2022年05月29日

◆ ミュー進化論 (パレオスポンディルス .3)

 前項の続き。
 進化を説明するために、ダーウィン説とは異なる新説を示す。それは遺伝子が一挙に大規模な変化をなす原理を説明する。(「ミュー進化論」と称する。)  【 重要 】

 ――

 概説


 本項では、進化を説明する新しい説を示す。それは進化を遺伝子的に説明するものだ。ここでは新たな原理を示す。
 その原理は、簡単に言えば、「遺伝子発現の、停止と再開」である。比喩的に言えば、自動車のブレーキとアクセルだ。どちらかと言えば、電器製品の OFF と ON みたいなものだ。
 従来の考え方では、遺伝子は常に ON になっていると考える。しかし本項では、遺伝子が ON になることもあり、OFF になることもある、と考える。

 器官の消失は、遺伝子が OFF になることで起こる。
 器官の発生は、遺伝子が ON になることで起こる。
 この二つの事象の間に、長い時間がかかると、休眠している遺伝子は大幅に変化することがある。すると、新たに発生した器官は、元の器官とは大幅に異なる。

 以上の原理によって、次のような現象が起こる。
  ・ ひれがある  → 鰭が消失する  → 四肢が発生する
  ・ 前肢がある → 前肢が消失する → 翼が発生する


 そのいずれにおいても、もともとあるもの(鰭・前肢)がいったん消失したあとで、新たなもの(四肢・翼)が発生する。

 つまり、いったん「消失」という過程を取ることで、大幅な変化が突発的に起こるのだ。
 これは、「微小な変化が蓄積することで、大きな変化が起こる」というダーウィン説とは異なる原理をもつ。

 もう少し正確に言おう。
 小進化については、ダーウィン説をそのまま採用していい。
 大進化については、違う。ダーウィン説では「大進化は小進化の蓄積による」と考えて、そこには「連続的・漸進的な変化がある」と考える。一方、本項の原理では、「大進化は小進化とは別の原理によって起こる」と考えて、そこには「不連続的・突発的な変化がある」と考える。

 本項の発想で核心となるのは、「器官の消失」であり、それをもたらすのが、「遺伝子の OFF 」(遺伝子の発現の停止)である。そのことに留意してほしい。

 ※ なお、どうして「遺伝子の OFF 」が重要であるかというと、OFF 状態であるときに限って、遺伝子は大規模に変化することが可能となるからだ。これを説明するのが「偽遺伝子」という概念だ。


 ダーウィン説


 ダーウィン説は、「突然変異」と「自然淘汰」を原理とする。突然変異によって形質の異なる個体が誕生したあとで、自然淘汰(適者生存)によって生き延びたものが増えていく……という原理だ。
 このうち、後者の「自然淘汰」の方は、特に問題がない。部分的には、形質の不利なものがニッチで生き延びることもあるが、そういう例外は許容した上で、「自然淘汰」という原則を認めることができる。
 一方、前者の「突然変異」には問題がある。「突然変異」を遺伝子的に説明しようとすると、整合性が取れなくなるのだ。

 詳しく述べよう。
 「突然変異」を遺伝子的に説明しようとする。すると、突然変異は遺伝子の塩基の変化として理解される。では、塩基の変化が起こると、どうなるか? 
 今ここで、ある遺伝子の塩基が一つ変化したとしよう。すると、その変異は、環境のなかでは「不利」になるのが普通だ。「ほとんどの突然変異は不利な変異ばかりである」ということがすでに実証されている。
 なぜか? 実は、これは当たり前のことである。なぜなら、今ある遺伝子は、長い進化の歴史を経たことで、最適化されたものばかりだからだ。さまざまな変異の事例は、すでに進化の歴史においてテストされていた。そのすえに生き延びたものが、今の遺伝子なのだ。とすれば、そこから少し変化が起これば、それは「最適化されたものからの逸脱」であるから、「最適ではないもの」となる。したがって、最適化された遺伝子に比べれば、不利になるのが当然だ。
 そして、不利な遺伝子ができれば、そのような遺伝子は自然淘汰によって駆逐されてしまう。たまたま発生しても、世代を重ねるうちに、その変異は消えてしまう。だから、ほとんどの突然変異は残ることもなく消えてしまう。とすれば、進化などが起こるはずもない。あくまで現状維持を保とうとする。

 それでも、たいして有利でも不利でもない変異ならば、その変異が生き延びることもある。とすれば、長い年月のうちには、形質が少しずつ変化していくこともある。たとえば、人種というものは、長い年月の間に人間の少しずつ形質が変異していったことを示している。
 とはいえ、このような変異は、もともとたいして違いのない変異であるから、種を越えるような大変異にはならない。たとえば、黒人も白人もモンゴロイドも、どれもがホモ・サピエンスに属しており、同一の種をなす。交雑することも可能だし、混血して中間的な形質を残すことも可能だ。……こういう変異がいくらたくさん蓄積したところで、種を越えるような進化は起こらない。つまり、ダーウィン説では、「小さな形質の変化」を説明することはできても、「新たな種を生み出すような進化」を説明することはできない。

 ダーウィン説で「新たな種を生み出す進化」を説明するには、「多くの遺伝子が一挙に変化する」ことが必要だ。しかしそれは「突然変異」では説明できない。なぜなら、数理的に考えて、ありえないからだ。
 たとえば、一つの塩基に変化が起こる確率が1万分の1だとしよう。その1万分の1が残ればいいのだが、実際には(不利なので)残らない。
 そこで、二つの突然変異が同時に起こる確率を考えると、「1万分の1」×「1万分の1」だから、1億分の1(10の −8乗) となる。
 同様に、三つの突然変異が同時に起こる確率を考えると、「1万分の1」×「1万分の1」×「1万分の1」だから、1兆分の1(10の −12乗) となる。
 四つの突然変異が同時に起こる確率を考えると、10の −16乗  となる。
 現実には、器官の遺伝子に関与するのは、10個以上の遺伝子となるだろう。となると、10個の遺伝子が同時に変異することが必要になる。すると、その確率は、10の −40乗  となる。しかし、そのような小さな数字は、現実には起こるはずがない。なぜなら、これまでに誕生した全個体の数を合わせても、そんなに多くの数にはならないからだ。(その種の内部で)
 つまり、「好都合な突然変異が起こったから」というような説明では、突発的な大進化を説明することはできないのだ。

 「ダーウィン説は、小進化を説明することはできるが、大進化を説明することはできない」
 というのが、結論となる。なぜなら、「大規模な突然変異」を説明できないからだ。
 結局、ダーウィン説は、遺伝子的に考えると、「数理的にありえない」というふうになって、理論的に否定されるわけだ。

 ※ 「小規模の突然変異の蓄積」は、どうでもいいような変異には成立するが、形質に大きく影響するような変異では、「不利な変異」として、たいていは途中で消えてしまう。たとえば、「前肢と翼の中間形態」のような遺伝子は、ただの「奇形の遺伝子」として、すぐに淘汰されて絶滅してしまう。

 新しい説


 そこで本項では、ダーウィン説に替えて、新たな説を示す。その説の原理は、「遺伝子発現の、停止と再開」である。比喩的に言えば、自動車のブレーキとアクセルだ。どちらかと言えば、電器製品の OFF と ON みたいなものだ。
 従来の考え方では、遺伝子は常に ON になっていると考える。しかし本項では、遺伝子が ON になることもあり、OFF になることもある、と考える。

 器官の消失は、遺伝子が OFF になることで起こる。
 器官の発生は、遺伝子が ON になることで起こる。

 以上のことは、図で説明するとわかりやすい。

 個体発生の過程を、次の図で示そう。

     初期    後期
    ■■■■■■■■■■

 ここでは、個体発生の過程として、10個の ■ がある。左から右へ、次々と個体発生の過程を取っていく。初期には1番目、2番目、3番目……といった過程を取る。後期には、8番目、9番目、10番目という過程を取る。

 さて。ここでヘッケルの説を思い出す。「個体発生は系統発生を繰り返す」という説だ。これに従えば、個体発生の初期にあるのは、進化の初期(大昔)に起こった組織形成であり、個体発生の後期にあるのは、進化の後期(最近)に起こった組織形成である。
 具体的な例で言えば、骨や内臓の組織は、個体発生の初期や中期に形成されるが、末端的な組織(鰭や指など)は、個体発生の後期に形成される。

 そこで、特に鰭について考えることにしよう。鰭が形成されるのは、個体発生の後期である。これを図では、後期の三段階に割り当てよう。次の図のように。

    ← 基 本 →←鰭→
    ■■■■■■■■■■

 初めの7段階は、個体の基本構造を形成するためにある。
 鰭の形成をするのは、最後の3段階である。これはつまり、次のことを意味する。
 「鰭の形成をつかさどる遺伝子が ON になるのは、個体発生の8番目以後の段階においてである」

 鰭の形成をつかさどる遺伝子は、個体発生の1番目から7番目の段階においては、OFF になっている。しかし個体発生の8番目の段階に差しかかると、ON になる。
 以上が、原則である。

 ――

 ところがここで、原則が不成立になるような突然変異があったとしよう。(それは「主遺伝子の停止」というふうにも説明される。Wikipedia では「偽遺伝子」の箇所で説明されている。)

 この場合、鰭の遺伝子が ON にならない( OFF になる)のだから、鰭は形成されない。結果的には、鰭が消失することになる。
 この状態は、図では、次のように示される。

     ■■■■■■■□□□

 個体発生の段階は、10個ある。
 初めの7段階は ON になるので、   ■ と図示される。
 最後の3段階は OFF になるので、 □ と図示される。

 ――

 その後、いったん OFF になっていた遺伝子が、ふたたび ON になる。休止していた遺伝子が、ふたたび働き始める。すると、最後の三つの □ は  ■ に転じる。下図のように。

     ■■■■■■■■■■

 ここで注意。
 ここでは、10個の  ■ があるが、もともとあった10個の  ■ と同じではない。最初の7個の  ■ は共通しているが、最後の3個の  ■ は別の  ■ となっている。つまり、別の遺伝子が働いている。(たとえば、鰭の遺伝子のかわりに、四肢の遺伝子が働いている。鰭が形成されるかわりに、四肢が形成される。)

 見かけ上、10個の個体発生の段階があるという点では同じなのだが、実質的には、最後の3個の段階では異質な個体発生がなされるようになったのだ。

 ――

 ここで問題だ。
 最後の3段階で働く遺伝子は、元の場合と新たな場合では、異なる遺伝子となっている。(たとえば、鰭の遺伝子が、四肢の遺伝子になる。)
 では、そのように遺伝子が大幅に変わったのは、どうしてか? それは、この期間に、遺伝子が休眠していた( OFF になっていた)からである。……ここが決定的に重要だ。
 
 仮に ON になっていたら、どうなるか? その遺伝子が ON になっていれば、遺伝子の変異は、個体の形質の変異となって、発現する。通常、ほとんどの変異は不利であるから、その変異は不利な変異となって、淘汰・排除される。
 しかるに今回は、ON でなく OFF になっている。とすると、遺伝子の変異は発現しないから、淘汰・排除されることもない。つまり、その変異は淘汰されることなく次世代に保たれる。
 こういうことが非常に多数の個体で試行錯誤される。また、長い年月にわたって試行錯誤される。そうすると、遺伝子の変異の組み合わせは、とんでもない多数の例となって試行錯誤される。多種多様な突然変異の組み合わせが生じることになる。
 そうするうちに、あるとき突然、遺伝子の発現が OFF から ON に転じる。すると、まったく新たな遺伝子の組み合わせになった個体が出現する。しかし、その個体は、たいていは「失敗した例」となるので、結果的には流産する。たまに、たまたまうまく誕生しても、不利な形質をもつので、「奇形」となって、うまく生き延びられるない。
 ところが、そのうちのたまたま一つの例では、不利な形質をもつかわりに、非常に有利な形質をもつことがある。こうして、まったく新たな形質をもつ個体が誕生する。(たとえば、鰭のない個体から、四肢をもつ個体が誕生する。)

 要するに、こうだ。
  ・ 遺伝子の発現が OFF になっていると、多種多様な突然変異が残る。
  ・ 多種多様な突然変異のうち、一部が OFF から ON に転じる。
  ・ そのような場合は、ほとんどが不利だが、稀には有利になる。


 こうして、「遺伝子の発現が OFF になる」という状態を経由することで、新たな形質の遺伝子が誕生する。

 図示すると、こんな感じだ。

    ■■■■■■■■■■
          ↓
    ■■■■■■■□□□
          ↓
    ■■■■■■■◆◆◆

 最後の3段階で働く遺伝子は、まったく新たな遺伝子になっている。そして、そういう変化が生じたのは、この三段階で働くべき遺伝した OFF になっていた(休止していた)からなのだ。それだからこそ、大幅な変異が可能となったのである。

 これを器官のレベルで言い換えると、こうなる。
 「鰭が四肢に変化するには、いったん鰭が消失するという過程が必要だった。鰭が消失している間に、遺伝子は多様な試行錯誤がなされて、鰭の遺伝子が四肢の遺伝子になるような変化(進化)が生じた」(両生類の進化)
 「前肢が翼に変化するには、いったん前肢が消失するという過程が必要だった。前肢が消失している間に、遺伝子は多様な試行錯誤がなされて、前肢の遺伝子が翼の遺伝子になるような変化(進化)が生じた」(鳥類の進化)

 以上のようにして、「器官の消失」および「新たな器官の出現」という進化的な現象が、遺伝子レベルで説明されたことになる。

 名称


 用語の話をしよう。
 本項において新たに提唱された原理は、ダーウィン説とはまったく異なるので、新たな名称を付けるのが妥当だろう。提唱者である私が勝手に名前を付けていいので、とりあえずは「ミュー進化論」と呼ぶことにしよう。
 なぜか? 「ミュー」はギリシャ文字の μ を意味する。これは、左下から右上に書くときに、次の書き方を取る。
  ・ 下から上へと行く
  ・ いったん引き返して、途中まで戻る
  ・ 途中からやり直して、ふたたび上に行く

 このように、やり直して再開する、という進み方が、本項で示した進化の過程に似ている。だから、「ミュー進化論」と呼ぶことにするわけだ。ちょっとダジャレっぽいが。
 なお、ギリシャ文字の μ は、英語では mu と書かれる。

 ――

 本項では、「休止している遺伝子」という概念が現れた。これは、本項で独自の発想ではない。この概念は、一般に、「偽遺伝子」という用語で説明される。これは通常の生物学用語である。Wikipedia にも解説がある。
  → 偽遺伝子 - Wikipedia
 詳しくはそちらを参照。



  ※ 以下は補足的な話。特に読まなくてもいい。


 [ 付記 ]
 両生類では、四肢のない幼生の段階がある。鳥類では、それに相当する幼生の段階はない。その違いはどう説明されるか?
 
 鳥類の場合には、四肢のない個体発生の過程は、個体の誕生(卵からかえるとき)よりも前の、胚の段階でなされているので、普通は目に触れないだけだ。
 換言すれば、両生類の幼生の段階は、鳥類の個体発生の途中段階(肺の時期)に当たる。
 両生類は、幼生から成体になるときに、変態が起こる。この変態こそが、鳥類における「個体の誕生」の時期に相当する。比喩的に言えば、両生類の変態とは、「第二の誕生」なのである。この変態という時期を経ることで、両生類は真に「誕生」したと言えるだろう。
 一方、爬虫類以後の生物種では、「変態」の過程は、誕生以前の「胚の段階」に隠されることになった。だから、誕生以後では、「四肢のない段階」は目に触れないことになる。

 ――

 ちなみに、個体発生の過程の画像を示そう。


hecklel-new.jpg
出典:YouTube




 【 関連サイト 】

 本項で述べた話は、実は、今回が初めてではない。下記サイトで、2004年の時点で、すでに記述済みである。
  → 第2部 概要
 このページに記述済みだ。詳しい話を知りたければ、上記ページを見るといいだろう。

 ※ これは私の生物学のページだ。トップページは下記だ。
   → http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/biology/

 ※ 2004年の時点ですでに公表済みだ、ということは、逆に言えば、「 2004年の時点で提唱された仮説が、18年後の現在になって実証された」ということでもある。





【 シリーズ完結・全3回 】  

posted by 管理人 at 16:35 | Comment(6) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
概要としては、木村の中立進化説と同じことを述べているのかと思いましたが、
大きな違いがあると思いました。

offになった遺伝子が、offの間に大きく変化し、突然onになり、
大きく変化するがゆえ遺伝子は奇妙奇天烈な変化を起こし(例として鰭が四肢になる)、
大抵はマイナスとなり絶滅するが、
たまたま環境と合致すれば、大きなプラスとなる(例として陸上脊椎動物の誕生)
というのがopen blog様の解釈でしょうか。

木村の中立進化説は、
遺伝子はonのまま、微小な変化が進み、
それ自体は大きなマイナスではない(大きなマイナスなら絶滅しますね)がゆえに、
微小な変化を重ねることで、その一部は絶滅にはいたらず生き延び、
あるとき環境が激変すると、
それまでの生存に関しては大きな意味お持たない変化が、やおら大きなプラスとなり、
進化史に大きな足跡を残す、というのが私の解釈でず。
Posted by サク at 2022年05月30日 00:07
「ミュー進化論」の解説ありがとうございます。管理人さんの仰る
「ダーウィン説」(ネオダーウィニズム)よりも良さそうですね。

「ヘテロクロニー」(異時性)や「ヘテロトピー」(異所性)と比較した
解説もいただけるとありがたいです。「ミュー進化論」の位置付けが
より明確になるかと思われます。

・脊椎動物の顎が発生・進化するメカニズムの証拠を世界で初めて発見
https://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/press/2002/20020517_1/20020517_1.pdf

・鳥類の進化に関わった DNA 配列群を同定 ―鳥エンハンサーの発見―
https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20170207.pdf
Posted by DDD at 2022年05月30日 01:42
素晴らしい理論だと思います。私のおぼろげな記憶で、遺伝子配列には現在使われていない部分(イントロン)が非常に多くあって、実はその部分も子孫にコピーされているはずです。また遺伝子を蛋白質に翻訳する引き金になる配列(プロモーター配列といいましたかね)があってそれをON/OFFすることで蛋白質の発現量を調節しているはずです。つまり管理人さんが言われる突然大きな変異が起こるための反応機構は確かに備わっていると思います。
 もっときちんと調べられれば良いのですが、いまはできないのが残念です。
Posted by よく見ていまs at 2022年05月30日 13:24
ミュー進化論、たいへん興味深く読ませていただきました。遺伝子発現のON-OFFは、発生の過程や、アリの役割に応じた形態の違いなどで生じているわけですから、非常に納得がいきます。
ヒレがOFFになっている間に変異が蓄積して四肢の情報に書き換わるという場合に、確率論的にどうかという疑問もあります。動かす機構も異なりますし、関節、腱、筋肉など構造にも相当な違いがあります。それぞれに相当する塩基列の書き換えは何箇所くらい必要とお考えでしょうか。それらが整合的に変化するために何らかの「原動力」的な作用は考えられますでしょうか。DNA以外の遺伝要素などの関与は有り得ますでしょうか。
と、現状の疑問は挙げてみましたが特に個別のお答えを求めるものではありません。今後の記事を読み進めるときっと何らかの理解が進むことと思いますので。
Posted by けろ at 2022年06月02日 18:34
> 動かす機構も異なりますし、関節、腱、筋肉など構造にも相当な違いがあります。

 一挙に変わる必要はなく、多段階で変わることでなされます。
 四肢類の進化の図(前項)を見ても、いきなり魚類からサンショウウオ型の両生類になったわけではありません。最初は魚類にそっくりな形状をして、未熟な足をもった個体が出現しただけです。(アカントステガなど)
 そのあとで、ミュー進化論ふうの大進化や、普通の大進化を何度か繰り返した。そういう多段階の大進化を経て、足の構造がだんだん発達していったすえに、まともな両生類ができたのでしょう。
Posted by 管理人 at 2022年06月02日 20:55
 新たな記事

  → ほぼ腕のない新種の肉食恐竜を発見、約7000万年前
 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/052300286/

> 腕(前肢)は胴体からほとんど出ていなかった

> 腕は極端に短く、短い指が何本かありました。獲物の捕獲には全く役立ちません

 ──

 私見では、完全消失でなく、不完全消失であったようだ。機能不全のまま、痕跡器官のように残っていたらしい。特に不利にならなければ、完全消失する必要もなかったのだろう。
 これは、男の乳首が残るのと同様だ。残ることが不利になるのでなければ、あってもなくてもどっちでもいい。だから、そのまま残ることは十分にあり得る。
Posted by 管理人 at 2024年05月24日 23:30
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