2022年01月07日

◆ エアコン暖房とガス暖房

 雪の降るような寒い日には、エアコン暖房はあまり効かない。真冬の暖房には、ガス暖房が有効だ。

 ――

 太平洋側の地域では、冬でも寒さは厳しくないので、暖房はエアコン暖房だけで済ませる家庭が多いようだ。
 しかしエアコン暖房は、「気温が低くなると、性能が落ちる」という弱点がある。気温が5度以上あれば、さほど問題ではないが、気温が5度以下になると、かなり厳しい。そのせいで、「冬には暖房が効かないので、寒くて困る」と嘆く人が多い。
 (戸建て住宅の)悪いところ
 まじ寒い。都内新築マンションから比べたらまじで寒い。暖房きかない。
( → 住宅ローンでQOLが瀑上がりした。

 都会のマンションなら、冬でも全室が暖かいのが普通だ。というのは、窓側以外のすべての方向の壁が、隣に接していて、外気に接していないからだ。熱は外気に逃げることはなく、隣家に逃げるが、隣家も暖房しているから、しょせんは熱は逃げないことになる。マンションの各戸が集団的に全館暖房していることになる。これなら、冬でも全室が暖かいのが普通だ。
 一方、戸建て住宅だと、そうは行かない。それでも、断熱構造を徹底していればいいが、新築は別として、中古だとそうは行かない。たいていの戸建て住宅は、断熱が不十分である。だから、冬には寒い。エアコンをつけても、熱がどんどん逃げていくので、なかなか温まらない。
 そこで、上記の声のように、「寒い、寒い」と嘆くことになる。困った。どうする?

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。というか、常識的な案だが。
 「ガス暖房を付ける。ガスならば、外気温が低下しても、暖房効率が低下することはない」


 実を言うと、ガスの場合、気温が低下すればするほど、暖房効率が上昇する。(エアコンとは逆だ。)……どうしてというと、ガスで発生する熱量は同じだが、熱交換器の伝導効率が上昇するからだ。相手が冷たい空気であればあるほど、そこに伝導する熱の量は増えていく。(熱交換器のあるガス FF 暖房の場合。)

 というわけで、上記のように「寒くて困った」というような家庭は、ガス暖房機を設置することで、問題は解決する。
 これは嘘ではない。私の家では、ちゃんとガス暖房機があるから、雪の日でも、ちっとも困ることはない。

 ――

 ただし、ガス暖房機は、外気温が5度以下のときにはいいとしても、外気温が5度以上あるときには、「コストが高い」という問題がある。エアコンならば、ヒートポンプを使って、外気の熱を利用できるのだが、ガス暖房だとそういうことはできないので、コストが高くなる。
 そこで、この問題を解決するには、「エアコンとガス暖房機の併用」というのが最善だ、ということになる。

 とはいえ、「エアコンとガス暖房機の併用」だと、設置費がかなり高くなる。エアコンの方は、5〜10万円ぐらいで済むが、ガス暖房だと、FF式では 15万円近くかかる。さらに、ガス工事費がかかることもある。(ガスの配管がない場合。)
 そういう設置費の難点がある。

 ――

 この難点を解消する方法としては、次の方法がある。
 「 FF式ではないガス暖房機を使う」

 これだと、強制換気ができないので、室内の空気は汚れてしまう。だから、ときどき換気するか、窓に隙間をあけて常に少しずつ換気する必要がある。そういう難点はあるのだが、費用が抜群に安い。本体価格が2万円程度で、工事費込みで3万円程度で済む。
 というわけで、ガスとエアコンの併用でも、安上がりになる。

 実は、わが家では、何十年も使ってきた FF ガス暖房機が壊れたので、買い換えることにしたのだが、部屋における使用状況の点から、この安いガス暖房機を購入した。従来機の撤去に費用がかかったが、それ込みでも 33,000円で済んだ。格安だ。
 長時間の使用には向いていないのだが、この部屋はもともと 30分程度の暖房しかしないので、それでもいい、と判断した。

 で、これを使ってみたところ、やはり、ガス暖房機の火力の強さは圧倒的だな、と感じる。エアコン暖房機の方は、なかなか暖まらないのだが、ガスの方はすぐに強力な熱気が出る。

 というわけで、部屋の用途ごとに、FF式 または非換気式のガス暖房機を使えばいいだろう。これで、寒い雪の日や厳寒期にも、十分に暖かい熱量を確保できる。「冬には寒くて困る」というような嘆きは解消する。

  ※ リビングルームのように、長時間使用をする部屋は、FF式のガス暖房が好ましい。

 ――

 なお、上で述べたことは、戸建ての話だ。マンションには必ずしも当てはまらない。
 というのは、最近はオール電化のマンションが多いので、ガスは禁止されていることも多いからだ。そうでなくとも、ガス設備はもともと付いていないことが多い。
 ガスを付けることができるとしても、マンションでは配管工事が多額になることがある。剥き出し配管なら安めだが、室内で配管を隠す工事だと、かなり高額になる。
 一戸建てならば、建物外に配管を設置できるので、あまり高額にならないようだ。一戸建てなら、配管は3万円ぐらいで済みそうだ。
  → 新築のマンションですが、ガスファンヒーター用のコンセントがありません。
  → マンションにガス栓(供給口)を設置された方いますか?|住宅なんでも質問

 ともあれ、マンションでもガス工事ができれば、特に問題はない。

 ――

 蛇足:
 一般に、一戸建てからマンションに引っ越した人だと、エアコンはなかなか暖まらないので不満になることもあるようだ。
 一方、マンションだと、全室暖房の良さもある。
 戸建てとマンションのどちらが良いかは、一長一短だろう。
( ※ そもそも、どっちがいいかを比較しても、仕方ない。一戸建てかマンションかは、暖房とは別の理由で、本質的に決めることが多いからだ。)
  


 [ 付記1 ]
 ガスを使うことを推奨したが、ガスと言っても、都市ガスに限る。プロパンガスは、滅茶苦茶にコストが高いので、使うべきではない。

 プロパンガスが詐欺的な料金制度を取っていることは、下記記事で話題になった。
  → LPガス料金、月数千円を上乗せ 違約金20万円請求の業界慣行も:朝日新聞

 こういうわけだから、賃貸住宅でプロパンガスの地域に住む人は、さっさと転居しよう。三十六計逃げるにしかず。

 一方、(自己保有の)戸建て住宅の場合には、事情が異なる。現住所から、逃げたくても、逃げることができない。困った。どうする?

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「オール電化にする。風呂の水は、深夜電力で湯を沸かすエコキュートを使う」
 オール電化ならば、調理は IH調理器で済むので、ガス調理器は不要だ。
 エコキュートならば、湯を沸かすのに、ガスよりも もっと安くなる。
 ( ※ さらに、太陽熱温水器を使うこともできる。)
 ( ※ 賃貸住宅では、この手を使えない。エコキュートを設置したくても、賃貸では無意味だ。)

 [ 付記2 ]
 新築住宅ならば、断熱構造にして建てることで、家全体が温まる。(高断熱住宅)
 中古住宅だと、今さら断熱構造にすることはできないが、「断熱雨戸」ならば、容易に設置できる。


tobukuro.jpg


 この件は、前にも述べた。
  → 雨戸と庇(ひさし): Open ブログ
 そこでは、断熱雨戸は、夏の断熱に有効だと記した。
 一方、冬の断熱にも、断熱雨戸は有効だ。
 夏ならば、南側の断熱雨戸を閉め切っておけばいいが、冬ならば、北側の断熱雨戸を閉め切っておけばいい。こうすると、ガラス窓に冷たい北風が吹き当たることがないので、高い断熱性を保てる。並みの二重窓なんかよりも、はるかに高い断熱性を保てる。

 ※ 熱が逃げる経路の大部分は、窓である。だから最近は、窓の小さい家が多い。だが、断熱雨戸にすれば、大きな窓にもできるし、窓をなくすのと同様にすることもできる。断熱雨戸を少しだけ開いておけば、採光性も確保できる。(真冬以外にはそれもいい。)
 
 [ 付記3 ]
 雪の降る日にはエアコン暖房が効かない……という話を、前に記したことがある。
 雪のときはエアコン暖房は効かない。気温が零度以下のときに、みぞれや雪を吸い込めば、室外機はみぞれや雪を凍結させて、室外機そのものが氷で凍結する。最悪ですね。何もしない方がマシ。
 
 で、もしそうなったら? デフロスト機能という機能が働く。
( → 雪ならエアコン暖房はダメ: Open ブログ

 ここでは「デフロスト」という機能のせいで、エアコン暖房が効かなくなる……という話をした。
 一方、本項では、「気温の低下のせいで、エアコンの暖房効率が悪くなる」という話をした。

 [ 付記4 ]
 本項で述べたことは、(寒さの厳しくない)表日本における話だ。
 一方、雪だらけの裏日本や北海道では、事情はまったく異なる。常に暖房を強力に使うので、ガスではコストがかかりすぎる。そこで、灯油 の FF式暖房を使うのが普通であるそうだ。
  → 北海道での暖房、石油ストーブについて - Yahoo!知恵袋
  → 北海道でエアコンは使う? ついてない家も多いです | 道産子コスケ

 これを聞いて、「だったら表日本でも灯油にすれば?」と思うかもしれないが、灯油は、補給の手間が大変だ。ガスならば、補給の手間は不要なので、ずっと楽である。コストと手間の兼ね合いで、表日本ならば、ガスが主流となるだろう。

 [ 付記5 ]
 なお、北海道で(電気を食う)エアコン暖房を使うのは、別の意味でも問題だ。それは、「北海道では、石炭火力発電の比率が高い」ということだ。


hokuden-ratio.gif
北電の電源構成


 こういう状況で、暖房にエアコンを使うと、電力を得るためにたくさんの石炭を燃やすことになるので、炭酸ガスを大量に排出する。ガスや灯油よりも、かえって多くの炭酸ガスを排出することになりかねない。

 政府は、EV 普及のことばかりを考えないで、石炭発電の縮小のことを考えるべきだ。それは、風力と太陽光で、十分に可能なのだから。

 ――

 ※ 北海道の風力発電の電力を本州に持ってくるために、莫大な金額を投入して、海底ケーブルを設置する……という計画がある。血税の無駄遣いだ。どうせなら、北海道の石炭電力を減らす方が先決だろうに。いったい、何を考えているんだ。政府はアホちゃいますか?
  → 送電線に 4.8兆円の巨額浪費: Open ブログ
  → 地域間送電に巨額投入: Open ブログ
posted by 管理人 at 23:53 | Comment(3) |  健康・寒暖対策 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
電力でコンプレッサーを回してヒートポンプするエアコンのほかに、ガスエンジンヒートポンプエアコンもあって、これだと冬期の暖房性能は電気式よりも優秀にはなります。
Posted by けろ at 2022年01月08日 20:19
 ガスヒートポンプエアコン というのは初耳でしたが、下記のようなものですね。

> 熱効率の高いガスエンジンを使う上にガスエンジンの排熱を効率よく活用して、運転開始後、素早く温風を吹出すので寒い冬の朝でもスピーディーに暖房します。
 https://www.okagas.co.jp/business/product/ghp

 なるほど。ガスの排熱を使うので、効率が高いわけだ。

 問題は、価格だ。かなり高い。エアコンとガス FF暖房機のセットよりは、少し安いぐらい。新築住宅ならばそれでもいいが、既存の住宅だと、すでにエアコンが設置済みのことが多いので、機能重複でコストも重複になり、無駄が生じそうだ。
 とはいえ、スペース効率が高いのが美点だろう。

 あまり普及していないようだが、新築住宅ならば、大いに魅力的だ。
  https://www.daikinaircon.com/ghp/ghp/index.html
  https://eee.tokyo-gas.co.jp/product/ghp/index.html
Posted by 管理人 at 2022年01月08日 21:20
管理人様のおっしゃる通りで、プロパンガスはほんと高くつきます。
都市ガスと比較して倍になる感じです。

ガスの暖房は強力で、以前古いマンションに住んだ時リビングでも都市ガスのコンセントがあったので、FFではない温風ファンヒーターを使っていました。時々換気が必要ですがすぐ温まり、また石油ファンヒータみたいに消火時に臭うことがなく良かったです。安全のために連続運転時にも数時間で一旦止まる仕様でした。

あちこち引越しましたが、とにかく、引越し時には都市ガスの住宅にするのが費用削減の第一条件ですね。
Posted by 港北 at 2022年01月09日 20:56
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