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話の要点は、二つである。
(1) ウクライナは歴史的にはソビエト連邦の一部であり、ロシアを主体とした連邦国家の一部であった。ロシアの外にある国家ではなく、ロシアの勢力圏にあった。これをそのままロシアの勢力下に置くことは歴史的に正しい。勝手に外に出ていくことは認められない。
(2) ウクライナが NATO に加盟するということは、軍事バランスを崩す。特に、ウクライナには核兵器が配備される可能性があるが、もしそうなったら、ロシアは決定的な軍事的危機に瀕する。(ウクライナ国境からモスクワまではたったの 460km しかない。) このようなことは、絶対に認められない。
前者の (1) は、歴史的な話だ。プーチンはこれを延々と説明している。歴史的な事柄が根源的な理由だ、と思っているようだ。その内容は、前に本項で解説したことと、ほぼ同じだ。そちらを参照。
→ ウクライナ危機には? 1: Open ブログ
ただし、この言い分は、西側の人々には理解しにくい。どうして理解しにくいか、説明したいのだが、話は長くなる。そこでこの件は、次項で説明しよう。(明日の予定)
後者の (2) の点も重要だ。該当箇所を引用すると、下記だ。
米国がINF条約を破棄した後、国防総省は、最大5,500 kmの距離で標的を攻撃できる弾道ミサイルを含む、多くの陸上攻撃兵器を公然と開発してきました。ウクライナに配備された場合、そのようなシステムはロシアのヨーロッパ全体の目標を達成することができます。トマホーク巡航ミサイルのモスクワへの飛行時間は35分未満です。ハリコフからの弾道ミサイルは7〜8分かかります。極超音速の暴行兵器、4〜5分。それは喉へのナイフのようなものです。彼らが過去に何度も行ったように、NATOを東に拡大し、軍事インフラをロシア国境に移し、私たちの懸念、抗議、警告を完全に無視して、これらの計画を実行することを望んでいることは間違いありません。
これが通常兵器だけでなく核兵器をも含む懸念については、何度も言及されている。たとえば下記だ。
ウクライナには、ソビエト時代に作成された核技術と、航空機を含むそのような兵器の輸送手段、および100キロメートルを超える範囲のソビエトが設計したTochka-U精密戦術ミサイルがあります。しかし、彼らはもっと多くのことができます。それは時間の問題です。彼らはソビエト時代からこれの基礎を築いてきました。
言い換えれば、戦術核兵器の取得は、特にキエフが外国の技術支援を受けている場合、そのような研究を行っている他のいくつかの州よりもウクライナにとってはるかに簡単です。これも除外することはできません。
要するに、「ロシアの近辺に核ミサイルを配備することは許せない」と言っているわけだ。
これはケネディが「キューバに核ミサイルを配備することは許せない。もし配備するのならば軍事的にキューバを攻撃する」と言ったのと同様である。
そのときはケネディの強硬策(国家存亡の危機に対する反発)に対して、フルシチョフが引き下がったから、第三次世界大戦は発生しなかった。
一方、今回は、プーチンの強硬策(国家存亡の危機に対する反発)に対して、米国が引き下がらなかったから、ロシアによる軍事攻撃が起こった。
結局、次の対比がある。
・ フルシチョフは、米国による攻撃が起こる前に引き下がったから、米国の攻撃は起こらなかった。
・ バイデンは、ロシアによる攻撃が起こる前に引き下がらなかったから、ロシアの攻撃は起こった。
強硬策(国家存亡の危機に対する反発)という点では、ケネディの方針も、プーチンの方針も、どちらも同じである。違いは、相手側の対応だ。片方は引き下がり、片方は引き下がらなかった。だから、前者では攻撃がなく、後者では攻撃が起こった。
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ただし、別途、違いもある。下記だ。
・ キューバ危機では、実際に核ミサイルが配備された後で、キューバ攻撃を決定した。(実行はされなかった。)
・ ウクライナ危機では、実際に核ミサイルが配備される前に、ウクライナ攻撃が実行された。
この違いゆえに、「プーチンは手を出すのがあまりにも早すぎた」と言える。NATO加盟が議題にもなっていないうちに手を出すのは、早すぎる。
この点では、プーチンは愚かだと言えるだろう。
愚かなバイデンと、愚かなプーチンで、双方がどちらも愚かであるから、戦争が始まった。双方がどちらも賢明であったフルシチョフとケネディの場合には、最大限の戦争回避策があったから、現実に核ミサイルが配備された後だったのに、かろうじて戦争は回避された。
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※ なお、キューバ危機については、詳しい説明を下記で記した。そちらを参照。
→ キューバ危機と第三次世界大戦: Open ブログ
[ 付記 ]
プーチンの演説では、3番目の要点として、次のことがある。
「ウクライナの政権は、親欧派と言っているが、実際には腐敗した政権である。私欲によって私腹を肥やして、国富を盗んでいる」
これはあながち、嘘ではない。
実は、ウクライナには、超美人の首相がいた。
→ 美女すぎると話題騒然…ウクライナのユリア・ティモシェンコ首相

「美女だから善人だろう」と鼻の下を伸ばす男が多そうだが、実は、この人には黒い噂がつきまとった。途轍もない莫大な富を得ているのだが、それは国富を莫大に盗み取って得た金だ……というわけだ。詳細は下記。
→ 美貌と金、権力を持つ女性 - 楽天ブログ
ウクライナ危機では、「善のウクライナと、悪のロシア」という図式で善悪を決めつける人が多いが、そんなに単純な話ではないのだ。たいていの政治対立は「悪と悪の対立」であると言っていい。「どっちが正義か」ではなく、「正義を標榜する二つの悪の争い」であると言っていい。
なのに、「敵が悪で、味方が正義」というような単純な発想を取ると、そこでは戦争が起こるしかない。
今この時点で、「ロシアが悪だ、ロシアが悪だ」と騒いでいる人は、「悪を懲らしめるために戦争をしよう」と言っているのも同然だ。そこからは決して平和は生まれない。
参考のために、次の言葉を贈ろう。
「争いは同じレベル者同士でしか発生しない」
これは、経済的レベル・知的レベルについて言うことが多いが、「悪のレベル」についても同様だと言える。そのことに気づかないで、「自分だけが正義だ」と思う馬鹿が多いから、戦争は起こるのだ。
【 関連項目 】
→ ロシア大統領による演説(機械翻訳): Open ブログ
→ ウクライナ危機には? 1: Open ブログ
※ プーチン大統領の主張とほぼ同じ内容。ただし、
ロシアの視点ではなく、外部の視点で解説する。

それ以下の箇所を加筆しました。該当箇所の引用を二つ。