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→ 富山市小中学校再編案 岩瀬地区住民から不満の声 相次ぐ - Yahoo!ニュース
→ 富山市小中学校再編案 岩瀬地区住民から不満の声 相次ぐ|チューリップテレビ
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「自分が子供のころはは 6km も歩いたぞ」という自慢(?)を書く人もいるが、大方は「可哀想だ」という同情だ。
特に、「富山は雪国なので、雪の日は大変だ。雪の中を小学一年生が3kmも歩くのは無理だ」という声は、ごもっとも。
ちなみ年間の雪日数は、71.8日である。
→ 気象庁|過去の気象データ(富山)
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それでも富山市が統廃合をしたがるのは、どうしてか? 資料はここにある。
→ 富山市 学校再編情報提供ページ
→ 富山市立小・中学校の適正規模・適正配置に関する基本方針
これによると、「複数学級を維持することで、クラス替えを実施したい」ということが主目的であるようだ。しかし、クラス替えを維持するということが、それほど不可欠な要因だとは思えない。これは「取って付けたような理屈」「体裁を取りつくろっているだけの理由」であるにすぎまい。要するに住民の側には、このくらいしかメリットはないのだ。
では、真のメリットは何か? 住民の側のメリットではなく、行政の側のメリットだろう。つまり「維持コストの削減」である。これが主目的だと思える。
だからこそ、「統合にともなうスクルールバス運行」についても、「検討する」と口先でゴマ化すだけであって、「実施します」とは確言しない。これはまあ、詐欺師が人をだますときの手口である。詐欺師はいつもそうやって、言葉を曖昧にして、ゴマ化すものだ。決して約束や確言はしない。(言質を取られまいとする。)
※ スクールバスの運行の基準は、国の基準では 4km である。だが、これは「国が補助金を出すときの基準」であるにすぎない。自治体が全額負担をするのなら、3km でも 2km でもかまわない。ただし富山市は、スクールバスを運行するつもりがないのだろう。なぜなら、主たる目的は、費用の削減だからだ。「スクールバスを運行する金を出すくらいなら、統合をやめる」と言うに決まっている。それが本音だろう。(お里が知れるというものだ。)
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とはいえ、話がここで終わってしまっては、つまらない。「自治体の言い分が駄目だから却下」、つまり、「単なる現状維持」というのが結論では、話が単純すぎる。
もっとうまい方法はないか? ここでは、住民と自治体とで、「あちらが立てば、こちらが立たず」という矛盾が生じている。この矛盾をうまく解決することはできないか? 困ったときの Openブログで、うまい案を出せないか?
そういう興味が湧いたので、「難問を解く」という頭の体操のつもりで、とりあえず解決を試みることにした。
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具体的に見よう。富山市の提案は、こうだ。
▼岩瀬小を萩浦小に統合する案
▼針原小と浜黒崎小を大広田小に統合する案
▼針原校区を2分割し一方を新庄北に、もう一方を浜黒崎とともに大広田に統合する案
( → チューリップテレビ )
図は 先の PDF にある。そこから抜粋しよう。

これに対応する Google マップはこれだ。
該当する画像を表示すると、これだ。

(1) 上半分の左側に二つの小学校がある。このうち上側が廃止されて、下側に統合される。
(2) 上半分の右側に二つの小学校がある。これが廃止されて、上半分の中央にある広田小に統合される。
(3) 下半分の右側に、一つの小学校がある。これを二つに分割して、一つは下側左の小学校に統合し、残りの一つは、画面の枠外(下方)にある小学校に統合する。
この三つの案があるので、順に考察しよう。
1 岩瀬小学校の廃止
上半分の左側に二つの小学校がある。上側が岩瀬小学校で、下側が萩浦小学校だ。このうち、岩瀬小学校が廃止されて、萩浦小学校に統合される……という案だ。
念のために生徒数を調べると、こうだ。(ググるとわかる。)
・ 富山県 岩瀬小学校 生徒数 → 106人
・ 富山県 萩浦小学校 生徒数 → 265人
これを見ると、岩瀬小学校の生徒数は少なすぎる。106人だから、1学年平均で 20人もいない。これでは学校を維持できなくなるのも仕方ない。現状維持は難しい。
したがって、「現状維持」という住民案は支持しがたい。
かといって、「3km を歩かせる」という自治体案も支持がたい。
住民案も自治体案も、どちらも駄目だ。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。いくつかある。
(i)岩瀬小と萩浦小をともに存続させたまま、生徒数の配分だけを変える。現状は 106人 と 265人であるが、半々になるようにして、175人と 176人にするように配分する。これなら、生徒数が特に少なすぎるという弊害もない。1学年平均で、 29人の学級が1つあることになる。29人ならば、学級規模としては理想的だ。これはこれでいいだろう。
なお、クラス替えはできなくなるが、その点は特に大きな問題ではない。
(ii) 岩瀬小を萩浦小に統合するのでなく、萩浦小を岩瀬小に統合する。大が小を飲むのではなく、小が大を飲む。この場合、岩瀬小はおおよそ地域の中心に位置するので、ここからであれば、どの地域からでも問題ない。統合されても、通学距離はほとんど増えずに済む。
※ 岩瀬小は小さな学校なので、ここに二つ分の生徒を収容するのは困難かもしれない。その場合は、次の (iii) を取る。
(iii) 岩瀬小と萩浦小を統合するが、学年によって所属を変える。小1〜3は岩瀬小で、小4〜6は萩浦小だ。これならば、学校の狭さという問題は解決する。(岩瀬小は萩浦小の分校という扱いになる。)
小4〜6は萩浦小に通うので、北東の地区の子供は長距離を歩くことになる。だが、小4〜6ならば(体が大きいので)、長距離でも耐えられるだろう。
…… 以上、三つの案を出したが、どれであっても、問題は解決可能だ。
2 飛び地の小学校
上半分の右側に二つの小学校がある。これが廃止されて、上半分の中央にある広田小に統合される……という案がある。
この問題はどうか? 地図を見ると、二つの廃止される小学校は、過疎地の小学校というよりは、飛び地の小学校である。まわりには広い田畑があり、そのなかにぽつんと小さな集落がある。そこは小さな集落なので、人口は少ない。それでもかろうじて、小学校が配置されていたが、どんどん人口が減ってしまったせいで、小学校の生徒数が極端に減ってしまった。ほとんど維持できなくなるほどに。
生徒数はこうだ。
・ 富山県 浜黒崎小学校 生徒数 → 88人
・ 富山県 針原小学校 生徒数 → 134人
これらはどちらも数が少ないし、場所は飛び地だ。となると、統廃合はやむを得ないと言える。(そもそも、こんな飛び地に住む方が悪い、とも言える。)
ここでは、現状維持は難しそうだ。となると、統廃合をすることになるが、その場合には、スクールバスの運行をするべきだろう。
「スクールバスの運行を条件として、統廃合を認める」
というのが、最善案となりそうだ。「現状維持」という住民案は、あまり好ましくない。特に、学校全体で 88人というのは、あまりにも少なすぎる。1学年で15人しかいないのでは、健全な学校運営ができそうにない。こういうふうに生徒数の少ない過疎地の小学校では、生徒の学力が大幅に低下するのが普通だ。それは好ましいことではない。
3 針原小学校の分割
針原小学校のを分割する……という案がある。
これも、2(上記)と同様に考えていいだろう。134人という生徒数は、少なすぎる。1学年 22人しかいない。これでは問題だ。そこで、2(上記)と同様に、
「スクールバスの運行を条件として、統廃合を認める」
というのが、最善案となりそうだ。
………………
以上で、回答は終わり。いずれにおいてもきちんと解決案を出した。
※ 現実的には、自治体の目的は「金の削減」なので、「金のかかるスクールバスを出すぐらいなら、統廃合をやめる」つまり「現状維持の方がいい」と言い出すだろう。ま、それはそれで仕方ない。自治体も住民も、それで合意できるなら、それでもいい。
令和3年度予算 20,917,663千円
令和4年度予算 12,692,018千円
その差、なんと82億円以上!
(出典)
令和4年度 予算に関する説明書(富山市)
https://www.city.toyama.toyama.jp/data/open/cnt/3/3392/1/0403yosansetsumeisyo.pdf?20220324095351