※ 最後に 【 追記2 】 あり。若干、修正・補充しています。
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話の発端は、これだ。ポニーテールが似合わない、という話。
ポニテが似合う横顔と後頭部が欲しい? pic.twitter.com/A627l16tQZ
— 炸裂 (@g0mi_ka5u) May 2, 2022
→ ポニーテールが似合う横顔と後頭部が欲しい…!と描かれたイラストに共感するみなさん「後ろの首筋の線一本で理想と現実の違いを生み出してて凄い」 - Togetter
ポニーテールが似合うのは、白人のような頭部(頭蓋骨)を持つ人だ。一方、日本人は、前後長が短い。鼻は突き出ていないし、頭は絶壁頭だ。これではポニーテールが似合うはずもない。
では、どうしてそうなのか?
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これについては、前に論じたことがある。コーカソイド(白人)とモンゴロイド(日本人を含む)は、頭蓋骨の形が異なるのだ。コーカソイドは前後長が長く、モンゴロイドは前後長が短い。
→ 人類の祖先は白人だ(進化): Open ブログ
このことは、「鼻頬角」という用語で説明される。Wikipedia に説明がある。
鼻頬角(びきょうかく)とは、左右眼窩の外側縁と鼻根部を結ぶ直線がなす角度のことをいう。 鼻頬角は、顔の曲率を調べる方法の一つである。
コーカソイドで136度から141度であり、モンゴロイドでは140度から150度である。 絶滅したネアンデルタール人では136.6度であった。
( → 鼻頬角 - Wikipedia )
以上を比較すると、角度順に並べて、次のようになる。
ネアンデルタール人 < コーカソイド < ネグロイド
こうして、角度についてこの順序が成立し、そのことで、進化についてこの順序が成立することが推定される。
ついでだが、「顔の平べったさ」は、「顔の丸さ」にほぼ合致する。逆に、「顔の鼻頬角の狭さ」は、「顔の細長さ」にほぼ合致する。
( → 人類の祖先は白人だ(進化): Open ブログ )
以上のように説明された。頭蓋骨の形は、人類(ホモ・サピエンス)の進化の途上で、少しずつ変化していったと見られる。
なお、脳容量は同じなので、頭部の前後長が短くなれば、高さまたは横幅が拡大する必要がある。どちらかと言えば、全体が球形になる方が自然なので、実際に、モンゴロイドの頭部は球形に近くなった。つまり、高さでなく横幅が拡大した。
このことから、モンゴロイドの顔は(面長でなく)丸顔になっていったと言える。
前後長が短くて、丸顔になると、そういう顔は洋人から見て、平たい顔に見える。
そこで、漫画「テルマエ・ロマエ」では、主人公(イタリア人)が日本人を見て、「平たい顔族」と呼んでいる。
※ 実はこれには裏話がある。漫画「テルマエ・ロマエ」の作者(日本人)の夫(イタリア人)が、日本人を見て、「平たい顔」と感じたのだ。そのことを作者は作品に取り入れたわけだ。本人談。
ともあれ、頭蓋骨の形には、次の差がある。
・ 白 人 …… 前後長が長い。幅狭。面長。
・ 日本人 …… 前後長が短い。幅広。丸顔。
このような違いが、「ポニーテールが似合うか否か」に影響していると言える。
ただし、これをもって「日本人は不利だ」と思う必要はない。なぜなら、平たい丸顔は、子供っぽいかわいい顔になりやすいからだ。逆に、面長で細長い顔は、大人っぽくて、かわいらしさが足りない。
その例は、アニメの顔を見るといい。アニメの美少女の顔はたいていが「平らな丸顔」である。顎はとがっているが、基本的には丸顔である。決して(左右幅の狭い)面長ではない。
→ アニメ 美少女 - Google 検索
一方で、現実の白人女性は、たいていが面長である。
→ cuty white girl - Google 検索
かわいいアニメ顔というのは、平らな丸顔であって、面長の顔ではないのだ。ポニーテールの似合う顔(面長な顔)は、アニメでは主人公にはなれそういないのだ。
※ 現実には、ポニーテールの美少女はアニメにも現れる。それは、二次元アニメが現実を無視した頭蓋骨になっているからだ。「丸顔なのに前後長が長い」という、現実にはありえない頭蓋骨になっているからだ。……鉄腕アトムの髪型 や スネ夫の髪型と同じで、現実にはありえないものがアニメでは描かれる。
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さて。以上で説明は済んでいるように思えるのだが、このあとで驚愕の事実を語ろう。
日本人の顔は、平たい丸顔だが、それは、近年になってからのことなのだ。具体的には、明治時代以降のことだ。それ以前(江戸時代以前)には、日本人の顔は平たい丸顔ではなくて、面長の顔だったのだ。[ 衝撃の事実! ]
このことは、浮世絵でも確認される。浮世絵の美人画や役者絵は、みんな面長である。
→ 浮世絵の美人画 - Google 検索
→ 役者絵 浮世絵 - Google 検索
どうしてそうなのか、不思議に思えていたのだが、実は、作者があえてデフォルメしたのではなく、実際にそうだったのだ。平たい丸顔を面長にデフォルメしたのではなく、実際に当時の人々は面長だらけだったのだ。
このことはどうしてわかるかというと、当時の遺骨が発見されて調査されたからだ。その報告は下記にある。
顔立ちは、横顔の彫りの深さ、あごのきゃしゃさ加減が骨からわかる。今は小顔なうえに才槌(さいづち)頭から絶壁頭に変化している。中世から江戸、明治の初めまでは才槌頭で、後ろがぴょこっと出ていた。前後が長いから上から見るとラグビーボールのような頭だったが、今の人はサッカーボールみたいなシルエットパターンになっている。
( → 骨が語る日本人の歴史 )
【才槌頭】 …… 木づちの形に似て、ひたいと後頭部が突き出ている頭。
( → 才槌頭とは - コトバンク )
ではなぜ、明治期に急激に頭蓋骨の形が変わったのか? 著者はそれについて「頭の変化は決定的理由がわからない」と述べているだけだ。つまり、お手上げである。問いはあるが、答えはない。謎だけが残る。困った。
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい説を出そう。こうだ。
「人類の出産は、難産である。頭蓋骨が大きい割には、産道が狭いので、赤ん坊の頭蓋骨が、産道を通りにくいからだ。ここで、頭蓋骨の形が楕円形から円形(球形)になれば、産道を通りやすくなる。つまり、頭蓋骨が球形になると、安産になる。その分、出産しやすくなり、多産になりやすい。だからこそ、頭蓋骨が球形であるという人々の方が、産まれる数が増えて、数の上で多数派になる。こうして一国全体では、球形の遺伝子が増えるという形で、遺伝形質が変化していく」
人類の産道は狭い。一方で、赤ん坊の頭蓋骨は大きい。胴体よりも頭蓋骨の方が大きいほどだ。しかも、その頭蓋骨は、前後長が長い楕円形である。これではどうしても難産となる。そこで、頭蓋骨が楕円形から球形になることで、難産が安産になるのだ。頭蓋骨が球形であることには、そういう意義があるのだ。
そして、多子多産が奨励される政策が取られると、難産よりも安産の方が多子多産になりやすいので、安産タイプの人口が増えていくのだ。
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上の説は正しいか? 調べてみると、この説を裏付ける数字がある。
明治期以降には、「富国強兵」というスローガンの下、出産奨励策が取られた。
明治時代、近代国家として出発した新政府の富国強兵策や人口・衛生政策……
新政府は子どもを”生産力”と捉え、国や家の経済発展のために育児を奨励していくようになります。
( → 助産師の部屋 助産師の歴史 | 日本看護協会 )
このような方針は、第二次大戦中には顕著で、1941年には「産めよ増やせよ」という方針が取られたほどだ。それほどではなくとも、明治期以後には出産奨励策が取られていた。
その結果、どうなったか? 出生率が上がって、人口の急増が起こった。このことは統計で明らかになる。
明治の初めのあとで、人口の急増が起こっている。この時期はまさしく、日本人の頭蓋骨が変化していった時期だ。つまり、出産の増加(≒ 人口増)と、頭蓋骨の変化は、同時期に起こっている。
このことからして、上の説は正しい、と推定できる。
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結局、日本人の顔が平たい丸顔であるのは、昔からそうであったからではなく、明治期以後の出産奨励策が理由だったのだ。出産奨励策のおかげで、多子多産になったが、そのとき、平たい丸顔(= 球形の頭蓋骨)の方が、安産であったがゆえに、多子多産に向いていたのだ。こうして、「平たい顔族」の人々の方が、たくさんの子供を生んだので、日本人では「平たい顔族」の人々が多数派となり、面長の人々は少数派となっていったのだ。
このように説明できる。
[ 付記1 ]
人種差と日本人のルーツを比較すると、こう言える。
「モンゴル人は、日本人と同じような平たい丸顔が多くて、日本人とほとんど区別できない。一方、中国人は、日本人に比べて面長の顔が多くて、日本人とはいくらか違う」
( ※ Googleの画像検索で「モンゴル人」「中国人」を見た結果である。)
日本のルーツを探ると、縄文人のルーツは中国南部人だったが、弥生人・古墳人のルーツはモンゴルや韓国だったようだ。そのうち、前者の人々よりも後者の人々が、明治期以後に多子多産で増えていったことになる。そのように説明できるだろう。
[ 付記2 ]
戦後には(多産推奨をやめたのに)日本人の人口が急増した。それはなぜか? 出生率が高かったからではなく、平均寿命が急上昇したからだ。(つまり高齢者人口が急増したからだ。)
このことは、統計的に判明している。
日本人の平均寿命
出典:立命館大学法学部
これはまったく別の現象である。人口の増加はあったが、頭蓋骨とは関係ない。
【 追記1 】
「そうではない」という否定論がコメント欄に寄せられた。
なるほど。ごもっとも。それはそれで合理性のある反論だ。
本項とコメント欄を合わせて、「仮説とその否定」というふうに読んでほしい。
※ なお、仮説が否定されると、日本人の顔が平たいことが説明されなくなってしまう。別の理由が必要となる。それはまだ見つかっていない。
※ もしかしたら、上の仮説を修正すると、何とかなるかもしれないが、不明。
※ 球形の方が脳容量が大きい、ということは統計的に明らかになっている。極東アジア人の脳容量は、たの人種よりも少しだけ多い。とはいえ、1%程度の差であるにすぎないので、淘汰の差(優劣)をもたらすほどの形質差ではない。だから、脳容量以外の理由を見出す必要がある。
【 追記2 】
修正案ができた。以下の通り。
出産のときには4回の回旋がある。そのうち最後の第4回旋では、産道の出口が縦長になっている。そこでは球形よりも楕円形の方が有利である。だが、そこは制約要因ではない。なぜなら、そこは比較的広い産道だからだ。
一方、最初の第1回旋では、産道がすごく狭い。そこでは頭蓋骨が無理やり上下に変形してしまうぐらい、産道が狭い。
→ 説明図
→ 解説
この状況では、頭蓋骨は楕円形よりも球形の方が有利となる。
要するに、第4回旋でなく第1回旋が制約要因となるので、頭蓋骨は楕円形よりも球形の方が有利となる。(難産対策で。)
※ 間違って、次項の末尾に加筆したので、次項から移転しました。
→ https://x.gd/xxc1D
似た者同士ということか。正面から見たときとは、印象が違う顔だね。
人間の骨盤を上から見ると、骨盤入口部は横長です。腸骨は横に張っていますし、前後に恥骨と仙骨がありますから当然です。ところが、産道の一番下のレベルでは、縦長なのです(詳細は省きます)。なので、赤ちゃんの頭は最初は横向きで下りていき、そこから90度回旋して、産道から出る時は縦向きになるのです。
次に肩が下りていきますが、こちらは頭と90度違っていて、横長です。これも回旋していきながら出て行きます。
頭が球形だと、かえって難産となるかもです。少なくとも楕円球が難産ということにはならないと思います。人間の体はそれに対応して作られているのです。
ご参考になれば幸いです。
最後の 【 追記1 】 で言及しました。
https://jsprs.or.jp/member/disease/congenital_anomaly/sokiyugo.html
もちろん、新生児でも頭のかたちはいろいろで、上のような「長頭」もあれば、いわゆる「絶壁頭」もあれば、左右でいびつな「斜頭」というのもあるみたいですね(下の URL の記事を参照)。どのタイプの頭がそれぞれどれくらいの割合か、というデータは見つけられませんでしたが。
https://epark.jp/kosodate/enjoylife/k-baby-head-shape_10852/
それで、上の記事によると、
・生後7〜8か月頃までは、頭の骨が柔らかく、変形しやすい
・9〜11か月頃に、それまでよりぐっと頭が大きくなり、安定した状態になってくる
・1歳〜1歳半頃に、頭の形状がある程度定まってくると考えられている
だそうです。それなので、まあ少なくとも明治期以降の親は、その頭のかたちが変化しやすい時期は、赤ちゃんをいろんな向きに寝させたり、ドーナツ枕を使ったり(これは近年)、ごく最近は矯正ヘルメット(というのがあるらしいです)を使ったりして、赤ちゃんの頭を、均等な球形に保とうと努力するみたいです。私がまわりの子持ち家庭を観察する限り、どうも日本では、絶壁頭が忌避されるのはわかるとしても、才槌頭も良しとされない、つまり均等な球形がいいと考えられているようです。
ということは、頭のかたちは出産のしやすさとはあまり関係なく(出産のしやすい頭のかたちの人が増えるという仮説ではなく)、もし球形の頭が明治期以降、とくに戦後に多くなったのだとしたら、それは後天的にそうなったのではないでしょうか。
ひょっとしたら、日本では、中世から近世、明治の初め頃までは、赤ちゃんは横向きに寝かせる(上の記事によると、長頭が維持されてしまうらしい)ような風習(というか、そうならざるを得ないような住居・寝具などの環境)があって、明治期以降は、西洋風の生活習慣か何かによって、仰向きに寝かせることが多くなったのでしょうか。
さすがに戦後になってからは、頭蓋骨の形を矯正しよう、という人はほとんどいないと思いますが。私は、そんな話は聞いたことがないし。
なお、次の記述はあります。
> 1992年に米国小児科学会が乳児突然死症候群(SIDS)の予防を目的として乳児をうつ伏せ寝から仰向け寝にする推奨キャンペーン(Back to Sleep campaign)を開始してから、劇的に斜頭と短頭の赤ちゃんが増加しました。
https://atamanokatachi.com/about-positional-skull-deformity/
矯正する親は、多くても、人口の数パーセントではないかな。大部分には関係しないと思えます。
> 中世から近世、明治の初め頃までは、赤ちゃんは横向きに寝かせる(上の記事によると、長頭が維持されてしまうらしい)ような風習
もしそうだとすると、横向きの左右非対称によって、左半分がつぶれたり、右半分がつぶれたり、いびつな頭部の人がいっぱいできているはずだが、そんなことはない。
https://japanmedicalcompany.co.jp/aimet/
今は、赤ちゃんの頭の歪みをわざわざ?測定するアプリもあったりします。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.japanmedicalcompany.aimet&hl=ja&gl=US