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概要
本項の話は長いので、初めに「概要」を示しておこう。
戦争の原因は何か? それは「これです」というふうに、ただ一つだけの原因で示されるわけではない。単一の原因ではなく、複数の要因がある。それらの要因がいくつも絡み合った過程がある。
では、いくつもの要因とは、どのような要因か? それは、慣用句で示すことができる。
・ 虎の尾を踏む
・ 窮鼠猫を噛む
・ 期間限定セール
・ 足元を見られる
これらの慣用句で示される内容が、戦争を起こした原因となる。
簡単に言えば、次のような感じだ。
《 間抜けなジョンおじさんは、そばで虎が吠えているのに、気がつかないまま、虎の尾を踏んでしまった。虎はさらに吠えて、威嚇した。ところがジョンおじさんは、自分は強力なナイフを持っているから大丈夫だと信じて、楽観していた。虎が悪阻かかってくるはずがないと思い込んでいた。そこで虎を威嚇するために、ナイフを振り回した。虎は恐怖を感じた。虎は切羽詰まって、窮鼠猫を噛むという感じで、ジョンおじさんのそばにいる犬を噛み殺した。
この時点で、ジョンおじさんはびっくりした。まさか虎が犬を噛み殺すとは思っていなかったのだ。どうしてこういうことが起こったのかまったく不思議に思った。だが、虎にしてみれば、そうする以外にはなかったのだ。相手が予想していないうちに、先手必勝で、相手の弱い部分を突いて、攻撃するしかなかったのだ。なぜなら、相手が準備万端になってから攻撃したのでは、手遅れになるからだ。これは、「攻撃するなら、手遅れになる前にやる」ということだ。いわば期間限定セールのように、期間が限定されているのだ。
そしてまた、今のうちならば、風向きがちょうど、ジョンおじさんにとって向かい風になっているので、ジョンおじさんにとっては不利だ。もうしばらくたつと、風が追い風になるが、そうなるとジョンおじさんにとって有利になる。そいつはまずい。だから、風向きがちょうど相手に不利になる次期を狙って、攻撃すればいいのだ。こうして、相手の足元を見たわけだ。かくて、状況をうまく利用して、虎はいきなり襲いかかった。 》
以上が、本項で述べる話の内容だ。(比喩的に)
では、以下ではいよいよ、本論を述べよう。
戦争開始の謎
戦争が起こったのは、多くの人々にとって予想外のことだった。「まさか戦争にはなるまい」と多くの人が思っていた。それなのに、戦争は起こった。
ではどうして、こうなったのか? およそありえそうにないことが起こったのは、どうしてか? ……そこには、謎がある。
そもそも、戦争をすれば、ウクライナが傷つくだけでなく、ロシアも傷つく。特に、経済制裁によって、莫大な損害をこうむるはずだ。なのに、そういう経済制裁による損害を覚悟してまで、戦争をに踏み込んだ。それはどうしてか? 損得勘定で言えば、大損になるのに、どうしてあえてそんなことをしたのか?
さらにまた、直前には米国とロシアの首脳会談が予定されていたのに、それを急にキャンセルしてしまった。そういう平和的な努力を捨てて、戦争に踏み込んだりしたのは、まったく理解しがたい。いったい、どういうことか?
以上のすべてからすると、ロシアの行動には、合理的な説明が付きそうにない。とすると、ロシアは(あるいはプーチンは)狂ったのだろうか?
実際、そういう疑いを口にする人もいる。
→ プーチン氏は「正気失った」 英国防相 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
だが、突発的に狂ったとしたら、突発的に精神症になったのか? しかし、プーチンの言動を見ると、その主張はすべて論理的になされていて、とても狂人だとは思えない。
とすれば、論理的なふるまいをする人物を「狂人」と見なすのは、こちらの判断放棄であるというしかない。
では、狂人でないとしたら、何なのか?
狂人ではないとしたら、合理的な判断をしているはずだ。とはいえ、ロシアが合理的に判断をしているとしたら、その説明が必要だ。一見、合理的ではないと見えるロシアの方針は、どこがどう合理的になされているのか? ……そこが、よく見えない。つまり、ロシアを「合理的」と判断したいのだが、そうするための説明が見えない。そこには謎がある。
この謎を、どう解きほぐせばいい?
予想済み
ロシアの行動は、多くの人にとっては予想外であるようだ。だが、実は、本サイトにとっては予想外ではない。ロシアの行動は、本サイトでは予想済みなのだ。謎でも何でもないのだ。むしろ「予想通り」と言える。馬券で言えば、当たり馬券を買ったことになる。万馬券だったかもしれないが。
本サイトでは次のように指摘していた。
米国は、そのことに気付かない。自分たちは民主的で平和的な手段を取っていると思い込んでいる。ここまで米国が阿呆だと、武力衝突は不可避だし、場合によっては第三次世界大戦が起こりかねない。
( → ウクライナ危機には? 1: Open ブログ )
2月01日の時点で、「武力衝突は不可避だ」と記している。このように、戦争はとっくに予想済みだったのだ。本サイトでは。
ロシアの主張
では、本サイトはどうして「武力衝突は不可避だ」と記したか? それは、ロシアの主張に耳を傾けたからだ。西側諸国は、ロシアの主張をまったく聞かなかった(聞き流した)が、本サイトはロシアの主張にちゃんと耳を傾けた。そのことで、「ロシアがこう思っているのであれば、武力衝突は不可避だ」と判断したわけだ。
その箇所を、あらためて抜き出そう。以下に再掲する。
人々はこう考える。
「ロシアは独裁的なプーチンの下で、軍事的に侵略的な政策を取っている。前はクリミア半島を略奪した。今度はウクライナを略奪しようとしている。きわめて危険な侵略的な国家だ。その軍事力はあまりにも危険であり、世界の脅威となっている。これを何とか阻止しなくてはいけない」
しかし、これはあまりにも歪んだ認識である。この認識では、悪いのは一方的にロシアであって、西側社会は何も悪くないことになる。しかし、違う。今回の危機では、悪いのは全面的に米国である。米国が一方的にロシアに喧嘩を売っているだけだ。米国がロシアに喧嘩を売るのをやめれば、危機はあっという間に解決する。
だから、危機を解決するには、特別にうまい方法などは必要ない。「何もしない」ということだけで足りる。換言すれば、「ロシアに一方的に喧嘩を売りつける」という現在の方針をやめれば、それだけで問題は解決する。
ところが、米国は、そのことに気付かない。自分たちは民主的で平和的な手段を取っていると思い込んでいる。ここまで米国が阿呆だと、武力衝突は不可避だし、場合によっては第三次世界大戦が起こりかねない。
( → ウクライナ危機には? 1: Open ブログ )
今回、ロシアは何と言っているか? 「絶対許さん」と言っているのだ。「 ウクライナの NATO加盟は、ロシアへの核ミサイル配備を意味する。それではロシアは国家存亡の危機に瀕する。そんなことは絶対許さん」と言っているのだ。
それは、キューバ危機のときに米国が取った方針と同じである。あのときは米国がキューバへのミサイル配備を「絶対許さん」と言ったので、ソ連は交渉の末に、ミサイルをキューバから引き下げた。だから戦争は起こらなかった。
一方、今回は違った。ロシアが「絶対許さん」と言ったとき、米国は引き下がるどころか、交渉にすら乗らなかった。交渉するなら、妥協の余地もあったが、ウクライナの NATO加盟は、主権国家の固有の権利だから、認めないというようなことはありえない」と言って、頭ごなしにロシアを無視した。こういうふうに交渉すらも与えられないと知ったときに、ロシアとしては、もはや戦争をする以外には手段が残されていなかったのだ。
だから、論理的に考えれば、バイデンが「交渉拒否」という方針を取った時点で、武力衝突は不可避だったのである。
こうして「武力衝突は不可避だ」と予想された。そして、予想されたとおりに、戦争は起こった。
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以上のことを簡単に言えば、こうなる。
「西側諸国は、虎の尾を踏んだことに気づかない」
西側諸国は、民族自決などの原則論を唱えて、自分たちは正義だと思い込んでいた。だが、彼らは正義を唱えながら、そのとき足で、虎の尾を踏んでいたのだ。踏まえた虎は悲鳴を上げて叫んだのだが、彼らは正義を唱えるばかりで、虎の痛みをまるきり無視していた。虎がいくら叫んでも、虎の叫びに耳を傾けようとしなかった。単に「自分たちは正義だ」と言い張るだけで、虎の痛みを理解しなかった。
だから、虎としては、尾を踏まれることに炊けかねて、反撃する以外にはなかったのだ。なぜなら、西側は尾を踏むことをやめないからだ。
結局、ロシアが勝手に横暴なことをしているのではないし、ロシアが狂ったのでもない。ロシアは単に、踏まれた尾の痛みに耐えかねて、反撃をしているだけなのだ。
ところが、西側諸国の人々は、自分たちが虎の尾を踏んだことに気づかない。だから、「この虎は勝手にいきなり攻撃してくる。この虎は狂っている」と思い込む。
自分が何をしているかも理解できない阿呆にとっては、他者がすべて狂っているように見えるのだ。
本当は、西側がロシアを追い込んでいるだけなのだが、そのことを理解できないから、ロシアの行動が「謎」に見えるのだ。
無知蒙昧の阿呆にとっては、周囲の真実が見えないので、すべてが謎に見えてくるのである。
きつねさんは 虎の尾を ふんでみた!????#とらたろ #虎 #トラ #イラスト #絵 #ゆるキャラ #イラスト好きな人と繋がりたい #絵描きの輪 #とら #tiger #狐 #虎の尾を踏む pic.twitter.com/zk0Zj1oKGB
— とらたろ!(毎日更新だにょ????) (@torataro3333) January 30, 2022
タカ・ハト・ゲーム
以上のような西側とロシアのふるまいは、ゲーム理論でうまく説明できる。特に、ゲーム理論の「タカ・ハト・ゲーム」という概念で、すべてを合理的に説明できる。
タカ・ハト・ゲームとは、次のようなものだ。
プレーヤーは二人いる。プレーヤーには、「タカ」または「ハト」という二通りの戦略をとれる。
・ タカ …… 攻撃的な戦略。相手を傷つける戦略。
・ ハト …… 平和的な戦略。相手を傷つけない戦略。
ここで、次のようなケース分けができる。
(1) 一方が「タカ」を取り、他方が「ハト」を取ると、「タカ」を取った方が大きな得をして、「ハト」を取った方は大きな損をする。
(2) 双方が「ハト」を取ると、双方が少しだけ得をする。
(3) 双方が「タカ」を取ると、双方の損害は「瀕死の重傷」のように最大限の損失となる。
通常、双方は「タカ」または「ハト」の立場をちらつかせて、「自分はタカで、相手はハト」という状態をめざそうとする。そうして交渉するのだが、相手の意図がわかると、「このままでは双方がタカになるので、このままではどちらも最大の損失になるな」と気がつく。そこで、交渉の末に、おたがいが譲歩して、おたがいが「ハト」の立場を取り、双方が少しだけ得をするようになる。そのおかげで、双方が最大の損失をこうむることを免れる。……これが「妥協」というものだ。
一方、今回は違った。ロシアはこう言った。
「現状では、西側がタカで、ロシアがハトになるので、ロシアが一方的に損をする。(ウクライナが NATO加盟をすると、ウクライナに核ミサイルが配備されるので、ロシアは国家存亡の危機に瀕する。)そんなことは絶対許さん」
この言い分に対して、西側諸国は「完全無視」という方針を取った。つまり、「西側がタカで、ロシアがハト」という方針を取った。
こうなると、「ともにハト」という状態はありえないので、ロシアとしては、次の選択肢しかない。
・ 相手はタカで、自分はハト → 自国が国家存亡の危機に瀕するという大損。
・ 相手はタカで、自分もタカ → タカとタカで戦争状態になる。
この二つの選択肢のうち、前者を取ることはありえない。とすれば、ロシアとしては、後者を取るしかなかったのだ。つまり、戦争状態という選択肢を取るしかなかったのだ。
そして、そうなったのは、西側があらかじめ「タカ」という方針を取ったからなのだ。「双方の妥協」という方針を取らず、「交渉拒否」という方針を取った。なるほど、最後のあたりでは「首脳会談」という形の譲歩はしたが、そこではウクライナの加盟を止めるという方針については1ミリも考慮しなかった。単に形だけの首脳会談をするつもりだった。「タカ」という方針には、1ミリの揺るぎもなかった。……こういうふうに、西側が「タカ」という方針を取った時点で、ロシアとしては戦争状態を選ぶしかなかったのだ。
この点は、「双方がハトになる以外には、解決策はない。だから、自分がタカの方針を取ることをやめる」というふうに決断をしたキューバ危機の場合とは、まさしく正反対の選択をしたことになる。
だから、キューバ危機では戦争が回避され、ウクライナ危機では戦争が起こったのだ。
《 加筆 》
西側諸国がやたらと強気になって、タカの路線を取るのは、なぜか? それは、前項で示したとおりだ。つまり、「自分たちは正義で、ロシアは邪悪だ」と思い込んでいるからだ。この思い込みが、「タカ」路線という間違った路線を取らせて、「タカ・タカ」の組み合わせによる戦争へと導くわけだ。
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※ タカ・ハト・ゲームについては、前に別項で論じたことがある。
→ 戦争とタカ・ハトゲーム: Open ブログ
→ タカ・ハト・ゲームとは: Open ブログ
( ※ 長くなって、書くのに疲れたので、ここで中断します。以後は、次項に続きます。)
to be continued.

https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2022/02/27/kiji/20220227s00002000495000c.html
「死者を出すな」というふうに唱える人は、非国民扱いされるのかも。