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概要
ネアンデルタール人との混血については、これまでにも否定的に述べてきたことが多かった。だが、2020年に方針を転換した。つまり、「否定 → 肯定」というふうに考えを改めた。
しかし本項においては改めて方針を転換して、「肯定 → 否定」というふうに戻る。つまり、長く述べてきた方針に戻る。2020年に方針を転換したのは誤りだった、と反省する。結局、元の立場に戻るわけだ。
経緯
どうして方針を再度改めることにしたのか? それは先日、カイ進化論の話をしたときに、ゲノム・インプリンティングの解説をしたからだ。そこでは「哺乳類には異種間交雑はありえない」という原理(*)を説明した。
→ カイ進化論 .3: Open ブログ の (9)
この原理(*)は間違っていない。どこをどう取ってもこの原理はゆるがせにできない。仮にこの原理を否定したら、哺乳類の大進化という事実そのものを説明できなくなるからだ。だから、この原理は絶対的に正しいとして認めざるをえない。
そして、そうだとすれば、「現生人類とネアンデルタール人との混血があった」という学説は、上の原理に反するがゆえに、成立するはずがないのだ。ここまでは論理的必然である。
とすれば、次のように結論できる。
「現生人類とネアンデルタール人との混血があった、という学説は誤りである」
換言すれば、こうだ。
「現生人類とネアンデルタール人との混血があった、という学説には、学術的な誤りを含んでいる」
となれば、残る課題はこうだ。
「現生人類とネアンデルタール人との混血があった、という学説にあるはずの、学術的な誤りを指摘するべきだ」
これがテーマとなった。あとはこのテーマに基づいて、解答を探せばいい。
この解答を探すことは難しいだろうか? この解答があるかないかわからない状況では、何とも言えないので、うまく探し出すことは難しいかもしれない。しかし今や新たな確信を得ているのである。「その解答はある」と。つまり、「その学説には必ず誤りが見出されるはずだ」と。そういう確信を得ている。
人は、宝物があるかないかわからないときには、必死には探さない。しかし、「この狭い領域に必ず宝物がある」と確信できれば、必死に探す。そうすれば、宝物が見つかるのは、時間の問題だ。
ヒント
正解を探すときには、やみくもに探せばいいのではない。すでに重大なヒントを得ている。それは、もともとあった正解だ。つまり、「ネアンデルタール人との混血はなかった」という説明だ。それは、とっくの昔に示していた。これだ。
→ デニソワ人・ネアンデルタール人との混血 2: Open ブログ
ここでは話が整理されていなかった。そこで話を整理する形で、新たに書き直した。下記項目だ。
→ ネアンデルタール人との混血はなかった: Open ブログ
ここから該当箇所を再掲しよう。
ネアンデルタール人 ネグロイド 非ネグロイド
●▲■ ●△□ ●△□
↓ ↓ ↓
●▲■ ○△□ ●△□ネグロイドと非ネグロイドは、ネアンデルタール人との共通遺伝子 ● を持っていた。ところが、ネグロイドは時間の経過とともに、共通遺伝子 ● を失った。(かわりに変異遺伝子 ○ をもつようになった。)一方、非ネグロイドは、共通遺伝子 ● を持ち続けた。
結果的に、ネアンデルタール人と非ネグロイドだけが、 ● を持ち続けた。つまり、別に、両者が交配したわけではない。
ここで、「非ネグロイド」というのは、「コーカソイド」と呼び直してもいい。すると、次のように言える。
「ネアンデルタール人とコーカソイドは、共通遺伝子をもつ。それは双方が交雑したから共通遺伝子をもつようになったのだ、と思えた。しかし本当はそうではない。それらは交雑によって新たに獲得した遺伝子ではなく、古い祖先からずっと共通して引き継がれていた遺伝子にすぎない」
たとえば、人間とチンパンジーの遺伝子は98%が共通する。
→ 人間のDNAの半分はバナナと同じ?: Open ブログ
では、これほどにも遺伝子が一致するのは、人間とチンパンジーが交雑したからか? また、ネズミとは 97%が一致し、魚とは 85%が一致し、ハエとは 60%が一致する。とすれば、人間はネズミや、魚や、ハエとも交雑したのか? ……もちろん、否である。それらの遺伝子が共通するのは、交雑したからではなく、祖先から同じ遺伝子を引き継いできたからだ、というだけの話だ。
そして、現生人類とネアンデルタール人とに共通遺伝子があるのも、同様である。この共通遺伝子は、交雑によって得られたものではなく、単に古い祖先から同じものを引き継いだ、というだけのことなのだ。
以上は、私がもともと採用してきた説明だった。これによって「混血した」という説には否定的見解を取った。
方針転換
ところが、私はのちに、この方針を転換した。というのは、「混血した」(交雑した)という説が正しいと思えたからだ。その説は、下記である。
→ 私たちとネアンデルタール人が交配した事実、なぜわかったのか(更科 功)
ここには、次の解説がある。
つまり、突然変異によってAからTへの変化が起きたならば、【図4】の〈ヨーロッパ人がAで、アフリカ人がT〉となるケースと、【図5】の〈ヨーロッパ人がTで、アフリカ人がA〉となるケースが、同じくらいの頻度で起きるはずなのだ。
ところが、実際にDNAを調べてみると、図4より図5のケースが多かった。アメリカの遺伝学者、デイヴィッド・ライク(1974〜)によると、ある結果では、図4のケースが約9万5000ヵ所、図5のケースが約10万4000ヵ所であった。
もし、9ヵ所と10ヵ所という違いなら、それは偶然でも説明できる。しかし、約9万5000ヵ所と約10万4000ヵ所という違いは、偶然では説明できない。数が大きくなるにつれて、両者の比率は1:1に近づいていかなくては、おかしいからだ。
上に述べたケースでは、ネアンデルタール人とヨーロッパ人が、偶然では説明ができないくらい多くの、変異した塩基を共有していた。そのことが、ネアンデルタール人とヨーロッパ人が交配していたことを、示しているである【図6】。
この説明は妥当だ、と思えた。そこで、私は方針転換した。つまり、上の説明を正しいと認めて、前言を撤回した。
これで話は済んだと思っていた。ところがそうではなかったのだ。先に「経緯」の章で示したように、上の説明は「ゲノム・インプリンティング」の原理に矛盾してしまうからだ。
つまり、上の説明にはどこかに欠陥があることになる。
真相
では、真相は? 改めて真相を探ると、上の説の誤りはあっさりと見つかった。先の「ヒント」の章のアイデアにしたがって真相を探れば、どこが誤っているかはすぐに見つかる。
正しくは、こうだ。
突然変異が起こった段階は、(2) の段階である。つまり、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの共通祖先の段階である。ここで「突然変異 A → T 」 が起こった。
その T という変異遺伝子は、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの双方において維持された。だから、ネアンデルタール人とコーカソイド(ヨーロッパ人)は共通遺伝子(T)をもつ。
一方、ネグロイド(アフリカ人)では、「突然変異 T → A 」 が起こった。だから、ネグロイド(アフリカ人)は、ネアンデルタール人とコーカソイド(ヨーロッパ人)の共通遺伝子(T)をもたない。
※ 以上の説明は、先に「ヒント」の章で説明したアイデアそのものである。
これが真相だ。
従って、次の記述は誤りである。
上に述べたケースでは、ネアンデルタール人とヨーロッパ人が、偶然では説明ができないくらい多くの、変異した塩基を共有していた。そのことが、ネアンデルタール人とヨーロッパ人が交配していたことを、示しているである。
なるほど、たしかに「偶然では説明ができないくらい多くの、変異した塩基を共有していた」とわかる。しかし、共有していたことの理由は、「交雑したから」ではない。「もともと祖先から引き継いでいたから」なのだ。
なのに、そのことを見失ってしまったのは、真実に気づかなかったからだ。真実とは? 「それは、ネアンデルタール人とコーカソイドが新たに得たのではなく、ネグロイドが新たに失っただけなのだ」ということだ。
比喩的に言えば、「左手が何かを得たのではなく、右手が何かを失っただけなのだ」ということだ。そのことが区別できなかったので、人々は勘違いしてしまったのだ。
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人は、思い込みゆえに、真実を見失ってしまうことがある。実にありがちなことだ。
ともあれ、真相は判明した。
※ 論理的に言えば、どちらが真相であるかは、この件だけでは証明できない。しかし、「混血した」という説が論拠不十分であることは、本項の話だけで十分に証明できる。本項で「真相」と示したことの可能性を否定できないからだ。
※ 本項で「真相」と示したことが真実であることの証明は、ゲノム・インプリンティングや、その他の情報をいろいろと組み合わせることが必要だ。しかしそれは、本項では扱わない。
[ 付記1 ]
人々が真相を見失ったことには、理由がある。それは、次の説だ。
「人類は黒人(ネグロイド)から白人に進化した」
これは誤りである。正しくはこうだ。
「人類はコーカソイドからネグロイドに進化した」
ここでいう「コーカソイド」は、エチオピア人を祖先として、ヨーロッパ人に至る人種である。いずれも頭骨が前後に長い。
その後、アフリカではコーカソイドからネグロイドが分岐した。これは頭骨が前後に短くて、顔は偏平である。
一方、アジアではコーカソイドからモンゴロイドが分岐した。これも頭骨が前後に短くて、顔は偏平である。
以上の話は、詳しくは下記。
→ 人類の祖先は白人だ(進化): Open ブログ
※ 「混血があった」という説は、「コーカソイドからネグロイドが分岐した」ということを理解できない。だから、「コーカソイドからネグロイドが分岐したときに、ネグロイドでは突然変異があって、共通遺伝子を失ったのだ」という発想をもてないのだ。
※ 逆に言えば、上の真相(ネグロイドでは突然変異があって、共通遺伝子を失った)のことから、「コーカソイドからネグロイドが分岐した」ということが裏付けられる。つまり、「人類の祖先は白人だ」ということが裏付けられる。
[ 付記2 ]
先に、「産道は狭いので、頭骨は前後に長くない方が有利だ」という話をした。
→ 日本人の顔は平たいのはなぜか? : Open ブログ
ここで述べたことからしても、「頭骨は前後に長い」という形質をもつものほど、進化では古いと言える。つまり、ネアンデルタール人やコーカソイドの方が進化的には古くて、ネグロイドやモンゴロイドが進化的には新しい、とわかる。
[ 付記3 ]
本文中では、ゲノム・インプリンティングの話をした。この件で、さらに話を書き足そう。
「ゲノム・インプリンティングのおかげで、異種間交雑ができなくなる。だから異なる種の分離が進んで、進化がどんどん進んでいく」
というのが、先の話だった。
→ カイ進化論 .3: Open ブログ の (9)
これを言い換えると、(論理の裏を取ると、)こうなる。
「ゲノム・インプリンティングがなければ、異種間交雑ができるようになる。だから異なる種の分離が進まず、進化があまり進まない」
この話の前半の「ゲノム・インプリンティングがなければ」という箇所を削除して、少し書き直すと、こうなる。
「異種間交雑があれば、異なる種の分離が進まず、進化があまり進まない」
これを今回の話に当てはめれば、こうなる。
「ネアンデルタール人との交雑があれば、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの分離が進まず、ホモ・サピエンスの進化があまり進まない」
つまり、「ネアンデルタール人との交雑があれば」という条件の下では、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交雑したまま、同一の種を保ち続ける(亜種同士として遺伝子的に交流する)ので、ホモ・サピエンスという種が独立的に誕生するはずがないのだ。この二つは、たがいに亜種同士の関係となり、ほとんど同じ形質を保ったまま、遺伝子的には連続的に中間種(中間的形態の個体群)が分布しているはずだ。ちょうど、黒人・白人・モンゴロイドの中間的な亜種が世界中に分布しているように。
ところが、現実にはそうではない。ネアンデルタール人はどれも似た形質の一群をなしており、ホモ・サピエンスはどれも似た形質の一群をなしており、両者は懸け離れた別のグループとなっている。次の概念図のように。
(両者が懸け離れていて、別グループをなしている
ことのイメージ図。中間の個体群は存在しない)
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、このようにはっきりと別の形質をもった別の種となっている。それは人種差のある個体が連続的に分布するのとはまったく異なる分布の仕方だ。
このようなことが可能になったのは、異種間交雑がなかったからだ。
このことからしても、「異種間交雑はなかった」ということは、紛れもない事実だと考えていい。
[ 補足 ]
「ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは交雑した」
という説が仮に正しいとすれば、両者は同じ種の亜種同士という関係になる。そうだとすれば、両者の中間的な形質をもつ個体もたくさん存在したはずだ。また、そもそも、両者には根本的な骨格の差はなかったことになる。
しかし化石を見る限りは、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの骨格はあまりにも大きく隔たっている。下記項目を参照。
→ ネアンデルタール人 - Wikipedia
一部抜粋しよう。
骨格は非常に頑丈で骨格筋も発達していた。
このことから推定して、筋力はホモ・サピエンスの2倍以上あったと推定される。ちなみに、これは不思議ではない。ホモ・サピエンス以外の類人猿は、いずれも圧倒的に大きな筋力を持つからだ。
類人猿の上体の筋力に関する複数の研究をみれば、人間に比べチンパンジーは4〜7倍、オランウータンは5〜8倍も強く、ゴリラはなんと12倍も強い。
( → 人間の12倍の力…早い投球や場外本塁打も可能 : 東亜日報 )
ゴリラの握力は平均500kgであるといわれ、動物界の中でも最高の数値を誇っています。人間の握力の平均は男性で約50kg、女性で約30kgなのでその差はいうまでもありません。
( → 動物界最強?ゴリラの握力と筋力・パンチ力について | セレスティア358 )
これが普通なのだから、ネアンデルタール人がホモ・サピエンスの2〜4倍の筋力を持っていたとしても不思議ではない。化石における骨の太さからしても、そのくらいの筋力差があったと推定される。
そして、これほどにも大きな差があるとすれば、とうてい同一の種ではありえないのだ。そのことが化石からわかる。
さらに別の形質もある。
四肢骨は遠位部、すなわち腕であれば前腕、下肢であれば脛の部分が短く、しかも四肢全体が躯体部に比べて相対的に短く、いわゆる「胴長短脚」の体型
これはどうしてか? 合理的な説明はただ一つ。こうだ。
「ホモ・サピエンスは、長距離走に特化した体格をもっていた。手足を長くして、体を細身にした。それは、ライオンやチータのような肉食獣とは正反対で、細身の草食獣(インパラ)のようになるということだ」
ホモ・サピエンスは哺乳類のなかでは珍しく、長距離走に特化した体格をもっている。実際、動物を追いかけて追いかけて、最終的には追いついてつかまえる……という狩猟をしていたようだ。
また、体表に獣毛がなく、皮膚には汗腺が発達していて、体温を下げることができるので、長距離走に適している、ということもある。
一方、ネアンデルタール人は、体格からして長距離走には適していない。このことからして、汗腺は発達していなかっただろう、と推定される。(……骨の形を見るだけでも、そうわかるのだ。)
そして、以上のように、あまりにも大きな形質の差があるがゆえに、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは同一の種ではありえない、とわかる。
ホッキョクグマとハイイログマならば、体の大きさには大差があったが、形質の差はほとんどなかった。だからこれらは同一種だと考えていい。「体のサイズ」「体毛の色」「肌の色」などは、容易に変異が起こるものであって、種の違いを生むほどのものではない。しかし、骨の太さや、頭骨の形の差というのは、根本的に種の差をもたらす。
それゆえ、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは同一の種ではありえないのだ。生物学的な常識で考えるだけでも、そういう結論が出る。
※ 頭骨の形状の差については、Wikipedia を参照。
【 追記 】
デニソワ人については言及しなかったが、事情は同様である。上の図の「ネアンデルタール人」を「デニソワ人」に置き換えればいい。本文中の用語も同様。
要するに、デニソワ人との遺伝子についても、
「共通祖先から引き継いだ遺伝子が、交雑によって流入したと誤認された」
のである。
比喩的に言えば、「亡父から相続した遺産を、結婚相手からもらった金だと誤認された」ようなものだ。「よかったね、いっぱいもらえて得したね、玉の輿だね」と羨ましがられているが、別に、玉の輿ではないのだ。あくまで正当に相続しただけだ。
だいたい、デニソワ人のように遠く隔たった異種との交雑なんて、ありえそうにないと思わないのだろうか?
出典:デニソワ人の分岐は?
彼らはむしろ、「チンパンジーとの共通遺伝子」を計算するべきだった。そうすれば、彼らの計算式によって、「ホモ・サピエンスは、チンパンジーと交雑した」という結果を得るはずだ。魚やハエとも同様に、「交雑した」という結果が得られるはずだ。なぜなら、共通遺伝子があるからだ。( → 前述「ヒント」の章。)
【 補説 】
「真相」の章では、突然変異の説明をしたが、解説が不足していたので、わかりにくいと感じた人もいるだろう。そこで、わかりやすく説明しておこう。
通説では、図4と図5を比較して、「図4の突然変異よりも図5の突然変異の方が多い」(★)と認めた。そこで、(リンク先の)図6のように「交雑があったからだ」と結論した。
なるほど、「交雑があった」と仮定すれば、(★)は説明できる。
交雑があった ⇒ (★)
という論理だ。しかし、この論理では、(★)のこと[後件]から、「交雑があった」ということ(前件)は結論されない。論理の逆順は認められない。
つまり、「 A ならば B 」は、「 B ならば A 」を意味しない。なのに、そこを勘違いしているのが、多くの人々だ。
たしかに(★)という事実はある。しかし、それを説明するのには、「交雑があった」ということは必ずしも必要ない。「共通祖先から受け継いだ」ということでも、(★)のことは説明できる。そのことを、本項では説明した。
以上によって、「(★)のことゆえに、交雑があった」と結論する通説は、論理的に間違っている、と証明できた。(初歩的論理による説明。論理の逆順は成立しない、という説明。)
――
さらに説明しよう。
上のような初歩的な論理ミスをする人が多かったのには、理由がある。次のことを信じたからだ。
「人類の直系の子孫はネグロイドである。そこから派生したのがコーカソイドである」
この説に従えば、こうなる。
「ネグロイドは共通祖先の遺伝子を引き継いだので、共通祖先と共通する遺伝子(A)をもつ。コーカソイドでは突然変異をした遺伝子(T)をもつ」
しかし本項の発想では、こうなる。
「人類の直系の子孫はコーカソイドである。そこから派生したのがネグロイドである」
この説に従えば、こうなる。
「コーカソイドは共通祖先の遺伝子を引き継いだので、共通祖先と共通する遺伝子(T)をもつ。ネグロイドでは突然変異をした遺伝子(A)をもつ」
後者(本項の説)が正しいとすれば、前者(通説)は次のように誤解をしていたことになる。
「共通祖先の遺伝子を A であるとという前提の上で、(コーカソイドとネアンデルタール人で)AからTへの突然変異の起こった量を計算したつもりだった。しかし実は、そこで計算されたのは、共通祖先の遺伝子が T であるという前提の上で、(ネグロイドで)TからAへの突然変異の起こった量だった」
比喩的に言えば、「左手が重くなった量」を計算したつもりだったのだが、実際には「右手が軽くなった量」を計算していたのである。
左手 − 右手 = 10グラム
というような測定をして、
「左手が 10グラム重くなった証拠だ!」
と大騒ぎした。しかし実は、それは、
「右手が 10グラム軽くなった証拠だ」
ということだったのだ。そこを勘違いしてしまったのである。
そういう勘違いをしたのは、「右手の重さは変わっていない」と思い込んでいたからだ。ところが実際には「左手の重さは変わっていない」というのが正しかったのだ。そこを理解しないで、「右手の重さは変わっていない」と思い込んだせいで、真実を見失ってしまったのである。
※ 「右手の重さは変わっていない」≒「白人の祖先はアフリカ人である」
※ 「左手の重さは変わっていない」≒「ネグロイドの祖先はコーカソイドである」
※ この件は、 [ 付記1 ] を参照。
https://jp.reuters.com/article/science-dna-idJPKBN2BV0AA
科学誌ネイチャーに掲載された論文によると、3体の骨にはネアンデルタール人のDNAが
3─3.8%含まれ、約5─7世代前にネアンデルタール人の祖先がいたことが判明。(2021/04/08)
https://wired.jp/2020/12/03/not-so-hostile-takeover-human-y-chromosome-displaced-the-neanderthals-version/
ユーラシアで最も古いネアンデルタール人のゲノムのY染色体の配列は、
デニソワ人のものによく似ていた。一方で、より新しい時代のネアンデルタール人のY染色体は、
わたしたちヒトのものにそっくりだったのである。(2020/12/03)
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/041500228/?P=2
アジア系の大半には、デニソワ人のDNAがある程度含まれている。しかもニューギニア島を含む
メラネシアの人々では特に多く、ゲノムの最大6%にもなる。現代メラネシア人の祖先は、
メラネシアの島々へ向かう途中でデニソワ人と出会い交配したと考えられる。(2019.04.15)
管理人さんのようなエロさと、言語や人種を超えても、自身の欲望を果たすような超人的な精力が必要です(笑)
詳しい説明です。
二つの種が分布している、点状の図もある。
ただ、引用されている更科先生の説明は、
ネアンデルタール人のDNAに一致する箇所が
ヨーロッパ人:アフリカ人=10万4000:9万5000
なので、
確率的にヨーロッパ人の方がネアンデルタール人に近しいことを説明するには、偶然の「突然変異」では説明できない、ということをおっしゃっているのだと思います。
管理人さんがおっしゃる共通の祖先から派生してアフリカ人だけがT→Aとなる場合も、当然あり得ると思いますが、
逆のケース(ヨーロッパ人だけT→A)もあり得るわけで、
ヨーロッパ人だけがネアンデルタール人に近い遺伝子配列になるのは、確率的には偶然では説明できないので、交配したのだという説明かと思います。
共通祖先のDNAが想定と異なっていたケースは、一部あるかもしれませんが、大きな数で確率的に見ると・・・というところでしょうか。
> 確率的にヨーロッパ人の方がネアンデルタール人に近しいことを説明するには、偶然の「突然変異」では説明できない
それはそれで、その通りです。ヨーロッパ人の方がネアンデルタール人に近しいことを説明するには、別の理由が必要です。そのことは、下記で説明しています。
→ ◆ 人類の祖先は白人だ(進化): Open ブログ
http://openblog.seesaa.net/article/435849391.html
ここから一部抜粋。
──
人種の進化の順は、次の順であるはずだ。
ネアンデルタール人 → コーカソイド → ネグロイド
──
上の引用部で示したことが原因です。分岐の順で、コーカソイドがネグロイドよりも遺伝子的に近くなります。詳しくは上記項目を参照。