半年前のことだが、大阪の放火殺人事件があった。心療内科に通う患者が、絶望したあげく、放火して、病院にいる26人が犠牲になった。これを再考する。
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半年前の事件だが、半年たった現在の状況を追う記事がある。院長の妹が優しい兄を偲ぶ、という記事。
→ 患者思いの兄、私の手紙も残してた 大阪・ビル放火から半年:朝日新聞
これはこれで人情話になるが、本サイトとしては、安全対策の面から、改めて考えてみる。
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これまでは、次の項目を書いた。3点ある。
(i)こういう絶望犯罪をなくすように、自殺対策で心理ケア・生活ケアをするべきだ。
→ 大阪の放火殺人の対策: Open ブログ
→ 放火殺人と生活保護: Open ブログ
(ii)対策としては、縄ばしごを用意して、窓から逃げればいい。
→ ビル火災からの退避方法: Open ブログ
(iii)ビルには非常階段やスプリンクラーを義務づけるべきだ。
→ 火災ビルの非常階段: Open ブログ
以上のような案を出したが、「決定版」という感じがしない。これで将来の事件の再発を減らす効果はあるが、「撲滅する」というほどの効果はない。もっと強力な方法はないか? 何とかしないと、また再発する。それでは困る。
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「精神科や心療内科の小規模病院については、放火対策のなされた建物に入居することを義務づける」
放火対策の具体的な内容は、上の (ii)(iii) の項目に記してある。「スプリンクラー」や、「非常階段」だ。さらに、「一つの病院に二つの出口」も加えるといいだろう。
今回の放火事件では、それらの条件はまったく満たされていなかった。
・ スプリンクラー:なし。
・ 非常階段:なし。
・ 二つの出口:なし。
こういう環境だから、犯人が放火したとき、逃げ出すことができずに、26人が犠牲になった。
一方、上記の3点があれば、そもそも放火しても火は消えるし、たとえ消えなくても全員が逃げることが可能だった。だから、これらの条件を満たした建物に入居することを義務づけるべきなのだ。特に、精神科・心療内科の小病院には。
※ 大病院は対象外となる。なぜなら大病院はもともと上記の条件は満たされていることが多いからだ。特に、スプリンクラーと非常階段は必ず設置されている。「一つの診療室に二つの出口」というのだけは、できていないこともありそうだが。
※ だけど、大病院の診療室ではたいてい、二つの出口はある。患者用に、正面の出口。看護師用に、裏側の通路。看護師が業務用の裏通路を通るために、部屋には裏口があるのが普通だ。(小病院にはないこともあるが。)
2022年06月16日
過去ログ
非常階段や二方向避難については建築基準法で所管が国交省なので動きは異なることでしょう。
現状では安くて危険な雑居ビルが選ばれるので、もっとまともな建物への移転を促進します。
厚労省の認可基準も規制の一つではありますが。
前コメントの第(6)項は、見ての通りずいぶんと充実していて、過去にいくつもの重大な火災等の事例が思い浮かぶものばかりだと思います。カラオケボックスやネットカフェなんかもありましたね。
もっとも基準をどうしようと、遵法行動がなければ昔々のホテルニュージャパンのように意味がありません。それぞれが適法に運用されていることを審査・検査する体制は、常に貧弱です。知床の観光船もその一端でしょう。
間借りをするクリニックの場合には、施設を改造するのではなく、移転することになります。大家がスプリンクラーを設置して非常階段を付けてくれるはずがないので。
https://x.gd/4UsST
うちの近所の中規模病院が急に閉鎖されたのだが、この規定のせいかもしれない。50年ぐらいたった古い建物なので。ただし時期が 2020〜21年閉鎖だったような気もするのだが、よく覚えていない。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022062100833&g=soc
雑居ビル全般に言えることなので、影響が大きすぎるという判断かもしれません。となると、厚労省ルートで何とかするのが筋でしょうが、別省庁のテリトリーに手を突っ込みたがらないかも。