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トヨタ bZ4X のサブスクの詳細が公表された。
→ トヨタ初の量産EV、サブスク価格発表 月額8万8220円から - ITmedia NEWS
これを見て、「高い」「がっかり」という人が多いようだ。
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特にひどいのは、下記だ。
・ 5年目までは、中途解約で解約金が発生する。
・ 電池性能の保証(10年20万km/電池容量70%)に料金が発生する。
(1) 解約金
解約金が発生するのなら、それは「サブスク」ではなく「リース」である。名称を間違えている。というか、「優良誤認」をさせるものであり、「不当表示」だと言える。一種の詐欺だ。(「サブスク」ならば「解約金なし」が含意されるのが普通だからだ。)
(2) 電池性能の保証
電池性能の保証が有料だというのは、ひどすぎる。普通はこれは本体料金に含まれるからだ。
換言すれば、本体料金から「電池性能の保証」の分だけを省いて、その分、本体価格を下げていることになる。本体料金を過剰に安く見せかけている。
「bZ4Xの本体価格は600万円」とのことだが、現実には、この保証料の分だけ、実際価格は高いことになる。その分を 30万円とすれば、真の本体価格は 630万円であることになる。630万円ものを「600万円」と見せかけて、実際に販売するときには「630万円」を徴収するわけだ。これはもう、詐欺ですね。詐欺同然というより、れっきとした詐欺だ。トヨタが詐欺をするようになるとは、トヨタも落ち目になったものだ。
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さて。以上のことは、私が以前に予想したとおりだ、と言えるだろう。再掲しよう。
トヨタの bz4x の価格が正式発表された。
(引用:略)
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1402195.html
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リース販売では 600万円 とのことだが、リースによって手数料を得る分、見かけ上、本体価格が割安に見えている。現金で買おうとしたら、630万円ぐらいが妥当だと言えそうだ。
とすると、私が前に述べた「650万円」という予想は、おおむね、ドンピシャリだということになる。
> bZ4X は 650万円ぐらいだと見なすのが妥当だろう。戦略的に安くしたとしても、600万円がいいところだ。500万円以下なんて、夢のまた夢だろう。
http://openblog.seesaa.net/article/484361864.html
( → トヨタの bZ4X の価格発表: Open ブログ[コメント欄] )
ここでは「リースによって手数料を得る分、見かけ上、本体価格が割安に見えている。現金で買おうとしたら、630万円ぐらいが妥当だと言えそうだ」と述べている。
それがまさしく現実化したと言えるだろう。
・ 真の本体価格は 630万円ぐらいだが、600万円と表示する。
・ 別途、電池保証料という名目で、余計な料金を徴収する。
・ その料金を隠蔽するために、サブスクという制度を利用する。
こうして実際より 30万円も安く見せかける。しかし本当の本体価格は 630万円なのである。(私の予想通り。)
[ 付記1 ]
日産アリアはどうか? トヨタみたいにひどくはない。
・ 車両本体価格は 539万円〜 である。
・ 電池は 「8年160,000km」を保証している。
後者の保証の数字は、下記の公式サイトで得られる。
→ https://www.nissan.co.jp/EV/MAINTENANCE/
※ 追加で保証料を取る、とは書いてない。当り前だが。
詐欺をするのは、世界広しといえども、トヨタだけだろう。
日産が CATL製の長寿命電池を使うことについては、前に言及したことがある。
CATLの高い技術を裏付けるトピックスとしては、現行品を超える16年間・200万kmの寿命を実現した「超長寿命電池」を開発したことが挙げられます。
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だから、日産のアリアも、CATL の電池を搭載するそうだ。
( → EV用の電池の支援に1兆円: Open ブログ[2021年02月06日] )
ここで述べたことが、現実化したわけだ。
※ CATL の広報では「16年間・200万km」なのに、日産公式では「8年160,000km」となっている。距離が減っているのは、アリアが大型で電気を食うからだとすれば、当然だとも言える。ただし、16年が8年に短縮しているのは、残念だ。もしかしたら、「将来は不確定なので、無償補償までは保証できない」というだけのことかもしれない。実際には、16年ぐらい長持ちすることが多いのかもしれない。……まあ、先のことは不明だから、経営に不安定要因を持ち込みたくない、ということであれば、理解できる。
※ そもそも、自動車の寿命は 10年ぐらいだから、電池に 16年の保証をするというのもナンセンスだが。電池だけ長持ちしても、他の部分がへたったら、意味はない。むやみやたらと長期保証をしても、会社の負担になるだけで、ちっとも利益には向上しそうにないから、やむを得ないかも。
[ 付記2 ]
ただし、日産アリアには別の問題がある。発売が延期に次ぐ延期となって、いまだに発売されていない、ということだ。
→ アリア B6の発売が5月12日に延期
本来ならば昨年の夏か秋に発売の予定だった。それが、「冬に発売」に延期され、「年明け」に延期され、さらに「3月末」に延期された。そして今度は 5月12日に延期となった。
この分だと、また延期になる可能性もある。いつまでたっても発売されない幻の車……てなことになりかねない。
※ とはいえ、Limited という高価格バージョンは、3月中に納車されている。だから、「永遠に延期」ということにはならないようだ。
※ 日産ファンの人には、嬉しいニュースもある。(日産・公式サイト)
→ 「日産アリア」ドイツのレッド・ドット・デザイン賞を受賞
→ 「日産アリア」と「ニッサン パビリオン」がドイツのiFデザインアワードを受賞
【 関連サイト 】
→ 「アリア量産車」の出来栄えに見た日産BEVの本気 | 試乗記 | 東洋経済
※ 電池の話も書いてある。
しかし、この bZ4X 以外の車種でも、トヨタの KiNTO はこれと同様の解約金を徴収するみたいですね(昨年末にあらたに追加された解約金フリープランを除く)。
https://kinto-jp.com/kinto_one/midterm_cancellation/
(2) 電池性能の保証金については、「この追加料金で10年または20万km(のいずれか早いほう)まで保証」するというところがポイントだと思います。なぜなら、トヨタ車に限らず一般には、乗用車の特別保証は5年または10万km(のいずれか早いほう)まで保証するものだからです。特別保証というのは、走行に必須の、基本的かつ重要な部品の機能・性能を保証するもので、EVの電池(の性能)もこれにあたると考えられます。
https://www.goo-net.com/kaitori/kaitori-satei/tenken-syaken-gimon/4696/
https://toyota.jp/after_service/support/guarantee/tokubetsu/
ですから、この 5年/10万km を 10年/20万km に延長するにあたっての特別料金を取る、ということであれば、従来からクルマでも電化製品でも何でも、普通に行われていることです。
ただし、この付加保証サービスが、基本の「リース契約」とセットになっていて外せない(断れない)ということだと、別の問題になるかもしれません。
いずれにせよ、私自身は、このサブスクだかリースは喜んで利用しようとは思いません(以前の記事でご指摘がありましたが、そもそもこれは法人向けで、個人ではほぼ利用できないのかもしれませんが)。
逆に考えると、日産アリアの、「追加料金なしで8年または16万km(のいずれか早いほう)」まで保証するというのは、良心的というか頑張っていると思います。
ちなみに、下の CarMe の記事(2021.11.19付け)によると、ハイブリッド車の駆動用バッテリーの保証もだいたい各社5年/10万km なんですが、三菱アウトランダーPHEV だけは8年/16万km のようです。アリアもこれにあわせたのかもしれません。
https://car-me.jp/articles/7918
→ http://history.nissan.co.jp/LEAF/ZE0/1211/maintenance.html
どうして両者が同じなのかは、よくわからないが、リーフの方は本体価格が高いので、保証料が込みになっているのかもね。
https://autoc-one.jp/news/563183/
まあ、10万マイルというのはキリのいい数字だからということで、8年というのは、日本でも海外でも、1年の走行距離は大体2万キロというのが一般的なんでしょうね。バッテリークーラーとか長寿命電池といった技術的な要素は、この保証年数/距離には反映されていないと思われます。
> 8 年間または累計走行距離が 200,000 km に達するまでの期間のいずれか先に到達する期間にわたって保証の対象となる 60 kWh バッテリーを除いて、車両のバッテリーおよびドライブユニットは、
> 走行距離無制限で 8 年間にわたってこのバッテリーおよびドライブユニット限定保証の対象となります。
https://www.tesla.com/sites/default/files/pdfs/jp/JP_new_limited_warranty.pdf
走行距離無制限 というところが違う。
https://www.tesla.com/jp/blog/infinite-mile-warranty
上の URL の文書ではバッテリー容量は 85kWh となっていて、前のコメントの PDF 資料のほうは 60kWh とも読めるので、PDFのほうは、2014年よりもさらに古い時点の保証内容の可能性があります。
今現在の、日本向け車両の保証距離は車種ごとに違っていて、160,000〜240,000km のようですね。エントリーモデルだと保証距離が短く、高いグレードだと長いということになりますか。ただし、保証年数はいずれも8年です。下の URL の情報は、PDF資料ではなく、テスラ ジャパンの公式ポータルサイト経由なので、内容が古いということはないと思います(リアルタイムの情報)。
https://www.tesla.com/jp/support/vehicle-warranty
私は、ググって情報を探したが、グーグルの情報は当てにならないということか。
きちんとテスラの正門を通る方が、ちゃんとした情報を取れるようです。
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月額利用料は、……5年目で7万5460円、6年目は7万70円と月額料金を減額。契約が満了する10年目は4万8510円となる。
トータルの支払額は、補助金なしで963万7320円、CEV補助金のみを適用した場合で869万7480円。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2205/02/news093.html
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900万円近くを払っても、自分のものにならない。11年目以後も使うと、毎月4万円ぐらいを払う必要がある。自分で買えば、ほぼ無料で済むのに。
滅茶苦茶に損ですね。こんなもの、買う人がいるんだろうか?
 ̄ ̄
参考記事:
《 三菱 新型アウトランダーPHEV、受注の約8割は最上級グレード。台数は約3カ月で1万台を超えて販売好調 》
約3カ月を経た2022年2月5日の時点で、累計受注台数は1万台を超えた。三菱の販売計画では1000台/月だったから、この数字はかなりのものといえるだろう。
三菱によると、アウトランダーPHEVは先行受注開始直後から好調な受注ペースを見せており、約3カ月強で先代モデルの年間過去販売台数(約1万1000台)に迫る見込みだという。
https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17517432
※ 維持費=自動車税+任意保険料+点検費用+車検費用(重量税含む)+故障修理費+トヨタコネクテッドサービス利用料、等々。
※ あと、維持費の他に、最初の登録諸費用もカバーされる。
仮に、年間維持費を30万円と見込むと、10年間では300万円。すると、「10年間のトータルの支払額は、補助金なしで963万7320円、CEV補助金のみを適用した場合で869万7480円」というのも、これはアリだな、「11年目以降の月額4万円弱?」というのも、維持費だから仕方ないな、という感覚でしょう。
それと、普通に新車を購入した場合と違って、10年なら10年間ずっと、トヨタディーラーで「お客様」としてデカい顔ができそう(レクサスコンシェルジュほどではないにしても)なので、それに魅力を感じる人も一定数いるのかもしれません。
ただ、これは、そういう人たちもいるのかなという推測で、私個人の感覚は全く違います!
10年も同じ車に乗らないのでは? 3年ぐらいで買い換えそうだ。金持ち相手に5年縛りのリースというのは、もともと矛盾した方針だと言える。金持ち相手なら、3年リースにするべきだった。残価ローンにすれば、3年縛りも可能だっただろうに。
と思ったが、よく考えたら、補助金には長期保有義務がある。
> CEV補助金を利用し購入したEV等は、4年(一部の車両は3年)は保有することが義務付けられています。やむを得ない事情で手放す場合でも、次世代自動車振興センターに届出をしないと、補助金の全額返納を求められます。
https://evdays.tepco.co.jp/entry/2021/05/06/000009
ならば、4年リースが現実的か。
その場合の4年間の支払い額は、4,234,560円ですね。年額だと約100万円。一応、最新のEV、トヨタ初の本格EVなので、コミコミで年100万円なら、金持ち相手には訴求力があるのではないでしょうか。
頭金が抜けているのでは?
差し引き 454万円。
プロパイロットを付けると、補助金が 7万円増し。
https://ev2.nissan.co.jp/EV/HOJOKIN/
> スバルソルテラ購入は要注意?トヨタの世界戦略EV「bZ4X」の充電性能がカタログスペックの半分だった件
→ https://www.youtube.com/watch?v=LBgG3EOG6K4
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アリア のバッテリ性能が劣る、という報告。(苛酷条件ではバッテリークーラーの性能が追いつかない、という話。)
→ https://bbs.kakaku.com/bbs/K0001273295/SortID=24708271/
→ https://twitter.com/EnjoyNorth/status/1530308508515639296
> bZ4Xは、個人向けは月額定額サービス、法人向けはリースでのみ販売。第1弾は3000台限定だが、6月10日時点で「完売には至っていない」(トヨタ広報)
→ https://jp.reuters.com/article/nissan-sakura-idJPKBN2NU0DO
ちなみにアリアはこうだ。
> 「アリア」予約注文開始10日で約4000台受注 たった10日で実績公表
https://www.autocar.jp/post/690851
オプション全部乗せのプレミアムモデルなのに、大量に受注した。
一方、bZ4X は通常モデルなのに、まだ売れ残り。まあ、ネットでの評判も悪いしね。まともな EV をつくれるわけがない、という私の予想通り。
まともだったのは、粘土製モデルの出来映えだけだ。あれは本物と間違えるぐらい、出来映えがよかった。フェイクにしては、立派だった。
> バッテリー性能を維持する為に……急速充電器に対しては1日2回までしか充電性能をフルに発揮させないプログラムになっているそうです。
https://gazoo.com/column/ando-hiroki/22/06/14/
これでは長距離走行ができない。長距離走行をする場合には、どんどん電池が減るので、1日に何度も充電するのが普通だ。なのに、たいていの EV はそれができるのに、bZ4X はできないのだ。
こんなもの、ほとんど欠陥品であると言える。これを交うのは、よほどの物好きか、だまされた人だけだろう。
サブスクで契約した人は、さっさと解約した方が良さそうだが、サブスクというのは名目で、実際にはリースだから、解約できない。踏んだり蹴ったりだね。