2021年12月23日

◆ 離婚妻に 10万円を給付するには?

 子供への 10万円給付が、離婚後、子供のいる元妻には支給されず、子供のいない元夫に支給される……という問題がある。

 ――

 朝日新聞が報じた。
 18歳以下の子どもへの10万円給付を、離婚して1人で子育てしているひとり親が受け取れず、子育てしていない元配偶者に渡ってしまう――。そんな事例が大量に発生しそうです。
 女性は8月末に離婚し、小学2年と3歳の姉妹を1人で育てている。元夫の口座だった児童手当の振込先を、自分の口座に変えたのは9月半ば。それが適用されたのは10月分の手当からだ。
 「子どもへの10万円」実施が決まったのは11月。内閣府は直近10月に給付された9月分の児童手当リストを使うことにした。それ以降の離婚だけでなく、リストが確定した8月末までに離婚に伴う口座変更が済んでいないと、元夫の口座に10万円が振り込まれる。
 ある自治体によると、9月以降の口座変更を10万円給付に一定程度反映する作業も「できなくはない」という。
 しかし、内閣府は「すでに児童手当の支払い実績があり、確定している9月分の口座であれば、自治体側で新たな口座のチェックなどが不要になる」と説明している。
( → 「渡すよう頼んで」と言われても…10万円給付は元夫へ 続発の恐れ:朝日新聞

 この後、立憲民主党が、元妻への支給を要望した。だが、政府は「難しい」と拒否した。
 18歳以下への10万円給付をめぐり、離婚して子育てしているひとり親が受け取れず、子育てしていない元配偶者に渡ってしまう恐れがある問題について、立憲民主党は22日、支給から漏れたひとり親にも給付するよう政府に要望書を提出した。
 松野博一官房長官は22日の記者会見で、「今般の給付における対応には難しい面がある」と述べた。
( → 10万円給付「離婚のひとり親にも」 立憲要望、政府は「難しい」:朝日新聞

 うまく解決したいのだが、政府は「難しい」と後ろ向きだ。困った。どうする?

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。

 まずは論理的に考えよう。
 最終目的は、元妻への支給だ。
 一方、政府は「9月分の口座を使いたい」(それで迅速化したい)という。
 しかし、9月分の口座を使えば、元夫の口座を使うことになるので、元妻への支給はできない。
 この双方はたがいに矛盾するので、同時に双方を満たすことはできない。

 ならば、論理的な解決案はただ一つ。こうだ。
 「一つの原則だけに従うのでなく、原則と例外で対処する」

 つまり、次の併用だ。
  ・ 原則: 9月分の口座を使う。(元夫の口座へ)
  ・ 例外:10月分の口座を使う。(元妻の口座へ)


 そのための方法は、下記だ。
 「原則を定めるが、別途、例外による修正を許容する」


 ただし、例外による修正を個別にやっていては面倒極まりない。そこで、例外はすべて一括処理する必要がある。つまり、こうだ。
 「9月以降、一定日(11月30日?)までに離婚した夫婦については、親権者が元妻である場合には、元妻に 10万円を支給する」
 これをすべて自動処理すればいい。

 では、自動処理する方法は? マイナンバーを使えばいい。このようなデジタル処理のためにマイナンバーというものがあるのだから、そのマイナンバーを使えばいいのだ。

 ――

 ここで、質疑応答で答えよう。

Q マイナンバーカードを取得していない妻には、支給されないのか?

A マイナンバーカードを取得したか否かは、関係ない。カードを取得していようといまいと、すでに国民全員に、マイナンバー(12桁番号)が付されている。あとは、その番号を使って、政府内で内部処理ができる。コンピュータの内部で仕事をするだけだから、カードの取得の有無は関係ない。

Q マイナンバーは個人情報だから、組織を越えた運用はできない。各人がいつ離婚したかという個人情報(戸籍係の情報)を、お金の支給をする組織(外部の組織:内閣府など)に提供することはできない。

A 単に該当者の一覧表だけを、リストアップして、マイナンバーで通知すればいい。住所氏名などはなしで、マイナンバーという番号の一覧だけを通知する。あとは、その番号に従って、上述の「原則に対する例外」の処理をすればいい。

 ※ より根本的には、「組織間で情報のやりとりをしてはいけない」という制約を取り除く必要がある。この件は、前に述べた。
  → マイナンバーの自己矛盾: Open ブログ
 マイナンバーがあると、情報の共有はできなくなる。マイナンバー法によって、情報の共有が禁じられているからだ。
 行政手続きの効率化のためのシステムなのに、逆に、行政手続きの効率化を阻害するために働いている。つまり、正反対の効果となっている。

 どうしてこうなったか? 問題の本質はどこにあるのか? 
 そもそも、組織間のデータ共有を禁じるのがおかしいのだ。やたらと個人情報の漏洩を恐れるあまり、必要な部分においても情報共有をできなくなるようにしてしまった。制度設計の失敗があった。(法制を間違えた。)


posted by 管理人 at 23:30 | Comment(2) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> そこで、例外はすべて一括処理する必要がある。つまり、こうだ。「9月以降、一定日(11月30日?)までに離婚した夫婦については、親権者が元妻である場合には、元妻に 10万円を支給する」これをすべて自動処理すればいい。

⇒ マイナンバー(の情報)を利用して自動化する場合、夫または妻のマイナンバーと、@離婚した事実と離婚日、A離婚前に児童手当の振込先はどちらだったか、B離婚後の親権者はどちらか、が全て(@〜Bが)紐づいていないとうまく流れないような気がするのですが。マイナンバーにはそのような情報も紐づいているのでしょうか?
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月24日 04:31
 マイナンバーにその情報が紐付いているんじゃなくて、その情報にマイナンバーが紐付いているんです。
 マイナンバーからわかるのは、住所氏名だけです。

 具体的には:
 @〜Bのそれぞれを、それぞれの組織のデータベースで打ち出します。その上で、すべての条件に当てはまる人のマイナンバー・リストを出力します。その出力データを、お金を配る組織(内閣府)に渡します。
 内閣府は、そのリストに基づいてお金を配りますが、内閣府は離婚日などの個別情報を入手することはできません。

 ※ 私の提案では、内閣府は個別情報を得ることはできないが、上記の操作をして出力結果を得る(一覧データだけを得る)ことはできるようにするべき。
Posted by 管理人 at 2021年12月24日 05:55
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