2022年08月14日

◆ EV の充電器の規制

 欧米に比べて日本の EV の充電器の性能は圧倒的に低い。その理由は? メーカーの技術水準ではなく、日本の法的規制にある。

 ――

 欧米に比べて日本の EV の充電器の性能は圧倒的に低い。欧米では 350kW の充電器が続々と普及しつつある。おかげで充電はあっという間に済む。なのに、日本では 50kW が標準であり、高性能のところでも 90kW であり、 3kW が標準であり、高性能のところでも 20〜44kW であり、 50kW や 90kW は比率的には少しだけであり、150kW は総数でもほんの数箇所しかないようだ。(最近になって 150kW を新設する計画が上がっているが、現状ではほとんどが未配備のようだ。)
 要するに、日本の EV の充電環境は圧倒的に悪い。そのせいで、日本メーカーの EV も欧米では競争力をなくしがちだ。たとえば、IONIQ5 は米国で 350kW の充電を実現している。また、フォルクスワーゲンも 350kW の充電を実現している。だが、アリアは 130kW のモデルしか用意していないので、充電性能では圧倒的に劣る。日本では目立たないが、欧米ではその充電性能の低さが致命的なほどの劣悪さをもたらす。

 ――

 では、どうしてこうなったか? メーカーの技術水準が低いせいか? いや、そうではなく、日本の法的規制が原因だ。次に記事に記してある。
 200キロワット超の高出力充電にEVを対応させるには、車両側にも大きな変更を迫られる。EVの電池電圧を現状の2倍となる800ボルト以上に高める必要がある。
 日本でEVを800ボルトに対応させるには規制の壁も立ちはだかる。電力設備の取り扱いなどを定めた法律で、一般人が扱うEV用充電器については電圧を450ボルト以下にすることを求めている。ABB日本法人の石川雅康エレクトリフィケーション事業本部長は「欧米にはこうした規制はないため、800ボルトに対応したEVと350キロワット充電器の導入が進んでいる」と説明する。
高出力化に伴う充電時間の短縮化は、EVの競争力を左右する重要な要素とみられている。日本も急いで対応しなければ、激しくなる一方の世界のEV開発競争に取り残されかねない。

( → ABBのEV急速充電器、日本で4倍1000基 高出力化に強み: 日本経済新聞

 日本では 150kW の充電器が上限となるが、それには理由がある。 350kW の充電器を導入するには、電圧を 800V にする必要があるが、日本では法的規制により、450ボルト以下にする必要があるのだ。そのせいで、 350kW の充電器を導入することができない。だからメーカーは 350kW の充電が可能な車種を出さない。だから日本の EV は世界で伍することができない。
 つまり、日本の EV 製造の足を引っ張っているのは、日本政府なのだ。

 前にも述べたが、日本政府は排ガス規制を導入しないことで、ガソリン車を優遇して、EV車を冷遇する。そのことで日本の自動車会社が EV に転換するのを邪魔している。日本政府が自動車会社の EV転換を阻害している。
  → 欧州車の EV 比率が高いわけ: Open ブログ
 ( ※ 欧米では炭酸ガス規制を導入することで、EV 開発の推進をしているので、日本よりも EV開発で先んじることになった、という話。)

 それと同様に、EV の充電器の法的規制でも、日本政府は EV メーカーの足を引っ張っている。政府が日本の EV 産業の発展を阻害しているのだ。

 《 加筆 》
 ならば、日本の自動車会社が政府に「法律の改正」を要望すればいい。ところが日本の自動車会社は、自ら改正を提案・要望することができない。なぜなら、政府の言うことに唯々諾々と従うという体質になっているからだ。自動車会社は「社会を良くしよう」という発想がない。要望するときは、「減税しろ」というふうに、「金を寄越せ」という要求をするだけだ。乞食根性だとも言える。……こういう腐った体質だから、欧米の自動車会社に劣後することになるのだ。



 [ 付記1 ]
 日本の 150kW の充電器の例として、長野の BMW がある。ここでは日産アリアも充電できるそうだ。





 [ 付記2 ]
 新横浜のヒョンデについては、先に紹介した。
  → IONIQ 5 の日本進出: Open ブログ

 ここには 150kW の充電器が配備されると広報されているが、他社の車種が利用できるかどうかは未定だ、と同店のサイトに書いてある。まあ、たぶん使えると思うけどね。
 横浜に住んでいて、アリアを買った人は、同店を利用するとよさそうだ。

 [ 付記3 ]
 別途、テスラは 250kW の充電器を用意している。だが、これはテスラ専用であるらしく、他社の EV は使えないようだ。
 同社は、欧州と米国では、この充電器を他社にも開放すると表明しており、その準備を進めているそうだ。(ググればわかる。)

 ※ だが、日本はどうやら、蚊帳の外らしい。情報は何も見つからないようだ。
 


 【 関連項目 】
 日本の急速充電器の少なさについては、前にも言及したことがある。
  90kW級の急速充電器は全国に116台しか存在していない
( → EV の急速充電の問題: Open ブログ

posted by 管理人 at 22:09 | Comment(5) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 一部を修正しました。

(誤)日本では 50kW が標準であり、高性能のところでも 90kW であり、
(正)日本では 3kW が標準であり、高性能のところでも 20〜44kW であり、 50kW や 90kW は比率的には少しだけであり、
Posted by 管理人 at 2022年08月15日 06:34
 [ 付記1 ] の前に  《 加筆 》  の箇所を挿入しました。
Posted by 管理人 at 2022年08月15日 09:42
電気関係は経産省所管なので、貿易促進のために内部で調整すれば良さそうなものですが、省内でも縦割りでそういう連携ができないのでしょうかね。
Posted by けろ at 2022年08月16日 14:20
現在EVの充電料金は時間課金なので、より高出力の充電ステーションを設置してもコストがかさむばかりで収益が上がらないのはいかがなものかと思います。EVを当たり前の物にするためには、電力量に応じた課金が必須だと思います。
Posted by のび at 2022年08月17日 18:16
> 現在EVの充電料金は時間課金

 → http://openblog.seesaa.net/article/486914989.html

 以下、引用。

 ――

 充電量課金(従量制)にすればいいのに、認められないのは、 電力会社以外 kwh基準での取引が禁止されてるため。

 充電所の料金が、電力量で課金されるのでなく、充電時間で課金される。とすれば、同じ電力量を充電するのに、時間がかかればかかるほど儲かることになる。逆に、急速充電を実現すると、充電時間が減れば減るほど損をすることになる。しかも、そういうふうになっているのは、規制があったせいらしい。
 日本では政府と民間が一緒になって、EV普及をつぶすのための努力をしているわけだ。一種の自殺である。
Posted by 管理人 at 2022年08月17日 18:20
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ