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朝日新聞の記事が1カ月ほど前に、この番組を取り上げて、「公取委は頑張っている」と持ち上げていた。
談合やカルテルを監視する公正取引委員会が、にわかに脚光を浴びている。7月からは審査官の活躍を描くドラマの放送が始まった。独占禁止法を駆使して不正をただす公取委。作中では「弱小官庁」として描かれているが、実際はどうなのか。
警察や裁判、税務署を舞台にした作品は過去にあるが、公取委を舞台にしたドラマは「初めて」(公取委担当者)という。
( → 月9で注目、公正取引委員会 首相直轄で独立、職員800人 独占禁止法を駆使、企業のずるを許さない――:朝日新聞 )
刑事物はたくさんあるし、その亜流で、裁判官ものや、検察ものもある。とはいえ公取委はこれまでテレビドラマになっていなかった。今回は初めて公取委がテーマになったので、そのことを記事で取り上げている。かなり好意的だ。
「企業のずるを許さない。これが大きな役割です」。原作の小説や今回のドラマに取材協力した、公取委OBの松山隆英さん(69)は語る。
( → 公取委は「弱小官庁」なのか 月9ドラマで脚光 実像は…:朝日新聞 )
とはいえ、現状はどうか?
先に別項で示したように、ガソリン業界の再編では、企業の合併(吸収・経営統合)を次々と認めて、寡占体制を許した。そのせいで企業の側に寄るか価格統制が可能となり、価格は暴騰して、企業はボロ儲けしている。
→ ガソリン価格高騰の理由: Open ブログ
つまり、公取委は、やるべきことをやらなかった、と言っていい。「骨抜きにされている」とも言える。ここまでひどいのは、首相官邸の側から「公取委は仕事をするな」という命令が下ったとしか思えないね。
ちょうど統一教会への検察の介入が官邸によって阻止されたように、業界への公取委の介入が官邸によって阻止されたわけだ。そうとしか思えない。
このことは、下記の件からも裏付けられる。
→ 能年玲奈を出演させよ: Open ブログ
能年玲奈や SMAP が出演禁止状態だったことに対して、是正措置を取るようにと、公取委が見解を出したのが、2018年の2月だった。これ以後、タレントの独立がしやすくなっているそうだ。
また、SMAP のドラマ出演もいくらかできている。(香取慎吾、稲垣吾郎)
だが、能年玲奈(のん)のドラマ出演だけは、いまだに実現していない。
公取委が「是正せよ」との見解を出したのに、それは業界からコケにされている。公取委の権威もあったもんじゃない。だったら強力な是正勧告や是正命令を出せばいいのに、そうもしない。(最初は威勢が良かったのに、尻すぼみだ。)
のん の方は、いつまでも出演できないでいる。そこで仕方なく、大手ではないマイナーな映画製作会社の映画に出演している。
→ Ribbon (2022年の映画) - Wikipedia
→ さかなのこ - Wikipedia
後者はかなり評判のいい映画だ。
→ さかなクンをのんが演じてさかなクンが不審者を演じる映画「さかなのこ」レビュー
→ 変な映画、だけど傑作!いや怪作??すっギョい映画「さかなのこ」が話題に
こんなに良い映画の企画ならば、大手が参入してもいいのだが、そうはならなかった。やはり「のんを排除」という方針がいまだに続いているのだろう。
同様に、水嶋ヒロや、柏原崇や、赤西仁なども排除されているのだろう。まったくひどいものだ。前近代的なヤクザ社会だな。それにコケにされている公取委もひどいものだ。
とても「頑張っている」と褒めることなどはできそうにない。朝日の記事は、大甘だな。
[ 付記 ]
公取委がダメなのは、芸能界だけではない。
iPhone のシェアの強制契約があり、日本では世界各国と比べて、高い価格となっていた。最近ではアップルからの直販が主流となっているようだが、以前はキャリア経由での販売が大部分で、そこでは馬鹿高い値段が強制されていた。これも公取委が働かなかったからだ。
他に、Amazon の宅配でも、Amazon が宅配業者に不当な条件で契約を強制している。時給は最低賃金を大幅に下回る時給。ひどいものだ。ここでも、公取委が介入するべきなのに、介入しないで、Amazon の不当契約を放置している。この件は、前にも述べた。
→ Amazon 宅配の違法労働: Open ブログ
とにかく、日本の公取委はダメダメだ。
※ 以下はドラマ評。読まなくてもいいです。
[ 余談 ]
テレビ番組の「競争の番人」は、あまり評判が良くないようだ。特に最初の頃は「つまらない」という悪評が続いて、見るのをやめた視聴者が続出したらしい。
それでも見続けた人もいて、「最後の頃になって急に面白くなった」というツイートがあふれている。本当にそうなのかどうかは、断定しがたいが、そう思っている人が多い、というのも事実らしい。
「競争の番人」は、どうも、私の好みとは違う感じに思えるが、まだ見たことがないので、判断は差し控えよう。(シリーズ完結後に、一気見するか、全部削除するか、だ。)
この俳優の顔ぶれを見ると、いかにもつまらない感じだけどね。いいのは小池栄子だけだ。
今期のドラマは、ハズレばかりかもね。「刑事7人」も、倉科カナが出なくなったので見るのをやめた、という人が多いしね。( → 出典 、twitter )
[ 蛇足 ]
「途中から面白くなった番組」というのでは、NHK の「プリズム」というドラマがある。最初は退屈だったが、途中で「偽装結婚で、両親をだます」という詐欺ドラマに転じたので、「お、おもしろいかも」と思ったのだが、「やっぱり、だますのやめた」となったので、がっかりだった。
視聴者の評判では、最終回の直前回がものすごく好評だった。「神回だ」「今年のベスト1だ」「演技が圧倒的に素晴らしい」というような絶賛のツイートがあふれていた。
そこで「へえ」と思って、私もあとで見てみた。だが、別に、感動はしなかったね。「感動して泣けるドラマ」というのはいっぱいあるが、この「プリズム」では感動もしないし、涙も出ない。はっきり言って、私の嫌いなタイプのドラマだ。
なぜかというと、「恋愛をするために必死に努力する情熱家のドラマ」ではなくて、「恋愛ができないことに悩んでいる凡人のドラマ」だからだ。彼らの悩みがいかに深刻にリアルに描かれようとも、共感できない。「私は恋愛ができないので悩んでいるのよ!」「僕だって恋愛ができないので悩んでいるんだ!」と言い合っているのを見ても、シラけるだけだね。「けっ、アホか、くだらん」と思うだけだ。まあ、俳優の演技はしっかりしていたが、それだけだ。
まあ、非モテの人にとっては、こういうドラマがリアルに感じられて、面白いのかもしれないけどね。他人が面白いといっても、私には共感できないこともある。
その点、上白石萌音が主演するドラマは、いずれも彼女のエネルギーが、熱量たっぷりに描かれるので、面白かった。そういうのが私の好みだ。
彼女は今期はドラマに登場しなかったのが残念だ。
のめりこむというほどではないが、普通のドラマよりはレベルは上だ。ただ、公取という分野が、普通の人にはとっつきにくいかもね。知的な興味のある人向けかな。女性には向いていないね。恋愛要素もほぼ皆無だし。