2022年09月09日

◆ バス運転手に定年制を

 幼稚園児の死亡事件では、バスの運転は理事長が代行したが、その年齢は 73歳だった。こういう超高齢者のバス運転は禁じるべきだ。

 ――

 今回の園児の死亡事故では、幼稚園の運営体制が何重にもダメだったとわかる。
  → 園児の車内放置の対策: Open ブログ の 【 追記3 】

 幼稚園の運営体制がダメだったのは、理事長( 73歳 )がボケで無能だったのが原因だろうが、ボケで無能であるのを法的に規制するのは困難だ。世の中にはダメな経営者や政治家は、山のようにたくさんいるが、それらを排除することはまず無理だ。

 一方で、バスの運転手になら、年齢制限(定年制)を導入することは、不可能ではあるまい。トラックならともかく、バスは人命を預かる機械だ。その運転には、重大な責任がともなうので、強力な規制があってもいい。特に、定年制を導入してもいいだろう。

 現実にはどうか? 高齢者は、バスの運転手に雇用されているか? それを調べてみた。
  → バス運転手に定年はあるの?|日本運転手求人センター
 
 これによると、高齢者は、運輸業のバス(路線バス・観光バス)では現実的に雇用されていないようだ。一方、幼稚園や旅館などの送迎バスでは雇用されることもあるようだ。
 なるほど。今回も、理事長は 73歳だったのだが、それでも制限されることなく運転できた。だから運転した。そして死亡事故に至った。……これは、「案の定」というか、「やっぱり」というか、「起こるべくして起こった」と言うべきか。いずれにせよ、偶発的な突発事ではなかったことになる。
 特に、運転手として常に運転するのならともかく、今回のように臨時でやると、年に数回ぐらいしか運転しないほど不慣れなこともあって、ミスが生じがちだ。
 こういうことであれば、やはり、バスの運転手には「定年制」を導入するべきだろう。つまり、一定年齢以上の運転を禁止するべきだろう。
  ※ 大型免許を禁止するのではない。トラックはいいが、バスはダメ、と定める。理由は人命を預かるからだ。

 《 加筆 》
 「免許で禁止するのでなければ、どうするのか?」と言われそうだが、もちろん、新規に立法する、ということだ。行政指導ではなくて、ちゃんと立法する。新法で規制する。

 ――

 具体的には、どうするか? 次のような案がある。
 (1) 一律に 70歳の定年制。
 (2) 一律に 75歳の定年制。
 (3) 65歳以上は、運転能力テストでチェックする。


 ここで、運転能力テストというのは、「 GranTurismo 」みたいな自動車レースのシミュレーターでもいい。試験回数を(連続で) 5回ぐらい認めて、そのうちのどれかで高得点を獲得すればパスとする。5回続けて低得点ならば、不許可とする。





 あるいは、事故の起こりがちな場面を設定したシミュレーターを用意して、そのときの反応が正しいかどうかをチェックする。これは、JAF の季刊誌 ( JAF Mate )で「危険予知トレーニング」として掲載されているものに似ている。
 これはネット上でも見ることができる。
  → 住宅街編(危険予知・事故回避トレーニング) | JAF

 YouTube の動画もある。下記。











 これと似たようなシミュレーションゲームで、テストする。そのテストで高得点を取れば、高齢者であってもバスの運転ができる。そのテストで高得点を取れなければ、高齢者はバスの運転ができない。(定年制で不許可になる。)

 なお、高齢者で例外的に高得点を維持する場合にも、最大限で 75歳を上限とするべきだろう。なぜなら、いくら運転能力が高くても、突発的な心筋梗塞による運転不能になる可能性があるからだ。能力よりも生物的な病因ゆえに、運転が不可となる。
  ※ ただし、人命を預かるバス運転手の場合だけだ。トラックや自家用車は、適用の範囲外だ。



 [ 付記 ]
 ついでだが、軽井沢のスキーバス事故では、高齢の半素人運転手がバスを運転したのが、事故の主因だった。そのときの運転手の年齢は 65歳だった。



 【 関連サイト 】
 トラック運転手の休息時間の確保の義務づけという法律改正。
 トラック運転手の長時間労働の是正に向け、勤務と勤務の間に義務づける休息期間(勤務間インターバル)を、現在の8時間から9時間に延ばすことが決まった。さらに11時間を「努力義務」として新たに設定する。厚生労働省の有識者検討会が8日にまとめた報告書に盛り込まれた。
( → トラック運転手ら「休息11時間」努力義務に 24年から:朝日新聞




 [ 余談 ]
 先日の幼稚園児の死亡事故で使われたバス。

 隣家の人が駐車場のバスを見ていたそうなので、もし窓のシールがなければ、車内が見えるので、動いている園児に気づいていたかもしれない……ということらしい。


 
posted by 管理人 at 22:50 | Comment(8) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
幼稚園バスの場合、現状では一種免許で運転できてしまうので免許のみで縛ることは難しいですね。(運転手募集のときは二種免許を求める場合が多いですが、法的には一種免許でも運転できてしまう。事件の送迎バスも白ナンバーですよね?)警察から通達でも出してもらうしかないですね。
Posted by とおりがかり at 2022年09月10日 01:42
 《 加筆 》 の箇所を書き足しました。
 行政指導ではなく、新規に立法する、という話。
Posted by 管理人 at 2022年09月10日 07:25
 冒頭の「幼稚園の運営体制が何重にもダメだったとわかる。」のリンク先を修正しました。 【 追記4 】 というのは誤りなので、 【 追記3 】 に修正しました。
Posted by 管理人 at 2022年09月10日 07:31
タクシー運転手にも、かなり高齢の方を見掛けます。
Posted by けろ at 2022年09月10日 11:50
 タクシーって、あんなにたくさん走っているのに、その割には事故を聞きませんね。さすがにプロ意識かな。信号などでも、タクシーの運転手は安全に徹していますね。素人とは段違いだ。
Posted by 管理人 at 2022年09月10日 12:08
可愛らしいシールでごまかされてますが、発想は中から外が見えないよう目隠しをするということ。
警察の護送車と同じ発想で園児を犯罪者かなにかだと思ってたってことですよ。
この園長大変評判が悪かったようで意図的に取り残して閉じ込めたんじゃないですかね
Posted by ファミマ at 2022年09月10日 20:44
タクシーの事故、重大事故(=死亡)に限っても低いとはいえないと思います。

走行距離1億kmあたりの事故件数
タクシー: 129.2
自家用:46.9
乗合: 34.3
トラック:23.6
貸切バス:19.3
走行距離1億kmあたりの死亡事故件数
タクシー: 0.55
自家用:0.32
乗合: 0.20
トラック:0.41
貸切バス:0.74
https://www.mlit.go.jp/common/001393908.pdf

Posted by とおりがかり at 2022年09月10日 20:48
バス運転者に占める60歳以上の割合は12.2%(2016年)とのこと。
あるバス運転手さんのブログによれば所属している営業所のバス運転手の34.7%が60歳以上とのこと。
これからさらに上昇傾向は続くでしょうね…

https://www.travelvoice.jp/20161213-79678
https://ameblo.jp/busdriver-diary/entry-12697285732.html
Posted by とおりがかり at 2022年09月10日 20:59
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