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トヨタの子会社である日野自動車で、大規模な不正が見つかった。
トラック大手の日野自動車によるエンジン不正をめぐり、外部の弁護士らによる特別調査委員会は2日、少なくとも2003年以降に幅広い機種で排ガスや燃費の性能を偽ってきたとの調査結果を公表した。国土交通省が16年に行った調査に不正はないと虚偽の報告をしていたことも認定した。
国交省によると、日野は現行生産エンジン14機種のうち12機種について、排ガス試験で不正があったと報告した。
トラック大手の日野自動車によるエンジン不正をめぐり、外部の弁護士らによる特別調査委員会は2日、少なくとも2003年以降に幅広い機種で排ガスや燃費の性能を偽ってきたとの調査結果を公表した。国土交通省が16年に行った調査に不正はないと虚偽の報告をしていたことも認定した。
国交省によると、日野は現行生産エンジン14機種のうち12機種について、排ガス試験で不正があったと報告した。
( → 日野自動車、14機種中12のエンジン不正 パワハラ体質も 調査委:朝日新聞 )
三菱自動車と同様の不正かと思ったが、もっとひどかった。三菱自動車の場合は、現場が勝手にやったのだが、日野自動車の場合は、役員が無理やり不正を押しつけたようだ。
高度な性能の達成を役員が要求し、現場は「無理です」と答えたのだが、役員が「無理でも達成しろ」と要求したせいで、やむにやまれず虚偽の報告を出した、ということらしい。
《 役員が強く要求、現場暴走 》
当時の技監(元副社長)の指示を受け、大型エンジンについて目標の達成をめざすことになった。性能は大幅に未達だったが、役員が強く求めたため、開発担当者が燃費データの操作を06年4月にし始めた。
( → 「日野の組織風土に問題」 調査委報告:朝日新聞 )
「性能は大幅に未達だったが、役員が強く求めた」とある。これはもう「捏造しろ」というのと同じである。
現場が「未達です」と正直に報告書を書くと、「達成したという報告書以外はもってくるな」と命じる。実際には達成できていないのに、「達成できた」という報告書を要求する。これは「捏造しろ」というのと同義である。
かつて STAP細胞のときには、女性研究者を日本中が「捏造した」と詰った。本当は、(粗雑さゆえの)ただの実験ミスにすぎなかったのだが、「故意に捏造した悪党!」と詰った。
それに比べれば、今回の日野の捏造は、圧倒的に悪質だ。なのに、STAP細胞のときに比べると、日本が向ける非難の量は圧倒的に小さい。小さなミスを大々的に咎めるのに、人命に関わるような巨大な悪意を放置する。何とまあ、アンバランスなことか。
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なお、この責任は、誰にあるか? 現場が勝手にやったのなら、現場に責任があるだろうが、役員が無理に押しつけたのなら、経営陣に責任がある。
そして、日野自動車の経営陣を決めたのは誰かといえば、親会社であるトヨタ自動車の経営陣だ。特に、豊田章男社長だ。彼がまともな人選をすれば、日野自動車の経営陣はまともになっていたのだろうが、どうにも風通しの悪い駄目な経営となるような人選をしたようだ。
上意下達の気風が強すぎて、「できないことをできないと言えない」という風通しの悪い組織にもなっていた。問題点を挙げると自ら解決を担当させられると考えた事例もあった。社内では、ミスを起こした部署や担当者が会議などで責められる姿を、「お立ち台に上がる」といった言葉で表すこともあったという。
こういった「パワーハラスメント体質」が組織にあると、上司らに押しつけられた「無理」を不正によって達成しがちになる。同様のケースはほかの企業でも見られる。
( → 役員が強く要求、現場暴走 「日野の組織風土に問題」 調査委報告:朝日新聞 )
記事では上に続けて、(同じく不正を起こした)三菱電機や、みずほ銀行でも、同様の組織的問題があったことを指摘している。
だが、それはともかく、日野自動車には、上記のような組織的問題があった。そこには、どうにも風通しの悪い駄目な経営があった。とすれば、そうなるような人選をしたトヨタの経営者に、最終的な責任があったことになる。
とすれば、今回の問題では、豊田章男社長が最終的な責任を取るべきだろう。つまり、辞任するべきだろう。それが当然だ。
ところが本人は、まるで天災であるかのような無責任な感想を述べている。
トヨタの豊田章男社長は、「すべてのステークホルダー(利害関係者)の信頼を裏切るものであり大変遺憾だ」とコメントした。
( → 役員が強く要求、現場暴走 「日野の組織風土に問題」 調査委報告:朝日新聞 )
何をすっとぼけているんだ。これは他人事ではなく、自分自身の責任だろう。ならば「経営責任と任命責任を痛感しています」と述べて、国民に向けて謝罪するべきだろう。なのに、その最低限のこともできていない。
こんな無責任野郎は、さっさと辞任するべし。そして、愚か者である馬鹿経営者が辞任することは、トヨタの社員全体にとっても好ましいことと言える。いまだに水素自動車 なんかにこだわっているような馬鹿経営者がいなくなれば、トヨタという会社の社員全体も幸福になるというものだ。
( ※ 本項は、「猫の首に鈴を付ける」話である。)
[ 付記 ]
社長は弁解するかもしれない。
「オレは自動車とレースのことには詳しいが、トラックのことなんか、ろくに知らん。トラックのことで、うるさいことを言わないでくれ。トラックのことは、知ったこっちゃない」
だが、そう思うのであれば、トラック会社を所有するべからず。そんな無責任な方針をもつのであれば、日野自動車を所有すること自体が矛盾する。自社ではトラックのことがわからないなら、トラックのことを理解している他社に売却するべきだ。たとえば、いすゞ or ふそう あたりに売却すればいい。
あるいは、別案として、トラックのことがよくわかっている優秀な部下を選任して、その部下にトラック事業を全面的に委ねればいい。それなら、その優秀な部下がトラック事業を立て直してくれる。
しかし現実には、そういう優秀な部下を見出せなかったようだ。ならば、次の二者択一となる。
・ 日野自動車を他社に売却する。
・ 優秀な部下を見出せなかったので、自分が辞任する。
このいずれかだ。そして、前者ができなかった以上は、後者を取るしかない。つまり、自分が辞任するしかない。それが論理的な帰結となる。
どっちみち、無能な経営者はやめるしかないんだよ。
【 補説 】
ついでに、前項の続きとなる話。(オマケ)
トヨタが英国から撤退するか否かという問題だが、トヨタはもともと競争力が弱いので、撤退するのが自然だろう。というのは、生産台数に比べて、雇用する人員数が多すぎるからだ。
Wikipedia (英語版)で調べると、英国では、日産の従業員数が 7000人で、トヨタの従業員数が 3800人。生産台数は、前項によると、日産が 44万台で、トヨタが 13万台。一人あたりの生産台数で見ると、トヨタは日産に比べて大幅に劣る。
その理由を考えると、日産は英国でもかなりの大都市に隣接して工場があるのに、トヨタはど田舎のなかで工場が孤立している。これでは部品工場も近くにはないだろう。
トヨタはどうせなら、日産の工場のそばに作るべきだった。遠い異国では、トヨタと日産は協力して、欧州各社に対抗するべきだった。……そうすれば、両社はともに成功しただろう。しかしトヨタには、そういう発想はなかったようだ。
ただ、欧州全体では、トヨタは販売で大きく成功しており、日産は販売で失敗している。英国の状況と欧州での状況は異なる。
今のままだと、トヨタは英国を離れて、欧州に集中するようになるかもしれない。
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なお、欧州といっても、トヨタの工場があるのは、主にフランスで、ヤリスを生産している。英国では、カローラを生産している。
→ 欧州 | 統括会社・生産拠点 | トヨタ自動車
ヤリスばかり生産して、カローラを生産できなくなると、トヨタとしては痛い。トヨタは欧州では販売台数が伸びているが、「ヤリスの会社」になってしまっているようだ。

https://bestcarweb.jp/news/391239?prd=1
この新技術を日野やトヨタと共同開発したのが、静岡県にある、キャタラーというトヨタグループの会社。
https://www.cataler.co.jp/products/diesel/hcscr/
https://www.cataler.co.jp/news/20180608/
そして、キャタラーという会社は、別にディーゼル車用の排ガス触媒だけを作っているわけではなく、ガソリン車用の触媒も含めて、トヨタ車の約8割にその製品が搭載されています。燃料電池車用の電極触媒も開発・生産しています。
https://www.cataler.co.jp/pdf/csr/sustainability-report2021.pdf
今後、この関連で、トヨタやキャタラーまで、「痛くもない腹を探られるような事態」に発展しないことを望みます。
でも、そう言える人は少ないんでしょうね。いろんな意味で。
というツイートを見かけたので、調べてみた。
bZ4X は今、どうなっているか?
> bZ4Xにつきまして、令和4年6月23日にリコールを国土交通省へ届け出しました。現在、原因究明中のため、契約のお申込みを停止させていただいております。
https://toyota.jp/bz4x/
いまだに原因がわかっていないらしい。かなり深刻な事態なのだろう。普通ならば、一瞬で原因が解明されるが、今回は対策が困難なので、手間取っているのだろう。深刻そうだ。代替部品を作れないのかも。
> 不具合の部位はタイヤを取り付けるハブボルトだ。海外市場からの情報で発見した。急旋回や急制動の繰り返しなどによってハブボルトが緩む可能性があり、そのまま走行すると異音が発生し、最悪の場合にはタイヤが脱落する恐れがある。
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2206/24/news071.html
常識的には、ハブボルトが不良なら、別のハブボルトに交換するだけで済むから、対策は一瞬で終わるはずだ。
そうできないとしたら、サスペンションの設計そのもので根源的な問題があるのか?
トヨタはどうもヤバいね。
※ 私のヤマカン(当てずっぽう)で言うと、フロントのストラットサスペンションの横剛性不足で、ハブボルトに過大な力がかかった。ストラットサスペンションの設計変更には時間がかかるので、対策は容易ではない。数カ月かかる。
※ クラウンをいっぺんに4種類も作ったりするから、技術者が足りなくなってしまったんじゃないの?
※ スバル「ソルテラ」への適用有無は不明。
https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/ea9d28e86f0a092eae9aa34be02608bbe1590ab5/?mode=top&fbclid=IwAR095yWrbJcrmI4gItA6pLBf7ozWPTVHPTheaJxrV3LoJaX7sIyIWCS_dd8
だけど、どうせ割り引くなら、自動ブレーキの性能で割り引く方が、はるかに効果的だと思うけどね。優秀な車については、現状の 9%ぐらいでなく、もっと割り引いていいぐらいだ。大幅に効果があるんだし。
現状でも自動ブレーキの割引はあるが、個別ではなく、全車一括しての割引だから、自動ブレーキが高性能な車種でも、あまり割引率は高くない。ここに着目する保険会社が出れば、自動車会社は自動ブレーキの性能をもっと大幅にアップする努力をするんだが。
→ http://openblog.seesaa.net/article/446019307.html
※ 自動ブレーキ保険で、車種別の差がない問題。
→ http://openblog.seesaa.net/article/485038236.html
※ 自動ブレーキ保険で、新車と中古車の差がない問題。
なお、そもそも。政府の自動ブレーキ性能試験そのものが、試験としては欠陥制度である。この試験を抜本的に改革する必要がある。
→ http://openblog.seesaa.net/article/453007394.html
→ http://openblog.seesaa.net/article/459843506.html
衝突したあとでの壊れにくさを見るよりは、衝突の起こりにくさ(自動ブレーキの優秀さ)を見るべきなんだが。……上の保険会社は、やるべきことを間違えている。馬鹿高い設備を導入して、小さな効果。労多くして、益少なし。
→ 日野自動車 小型トラックでも新たな不正 出荷停止 | NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220822/k10013782031000.html
ただし、社長は21年3月に就任したばかりなので、直接の責任は薄い。ずっと社長をやっていたのは、現会長だが、この人は先日、クビになった。
→ 日野、代表取締役会長の下義生氏が退任 会長不在の役員体制発表 - Car Watch
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1419659.html
責任を取らずに居座るのは、トヨタの社長。
> トヨタ自動車の豊田章男社長は「日野自動車の新たな不正の発覚は、親会社としても、株主としても極めて残念に思います。日野自動車がステークホルダーの皆さまの信頼に足る企業として生まれ変われるのか注視し、見守ってまいりたい」とコメントしています。
「親会社としても、株主としても極めて残念に思います」だってさ。まるで他人事だ。そこは「残念に思います」ではなく、「責任を取ります」だろ。何たる無責任主義。
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なお、この不正が発覚したのは、現社長が就任直後に、調査を命じたから。その意味では、現社長は有能だったと言える。
→ https://kuruma-news.jp/post/482296/2
この現社長は、かつてはアクアとプリウスの開発責任者。有能だという経歴はあるね。
https://response.jp/article/2021/03/30/344442.html
ひるがえって、クビになった会長の方は、無能の極み。