵士を選抜する。(給与も大幅アップ)
・ 特殊作戦を訓練する。
・ 007 みたいな特殊兵器も供与する。
このくらいのことで済むだろう。ミサイルや飛行機などを配備するのに比べれば、格安の予算で済む。(ほぼ予算ゼロで済む。予備費の転用で済むぐらいだ。)
そして、この特殊作戦チームによる訓練を公開する。「いざとなったら金正恩を急襲する」と大々的に宣伝する。
すると、どうなるか? 金正恩はビビる。奥に引きこもって、ろくに外出できなくなる。神経面でも、常に不安になり、神経過敏で、まわりにいる人物がみんな敵であるように思えてくる。一種の精神病のようになる。…… かくて、自分自身でどんどん自滅していく。
要するに、この「ランボー作戦」というのは、あくまでも侵攻プランであって、実際に実行するわけではない。その意味で、(自衛の逸脱という)「憲法違反」などを心配する必要はない。
また、「専守防衛」というのは、もともと間違った方針なのだから、そんな馬鹿げた方針にこだわる必要もない。(あっさり無視していい。)
というわけで、とにかくこういう「侵攻プラン」を用意して、日頃から常に訓練しておくといいだろう。そのことの方が、現実には不可能な「敵基地攻撃能力」なんかを高めること(そのために莫大な無駄金を投じること)よりは、ずっと現実的である。
※ なお、基本的には「北朝鮮のミサイルは怖くない」と言える。(前項で示したとおり。)…… だから、「敵基地攻撃能力を高めよう」というような馬鹿げた心配や対策は、もともと必要ないのだ。
[ 付記 ]
実は、北朝鮮のミサイルも、「実際には使わないのに、使うと見せかけている」という威嚇のためにある。その威嚇だけで、日本は大幅にびくついている。
とすれば、日本だって、実際には実行しないようなプランをいろいろと用意して、相手を威嚇することは、十分に有益な方針なのである。
実を言えば、本項のテーマは、軍事そのものというよりは、「威嚇」という心理面での話である。実際にドンパチする話ではなく、ドンパチすると見せかける、という話である。その意味では、「見せ札」や、「ブラフ」の話に近い。
どちらかというと、軍事よりは、嘘や詐欺やペテンの話に近いかもね。
※ 標題も、「北朝鮮への侵攻」ではなく、「北朝鮮への侵攻プラン」である。話はあくまでプランにとどまっているのだ。この点、お間違えなく。
※ もちろん、「敵国に侵攻するのは憲法違反だ!」などと騒ぐ必要はないのだ。実行するわけじゃないんだから。その意味では、バーチャルなゲームと同様である。(ただし、完全なバーチャルではない。兵士の訓練だけは、リアルだ。)
※ なお、法的にも「憲法違反」の恐れは少ない。敵国への「侵攻」とはいっても、ほんの一時的なものであって、恒久的な領土保有である「侵略」とは違うからだ。どちらかと言えば、「数日間の旅行」に近いものだ。「旅行」が憲法違反ではないように、数日間の侵攻もまた憲法違反とはなりにくい。
【 補説 】
「韓国への侵攻」という話題で述べる。
北朝鮮への侵攻プランとは別に、韓国への侵攻プランを用意してもいい。これは、韓国の首脳部を急襲するプランではなく、韓国の全土を支配するプラン(征韓論と同様)である。
これはもちろん、堂々たる侵略である。つまり、「自衛のため」という範囲を逸脱しており、真っ黒な憲法違反である。だから、実現性は皆無だ。
とはいえ、実行することはできなくとも、プランを考えることだけならばできる。そこで、「韓国全土を支配する」というプランを立てて、シミュレーションをするといいだろう。
何のために? もちろん、威嚇するためだ。それというのも、韓国は日本を舐めくさっているからだ。日韓の政府間で合意しても、次から次へと要求を改めて、ゴールポストの変更を続けている。こうなると、解決は無理だ。
そこで参考となるのが、歴史的事実だ。第1次大戦後、ベルサイユ条約が結ばれたが、ドイツには苛酷な内容だったため、ドイツとしては、条約を守るよりは、条約を廃棄して戦争をする方が有利となった。戦争へのプレミアム(優遇権)が付いていた。だからドイツは第二次大戦を始めたのだ。
日韓も同様である。韓国が次から次へと新たに要求するのであれば、日本としては堪忍袋の緒が切れる。韓国と平和関係を結んで、一方的に蹂躙されるよりは、戦争をして侵略してしまう方がいい。戦争へのプレミアム(優遇権)が付くわけだ。だから日本は韓国を侵略する動機が生じる。
以上の説明を付けた上で、机上のシミュレーションとして、「韓国を侵略する」というプランを自衛隊で検討するといいだろう。そのことを大々的に宣伝するといいだろう。
そうすると、韓国人はビビる。これはまでは「いくら下駄で踏んづけても、日本が逆らうことはない」と思って、ずっと下駄で踏んづけてきたが、その日本がとうとう堪忍袋の緒を切らしそうだ、と気づいて、韓国人はビビる。そうなれば、韓国人は、一転して、ペコペコするようになるだろう。ちょうど、中国はペコペコするように。
繰り返すが、韓国侵攻というプランは、あくまでプランであって、実行する必要はない。それでも、こういうプランを見せつけることには、十分な意義があるだろう。
なお、これを政府の正式な方針とするのは弊害があるかもしれない。そこで当面は、自民党の内部で、自主的な研究会の議題として扱うぐらいに、とどめておけばよさそうだ。このくらいであっても、十分に威嚇の効果はあるだろう。