2022年07月13日

◆ 若者は文字より画像

 十代の若者は文字より画像を好む、ということは前から言われていた。そのことが選挙でも顕著に表れたようだ。

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 十代の若者は文字より画像を好む、ということは前から言われていた。特に instagram や TikTok(動画)を好む。

 ま、それは前から言われてきたのだが、最近ではそれがさらに顕著になって、 twitter すらも「文字だから」という理由で好まれなくなってきているようだ。
 中高生のSNSの主流は今やInstagramです(←ここ重要)「Twitter世論と現実のズレ」を感じる方が多くいますが、高校アカウントを調べて気が付きました。「今の10代の子達、高偏差値の子しかTwitterをやっていない・・・!」

 ざっくり言うと、偏差値60以上の子しかTwitterを活用していません。

 5年前は異なりました。偏差値帯に関係なく大多数の中高生がTwitterアカウントを所有していたと記憶しています。それが、度重なる炎上の影響もあったのでしょうか、クローズドなInstagramに移行して、Twitterは知的な子だけが嗜むSNSに変容しつつあります。
( → 東京高校受験主義さん / Twitter

 なるほど。

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 ではなぜ、そうなったか? もちろん、理由はこうだろう。
 「文字より画像の方が楽だから。いちいち読まなくても、見ているだけで頭にストンと入る」

 これを別の言葉で言え直せば、こうだ。
 「若者は言語力がどんどん退化している」

 たとえば、受験の試験問題を解かせるときには、問題文の意味そのものを理解できないせいで、肝心の「問題を解く」ということ以前に挫折してしまう……という、底辺レベルの言語力しかもたない生徒が増えている。

 このことは、世界各国との比較でも、はっきりと明示されている。日本の生徒は、「数学力や科学力は優れているが、読解力は劣っている」というのが、以前の傾向だった。
 しかし最近では、「数学力や科学力はかなり落ちてきて、読解力はランキング圏外まで大幅に低下した」というふうになっている。
  → (PISA2018)国際学力調査 読解力が顕著に低下 ? 日本教育新聞
  → 日本の15歳が「読解力低下」!?OECD調査があぶり出す学校教育 | ダイヤモンド
  → 日本の高校生の読解力が4位から15位に急落。読解力の高い生徒の特長は?
  → OECD生徒の学習到達度調査 - Wikipedia

 次の話もある。
  → 「教科書が読めない人」は実はこんなにいる | 東洋経済

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 なお、以上のことが、選挙でも反映したそうだ。10代の若者では、やたらと動画に力を入れる参政党の得票率が、際立って高かったそうだ。




 とんでもない阿呆ぞろいの党が若者には支持されてしまう。それも「動画の使い方がうまいから」「YouTuber がいるから」というだけの理由で。

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 ただね。そんな若者にも、同情するべき点はある。
 「スマホだと、日本語入力がしにくい。フリック入力は操作が面倒臭いし、qwerty のローマ字入力は打ちにくい。(文字アイコンが小さすぎるし、ローマ字入力だと二度打ちの手間もかかる。)」

 iPad mini ならば、この問題はない。五十音配列を使えるので、下記のようなカナ入力ができるからだ。


kana-input.png


 これなら文字入力は簡単だ。何のストレスもなく使える。
 しかし、フリック入力や qwerty のローマ字入力は、いくらかストレスになる。だから、こんな入力方式を使って文字を使うのは面倒臭い。……だからスマホを使う若者は、文字よりも画像を好むようになるのだ。
 実は、上記の面倒くささは、中高年にとっても同様である。しかし中高年なら、スマホが面倒ならばパソコンを使う。それならいくらでもキーボードによって文字入力できるから、特に問題ない。もちろん twitter を使うのも簡単だ。
 しかし若者はスマホばかりを使う。パソコンでキーボードを使うということに慣れていない。だから、(スマホの文字入力の面倒くささが理由となって)「文字離れ」や「画像好き」になるのだ。……これは世界でも際立った傾向だろう。(日本の若者ばかりが文字離れをする。)

 ――

 では、それは良いことか? もちろん、悪いことだ。「若者が文字離れをするのは素晴らしいことだ」なんていうふうに若者に迎合する人もいるが、勘違いしている。「若者が文字離れをする」というのは、単に若者が「文盲」に近くなっている、というだけのことだ。つまり若者は、非文明化しているのであり、野蛮人化しているのである。

 ――


 そもそも、言語には、画像とは違って際立った特徴がある。次の (1)(2) だ。

 (1) 自分で発信できる。画像は作るのが大変なので、たいていの人は画像の発信力がない。しかし言語(文字・音声)ならば、誰もが簡単に発信できる。

 (2) 抽象化ができる。たとえば、「愛」「平和」「夢」というような抽象的な概念は、言語では表現できるが、画像では表現できない。

 このような能力は「知的能力」と言ってもいい。そういう能力を高めるように訓練するのが、学校教育の目的の一つだ。ただの一つというより、最も重要な一つだ。ところが、その重要な能力を、日本の若者は失いつつあるのだ。

 そして、その影響の一端として、「 10代の若者は、参政党や、れいわ みたいな、動画に強い政党が好きになりがち」というふうになる。



 [ 余談 ]
 ついでに言えば、立憲民主党は、10代の若者には不人気だ。では、なぜか? 
 私が思うに、「立憲」という文字は「憲」という字が画数が多すぎる。これでは難しい。(画像ばかりを見て文字力の衰えた)若者には、こんな文字は、書けないしだろう。また、読むのも面倒だろう。だから彼らは、「立憲」という名前を覚えられないのだろう。
 とすれば、この文字を党名から除外しない限り、立憲は若者に支持されないだろう。
 そのことを知るには、幼稚園児に漢字トランプみたいな遊びをやらせて、「憲」という字が幼稚園児には好まれない……という事実を理解すればいい。10代の若者と幼稚園児はどちらも、「憲」という字を嫌うはずだ。
 
 《 加筆 》
 「立憲民主党は、10代の若者には不人気だ」ということはない、という批判がコメント欄に寄せられた。そちらを参照。
 データの認識を間違えていたようだ。すみません。

posted by 管理人 at 23:25 | Comment(5) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>ついでに言えば、立憲民主党は、10代の若者には不人気だ。では、なぜか? 
>私が思うに、「立憲」という文字は「憲」という字が画数が多すぎる。これでは難しい。(画像ばかりを見て文字力の衰えた)若者には、こんな文字は、書けないしだろう。また、読むのも面倒だろう。だから彼らは、「立憲」という名前を覚えられないのだろう。
>とすれば、この文字を党名から除外しない限り、立憲は若者に支持されないだろう。

2022年参議院選挙の出口調査によれば、30代〜60代の比例代表投票先は自民>維新>立憲、10代・20代と70代以上はは自民>立憲>維新です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ec4a65b7efb9f4136ccf64e127dbe93b76368fa0

全世代を通して、比例投票先で立憲民主党より自民党の支持率が明確に上回るものの、立憲民主党が特段「若者に不人気」とまでは言えないでしょう。
(むしろ30代〜60代で、維新の後塵を拝したことに危機感を持つべきだと思います)
Posted by アイス at 2022年07月14日 01:38
スマホでの文字入力に言及されてますけど、若者は普通に音声入力でしょう。
これは音声入力知らない年寄りあるあるなんですよね。
まぁ、昔の音声認識は酷かったから、その後の進歩についていけなかった年寄りの悲劇かな。
NHKeテレ2355でサンドウィッチマンのコントでもネタにされてました。サンドウィッチマンってキー入力できない→若者は音声入力で一瞬!
Posted by Google Docs at 2022年07月14日 11:19
 3年前の iPad では音声入力がひどかったので、諦めていたが、最新機種の Android で音声入力したら、高精度で入力できた。進歩していますね。
 音声入力に期待して Android に乗り換えたが、正解だったかも。


 ――

 一方で、ツイッターで「フリック入力」を検索すると、若者はフリック入力を使っている人がかなり多いとわかる。中高年は使えない人が多いようだ。
Posted by 管理人 at 2022年07月14日 11:58
最近では、「数学力や科学力はかなり落ちてきて」
→最初のリンク先をみると2012〜2018年はOECD加盟国内で1位か2位です。
OECD非加盟国まで含めるとランキングは以下の推移のようです。(2000年→2003年→2006年→2009年→2012年→2015年→2018年)
数学的リテラシー:1→6→10→9→7→6→5
科学的リテラシー:2→2→6→5→4→2→5
読解力:8→14→15→8→4→8→15
http://honkawa2.sakura.ne.jp/3940.html

数学的リテラシー、科学的リテラシーについては一時的に落ちたが回復傾向にあるのでは?
読解力については年による順位のブレが大きいと思いました。

最初に管理人さんがリンクしている記事を読むと
「読解力の分野で問題ごとの解答を分析したところ、自由記述で『問題文からの引用のみで、自分の考えを他者に伝わるように記述できていない』などの傾向が見られた」
とあります。
これは日本の(受験)国語での要求事項を日本の中高生がマジメに勉強しているよい証拠だと思いました。
日本の受験国語の指導では主に以下のような指導が行われていますので。
・読解力とは問題文に書かれていることを過不足なく読み取ることである。自分の考えは全く聞かれていないことを銘記せよ。自分の考えを書いてよいのは「小論文」のみである。
・回答の基本は書き抜きである。仮に『自分の考えを述べなさい。』と書かれていても回答者の考えを書くことを採点者は要求していない。むしろ減点理由になる。あくまで問題文の著者の考えをベースに自分の経験などをちりばめて自分の考えのごとく回答すること。

Posted by とおりがかり at 2022年07月14日 17:05
PISAで出題されている問題は昨年からはじまった共通テストの出題形式に近いのですが、国内ではあまり評判がよくないですよね。

共通テストでは国語が最もコンサバで以前の出題形式を踏襲しているので、この出題形式が続くかぎりPISAの読解力のランキングも上がりにくいでしょう。その他の科目は露骨にPISA形式を意識した出題になっているのでPISAのランキングは現状維持か上昇傾向が続くと思われます。

そもそも学力の尺度は世界共通ではないですから(※)日本がPISA形式(≒共通テストの出題形式)をよしとしないのならばPISAの順位など気にしなければよいと思います。

※たとえば日本では理数科目で計算力が重視されますが、ヨーロッパなどでは計算力はあまり重視されません。おおむねヨーロッパ的学力観にもとづいて作問されるPISAの数学的リテラシー、科学的リテラシーでは計算力はあまり問われません。
Posted by とおりがかり at 2022年07月14日 17:20
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