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幼稚園児が自動車内に置き去りにされて死亡した事故があった。先に言及したとおり。
→ 園児の車内放置の対策: Open ブログ
この再発を防ぐ方法として、専用の車内センサーが提案されている。朝日新聞の記事にある。
子どもの車内置き去りは海外でも大きな問題で、置き去りをセンサーなどで検知し、事故を防ぐシステムへの注目が高まっている。車載向けセンサーを開発、生産するIEE(ルクセンブルク)のバス用製品は2020年に量産を始め、米国ではスクールバスへの搭載が増えているという。三洋貿易は「運行管理者はコスト負担を懸念している様子がみられるので、システムの普及には補助金などでコスト負担をおさえることが必要だ」としている。
( → バス降車時に園児の照合せず 不在気づいた職員、連絡せず 園側、安全管理不備認める:朝日新聞 )
どういうものかと思って調べると、こうだった。
2020年、世界初の車載子供置き去り検知センサーを量産化しました。IEE社は10年以上前から子供が車内に
取り残され、熱中症のリスクにさらされている事の問題を認識していました。
この社会的課題をIEE社のセンサー技術で防ぐソリューションをご提案致します。
・ 乗員の動きを検知する乗用車向けミリ波レーダーセンサー
( → VitaSense | 三洋貿易株式会社 )
この宣伝を見る限りでは、「乗用車向け」のミリ波レーダーのセンサーがあるだけのようだ。
動画を見ても、乗用車用だけであって、バス用はないようだ。まあ、もしかしたら、バス用もあるのかもしれないが、どうも心許ない。
念のため、英語サイトを見てみたが、内容は日本語版とまったく同じだ。情報量は多くない。新たな情報は得られない。
特に、新車に搭載されるだけなのか、(後付けで)既存車にも搭載可能であるのかも、不明である。
ただ、一般販売していないことからして、「後付けは不可能なのだろう」と推察される。
以上のことからすると、コスト的にもかなり不利であると見込まれる。特にバス用は、大量販売が見込めないので、かなり高コストになるだろう。1万円以下ではできそうにない。
とすれば、この機械は、あったとしても、とうてい普及しそうにない。(特に既存車には。)……困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「(自動車用の)車庫の防犯センサーを、バスの車内に設置する」

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これは屋外用の防犯センサー(人感センサー付き)だ。こういうものを、バスの車内に設置すれば、「人の動き」を検出して、警告の信号を発することができる。防犯センサーならば、ライトが点灯する。警報音が鳴ったり、録画が開始することもある。
一方、屋内用の人感センサーもある。こちらはコンピュータ対応のソフトで制御が可能で、用途は多用途だ。
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ともあれ、上記のような機械がある。こういう機械を使えば、車内にいる幼児を人感センサーで検出することが可能だ。一時的にはシートの裏に隠れているとしても、車内の通路を動けば、ちゃんと検出されるはずだ。
さすがに、動けずに倒れているのまでは検知できないが、歩けば検知できるはずだ。赤ん坊には無効だが、歩ける幼稚園児には有効だと言える。できれば人感センサーを二つ設置すると、より確実になる。
このような既存品を使うことのメリットは、二つある。
・ 既存車両にも搭載可能だ。
・ コストが安くて済む。
かくて、このような機械を使うことで、所定の目的(置き去り園児の検出)は達成できる。
[ 付記 ]
本項で示したのは、「機械によって検出する方法」である。
一方、「機械によらずに人間によって(確実に)検出する」のを促す機械、というのもある。前回項目の [ 付記4 ]の例がそうだ。
( バスの最後部に、アラームが鳴るのを止めるスイッチがある。そのスイッチを押すために、運転手がバスの最後部まで行く……というシステム。)
詳しくは下記。
→ 園児の車内放置の対策: Open ブログ
【 追記 】
人数あわせをする目的で、「定期券を使う」という方式もある。
幼稚園が園児に定期券を発行する。定期代は無料でいい。園児は乗車時と降車時に、機械に定期券をかざす。機械はそれを計数する。乗車した人数と降車した人数を計数して、一致しなければ、警報を鳴らす。
※ これと似た案で、「乗車時に靴を脱がす」という方式がある。
→ 「園バス土足禁止」。 降りる時に靴を返すので靴が残っていたら絶対に気づく
この方式は、靴を脱がして履かす手間が大変だ。そこで、計数だけに特化したのが、上記の案(定期券方式)だ。
※ 「非接触電波方式( Suica 方式)だと、機械の導入コストが大変だぞ」という心配がありそうだが、大丈夫。QR コードを印刷したカードを使えばいい。園児にはカードを渡すだけでいい。バスには QR コードの読み取り装置を置けばいい。これはコストはあまり高くない。(バーコードでも済む。どっちでもいい。)
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なぜなら今回のケースですでに使われていたからです。
https://srad.jp/story/22/09/07/1456244/
> 園児にQRコードを持たせて登園時に読み込む出欠確認システムが導入されていた
ということなので、「バスの乗車と降車のときの読み込み」とは違って、降車後の入園のときに読み込むシステムであるようです。
いずれにせよ、チェックシステムを多重化して、チェックしたデータの不整合を検出するようにすれば、エラーは見つかります。
登園したというデータと、園内の毎時の出欠のデータを照合すれば、不整合はすぐに見つかります。
今回は、その照合がなされていなかった。データはあっても、データの不整合を調べる体制がなかった。
読んでいる途中で、私もそう思いました。
バスに乗る園児が一人一枚カードを持っていて、
乗る時に運転手なり同乗の職員なり大人に渡す。
カードを持った大人が降りる時に園児一人一人にカードを返す、
手元にカードが残っていれば、まだバスに残っていることになります。
ラミネートカードでバス乗車カードとして作れば格安で済みます。
何のシステムも要らないですし。
園児が降りたあとで、園児がカードを捨ててしまうかもしれない。それを避けるには、降車した園児から、カードを回収する必要がある。そのための人員が必要なので、そのための人件費がかかる。その人件費を考えると、機械で自動化した方が安上がり。
比喩で言うと、電車の改札口の改札係は、機械を導入しなければ機械代を節約できるが、かわりに人間が必要なので人件費がかかる。機械の費用と人間の費用と、どっちが安上がりか?
「機械を導入しない方が安上がりだ」とは言えない。
p.s.
あとで考え直したら、「カードの回収係は、バスの運転手が兼任する」という方法を使えば、人件費はかからないで済む。ここまでやれば、何とかなりそう。ただし運転手の負担は増える。
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ただし、よく考えたら、乗車中の園児がカードを紛失してしまう事例が多発しそうだ。そのせいで降車時に「カードがない、どこに行った」と探す作業が大量にかかりそうだ。