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本項では、「思考の枠組みを崩す」という方針を取る。いわば「発想の転換」だ。その上で、
「同性婚は LGBT の権利を守る」
という既存の発想を否定して、
「同性婚の否定(排除・禁止)が LGBT の権利を守る」
という正反対の発想を取る。
この話の核心は、次のことだ。
「同性婚とは、 LGBT の性行為を守るためにあるのであって、 LGBT の愛情を守るためにあるのではない」
人々は「同性婚は LGBT の愛情を守るためにある」と思っている。しかしそれは正しくない。「同性婚は LGBT の性行為を守るためにある」のだ。
そして、「同性の性行為を守る」ということは、国家的にはまったく必要のないことだ。だからこそ、「同性婚は必要ない」と言えるのだ。
以上が核心である。以下では詳細を述べよう。
※ 単純に言えば、「カマを掘る」のを、政府が推奨するべきかどうか、という下ネタふうの話になる。人々はあえてそのことに目をふさいでいる。そこで、「目をふさぐな。真実から目をそむけるな」というふうに語るのが、本サイトだ。
結婚とは
まず、結婚とは何か? それは「家族制度を守るためのものだ」と保守派は信じている。だが、家族制度などは近代になってからできたものであって、歴史的にはいろいろと変遷をたどっている。時代ごとに変化するものであって、守るべき対象などではない。
結婚の本質は何か? それは「性行為の相手を限定すること」である。つまり、「一夫一婦制の下で、夫婦外との性行為をしないこと」である。簡単に言えば、「不倫をしないこと」である。これを守らせるために、結婚制度がある。
逆に言えば、結婚制度がないと、浮気や不倫のし放題となる。そうなると、子供は誰の子供かわからなくなる。すると、子供には母親だけがいて、父親がいないことになる。(父親が不明であることになる。)
こうなると、父親が自分の子供に財産を引き継ぐこともできなくなる。それは父親にとって都合が悪い。だから妻の性行為の相手を夫だけに限ることで、父親が自分の子供を確認できるようにした。……これが結婚制度の発祥であり、家族制度の発祥だ。そしてまた、保守派の人々が「家族制度を守れ」ということの理由でもある。
ただし、こういう保守派の思惑は、どうでもいい。私としては、保守派に賛成するわけではない。大切なのは、次のことだ。
「結婚制度を優遇することで、国家が夫婦間の性行為を推奨する」
ここで言う「性行為」とは、「セックスの歓びを得ること」という意味ではなく、「繁殖活動をすること」という意味である。それは国家的規模で言えば、「少子化対策」だと言える。
ここでは「少子化対策」に着目しよう。これが非常に重要だ。なぜなら、今の日本では人口が激減しており、国家が衰退しつつあるからだ。
昨日,衝撃を受けたのですが,日本の生産年齢人口 - 総人口の過去データと2065年までの推計値 (総務省統計局の日本の統計 https://t.co/gnP7RYzQRZ の人口の推移と将来人口) をプロットしたら,1995年から2020年はつるべ落としのように働く世代が居なくなり,2025年からは日本市場が激縮するという… pic.twitter.com/dqxdaGHujM
— Yuta Kashino (@yutakashino) May 3, 2022
我が国の人口構造の変化

出典:国交省
このように人口が急減して、生産年齢人口も急減している。その一方で、高齢者年齢の人口比(割合)はどんどん上昇している。
これでは国家は衰退する。そして、その理由は、少子化だ。
だからこそ、少子化を阻止するために、「繁殖活動」を推奨する必要がある。つまり、「性行為」を推奨するということだ。特に、(不特定多数でなく)夫婦間の性行為を推奨するということだ。……それがつまり、「結婚」という制度の意義である。
※ 婚姻外の性行為は推奨されない。なぜならそれは、妊娠中絶という結果になることが多いからだ。そして、妊娠中絶は、しばしば母体を傷つけて、女性の妊娠能力を奪う。これでは少子化対策には逆行する。
※ 特に日本では、妊娠中絶に、危険度の高い方法(母体を傷つける方法)を採用している。安全な妊娠中絶法が禁止されている。( → 出典 )……そういう非科学的な状況にあるのだ。その意味でも、妊娠中絶は推奨されない。
同性婚とは?
結婚制度の意義はわかった。では、同性婚とは何か?
同性婚の本質は、「同性で性行為をすること」である。だが、同性で性行為をしても、それは「繁殖活動」にはならない。同性同士がいくら性行為をしても、同性同士では妊娠・出産は起こらないからだ。とすれば、それを禁じる必要はないが、それを政府が推奨する必要もない。
異性の結婚についてなら、「産めよ増やせよ」というふうに、政府が推奨する必要があるのだが、同性婚については、同じことは言えないのだ。同性婚では妊娠・出産は起こらないからだ。
その意味で、同性婚を政府が推奨する必要はない。必要性が少しはあるのならともかく、必要性はまったくないのだから、このようなものは否定した方がいい、と言えるだろう。
( ※ 罰則を付けてまで同性婚を禁止する必要はない。だが、政策的には推奨しないという意味で、政策的には否定した方がいいだろう。「政策の選択肢から完全排除する」というふうに。)
なお、同性婚の制度がないと、同性愛者については、不倫や浮気がやり放題となる。その点では、異性婚とは著しく異なる。
異性婚の場合には、不倫や浮気がやり放題となるのはまずい。社会的に困る。だからこそ、結婚という制度が導入された。(前出)
しかし同性婚の場合には、不倫や浮気がやり放題となっても、異性婚をする人々には影響しない。同性愛者がどれほど不倫や浮気をしようと、それで困るのは同性愛者だけだから、異性愛者が迷惑を被ることはないのだ。一般社会が困ることはないのだ。だから、同性愛者の不倫や浮気は放置していい。その意味で、「同性婚」を導入する必要性はまったくない。(異性愛者にとって)
同性愛者の権利
しかし、異性愛者の都合だけを考えるのは不公平だ。異性愛者にとっては「同性婚は必要ない」と言えるとしても、同性愛者にとっては事情が異なる。同性愛者にとっても、結婚制度のような形で権利を保護されることは大切だ。
なるほど。それはその通り。だからこそ「同性婚を導入せよ」という運動が起こった。
しかし、注意。「同性愛者の権利を守れ」ということであれば、同性愛者の要件は、「同性間の愛情」だけであって、「同性で性行為をすること」までは要件とならないのだ。
同性愛者は、同性の相手を愛することができればいいのであって、同性の相手と性行為をすることは必ずしも要件とならないのだ。
たとえば、次の同性愛漫画がある。
→ 私は絶対大学で彼女を作るー!なハッピースピード百合コメディマンガ『どれが恋かがわからない』 - Togetter

ここでは、女性が女性を好きになる話があるが、同性で性行為をすることは話に入っていない。同性愛と性行為は必ずしも一致しないのである。
要するに、同性愛者において守られるべき権利は、同性の愛情についての権利だけであって、同性の性行為については権利とならないのだ。
換言すれば、政府は同性愛者が愛しあう権利を尊重するべきであるが、政府は同性愛者が性行為をすることを優遇する必要はないのだ。(性行為をしても、子供を産めないからだ。)
同性家族制度
以上のことから、次のように結論できる。
「政府は、同性愛者の性行為を優遇するべきではないが、同性愛者の同性愛を尊重するべきだ」
このことを政策的に言えば、こうなる。
「政府は同性愛者について、結婚制度(同性婚)を導入するべきではないが、家族制度(同性家族制度)を導入するべきである」
つまり、同性愛者については、「夫婦」としての関係を認定しないが、親子や兄弟のような「家族」としての関係を認定すればいいのだ。
具体的には、こうなる。
・ 相続のときには、夫婦同様でなく親子同様の優遇をすればいい。
・ 入院や法的代行のときには、家族(親子)としての優遇をすればいい。
ちなみに、相続のときの控除率はこうだ。
→ 配偶者は1億6000万円相続税額が軽減!配偶者控除のデメリット
配偶者には、非常に高い控除率(控除額)が認められている。だが、このような大きな控除は必要ない。同性愛者は「子供を産む」という繁殖活動をしていないのだから、政府がことさら(繁殖活動の推奨という名目で)同性婚を推奨するべきではないのだ。
同性愛者の相続優遇をするくらいなら、むしろ、莫大な相続税を徴収して、その分、少子化対策に回した方がいい。同性愛者が相続税で何億円も節約できるように制度を整えるよりは、相続時に多額の金をむしり取って、その金で未婚の母に生活援助した方がいい。それこそが、なすべき政策だと言える。
だから、同性愛者には、「配偶者としての特別な優遇」は必要なく、単に「家族としての優遇」だけがあればいいのだ。(相続時には)
入院や法的代行も同様である。同性愛の家族が、入院したり、介護施設に入所したりするときには、同性家族は、家族としての権利を行使できればいいのであって、特に配偶者としての権利を行使する必要はないのだ。
結論
「同性婚」は、「同性愛者の性行為を優遇して促進する」という制度だが、そんなものは政府が推奨する必要はない。
「同性家族」は、「同性愛者が愛しあう(家族として暮らす)こと」の権利を認める制度だが、それは導入するべきだ。それは LGBT の人々の「人間としての権利」を認める制度だからだ。(基本的人権の一種)
そして、前者でなく後者の形を取ることで、自民党などの保守派の人々にも、うまく容認してもらいやすくなる。つまり、実現性が高まる。これこそが、賢い方針というものだ。
※ 一部の自治体で認証がなされる「同性パートナーシップ」というものは、本項で推奨される同性家族制度に該当する。ただし法的権限が付与されていない点で、同性家族制度よりも効果が弱い。というより、ほとんど効果がない。紙切れ1枚程度の意義しかない。
※ なお、「パートナー」という概念は、二人で一対のものなので、概念的には狭すぎる。3人以上で形成される同性家族もまた、同様に容認されるべきだ。
→ 同性愛の男性3人が家族に コロンビア、初の「ポリアモリー婚」 :AFPBB
→ 3人で親になりました──新しいファミリーの広がり | GQ JAPAN
【 関連項目 】
「産めよ増やせよ」という日本の政策については、前項も参照。
→ 日本人の顔は平たいのはなぜか? : Open ブログ
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同性婚の制度問題については、前にも何度か言及した。本項の話とはいくらか趣旨が異なるが、矛盾するほどでもない。同性婚については部分否定という点では共通する。
→ 同性婚の法制化は不可能: Open ブログ
→ 同性婚よりも養子制度: Open ブログ
→ 同性婚よりも養子制度 2: Open ブログ
→ 同性婚と憲法: Open ブログ
同性愛を基本とする本人たちの幸福追求のための、および゛社会の最小単位としての「同性家族制度」を認めるべき。← 賛成です。
これを一歩進めて、社会を恒久的に維持させる機能として「同性婚制度」を認めてほしい、それゆえに「同性婚」にも異性婚と同等のさまざまな社会的権利を与えてほしい、というカップル(3人以上の集団を含む)に対しては、それらを認める・与える代わりに、その人たちが「子どもを産む」という行為はできなくても、「子どもを1人以上育てる(できれば大学まで卒業させる)」という行為を課してはどうでしょうか。すなわち、「里親の役割・責任を課す」ということです。
日本の「里親等委託率」は、徐々に増えてはいるものの2017年でもまだ20%程度(下の@)で、約80%の子どもが養護施設などで暮らしているみたいです。この委託率の実績は諸外国に比べて低い(下のA、2010年のデータ)ようなので、こんなことを考えてみました。
@https://shakaidekosodate.com/archives/4032
Ahttps://www.huffingtonpost.jp/2016/06/03/foster-parents-key-assets-_n_10287830.html
それは行政経費を減らすだけであって、新たな生命をもたらすことはありません。少子化解消の意味はありません。総数は変わらないまま、育てる場所を変えるだけです。
→ https://lgbt-japan.com/partnership/
たとえば東京都渋谷区は、6年間で 64組 だけ。月に1組に満たない。
この制度は、口先だけの効果しかない。相続や病院手続きでの効果はない。何のメリットもないことをやる人はほとんどいない、というだけのことだ。
やはり、法的に実効性のある制度(同性家族制度)の整備が必要だ。