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JRがローカル路線の収支を公表した。
JR東日本は28日、管内を走るローカル線の路線ごとの収支を初めて公表した。対象となった35路線66区間すべてが赤字だった。利用者の減少に歯止めがかからず、JR東は廃線も含め、今後の路線維持のあり方について沿線の自治体と協議を進めたい考えだ。
公表したのは、2019年度に1キロあたりの1日の平均利用者数(輸送密度)が2千人未満だった区間。東北地方や新潟県を走る路線が多く、19、20年度の収支を公表した。
( → JR東のローカル線、35路線66区間すべて赤字 収支を初公表:朝日新聞 )
これは 28日のことだが、先立つ 25日には提言が出た。
赤字が続くJR各社のローカル線のあり方について国土交通省の有識者会議が25日、提言をまとめた。1キロあたりの1日平均乗客数(輸送密度)が「1千人未満」などの条件を満たせば見直しの対象になる。廃止は前提とせず、存続やバスへの転換などに向けた会社と自治体の協議を促す。
国の会議が見直しの具体的な条件を示すのは国鉄民営化後では初めて。1千人未満の線区はJR東海を除くJR5社で61路線100区間にのぼる。特急や貨物列車が走る一部区間を除くなど、1千人未満でもすぐに対象にはしない。広域な自治体間での調整が必要なことなども協議入りの条件とした。結果的に鉄道をやめてバス転換するところも出てくる可能性がある。
( → ローカル線、平均乗客「1千人未満」で見直し 国交省会議が目安示す:朝日新聞 )
こういうことなので、「赤字路線を廃止するべきか」という議論が沸いているそうだ。
→ 苦境のローカル線、廃線やむなし? 識者があげる鉄道存続の「条件」:朝日新聞
→ 赤字ローカル線「100年先を見据えた町を」 廃線回避の新たな形は:朝日新聞
→ JR東、ローカル線の収支初公表 福島県内の反応は:朝日新聞
→ 地方、揺れる生活の足 廃線「困る」負担分担模索も:朝日新聞
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この問題については、私は前に何度か言及した。「大幅赤字の路線はバスに転換せよ」と。特に、北海道や四国はそうだ。
→ JR北海道は路線廃止せよ: Open ブログ
→ JR四国は全面廃線せよ: Open ブログ
代替策としては、「バスへの転換」を推奨したが、特に「 BRT への転換」を推奨した。
→ BRT の高速化: Open ブログ
→ JR を分割せよ: Open ブログ
話はこれで済んでいるはずだ。特に言及するようなことはないはずだった。
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ところが、本日の朝日新聞を見ると、只見線の例が出てくる。そこにはこういう記述がある。
JR東は当初、不通区間のバス転換を地元側に提案した。だが、福島県や会津地方の17市町村が「冬は国道が通行止めになる。鉄道が欠かせない」などと訴えた。JR東と県が約90億円かけて復旧後、施設を県に無償譲渡。JRが1日3往復を走らせ、毎年約3億円の施設維持管理費は県と地元市町村が負担する。
( → 地方、揺れる生活の足 廃線「困る」負担分担模索も:朝日新聞 )
冬は国道が通行止めになるということであれば、代替バスは走らせることができない。となれば、前提が満たされないのだから、「鉄道廃止で、バスに転換」ということはできないことになる。
しかし、「冬は国道が通行止めになる」ということが、本当にあるのだろうか? 除雪すれば、通行は可能になるはずだし、札幌でもどこでも、除雪して通行可能にするのが常だが。もしかして、「一時的に通行止めになるだけ」ではないのか?
そう疑ったので、調べてみたら……
本当に冬はずっと通行止めでした。疑ってごめんなさい。
国道252号
急峻な山岳地形であることに加えて積雪が多く、冬季は雪崩や落石の危険性が高いため、魚沼市末沢から県境の六十里越トンネルを挟んで只見町大字石伏字上宮渕までの間は、おおむね11月中旬から4月下旬にかけてのおよそ半年間は全面通行止めとなる。この冬季閉鎖の間、両市町の間は並行する東日本旅客鉄道(JR東日本)の只見線が唯一の交通連絡手段となる。
( → 国道252号 - Wikipedia )
まさしく半年間は通行止めになるようだ。今年の場合は、昨年12月1日から今年7月21日まで、閉鎖が続いたようだ。
→ 国道252号の冬期通行止めについてお知らせします。 - 福島県ホームページ
→ 国道252号・国道352号・奥只見シルバーラインの冬期閉鎖解除等について | 魚沼市
ではどうして、こんなに長く通行止めが続いたのか? 除雪では済まないのか?
Wikipedia の記述には、こうある。
「急峻な山岳地形であることに加えて積雪が多く、冬季は雪崩や落石の危険性が高いため」
なるほど。ただの降雪ではなく、雪崩や落石があって、危険であるわけだ。こうなると、通行止めもやむを得ない。実際、雪はなくとも、次のような看板が立つ。
→ 国道252号 通行止めの甲板
結局、只見線は、日本でも特殊な山岳地帯にあるので、冬季にはバスを走らせることができない。だから、バス転換も路線廃止もできないわけだ。
ただし、これは、相当な特殊事情だと言えるだろう。たいていの場合には、バス路線が通行可能となっているのだから、そういう路線では、路線廃止をしてもいいはずだ。だいたい、90%以上で、路線廃止ができるだろう。只見線のような例外は、10%以下にすぎないだろう。
※ ついでだが、北海道の場合には、原野が多いので、急峻な山岳地帯の路線は少ないようだ。また、四国の場合には、積雪の心配はないようだ。そのどちらでも、路線廃止は可能だろう。路線廃止ができないのは、本州の特別な山岳地帯だけだろう。それも、積雪の多い地帯だ。……そういう地域は、そう多くはないはずだ。
[ 付記 ]
鉄道からバスに転換しても、乗客は増えないどころか大幅減になるところがかなりあるようだ。(朝日の記事にも例がある。)
こういうのは、もともと公共交通の需要が少ないからだ、とも見なせるが、「新しいもの・慣れないものには、尻込みする」という高齢者の傾向もありそうだ。
そこで提案しよう。こうだ。
「バス転換をしてから 3年間は、バスを無料で運行する」
どうせ鉄道では大幅赤字を垂れ流しているのだから、バスを無料で運行したとしても、赤字額は少なくて済むはずだ。そこで、当初の 3年間は、バスを無料で運行する。そのことで、利用を促して、需要を増やす。
「タダであそこに行けるのなら、それで楽しまなくちゃ」
という感じだ。その「あそこ」は、大規模ショッピングセンターでもいいし、温泉でもいいし、老人センターでもいい。そこにタダで通う楽しみを植え付ける。
そして、3年後からは、有料で通ってもらう。
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なお、別案もある。こうだ。
「自治体が JR回数券を購入して、住民にばらまく。このことで、無料の鉄道利用を促す」
なお、そのための費用は、住民税を上げるとか何とか、適当な方法を取ればいいだろう。どうせたいした額にはなるまい。(1人あたり年間2万円程度。夫婦なら4万円。)
これは、住民にとっては「強制的に JRの切符を買わされること」に相当する。ただし、「対価なしで、単に金を払う」というのに比べれば、切符をもらえるだけ、対価があるので、マシである。
なお、対価があろうとなかろうと、JR の収支には影響しない。空気を運ぶのでも、タダで人を運ぶのでも、収支は同じだ。だったら、空気を運ぶよりは、タダで人を運ぶ方が、マシであろう。……それが、この発想の根底にある。
【 補説 】
より根源的に言えば、こういう秘境には人は住むべきではない、と思う。
・ 冬季には道路が通行止めになる。
・ 一年を通じて、鉄道の利用は僅少である。
としたら、冬季には交通の利用がほとんどなくて、ほとんど「陸上の孤島」のような状態になっていることになる。まあ、電車は昼間には3時間に1本は通っているので、病院に通うことぐらいはできるだろうが、急患をすぐに運ぶという具合には行かないだろう。
また、冬季にはトラックも来ないので、食品や日用品の購買も容易ではなさそうだ。(宅配便も届かないかもしれないが、電車でも使って届くのだろうか?)
このような孤立した土地には、なるべく人は住まない方がいい。
正確に言えば、只見線の「入広瀬」から西側では、盆地や人家があるので、維持してもいいが、只見線の「大白川」から東側では、渓谷しかないので、路線は廃止していい。(あとは会津若松まで廃止。只見の周辺も廃止。)
なお、只見町というのは、やたらと人家が多い。まるで地方の郊外部みたいに人家がたくさんひしめいている。
とても秘境とは思えない。ろくに産業もないのに、どうしてだろう……と不思議に思って、Wikipedia を見たら、「かつてはダム建設で人がたくさんいた」ということだ。その後は、どんどん人口が減っているが。
こういう田舎町は、税金を投入して無理に維持するよりは、さっさと廃止する方がいいだろう。引っ越し仕度金を、1戸あたり 500万円給付する方が、トータルでは安上がりになりそうだ。(なぜなら一代限りで済むからだ。一方、このまま維持すると、毎年何十万円もの金を無限に給付し続ける必要が出る。)
《 加筆 》
只見町の人口構成は、下記ページにある。
→ 只見町人口ビジョン
若手人口や生産年齢人口は、ここ数十年の間に激減しており、今では人口の半分近くが老齢人口だ。年金と小規模農作で生きているようだ。自宅があるので、よそに転出することもできず、ここで生涯を終えたい、ということらしい。
こういう人は、日々に電車を利用することもないのだが、「冬には自動車が通れないので、電車に頼りたい」ということであるらしい。
だとすると、電車の廃止も困難になりそうだが、だったら年間2万円ぐらいの(回数券)強制購入ぐらいは受け入れてほしいものだ。


只見線ですが、冬でも鉄道が通れるのなら線路を埋めて公道にすればバスも通れるのではないでしょうか?
でもそれは、山面のそばの車道ではなく、山面から離れた線路ならば、危険は下がりそうだ。だから BRT にするという対案は、十分に考えられそうだ。
となると、残る問題は積雪だ。普通は除雪できるが、年に何回かはすごい大雪になる。それを除雪できるか。鉄道ならばラッセル車で解決できるが、自動車道だとどうか。
そのへんが問題になりそうだ。
https://www.youtube.com/watch?v=8qIkUn8vmEc
https://www.youtube.com/watch?v=um0sUj0Mtbo
https://www.youtube.com/watch?v=8xLY39LD7so
除雪車の能力差かも。鉄道の方が自動車よりも強力だ。重量だけでも大差がある。
鉄道を廃止しがたい例外的な地域が、日本全体では少しは存在する、ということは認めてもよさそうだ。例外があっても、大勢には影響しない。