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記事を引用しよう。
トヨタ自動車は6日、車両にタイヤを固定する「ハブボルト」が緩む不具合で生産・販売を停止していた電気自動車(EV)「bZ4X=写真」について、原因と対策を公表した。ホイールの回転力に対し、ボルトの締結力が不足していたのが要因。全車両で新設計のボルトに交換するほか、日本、北米、アジア、イスラエル向けの一部車両はホイールも換える。
ボルトに回転を防止するためのワッシャーを追加するほか、ホイールの品質も適正化する。
( → トヨタの新型EV「bZ4X」販売再開へ、副社長が語ったこと|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 )
「6月に国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出ていた」とのことだが、10月6日まで、4カ月ほどもかかったことになる。たかがボルト1本の不具合を見つけるのに4カ月もかかったというのは、にわかには信じがたいことだ。
私は前にこう述べた。
> 不具合の部位はタイヤを取り付けるハブボルトだ。海外市場からの情報で発見した。急旋回や急制動の繰り返しなどによってハブボルトが緩む可能性があり、そのまま走行すると異音が発生し、最悪の場合にはタイヤが脱落する恐れがある。
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2206/24/news071.html
常識的には、ハブボルトが不良なら、別のハブボルトに交換するだけで済むから、対策は一瞬で終わるはずだ。
そうできないとしたら、サスペンションの設計そのもので根源的な問題があるのか?
トヨタはどうもヤバいね。
( → トヨタ子会社の不正: Open ブログ/ コメント欄 8月05日 07:58 )
「対策は一瞬で終わるはずだ」と述べたのだが、現実には4カ月もかかっている。いったい、どうなっているんだ?
それで思い出すが、三菱自動車のリコール隠しだ。ここでもボルトの不具合が問題となった。
走行中の大型トレーラートラックトラクター左前輪(直径約1m、幅約30cm、重量はホイールを含めて140kg近く)が外れて、下り坂を約50メートル転がり、ベビーカーを押して歩道を歩いていた大和市在住の母子3人を直撃。母親(当時29歳)が死亡。
三菱自工側は、一貫して『ユーザー側の整備不良が原因だ』と主張したが、事故を起こした車両と同じ1993年(平成5年)に製造された三菱自工製のトラックに装着されている「D型ハブ」の厚みが、その前後の型や他社製よりも薄い構造であった。ねじ締付け管理方法を怠り、六角ボルトの締付トルクを強く掛けすぎた場合やカーブや旋回時に掛かる荷重により金属疲労が生じ、ハブが破断しやすいことも判明した。
( → 三菱リコール隠し - Wikipedia )
これもハブボルトの問題だったようだ。ただし、ボルト側ではなくハブ側が弱かったようだ。
→ ホイールとハブの図 (画像検索一覧)
今回は、ハブの側ではなくボルトの側が弱かったようだ。
「ホイールの回転力に対し、ボルトの締結力が不足していたのが要因」
とのことなので、頑丈さが不足していたというよりは、ネジの品質が悪化していたようだ。
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ネジといえば、思い出すことがある。
「ネジは、下請けとなる小企業が生産していることが多いが、たいていは毎年毎年、単価の引き下げ(コストカット)を要求されるので、品質がどんどん劣化していく」
ということだ。有能な熟練工はもはやいなくなり、無能で不器用な素人工員や、老眼で手先の不器用な 70歳以上の工員が働くようになる。安定した品質は望めなくなり、不良品が大量に紛れ込むようになる。
それでも、部品の品質が悪いのは日産自動車だけであって、トヨタの部品の品質は十分に高い……というのが、これまでの世界的な評価だった。しかし、最近になると、そうでもなくなったのだろうか。あるいは、電気自動車を作るノウハウがなかったので、電気自動車に限っては極端なコスト・カットを推進したのだろうか。……どちらにしても、「トヨタの EV はヤバい」ということには変わりはないが。
【 追記 】
コメント欄に参考情報がある。読まなくてもいいけど。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001515841.pdf
> ディスクホイール取付部において、ホイールの加工およびハブボルトの仕様が不適切なため、
なので、ホイールとハブボルトの双方が駄目だったようですね。
「仕様」が精度かどうかは断言できませんが、その可能性が高そうですね。本文の最後で述べたことと合致する。