2022年05月08日

◆ エロは世界を滅ぼす

 少子化対策が必要だとされている。しかし IT 時代には、人々は虚構世界のエロにのめりこんでおり、現実世界で繁殖活動をしなくなっている。このままでは人類が滅びる。

 ――

 前項では少子化を示す二つのグラフを掲載した。再掲しよう。



我が国の人口構造の変化
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出典:国交省


 このように人口が急減して、生産年齢人口も急減している。
 このままでは日本は衰退する一方である。将来的には、日本の人口は大半が高齢者となり、生産年齢人口は激減してしまう。そうなると、若者も、高齢者も、ともに貧しくなって、共倒れとなり、日本という国が滅びかねない。



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 この最後の図では、1人で1人を支えているが、やがては1人で2人を支えるようになりかねない。中年の本人が、老年の親と、超老年の祖父母を支える、というふうになりかねない。下手をすると、ニートである子を支える必要もあるかもしれない。1人で3世代を支えるわけだ。

 ――

 こうなってはまずい。だから、何としても、少子化を解消する必要がある。それが日本にとって喫緊の課題だ。日本にとって怖いのは、ロシアではなくて、日本内部にある少子化なのだ。これが国を滅ぼす要因になりかねない。(ロシアに襲われたウクライナのように。)

 ところが、政府はろくに対策を取らない。そのせいで、少子化の状況は、悪いままだ。


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出典: NHK


 少子化の度合いは、特に悪化しているわけではないが、ずっと低い水準で低迷している。ということは、人口は低い水準で安定しているのではなく、どんどんスパイラル式に減少しつつあるわけだ。ひどいものだ。

 ――

 では、どうしてこうなったか? 
 昔は、女性は 23歳ぐらいで結婚して、2〜3人ぐらいの子供を産んでいた。23歳から 33歳まで、10年間もあったから、多くの子供を産むことができた。しかるに今や、女性は 30歳ぐらいで結婚するのがざらである。
 平均初婚年齢は、どのくらいか?
 2020年のデータでは、「夫31.0歳、妻29.4歳」である。
  → 結婚の平均年齢は何歳?晩婚化のライフプランへの影響は?
 2022年のデータでは、「夫31.2歳、妻29.6歳」である。
  → 恋愛結婚の人は大概25歳で出会っている残酷現実 | 東洋経済
 こうなると、妊娠可能期間が減るので、少子化になるのは必然的となる。つまり、少子化の真因は、晩婚化なのである。

 ――

 では、人々はなぜ晩婚化していくのか? ここで、私が思いついたのは、こうだ。
 「人々が結婚するのは、繁殖活動をするためである。繁殖活動とは、性行為をすることだ。性行為をする欲望は、特に男では強い。何が何でも性行為をしたい、と思うほどにも強い。特に、若い時期にはそうだ。
 ところが、昔と違って今は、その欲望が ITによって満たされてしまう。無料の AV 動画があふれているし、無料のエロ漫画もあふれている。おまけに、アニメにはかわいい萌え絵の少女があふれて、非モテ男性を疑似恋愛にも誘ってくれる。……こうなると、精神的にも肉体的にも欲望が満たされてしまうので、現実女性と交際して性行為をしようという意欲が薄らぐ」

 要するに、男たちはネット上のバーチャル女性に抜かれてしまうのである。身も心も抜かれてしまうので、現実女性に ♂ を向けることがなくなってしまうのだ。特に、非モテの男性はそうだ。
 昔なら、非モテの男性には非モテの女性がくっついて、うまく結婚できたものだが、今は非モテの男性が、初めから諦めてしまうので、その分だけでも結婚率が低下してしまう。オマケに晩婚化が進む。……というわけで、
 「エロは世界を滅ぼす」
 という状況が成立しつつあるのだ。

 ――

 その前には、「ネットが労働者を効率化する」という状況があった。かくて労働組合の加入率が大幅に低下して、労働組合が弱体化したせいで、労働分配率が急低下して、世界は需要不足による不況と低成長に悩まされるようになった。金が一部の金持ちに集中することで、人類全体の状況が悪化した。その理由は、ネットとIT技術だった。これらがあいまって、人類全体の経済状況を悪化させた。

 それと同様の影響が、エロによっても、もたらされる。エロとIT技術があいまって、日本を初めとする先進国の人口を低下させつつある。特に日本は、経済の低迷とあいまって、少子化の程度がひどい。

 かわいいエロに対抗するすべを持たないと、このままでは人類は滅亡にむかって進まざるを得ない。



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Keeley Hazell






 【 関連サイト 】
 イーロン・マスクが警鐘を鳴らしている。
 イーロン・マスク氏は7日、ツイッターへの投稿で「当たり前のことをいうようかもしれないが、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」と述べた。かねて世界の出生率の低下傾向に警鐘を鳴らしてきた同氏だが、日本に言及するのは珍しい。
 マスク氏は「世界にとって大きな損失となるだろう」と付け加えた。
 マスク氏は17年ごろから「世界の人口は崩壊に向かって加速しているが、ほとんどの人は気にもとめていないようだ」と度々指摘してきた。
( → マスク氏「日本はいずれ存在せず」 出生率低下に警鐘: 日本経済新聞

 日本を dis っているのではなく、日本を心配してくれている。日本にとって最重要の問題が何かを理解している。歴代の首相よりも日本のことを考えてくれている。首相になってほしいくらいだ。
 


 [ 付記 ]
 エロとIT技術の結びつきの形としては、「萌え絵、エロ漫画、AV動画」などが代表的だ。
 だが、今ではもっとすごいのが出ている。仮想現実によるバーチャル・セックスだ。(3D ゴーグル着用)
 これと性感グッズと組み合わせることで、「本物の女性なんかもはや要らない」と思う人も出ているようだ。
 そうなったらもう人類はあっさり滅びてしまいそうだ。



 【 関連項目 】
 少子化については、もうちょっと真面目に論じたことがある。
 「政府の経済政策の失敗のせいで、経済が低迷しているから、少子化が進行しているのだ。特に、非正規労働者が増えていることが問題だ。若年層の所得を下げて、結婚を困難にしているからだ」
 というふうに。(本項と重なる部分もある。)
  → 経済成長と少子化対策: Open ブログ
  → 少子化の原因は意外にも……: Open ブログ
 
 また、ずっと以前の記事だが、少子化のことを論じた項目もある。
  → なぜ昔の人は結婚できたか?: Open ブログ
  → 晩婚化・非婚化の理由: Open ブログ

 
posted by 管理人 at 23:13| Comment(4) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは管理人様の鋭い指摘ですね。

女性の高学歴化・職場における男女平等化も大きいのではないでしょうか。
女性が高校や短大を出てちょっと働いて結婚ではなく、四年制卒業が当たり前となり、これだけでも短大と2年差が出ます。また男女平等のため女性も男性と同じく全国転勤が当たり前となり、男性と同じ働き方が求められ、たとえ結婚しても働き続けるのが当然の中、産休を取って子供を産むのがせいぜい二人までとなってしまっています。

あちら方面のバーチャルが充実すると、もしかしたら風俗街が無くなってしまう等のいい面があるかもしれませんが、便利になればなるほど経済が衰退するという矛盾を解決するのにはどのようにすれば良いのでしょうか・・・
Posted by 港北 at 2022年05月12日 19:42
いつも楽しみに読ませていだいています。

管理人さんも少子化の原因は晩婚化とおっしゃいましたが、私も晩婚化が少子化の主要因と考えていて、晩婚化の原因は新卒一括採用制度なのではないかと考えています。男性のエロパワー(?)はあんまり…関係ないかな…と。

北欧に住む友人の妻は、20代前半までに子供を3人産み、20代後半から大学に通って30代で就職ということをしています。フィンランド人で5か国語をマスターしている、大変聡明な方でした。

日本の高学歴女性はどうしているかというと、私が知る限り、妊娠しないように気をつけながら大学卒業と同時に就職、10年キャリアを積み生活が安定したところで、35歳前に結婚&第一子出産というパターンが多いように思います。
あと、男女ともに日本人は就職すると、途端に勉強しなくなる方が多いように思います。

新卒一括採用が無くてもスキルさえあれば十分稼げる、社会人になってから本当の勉強が始まる、というのが世間の常識になれば、少子化は改善するのではないかと感じています。

管理人さんはそう言った切り口ではいかがお考えでしょうか?
Posted by ジョン・ヘンリー at 2022年05月13日 13:19
 一国の文化的慣習を変えるのは、ちょっと手に余る感じです。政府にとっても一般人にとっても。

 私の推奨は、女性雇用率の増加に応じて、法人税を減免することです。労働者のうち女性の比率が 50%ならば中立。50%以下ならば増税。以上ならば減税。
 この比率を大幅に上げると、企業は否応なしに女性雇用率を上げざるを得ない。そうなると、産休を取った女性をいっぱい雇用するしかない。
 
Posted by 管理人 at 2022年05月13日 13:28
ご返信ありがとうございます。
新卒採用という慣習を変えずに、産休/男女の育休制度の拡充で徐々に…というのは非常に現実的だと思います。

出産適齢期と、高等教育&キャリア形成の期間がどうしても重なってしまうので、昔のような人口増は難しいかもしれないですが、せめて緩やかな人口減であってほしいですね。
それがこのエントリーの男性のリアルエロパワー(?)がエンジンとなるのでしょうけれど。
Posted by ジョン・ヘンリー at 2022年05月13日 17:19
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