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現実を直視せよ
前項では、「ロシアの言い分を理解せよ」と述べた。それに引きつづき、さらに話を述べよう。「現実を直視せよ」と強調したい。
(1) NATO加盟の可能性
前項の最後では、「ウクライナの NATO 加盟を認めるな」というロシアの要求に従ってもいい」と述べた。再掲しよう。
ロシアが「ウクライナの NATO 加盟を認めるな」と言ったときに、「はい、そうします、お望み通りに 」と答えればよかったのだ。
では、本当にそうか? 今後、そうするべきなのか? 「ウクライナの NATO 加盟を認めるな」というロシアの要求に、あっさり従うべきだろうか?
しかし、戦争前ならともかく、戦争後にロシアの要求に従うとしたら、それは、ロシアの強硬策に屈服したということにはならないか? ロシアが戦争をしたことで、それへの果実(報酬)を与えるとしたら、それは、戦争を肯定して是認するのも同然ではないか? むしろ、ロシアの強硬策に懲罰を与えるべきで、そのためにも、ここは絶対に一歩も譲ってはならないのでは?
そういうふうに思う人が多いだろう。なるほど、それはそれでごもっとも、と言えるだろう。
だが、ここで、私が意外な真実を教えよう。人々が気づいていない、意外な真実だ。それはこうだ。
「ウクライナの NATO加盟というのは、現実には決してありえない」
なぜありえないか? それは、ウクライナが紛争中の国であるからだ。紛争中の国は、 NATO のような軍事加盟には加盟することができないのだ。
このことは、たぶん、NATO の加盟の要項に条文として記されてあるはずだ。だが条文をいちいち読まなくても、ちょっと考えただけでも同じ結論に至る。こうだ。
「仮に紛争中の国の加盟を認めたら、NATO の全体がその紛争に巻き込まれてしまう」
具体的に言えば、こうだ。
「仮に現時点でウクライナの NATO加盟を認めたら、クリミア半島および東部2州が紛争中なので、NATO全体がその紛争に巻き込まれてしまう。結果的に、クリミア半島および東部2州で NATO が軍事活動をすることになる。その相手は、クリミア半島ではロシアの正規軍であり、東部2州は親ロシア勢力(名称はともかく実態はロシアの正規軍)である。これらのロシア正規軍と NATO の全軍とが、軍事的に武力対決することになる。要するに、戦争だ」
つまり、ウクライナの NATO加盟を認めるということは、自動的にロシアの正規軍と戦争を始めることになる。しかし「ロシアが戦争を仕掛けたのはけしからん」と言っている NATO が、自分からあえて「ウクライナの NATO加盟を承認して、戦争活動を開始する」ということは、ありえない。それこそ「戦争を回避するために戦争をする」という自己矛盾である。
結局、「ウクライナの NATO加盟」というのは、現実的には実現する可能性は皆無なのだ。それは、話のテーマぐらいにはなるが、現実には実現するはずがないのだ。それは現実ではなくて、ただの虚構の世界の話であるにすぎない。
(2) 虚構の上の空論
ウクライナの NATO加盟は、現実にはありえない。それはただの虚構である。
にもかかわらず、人々は、この虚構を守ろうとして、この虚構の上に主張を組み立てる。「民主主義」だの、「自由だ」だの、「民族の独立性」だの、「主権国家の権利」だの。……そういうものを持ち出して、「ウクライナには NATO加盟の権利があるから、それを認めるべきだ」というふうに主張する。
そこでは、ウクライナの NATO加盟は現実にはありえないということが、見失われているのである。つまり、現実が見失われているのである。
人々は、現実を見失い、虚構の世界に入って、虚構の世界の出来事を論じている。リアルの世界の話をしているはずなのに、いつのまにかバーチャルな世界の話をしている。しかも、それがバーチャルな世界のことだとは気づいていない。自分たちがリアルの世界にいると思い込んでいる。
呆れた話だ。VR の世界に紛れ込んでしまって、自分のいるところが VR の世界だとは理解できないのだ。「ここはリアルの世界だ」と勝手に勘違いしているのだ。それはまあ、ゲームの世界が現実の世界だと思い込むようなものだ。もはや精神的にイカレた精神病患者にも似ている。統合失調症の患者並みだ。
その意味では、西側の人々は「全員が発狂している」と言ってもいいほどだ。
そして、それだからこそ、私は強調したい。「現実を直視せよ」と。
(3) NATO非加盟の約束
ロシアは要求する。「ウクライナの NATO加盟を認めないと約束せよ」と。
では、それに従うことは、ロシアへの屈服を意味するか? あるいは、ロシアに報酬を与えることを意味するか? いや、そのいずれでもない。なぜなら、それはもともと最初から決まっていたことだからである。ロシアが要求しようが要求するまいが、どっちしても、「ウクライナの NATO加盟を認めない」ということは決まっていた。もともと、それ以外にはありえないのだ。仮に、「ウクライナの NATO加盟を認める」というふうにしたくても、そうすることは不可能なのだ。ウクライナが現状では紛争中であるからには。
だから、「ウクライナの NATO加盟を認めないと約束せよ」というロシアの要求には、あっさりと「はい」と答えることができたのだ。なぜなら、それ以外にはありえないからだ。(もしあるとしたら、「ウクライナの NATO加盟を認める」という答えだが、それはただちに、ロシアと戦争をすることを意味する。そんなことは現実にはありえない。)
つまり、戦争の開始前の時点でも、戦争の開始後の時点でも、「ウクライナの NATO加盟を認めないと約束せよ」というロシアの要求には、あっさりと「はい」と答えることができるのだ。
現実を直視すれば、そのことがわかる。なのに、人々は現実を直視しないで、空想の世界に生きているだけだから、真相を理解できないのだ。
人々は、正義や民主主義というような抽象概念にとらわれる。そのせいで、現実を見失ったあげく、本来は避けることのできた戦争を引き起こしてしまうのである。
正義というものは、戦争を引き起こす。正義というものは、実に危険なのである。それは人を酔わせ、人を陶酔・酩酊させ、人の理性を麻痺させる。……だからこそ私は、覚醒させるために、痛みを与えながら告げるのだ。「現実を見よ。現実に返れ」と。
(4) プーチンの妄想
「現実を理解できない」のは、西側だけではない。ロシアも同様だ。
そもそも、「ウクライナの NATO加盟は、現実にはありえない」というのは、ちょっと考えればわかりそうなものだ。それゆえ、もともと、そんなことは心配する必要はないのだ。
ところが、プーチンは高齢化したせいか、ありもしないことを「ある」と信じて、恐れるようになった。
その妄想を、まわりの人がいさめてやれば良かったのに、独裁者のまわりにいるのはイエスマンばかりなので、誰もプーチンの妄想を正そうとはしなかった。
だが、ここまでは、愚かな国の愚かな人々のたわごとだと思えば、「仕方ない」と我慢することもできる。
我慢がならないのは、この馬鹿げた妄想を、西側の人々が真に受けたことだ。「ウクライナの NATO加盟は、現実にはありえない」と理解すれば、プーチンのたわごとには、「はいはい、わかりました」と素直に答えて、問題をあっさり片付けることができたはずだ。
ところが、バイデンというのが、正義と民主主義を標榜するボケ老人だった。プーチンがボケ老人かと思ったら、バイデンというのもボケ老人だった。プーチンが独裁者の専横に凝り固まっていると思ったら、バイデンは正義と民主主義に凝り固まっていた。いずれも、現実を見ることができず、虚構の世界にばかり生きていた。
かくて、ありもしない虚構の世界で対立した。そのあげく、現実の世界で戦争が起こった。
これほど馬鹿げたゲームは、他にあるまい。
結局、プーチンというのは、どうしようもないボケ老人であり、虚構の世界に生きるだけの阿呆だった。だから馬鹿げた要求を出した。……だが、プーチンが阿呆であるだけなら、何の問題も起こらなかった。ボケ老人の要求には「はい」と答えるだけで済んだ。なのに、西側諸国もまた、プーチンと同様の阿呆であるから、問題が起こった。「はい」と答えるのをあくまで拒んで、虚構の世界で無意味に対立を引き起こした。……かくて、現実の世界で戦争が起こった。
プーチンと西側の双方が阿呆で狂人だから(現実を見ないから)、戦争が起こったのだ。
(5) プーチンの恐怖
さらに、もう一つ大事なことがある。こうだ。
「 ウクライナの NATO加盟が、仮に実現したら、ロシアはクリミア半島と東部2州のすべてを、NATO 軍によって奪われてしまう」
こういう恐怖を感じたのだ。これがたぶん、プーチンがあれほどにも NATO加盟を容認しがたく思った理由だろう。
ウクライナの NATO加盟は、単にウクライナが西側の同盟に属するということだけではない。それと同時に、NATOの全軍がロシアに襲いかかって、クリミア半島と東部2州のすべてを、ロシアからもぎとってしまうことだ。……そうなることは必定だ。だからこそ、プーチンはあれほどにも、「ウクライナの NATO加盟」を恐れたのだ。
プーチンにはそういう恐れの心情がある。それはほとんど強迫神経症のような心情だ。現実にありもしないものを「ある、ある」と思い込んだすえに、過剰に怯えてしまうのである。
だからこそ、そういう心配症の不安を取り除くためにも、「そんなことは現実にはありませんよ」と教えて上げればよかった。そうすれば、患者は不安を和らげる。そうなれば、患者が戦争の引き金を引くこともなかっただろう。
ところが愚かな西側は、そうしなかった。患者の不安を和らげるどころか、患者の妄想をいっそう拡大するような言葉を吐いた。現実にはありえないことを「ある」と見せかけた。……かくて、ありもしない幽霊の影が巨大化して、それにプーチンは恐怖を感じた。だからこそプーチンは、恐怖に駆られて、戦争の引き金を引いてしまったのだ。窮鼠猫を噛む、というふうに。
西側は、プーチンの心情も理解しなかったし、現実そのものも理解しなかった。そういう理解不足(あるいは無知)こそが、今回の戦争を引き起こした根本原因だったと言えるだろう。
【 蛇足 】
「妄想したプーチンの方が悪いだろ」という声もありそうだ。
だが、精神病院で治療に失敗したなら、治療に失敗した責任は医者の方にあり、患者の方にはない。ここでは、「患者が精神病なのが悪い」という理屈は、成り立たないのだ。少なくとも、医者が自分をまともだと思うのならば、患者と同じレベルに立ってはいけないのだ。
ところが現実には、そうではない。医者が患者と同じレベルに立っているありさまだ。「争いは同じレベルの者同士でしか発生しない」のだが、医者が同じレベルに立っているので、争いが発生してしまったのだ。
ああ、情けない。
( ※ 次項ではいよいよ、具体的な解決策を示します。これまでは前口上ふうであり、これからが本論です。)
( ※ 「ウクライナの NATO加盟を認めない」という件では、どのくらいの期間にするかという問題があるが、この件は、次項で述べることにします。)
[ 余談 ]
本日のブログ画像は、梅の花。最近、関東では梅の花が満開で、とてもきれいだ。私の家の庭にも咲いている。
朝、梅の花を見上げて、きれいだな、と思っていたら、小さな鳥が梅の花の蜜をついばんでいた。(のだと思う。)
見たところ、雀よりも一回り小さい。初めて見る鳥だ。ハチドリでもなさそうだし、何という鳥だろう? よくわからなかった。
ネットで「雀よりも小さな鳥」というのをググると、ミソサザイが候補になる。だが、もっと黒っぽくて痩せていたように思う。……どうも、よくわからない。
庭に梅があると、夏には梅の実がいっぱい取れる。これで梅酒を作ると、とてもおいしい。

プーチンの要求の一つは、NATO加盟の中止であったが、その他にも、東部での虐殺防止、1997年以降の東欧諸国NATO加盟の無効化、 さらには、ロシア、ウクライナ同民族統合説などが主張され、目的は明確では無かった。どれもがプーチンの希望的妄想から出たものである。
ウクライナのNATO加盟申請の取り下げを受け入れていれば、侵攻は起きなかったという考えもあるが、それだけでは収まらなかったと考える。周辺を20万近い軍隊で包囲し、いかにロシアが、加盟反対への強い決意を持っているかを見せつけられた上で、 NATOが、それでも、戦いの覚悟を決めて、ウクライナ受け入れを進める可能性は、無いと考える。これまでも加盟を引き延ばしてきた現実的姿勢がこれからも、維持されたはずである。
軍隊のデモンストレーションにより、血を流さずして、目的は達せられる。
それがもっとも効率的な戦略であるが、プーチンの目的は、ウクライナ全土併合にあるため侵略を開始し、兵を引かない。
中立化はともかく、非武装化を要求すると言うことは、ウクライナ国内は、ロシア軍が思うがままに蹂躙できる無条件降伏を飲め、と言うことであり、政権幹部の処刑、抵抗軍の殲滅など為すがままである。全土を併合してしまえば、クリミア半島も、ドネツク、ルガンスク問題も解決される。
1938年、ナチスはチェコスロバキアの主要な工業地帯であるズデーテン地方の割譲を迫った。イギリスのチェンバレン首相の融和策により、ミュンヘン会議で、ヒトラーの、これ以上の領土要求はしないという確約の下で、ナチスに割譲された。しかし、翌年には、弱体化したチェコ全土を占領した。
ズテーテンの優秀な工業地帯を得たことで、ドイツの兵器生産能力は、飛躍的に高まり、チェコの強兵達は、その後、独ソ戦に投入されることになる。
既に、ベラルーシ軍は、ロシア支配下にある。カザフは、ウクライナ派兵を断ったが、どこまで、独自性を主張できるだろうか。
ウクライナが、言論の自由を奪われ、西側に対するロシアの先兵として、対峙することになれば、それは悪夢だろう。
ロシア国民が選挙で選んだ、大統領の妄想下で数千人の人命が失われていく。
彼は人々の死や、苦しみは意に介さない。
人々の希望は、プーチンの排除だろう。
最初からそうだったのではなく、途中で付け上がったのでしょう。いくら何でも最初から世界征服を狙うほどの狂人だとは思えない。(それではヒトラー並みだ。)
ちなみに日本が「大東亜共栄圏」を唱えて、アジア征服を表明したのが、1940年7月26日。その直前の7月24日にウェルズ米国務長官代理から警告があった。
https://x.gd/VyqcY
このとき、日本は開戦を決意したと思われる。
https://x.gd/XFao2
つまり、戦争を決意したあとで、広域征服の野望をもつようになった。それは当然のことだろう。最初から広域征服の野望をもっていて戦争をしたのではない。(追い詰められてやむをえずに)戦争をすると決意したから、そのあと気が大きくなって、広域征服の野望をもつようになったのだ。
この順序を間違えない方がいい。「相手は最初から怪物だったのだ」と思うよりは、「最初は小さな悪だった。なのに、いったん一線を越えると、どんどん悪が巨大化していった」というのが、戦争の原理だ。
※ プーチンを最初から狂人だったのだと見なすと、過去においては、日本人は最初から狂人だったのだと見なすことになる。それでは物事の真実をとらえられない。
プーチンの希望は、クリミア併合、ウクライナ東部の独立容認でしょう?
ウクライナのNATO加盟が、世界基準で認められのも、知ってんのかな?
こうなると、先に、ロシアが撤退して、ウクライナの交渉に応じれば、プーチンの株が上がる?
その件は書かなかった(書き落とした)けど、「ウクライナの大統領は素人なんだから仕方がない」ということです。
お珍珍でピアノを演奏するコメディアンなんだから、条約のことを知らないのも仕方がない。
https://togetter.com/li/1851620
素人が政治のことを知らないのは仕方ない。プロが政治のことを知らないのが問題だ。だから西側の責任は大きい
……ということを、本当は書くはずだったし、下書きには記してあったんだが、昨日は書くのに疲れて、くたびれたすえ、書き落としてしまったのでした。
まあ、コメディアンが大統領になったら、国が滅茶苦茶に破壊されてしまうのも当然かもしれない。コメディアンを大統領に選んだウクライナ国民の自業自得という面もある。
日本でも、知事では同様の例があった。横山ノック。
正にそんな感じ(笑)
ちょっと古い情報ですが、大和総研から興味深い論考が発表されています。
要は、おふざけの過ぎるゼレンスキー大統領が、大統領選対策のために、ドンバス地方へ先制攻撃を仕掛けたという内容です。
プーチンは男気があるので、こういうことを口に出さないのが良いですよね?
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/europe/20220210_022836.html
詳細はこちら
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/europe/20220210_022836.pdf
https://youtu.be/UUno-2mSGmA
https://youtu.be/Xa8XOTR66J4
https://youtu.be/aKlypw0pJeE
そんなこと、私は言っていませんよ。それはプーチンの言い分であって、私の言い分ではない。
「プーチンがそういうふうに思っているので、プーチンの思っていることを理解せよ(共感はしなくていい)」というふうには書いたが、彼の考えと私の考えとは異なる。
あなたは通りすがり さんだから、本項しか読んでいないのでしょう。もっと前の項目から、全体を読み直してください。そうすれば、私の言っていることがわかります。