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急激な天候の変化については、前日の項目で述べた。
→ 天気予報が当たらない .3: Open ブログ
ここで述べたのは主に関東地方のことだが、東北・北陸地方では豪雨があったそうだ。理由は下記。
気象庁によると、3日昼ごろから東北や北陸付近で停滞した前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、新潟県では4日に入り、1時間に100ミリを超えるような猛烈な雨が降り続いて記録的短時間大雨情報が14回発表された。
( → 豪雨、新潟にも一時特別警報:朝日新聞 )
「停滞した前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ」ということが原因らしいが、ありふれた現象に思える。天気予報が急変したことの理由にはならない。「暖かく湿った空気」の質を見誤ったか。
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さて。それはそれとして、本サイトの目的は「どうすれば天災の被害を増やせるか」だ。そして、豪雨については、これまで次の方針を述べてきた。
「川沿いの土地はもともと水害の危険が高いのだから、川のすぐそばに住むのをやめよ。川から離れた場所に住め。どうせ周囲は田んぼだらけなのだから、無理に川のすぐそばに住むべきではないのだ」
今回もこの趣旨で考えた。そこで、考える前に、過去記事を再読してみた。
→ 川沿いの危険地は居住制限せよ: Open ブログ(2016年)
→ 豪雨の被害を減らすには: Open ブログ(2017年)
以上の提言のあとで、政府が似た方針を取った。(2021年)
→ 川沿いの危険地からの移転: Open ブログ
ここでは、本サイトの提言が生かされるように政府方針が取られたので、慶賀するべきことだ……と前半で書いたのだが、後半で修正した。政府の方針は「事前に移転すること」ではなく、「事後に移転すること」だった。水害の前に移転するのではなく、水害のあとで移転することだ。これでは、「馬が逃げたあとで厩の扉を閉める」のと同様であるから、被害の予防には無効である。
今回の例に則して言えば、今回も多大な被害が発生したので、それらの被災地では、「被災者の移転」を促進する施策が取られるのだろう。だが、こんなことをいくらやっても、被害の予防はできないのだ。
( ※ その意味では、上記項目で述べた通り。)
今回の被害はどうだったか? 以前の九州の水害では、50人以上の死者が出たが、今回は行方不明が2名いるが、明白な死者はゼロであるようだ。(現時点で)……その意味では、人的被害は僅少であるようだ。
物的被害はどうか? 朝日の記事では次の例が紹介されている。
「辺り一面泥だらけ。片付けのため人手が欲しい」
山形県境に接し、3〜4日に激しい豪雨に見舞われた新潟県関川村。
3日からの雨で自宅の1階が浸水する被害を受けた。多くの家で1階部分が泥につかった。
室内も庭も泥だらけ。玄関のガラスについた浸水の跡は、胸の高さまであった。
畳や低いところに置いていた家財は買い替えが必要になりそうだという。
( → 一面の泥、豪雨の爪痕 9県の45河川で氾濫:朝日新聞 )
「畳や低いところに置いていた家財は買い替えが必要」ということだから、ありふれた床上浸水と同程度であるようだ。20〜30万円の損害で済みそうだ。
仮に転居するとしたら、毎月5万円以上の家賃を払う必要があり、年間 60万円以上の出費となる。それに比べれば、現在地で現在の家屋を使う方が安上がりだろう。たまに床上浸水があるとしても、毎年ではないし。
今回は「迅速に避難した」ということなので、人的被害はゼロだった。そういうことであれば、特に移転しなくてもよさそうだ。
ただし、将来的には、建て替えを認めるべきではない。「川のすぐそばには住むべからず」という原則は、将来にわたって成立する。現在の住民に限っては、現住所の居住を認めていいが、一代限りにするべきだ。
なお、現地の Google マップは下記。
こんなに川のすぐそばに住むなら、水害は必然だろう。自業自得。
せめてもうちょっと、山の方(川から離れた方)に住めば、被害は激減するのだが。どうせあたりは田んぼばかりなのだから。
[ 付記 ]
朝日の記事では、次の写真も掲載されていた。
ネット上の写真は不鮮明だが、紙の新聞に形成された写真は鮮明だ。そこには「仲屋旅館」「角屋旅館」「たちばなや商店」という看板が見て取れる。その場所を探すと、ストリートビューでは、ここだ。
この湯沢町というのは、苗場の湯沢町とは違って、越後湯沢の方だ。川端康成の「雪国」で知られる温泉街だ。場所は、川沿いではなく、山の裾だ。とすれば、川の氾濫による水害ではなく、山の土砂崩れによる被害だろう。
これは、いわゆる水害とは事情が異なる。朝日の記事は、まぎらわしいね。本文では川の氾濫の話なのに、写真は山の土砂崩れの写真。マッチしていないじゃん。記事のサブタイトルも、「9県の45河川で氾濫」なので、いかにも河川の水害の話だと見せかけているのに。
困った記事だ。だまされちゃう。
【 追記 】
6日の朝日・朝刊には、次の画像が掲載されていた。流木の画像。
出典:朝日新聞
場所は新潟県村上市小岩内だという。Google マップで探すと、ここだ。
明らかに川沿いに近くて、増水したならば川の水流の直撃を受ける場所だ。こんなところに家を建ててはいけないんだよ。
今回、激しい水害を受けたところは、どこもかも「起こるべくして起こった」という場所ばかりだ。「危険な土地には家を建てない」という原則に従えば、どれもこれも避けられた被害だ。
なるほど、と思って感心しかけたが、……
本項に掲載した二つの地図では、いずれも国道 113号線が通っていて、山裾の方まで貫いている。
だから、国道 113号線で山裾のあたりに住めばよさそうだが、田んぼばっかりだ。
駄目なのは都市計画かもね。
本項に掲載した地図は、二つでなく、三つでした。
初めの二つでは、113号線は川沿いでした。この場合は、山裾に行くのは、国道 290号線でした。
三つ目では、113号線が山裾の方に行っている。
だから正しくは、「山裾の方に行く国道(113号線または 290号線)」でした。単に 113号線と記したのは不正確でした。
→ https://bunshun.jp/articles/-/56639
母を探して三千里、みたいな話。
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ここでも、結論はこうだ。
「原因は、山間の川のすぐそばに住むことだ。 https://x.gd/7Ov47
ここの北西 100mには、ほぼ安全な平地があるのに、わざわざ危険な川沿いに住むのがよくない。過去では安全であっても、今後は別の地に転居すべきだろう」
転居費用が問題だろうが、ともかく、今後も同じ地に住む限りは、命を失う危険を考えた方がいい。少なくとも豪雨のときには、地域の避難所に避難するべきだった。上記記事の父母は、運良く助かったが、危機一髪で、死ぬ危険があった。